ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

第6回・山行μは、お花いっぱい!阿蘇の外輪山・俵山

2012年08月30日 | ハイキング/山行μや山行χ

2012/8/16  熊本に帰省した際には僕の甥の娘っこと山へ行くことにしています。2009年夏には雁俣山、2010年正月は柴尾山、夏は杵島岳、2011年正月は雁回山、夏は雨天のため登れず、2012年正月は三角岳といった具合です。今回が6回目となります。熊本での山行を、僕は“山行μ(みゅー)”と呼んでいます。

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▲僕たちは豊肥本線(阿蘇高原線とも呼ぶそうです)の平成駅で乗車し、立野駅で南阿蘇鉄道に乗り換えます。豊肥線は立野駅から幾つかの駅区間はまだバスの代行運転になっていました。先月からの豪雨被害の影響がまだ残っているのです。

九州の鉄道は車両がお洒落なものが多く、楽しい気分にしてくれます。この写真の南阿蘇鉄道も例外ではなく、今回乗った車両も照明がお洒落! 9:44ころ。下の写真は下車駅の長陽駅で、9:52ころ。

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▲駅のホームから今日登る予定の俵山方面を見てみました。いったいどの山なんでしょうか? 9:52ころ。

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▲長陽駅で電話をしてタクシーに来てもらいました。Mちゃんのお母さんにお握り二つずつお昼御飯として貰っていたのですが、予備食も欲しいので途中のコンビニに寄ってもらいました。菓子パンを二つ買いました。

俵山峠の登山口へ近づくとまず驚くのは巨大な風力発電のプロペラ塔です。10:27ころ。

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▲少し歩くと、俵山峠の展望台に出ます。写真左半分の山群が阿蘇の中央火口丘、一番左の山は杵島岳で2010年の夏に登った山です。今なお噴煙を上げている中岳は手前の烏帽子岳で隠れているようです。右のなだらかな山並は外輪山の南東部分でしょう。10:29ころ。

杵島岳の右下に白い噴煙が見えますよね。タクシーの運転手さんが教えてくれたのですが、これは民間で温泉を掘削し、噴出した温泉の煙なのだそうです。一時期、手のつけられないほど大量に噴出し、周辺地域が進入禁止になったのだとか。火の山なんですねぇ!

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▲まさに風力発電のプロペラを見上げながらの登山スタート。風はさほど強くなかったのですが、しっかりと回転しています。10:30ころ。

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▲オミナエシ。10:52ころ。

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▲シモツケ。10:54ころ。

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▲こんな茅戸の草原が続きます。後ろに見えるのが阿蘇の中央火口丘。ひょっとして、杵島岳左の小さな山は米塚でしょうか? 10:55ころ。

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▲クルマバナでしょう、多分。10:56ころ。

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▲茅戸も続き、中央火口丘も後ろに控えています。Mちゃんはたくさん咲いている花々に気を取られ、たびたび足を止めます。今日のコースはMちゃんにとって今まででいちばん長いコースなので、僕としてはまずは山頂に早く到着したい気持ちが強かったのです。少し急(せ)かせました。10:59ころ。

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▲アザミの仲間だとは分かるのですが。白い花粉が見えないのはどうしてなんでしょう? 11:05ころ。

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▲セリ科の花だとは分かりますが………、ツクシゼリかなあ? 11:05ころ。

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▲途中の山道は木の階段でしたが、これがぐちゃぐちゃになっていて歩きづらいこと! みんな植林の中を歩いているようです。11:24ころ。

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▲ユリ科のシュロソウです。黒花は意外と好きな花の色です。エンレイソウとかアオキの花も黒いですよ。11:31ころ。

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▲サワヒヨドリだと思います。11:38ころ。

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▲カワラナデシコ。11:42ころ。

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▲マツムシソウ。11:48ころ。

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▲コウゾリナなのでしょうか? 11:55ころ。

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▲俵山山頂に至る最後の急登が現れました。直前で小休止にしました。12:00ころ。

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▲満開のサワヒヨドリでしょうか? 12:18ころ。

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▲コオニユリ。12:22ころ。

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▲登って来たコースが見渡せました。風力発電のプロペラ塔があるあたりからなだらかな尾根に沿って登って来ました。今の急登ももうすぐ終わります。Mちゃんの登山脚力もずいぶん強くなったようです。12:25ころ。

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▲急登が終わりました。もうすぐ山頂です。12:26ころ。

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▲俵山山頂1094.9mです。お昼の大休止を取るつもりでしたが、東に黒くて厚い雲が出て来たので、急ぎ下山することにしました。山で僕が一番恐れているのが“雷”だからです。12:29ころ。

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▲これが下山の道です。一番下がったところの護王峠までまずは下ります。黒い雲も近づいて来ています。ときおり、遠くで雷も鳴り始めています。12:49ころ。

山では雷が遠くで鳴っていても、次の雷は自分のいる場所に落ちることがあっても不思議ではありません。Mちゃんにも少し急がせますが、躓いて転び怪我でもしたらもっと時間がかかってしまいますから、能力以上に急がせることは出来ません。

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▲護王峠には13:12ころ着きました。ほんのポツポツとですが、雨も降り始めました。護王峠からの下り始めは赤テープで印されています。

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▲護王峠からの下りの途中で本降りになりました。Mちゃんの雨合羽はS子のものです。13:32ころ。結果的に、僕たちのいるあたりへは雷雲は来ませんでした。それでも、最悪のことを考えて対応しておくことは大切です。

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▲この山道は下山すると牧場に出るのです。いきなり赤牛がそこには居ました。牛たちも僕たちに興味津々。体はでかいですけれど、その大きくてつぶらな瞳は優しげにこちらを見ています。そして近づいて来ます。僕にはそれが分かるので、手の届く範囲に近寄ってきたら頭を撫ぜてやろうと思っていました。まあ、牛たちも初対面の人間にそこまでは近寄っては来ませんが。13:47ころ。

でも、S子とMちゃんは怖がって降りて来ません。大丈夫だから、と言っても、二人に近寄って行きますし、怖いようです。仕方なく僕がもう一度戻り、二人を牛たちのところから降ろしました。結局、二人ともそれほど恐怖心を抱くわけではなかったようですが、すぐそばを歩いてすり抜けるには踏ん切りが付かなかったみたいです。

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▲舗装された道をドンドン下って行くと、ゲートがありました。牛が牧場の外に出ないための柵でしょう。14:15ころ。すでに雨は止んでいて、傘は日傘となっています。

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▲木の香温泉入口のバス停に着きました。ここから長陽駅まで、歩けない距離ではありませんが、暑い中、アスファルトの上を歩くのは過酷ですから、タクシーを呼ぶことにしました。14:59ころ。

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▲上の写真、中央やや左よりの山の奥に俵山はあるようです。駅からは見えないと思います。上の写真の右に風力発電のプロペラ塔が見えます。その辺が俵山峠登山口ですね。

下の写真中央に顕著で急斜面のある支尾根があります。その支尾根の手前の谷を右奥から下って来たのだと思います。

ホームからの眺めです。16:08ころ。

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▲長陽駅です。列車は1時間半おきくらいにしか来ないので、それくらいの時間を駅で待って過ごしました。途中、マイクロバスの小さなスーパーマーケットが来たりしました。せっかくですから、アイスクリームとかを買います。

駅舎の半分は平日なら駅長さんが喫茶店のようなお店を営業していて、コーヒーとお手製のケーキなどをいただけるようです。でも、今日はお盆休みなのでしょう。駅長さんはいませんでした。ああ、残念! 16:09ころ。

臨時ダイヤになっていたので、列車は17時少し前にやっと来ました。平成駅ではMちゃんのお母さんが車で迎えに来てくれ、楽をさせてもらいました。

                     *   *   *   *   *

Mちゃんとこの3年間で6回の山登りをしたことになります。いま、小学3年生ですから、最初の雁俣山の時にはまだ学童ではありませんでした。そのころはすぐに抱っこを求めたり、手を引いてもらったり、下りではポ~ンと僕めがけて飛びついたりしていました。

それが今ではしっかりと自分の足で歩きます。まだ、急だったり不安定だったりする下りには苦労して、時間がかかっていますけれど、今回のコースも休憩時間を除くとガイドブックに出ている標準のコースタイムとほとんど変わりませんでした。大したものです。いろんなモノに好奇心を向けて、道草ばかりなのにこの時間ですから、歩くスピードは大人と変わりないと言っていいと思います。

子供にとって(大人にとってだって一緒なんですが)山という自然の中で過ごすことを楽しめたらそれでいいのだと思っています。自然を愛せる大人になって欲しい、そう願っています。


日本三名園のひとつ「後楽園」の夜間特別開園

2012年08月27日 | 帰省の途中旅

2012/8/11  旅にはお金をかけるのではなくて、時間をかけるのが最高の贅沢だと信じています。まあ、若干の(いやいや、かなりの)負け惜しみが見え隠れはしていますけれど。この夏も青春18キップで熊本へ帰省して来ました。

熊本の母が3年ほど前から認知症になったものですから、盆と正月には帰省することにしています。山屋としてはトップ1とトップ2の山行期間を奪われるわけですから忸怩たる思いはありますけれど、母への想いと比較することは出来ません。

2009年の正月から熊本へ帰っていますが、最初はムーンライトながらで東京を夜中にスタートし、熊本へはほぼ24時間後の夜11時前後に到着していました。でも、それではただの移動になって詰まりません。夏からは途中で1泊してミニトリップを楽しむことにしました。

2009年夏は宮島の厳島神社と弥山登山。2010年正月は小倉で泊まって長崎のS子の親戚宅へ、夏は倉敷の大原美術館。2011年正月は尾道(東京での人身事故の影響で出発が翌朝となり、観光できず)、夏に尾道のリベンジ。2012年正月は広島平和公園。といった具合です。

予定通りならば、岡山には10:39着だったのですが、静岡地域での大雨の影響があり、ムーンライトながらが遅れ、岡山着が14時を回ってしまいました。本当は美術館へも行ってみたかったのですが、それはオジャン! 岡山ワシントンホテルプラザにチェックインし、しばらく休息の後、岡山城=烏城へ向かいました。

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▲ホテルから歩いても30分もかかっていません。烏城が近づいて来ました。17:13ころ。

烏城は14世紀に最初に建設されたようです。豊臣政権下では宇喜多家が支配していましたが、徳川政権下では小早川から池田家へ移って行きます。

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▲烏城の天守閣があるエリアの正門にあたるのがこの「不明門」だそうです。17:19ころ。

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▲後楽園同様、烏城でも夜間特別開園があるので、若者たちがロウソクをともすライトアップの準備をしていました。17:24ころ。

後ろに見えるのが天守閣ですが、1597年ころに建設された古い様式なのだそうです。姫路城のような白壁ではありません。外壁は黒塗りの板ですから「烏城」と言われるわけです。

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▲ライトアップの準備の様子を天守閣天辺から見下ろしました。ハスの花だと思います。17:42ころ。

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▲お殿様の駕籠でしょうか。S子姫が乗っています。18:09ころ。

天守閣見学の順路はまず最上階へ行き、下るようになっています。原則、写真撮影は禁止ですが、時々このように許可されているものもあるのです。ここは駕籠に乗ることも許可されていました。

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▲天守閣と表向のふたつの御殿をつなぐ「廊下門」です。外人さんのカップルが歩いています。18:28ころ。

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▲烏城と後楽園は旭川に架かる橋でつながっています。18:36ころ。

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▲後楽園は広々とした芝生の公園。2代目藩主の池田綱政が作ったそうです。ご存知の通り日本三名園のひとつ。18:41ころ。

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▲中央にある築山(唯心山)からの眺めです。19:00ころ。

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▲芝生の広場だけではありません。このような日本庭園もあります。でも、島も橋もでっかい! 次第に薄暮となり灯りが綺麗に見え始めます。19:05ころ。

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▲唯心山東の芝生ではライブコンサートが催されていました。今演奏しているのは「クール長崎&ハイビスカス」です。ときおり演奏する古い曲が懐かしい。19:19ころ。

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▲次のグループは「ラ・バスガイドス&ドライバーズ」でした。もっとしゃべくりをコミックバンドに徹するか、もっと聞き馴染みのある曲をたくさん取り入れるかして欲しいなぁと、勝手な感想を持ちました。19:35ころ。

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▲ステージのそばだけでなく、広い芝生の上でたくさんの聴衆がいます。後方でもまだたくさんの人々が聞いていました。ライトアップされた烏城も見えています。20:03ころ。

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▲ライブ会場を離れて園内散策を再開しました。食事ができるお店もありました。芝生に並べられたテーブルで演奏を聴いていた人も多かったようです。20:09ころ。

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▲この夜間特別開園を『幻想庭園』と呼んでいます。まさにその通り。人がほとんどいなかったら、なおさら感動するのですが……… 20:15ころ。

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▲コップの中に灯した蝋燭の灯りが光の道になっていました。20:19ころ。

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▲藩主の居間として作られた延養亭です。落ち着いた風情の日本的美のひとつの極だと思います。20:25ころ。

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幻想庭園を離れ、ホテル近くの店で食事をしました。瀬戸内海の魚を供してくれるお店。地元の日本酒を飲みましたが、旨い酒です。ただひとつ心配だったのは、価格表示がまったくないこと。でも、美味いからどうでもいいやと気が大きくなります。

確かに財布には衝撃が走りましたけれど、大満足の店でした。

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翌朝早く、岡山を出発。青春18きっぷの旅2日目です。ご参考までに乗り換えの様子などをお知らせしましょう。

岡山735902糸崎9031120岩国11441301徳山13121506下関15131519門司15241746大牟田17491838熊本

11時間3分(実際はもう数分多くかかりました)の長旅でした。


鮎のお裾分け・・・・ご馳走さま!

2012年08月09日 | 山の仲間たち

本当はもう先週末のことになるのですが、K美さんから彼女が釣った(んですよね?)鮎をたくさん頂きました。他にもヤマメの燻製とキュウリとナス。

ぜ~んぶ、美味しく頂きました。感謝、感謝!

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▲S子が下処理をして、塩を振り、ちょうどいい加減に焼いてくれました。

いかにも川魚っぽい爽やかな味でした。ご馳走さま!


ザイルに絡む反省点と焼酎に絡む反省点

2012年08月08日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2012/8/5  最初は小坂志川の本流へ行こうと考えていました。何年前だったか、10年ほど前になるでしょうか、本流を遡行した時、中流部周辺の植林が大量に伐採された影響で沢は倒木だらけ、それより上の遡行を諦めて、支尾根に逃げたことがありました。

もうそろそろ沢も元の姿に戻っているだろうと、久し振りに行ってみようと思ったわけです。そんな時、ふと、「ちょっと待てよ」と思いついたのがキットウ谷沢です。僕が持っている『奥多摩の谷123』ではすでに僕が行ったことのある沢、という印が付いています。でも、まったく記憶がありません。それはともかく、沢沿いに付けられた林道の工事によって、沢がすごく荒れてしまったという情報を貰って以来、僕にとっての遡行対象から外れてしまっていたのです。

キットウ谷沢もそろそろ昔の姿に近づいているのでは、一度そう思い始めると、記憶に残っていない沢ですから、初めての沢と同じです。期待も高まり、楽しくなって来るのでした。

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▲武蔵五日市駅からタクシーで小坂志林道の途中まで入ります。少し歩いて、この写真の場所から小坂志川本流遡行スタートです。9:37ころ。林道工事はまだ続いているようでした。

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▲遡行スタート! 9:38ころ。今日は2人で遡行です。N澤さんが水根沢以来の参加。2人だけですから、先頭を歩いてもらいました。

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▲さっそくイワタバコです。花をたくさん付けています。9:43ころ。

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▲アズマヒキガエルでしょうか? 真名井沢のと違って赤みはありません。9:51ころ。

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▲本流の3m滝です。大きな釜があります。9:51ころ。

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▲沢床の岩の縞模様が綺麗でした。9:53ころ。

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▲キットウ谷沢の出合です。左が本流。N澤さんがルート図で現在地の確認をしています。10:04ころ。

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▲キットウ谷沢入渓後すぐ、小さな沢の小さなゴルジュです。10:07ころ。

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▲イワタバコはやっぱり綺麗ですね。10:09ころ。

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▲F2-6mでしょうか。易しそうなので、ザイルは使いません。10:16ころ。

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▲ミニ瀞です。10:21ころ。

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▲だんだん同定がこんがらがってきます。これはF3-6mのナメ滝なのでしょうか? 2条ナメとでも表現してくれると確実に同定できるのですが。10:31ころ。

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▲この沢もカエルは多かったですね。10:34ころ。

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▲イワタバコの群生、イワタバコのお花畑と呼んでもいいほどにたくさん咲いています。10:35ころ。

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▲4:1の水量比で支沢を分けてすぐ出て来る4m滝。この滝もN澤さんには大丈夫だと判断して、ザイルは出しませんでした。10:36ころ。

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▲『奥多摩の谷123』に記載されている3段3m滝がこれなのでしょうか? 10:46ころ。

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▲先に二俣が見えています。右俣にはほとんど水は流れていません。左俣にはF4-6mの滝が。N澤さんは現在地の確認です。10:55ころ。

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▲右岸の岩壁はイワタバコのお花畑です。カメラで写せる範囲には限りがあるので、お花畑の広さは分かってもらえそうにありません。11:00ころ。

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▲F4-6mです。念のためにハンマー、ハーケンは持って来ていたのですが、使いませんでした。グレードは3級+くらいでしょうか。ピンは1本もありません。この写真で受ける印象よりもずっと垂直に近い傾斜です。

滝の上で確保支点を探しましたが、何もありません。ちょっと上流に倒木があって、これを使うことにしましたが、強く引っ張ると動きます。その数m上流には支点として使える岩があったのですが、ザイルの長さが足りなくなります。結局、滝の落ち口近くに垂らされていた高巻き用の残置ロープをもうひとつの確保支点として使わせてもらいました。11:16ころ。

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▲この沢はミズ(ウワバミソウ)も豊富でした。とりわけ中流域では写真のように畑のような群生がありました。11:29ころ。

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▲F5-5mの滝です。イワタバコが綺麗だったので、写真を撮る間、N澤さんには登るのを待っていてもらいました。フラッシュの使い方がうまくできないので、写真はよくありませんね。イワタバコの花は光っちゃってますし、滝の方は暗く沈んでますし……… 11:41ころ。

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▲F5-5mの滝をソロで登攀するN澤さん。11:45ころ。

ここで今日一番のミスを僕は犯してしまいました。それは、ザイルを出さなかったこと。N澤さんはちょっと不安げな発言をしていたのですが、僕の目にはこの滝がホールド、スタンスともに豊富な易しい滝にしか見えなかったのです。下部3分の1くらいを登れば、あとは至極簡単に見えたのです。

ですが、N澤さんに続いて自分で実際に登ってみると、上部でもいささか緊張します。上部も3級はあります。高さもある滝なので、N澤さんにはザイルを出してあげるべきでした。

本では「少し手こずるかもしれない」となっていました。やはり、ザイルは出すべきでしたね。でも、N澤さんはよく登ってくれました。………反省………

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▲F5を登った後で、やっと小広い場所に出たので、初めての休憩を取りました。再び歩き始めると、すぐに奥の二俣が。本では右俣に入って行くことになっています。でも、左俣が明らかに本流のようですし、倒木でよく分かりませんけれど、少なくとも5m以上の高さのナメ滝があります。N澤さんが左を選択したので、僕も反対する理由がありません。

分かりにくいですが、写真はそのナメ滝です。12:25ころ。

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▲ナメ滝を登ると、すぐに沢は土管の中に消えて行ってしまいました。林道が横切っているのです。こんなにすぐに林道が現われるとは思ってもいませんでした。

N澤さんが林道に姿を現す直前です。12:31ころ。

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▲林道を歩いていると、サルナシが落ちていました。まだ熟す季節ではありませんから甘みはありません。中央の黒いものは虫か何かが付いたのでしょうか? サルナシはキウイと同じ仲間で味もまったく同じです。12:58ころ。

2万5千地形図を詳細に読んで来なかったものですから、林道に出てからの現在位置の把握が出来なくなってしまいました。適当な予測のままに、林道終点は万六尾根の927標高点とその南東側の853標高点との間にあるコルだと勝手に決め付けていました。

ですから、尾根を登りつめたところに万六尾根の登山道が出て来るものと信じていたのです。ところが、登りつめた場所には登山道がないばかりか、尾根が下がって行っているのです。予測と異なる現実に直面すると、人は混乱します。いろいろ考えて、やっとのことで最初の予測が間違っていることに気づくのです。

修正した予測に基づき尾根を下るとコルがありました。そのまま今度は尾根を登ればいいのです。しかし、予期せぬ事態が。そのコルにも林道が出来ていたのです。緩やかな林道の誘惑に負けて、林道を利用してしまいました。結果的にこれがかなりの遠回りとなり、14:48のバスは諦めざるを得なくなったのです。

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▲次のバスは16:05なので、のんびりと下山しました。途中、新宿だと思いますが、高層ビル群も見えましたから、真夏にしては珍しく空気の澄んだ日です。谷から吹き上げて来る風も涼しくて心地よく、標高が低いにもかかわらず、暑くありません。

この万六尾根は写真のような背丈の低い笹(僕は勝手に小笹と呼んでいます)が多く、気持ちの良い尾根ですね。14:28ころ。

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▲休憩もたびたび取りながら、ゆっくりと下山。南秋川に辿り着きました。15:46ころ。

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▲柏木野バス停です。15:49ころ。

打ち上げは久し振りの「音羽鮨」です。いつもお世話になっている店で、去年の7月の芋焼酎『三岳』をちゃんとキープしておいてくれています。感謝! N澤さんとの会話も尽きず、飲みながら、食べながら、結局、3時間ほども長居してしまいました。

当然、帰宅後はS子にお小言。またまた、反省………


涼を求めて奥多摩の真名井沢へ、それでもやはり、最後は汗だく

2012年08月02日 | 沢登り/多摩川本流

2012/7/29  去年の秋以来久し振りのA野さんとの山行。S子も行くので、癒し系で猛暑の夏を涼める沢を探しました。こうも暑い日が続くと、アプローチの林道歩きが長く続くと嫌ですし、標高が低いと、稜線に飛び出した時点で暑くてたまらないかもしれません。

というわけで、奥多摩の沢としては少し長い方に属すかもしれませんが、大丹波川の真名井沢へ行くことにしました。

川井駅からバスに乗り、終点の上日向で降ります。これで暑い車道歩きを回避。上日向からの林道は木陰の道ですから涼しい歩きです。真名井沢へはこれまで10回近くは行っていますけれど、バスに乗ったのは初めてかもしれません。

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▲真名井沢沿いの林道が大きく沢から離れて行くところが写真のとりがや橋です。林道とは別れて、沢沿いの道に入ります。9:02ころ。広い砂利道はすぐに終わり、山道を進み、木橋で沢を2回渡りました。

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▲山葵田が出て来ると、なんとなんと上流に堰堤が見えるじゃないですか! 4年前にU田君と2人で来た時には確かなかったはず。この堰堤の手前で、準備を整えました。そして、出発です。9:47ころ。

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▲これが最後の4つ目の堰堤だったと思います。同じタイプの堰堤。かつてはスタート地点から山葵田が続き、山葵田の横を長~く歩いたものです。それが今ではこの写真のように。9:55ころ。

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▲堰堤の連続でショックを受けましたが、それもじきに終わり、この写真のあたりから沢らしい風景が戻って来ました。9:59ころ。

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▲山葵田が再び現れました。一人の女性がそこで労働していました。声も掛け辛い感じで、一生懸命働いている様子。その少し上流では男性2人が、おそらく山葵田に水を引くためのパイプでしょう、その設置工事をしています。10:03ころ。

「堰堤が出来ちゃいましたねぇ」と話しかけると、「そう、最近ね」。「昔は山葵田がずう~っと続いてましたよね」。「ぜ~んぶ、無くなっちゃったよ」。沢の様子もどんどん変貌するのです。

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▲先週の勘七ノ沢でイワタバコの蕾を見ましたから、今週は咲いているだろうと、期待していました。咲いていました! 10:16ころ。

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▲ヒキガエルにも何度も出会いました。調べると、どうやらアズマヒキガエルの高地型みたいです。10:25ころ。

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▲イワタバコもたくさん咲いています。10:37ころ。

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▲理由は分かりませんが、岩にくくりつけられたロープが張ってありました。スラックライン(綱渡り)のようだったので、ロープ渡りをしてみました。ビビりながら、S子も。10:44ころ。

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▲ずん、ずん、ずんと、足音が近づいてきます。このカエル、身じろぎだにしません。10:48ころ。

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▲この小滝、高さも傾斜もありませんが、苔でヌルヌルです。侮って登っていくと、足がツルッ。腹這いの姿勢で2mほど滑ってしまいました。10:53ころ。

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▲『奥多摩の谷123』に出ている二俣手前の10mナメがこれでしょうか? 11:03ころ。

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▲大きなカタツムリでした。カタツムリにもさまざまな種類があるようですが、よく分かりません。すぐ横の流れのそばにもう1匹、これより小さなカタツムリもいました。写真のはかなりデカイ! 11:05ころ。

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▲二俣です。11:18ころ。

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▲これが魚留の滝5m、F1です。昔は流れの右を小さく巻いていました。滑りやすそうなので、ザイルを張って通過したものです。いつからだったか、流れのすぐ右を登るようになりました。ハーケンも打たれていて、プロテクションを取りながらリードできます。3級のグレードですから、易しい滝です。11:20ころ。

でも今回、登ってみると、ハーケンがぐらついています。浅打ちのようでした。タイオフにしようと思いましたが、やたらぐらつくので手に取るとあっさり抜けてしまいました。その上にもピンは見つからなかったので、誰かハーケンを打ち直してもらうしかないですね。まあ、ピンがなくても問題はありませんが………。

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▲F1のフォロウするS子。11:32ころ。

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▲同じくA野さん。11:38ころ。

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▲気楽な小滝が続きます。11:43ころ。

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▲水の苦手なS子もこれくらいなら心地よいはず。11:54ころ。

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▲連続する小滝もいいですが、森の美しさにも目を惹かれます。11:55ころ。

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▲この5m滝がF2なのでしょうか? 『奥多摩の谷123』の解説通り、「石積み堰堤状」に見えますが、「階段状なので簡単に登れる」とまでは言い切れなさそうです。12:10ころ。

水流右が直登できそうでしたが、無理をせず、左から高巻こうと思いました。しかし、ザレた斜面はズルズルと滑り、足元が安定しません。右も同様ですが、岩っぽいバンドが安定していたので、僕だけ高巻いてしまいました。高巻きには不安定要素もあるので、2人には水流右を直登してもらうことに。上からザイルを投げおろします。

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▲ザイルが付いているので安心ですが、滝の落ち口付近の岩が丸くて安心できるホールドがないようです。リードするなら、ハーケンを打ち込んでプロテクションを取れるようにしないと、ちょっと心配です。12:20ころ。

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▲視界の上半分に広がる緑の森は相変わらず綺麗です。こういう中を流れる沢ならば、小滝でも登攀的な滝ではなくても、大好きです。12:35ころ。

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▲倒木も増えて来ました。フラッシュをたかずに撮った写真ですが、明暗のコントラストはこれくらいありますね。13:13ころ。

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▲家で写真をよく眺めてみると、この滝が10mF3かもしれません。「直登するならばザイルを使いたい」とありますが、ザイルを使わずに登りました。13:24ころ。

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▲またまたヒキガエルです。これまでのとは違い、あまり赤みがありませんね。13:29ころ。

この日1日、ヒキガエルとは何度も遭遇しました。一度などは岩と間違えて掴んでしまいました。ギョッ! カエルさんの方はケロッとしてましたが。

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▲水の流れもほとんど消え、源流の様相ですね。14:05ころ。

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▲とうとうツメです。ザレでなくゴーロなので、落石に細心の注意を払いながらの登高でした。14:46ころ。

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▲ツメの最後は植林帯です。これがけっこう急! 15:01ころ。

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▲赤杭尾根の登山道に出ました。15:19ころ。

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▲花はガクアジサイのようですが、木ではなく草っぽいので、家に帰って名前を調べました。すると、そのまんまの名前です。つまり、クサアジサイ。16:00ころ。

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▲赤杭尾根の中間部では林道を歩くことに。白花で背の高い草が群生していました。僕はこれを永年「ブタクサ」だと思い込んでいました。

この花はケシ科のタケニグサという名前で、有毒植物なんですね。16:05ころ。

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▲今日は暑い一日だったようです。御岳山、大岳山、鋸山、御前山など、奥多摩の山々が暑く湿った空気の中で茹だっているようでした。16:27ころ。

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▲最近では珍しい、草に覆われた奥多摩の登山道です。すぐ下に鹿よけのためでしょうか、柵が続いていました。16:30ころ。

ずっと昔の奥多摩の夏の登山道では足元が草で見えないのが普通だったように記憶しています。

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▲ギンリョウソウです。でも、いつもの印象と違いますよね。これは花が咲き終わった後の種子なんだそうです。16:33

今日は遡行ものんびりペースでしたが、下山も花を愛でながら、会話を楽しみながら、ゆっくりの下山です。時間が許すのであれば、僕はこんな風に余韻を味わいながらの下山が好みです。

古里駅には18時少し過ぎに到着。18:15の電車に乗りました。

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のんびり山行は良かったのですが、A野さんは翌日の仕事が早いので一緒に打ち上げをすることができません。次回は打ち上げ出来るような計画を立てましょう。

拝島駅でA野さんとは別れ、S子と2人で九州料理の「かさ」へ。黒糖焼酎の「長雲」をロックで飲みました。僕は「長雲」が好きなんです。