ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

天覧山平日岩トレ№18 ――― 最下部岩場のトラバースで驚異的記録&蛇岩の5.7ルートを初完登!

2023年10月23日 | 岩登りトレーニング

天覧山中腹の広場で合流し、HTさんは最下部岩場のトラバース10往復へ、僕はトラバース岩へ。各自のんびりと準備したのち、それぞれの課題に向き合います。

 

2023年3月8日(水) 天覧山平日岩トレ№18

▲10:24。朝食は家で食べて来ましたが、小腹が空きますからいつもコロッケを食べます。飲み物はインスタントのミルクチャイ。

 

僕はトラバース岩でのノーマルルートでウォーミングアップ開始。久し振りに10往復しようと思ったのですが、やはり思った以上に時間がかかり、最終的には7往復で止めることになりました。でも、時間的余裕があれば10往復は可能だと分かりました。その結果は

1往復目:4分18秒33

2往復目:5分56秒25

3往復目:6分05秒11

4往復目:5分44秒61

5往復目:6分13秒68

6往復目:8分20秒28

7往復目:6分30秒45

トータルで43分08秒72、1往復平均は6分09秒82でした。

もし10往復していたとすると、1時間はかかりそうですね。最終的には10往復を30分ほどで行なえるようになりたいと思っています。現状では、トラバース自体は1往復4分少しで行なえているのですが、両サイドでの休憩時間が長いのです。筋肉も休めないといけませんし、息も上がっていて呼吸も荒くなっています。

HTさんは僕のトラバース中に下から上がって来ました。早いですね。僕自身の終了後、その結果を知らされて、本当にびっくりしました。

その結果ですが、

1往復目:1分52秒01

2往復目:1分53秒92

3往復目:1分35秒55

4往復目:1分41秒73

5往復目:1分41秒39

6往復目:1分39秒26

7往復目:1分38秒35

8往復目:1分32秒39

9往復目:1分36秒87

10往復目:1分28秒17

トータルは16分39秒67、1往復平均で1分39秒97!!!

凄いタイムですね! すべてが1分台です。もはや異次元の記録です。僕自身はここのところこの最下部岩場10往復はしていません。でも、自分の最速記録は1往復平均2分を切っていません。もう少し頑張れば2分は切れそうだなと感じていましたから、HTさんが前回2分の壁を破った際も、さほど驚きませんでした。このレベルまでは予想の範囲内だったからです。

しかし、今回のこの記録には心底驚いています。しかも、HTさんは「1分30秒を破れそうな気がする」と言っています。ただ、これまでも何回も繰り返し言って来ましたが、このトラバース10往復はウォーミングアップです。速く出来るようになることが目的ではありません。とは言え、速いに越したことはありませんけれどね。

 

二人ともウォーミングアップが終わりましたから、次へ移動します。HTさんの希望で蛇岩へ。HTさんがトップロープのセットをします。その間、僕はトラバース岩で6往復目や7往復目を行なっていました。HTさんを待たせても悪いので、7往復で終わりにしたのです。

 

▲11:47。蛇岩へのトライが始まりました。5.5のルートはHTさん問題ありません。

 

▲11:53。課題は膨らんだ岩場5.7ルートです。1回目だったか2回目だったかは忘れましたけれど、HTさんは初めてノーテンション(1度もザイルにぶら下がることなく)で登りました。初めてのことです。

 

「3回続けてノーテンで登れたら卒業だね」と僕は言います。でも、続くトライではぶら下がってしまいました。僕も登ってみます。少しでもHTさんの参考になればとの気持ちで登りました。HTさん、再度トライ。2度続けてノーテンで登れましたが、3度目はぶら下がってしまいました。まだ安定的には登れないのです。でも、ほぼこのルートは克服していますね。次回のトライでは確実に卒業できることでしょう。 

 

▲13:17。5.7のルートの右隣り、5.8のルートに初めてチャレンジしてみました。ここは2mほど上にあるバンドに立ち込むまでも意外と難しいのです。HTさんはそのバンドには何とか立ち込みました。でも、その上のフェースには苦労しています。僕も登ってみました。さすがに5.8ともなると難しいです。なんとか登れましたけれど、余裕はありませんね。HTさんはさらに幾度かチャレンジしました。

 

▲14:01。ここのところ使っている30mシングルザイルですが、実はN村さんのものを借りて使わせてもらっています。HTさんが持って管理しています。N村さんのものですから汚しては申し訳ないですから、使用する最中にもこの布製のバケツのような容れ物を使っています。

 

蛇岩で相当筋力を使ってから、HTさんはトラバース岩へ移動しました。この日の目標は5往復です。

最初のトライではコーナーを過ぎたパワー系ムーブのエリアでケアレスミスの落下。気を取り直して、再度トライを再開しました。今度は1往復を問題なく達成します。9分ほどで1往復できています。ところが、2往復目を目指したのですが、パワー系ムーブの箇所であえなく落下。その後、やっぱり同じあたりで落下してしまいます。どうやら蛇岩で力を使い過ぎて、もうパワーが残っていないんですね。まだまだ蛇岩とトラバース岩の両方で全力を出せるだけの筋持久力はないと言うことでしょう。

別の言い方をすれば、蛇岩の登攀がバランスをもっと重視した登り方が出来ていれば、これほどにはパワーを消費してなかったでしょうね。時刻は3時半ほどになりました。 これ以上続けてもいい成果は生まれそうにありませんでしたから、この日はこれで終了と言うことに。

 

▲15:22。トラバース岩には陽が当たって暖かく気持ちの良い場所です。

 

HTさんは毎回のように新しい進歩が見られます。まさに「継続は力なり」を地で行っていますね。素晴らしいことです。僕もセカンドルートのムーブを探していますけれど、まだ繋がりません。

4時半ころのHK線電車に乗れたんですが、車内で寝てしまってHOJまで行ってしまいました。帰宅後も疲れていたのでしょうね、早めに布団で横になると、そのまま寝てしまいました。目が覚めると、脹脛の下部が攣りそうになります。足をリラックスさせて、本格的に攣らないようにします。それからお風呂に入りました。翌日も上半身が久し振りの筋肉痛。心地良いですね。


日和田でHTさんが初リード練習!

2023年10月19日 | 岩登りトレーニング

5日の日和田は天気も良く最後まで雨にも降られずに思い切り練習できました。日曜日の天気予報があまり良くなかったせいなのか、これまで経験したことのないほどのクライマーたちの少なさでした。人数的にはこれほど少なかったこともあったと思うのですが、何故だかみんな男岩西面を登っていて、南面にはゼロ。僕たち3人パーティー独占状態がずっと続きました。奇跡的出来事ですね。HTさんのリード練習を祝福しているのでしょう!

この日のHTさんへのコーチ役はN村さんです。N村さんはジムでリード講習を受けたばかりですし、最新のリード方法をHTさんに教えます。HTさんには現代最新のリード方法をまずは学んで欲しいですからね。僕が教えると、ひと時代古い方法になりますからね。まずは最新の方法をマスターして、その後の崩し方なら幾らでも教えられます(笑)。

 

2023年3月5日(日) 日和田

▲9:40。N村先生はやおら杉の幹にシュリンゲとヌンチャクをセットしていきます。何をするんだろうと見ていると、ザイルをヌンチャクにクリップする方法から教えています。そんなことを最初に教えるなんて、如何にも現代的ですね。僕の時代はハーケンにシュリンゲを通して、カラビナ1個をシュリンゲとザイルに通すという時代でした。くるくるとよく動くのでザイルをクリップする方向なんて考える必要はありませんでした。それに「絶対に落ちるな!」といった時代でもありましたから、落ちた時にどうなるかなんて考える必要もなかったんです。ハーケン等信用していませんから、実際問題落ちてはいけなかったのです。今のゲレンデはピンがしっかりしていることが多いですから、フリークライミングの進歩もあって、落ちることを前提にしたスポーツになっています。

 

●1本目:男岩南面左端 4級

▲10:33。N村さんのリード、HTさん確保です。出だしは易しい3級です。

 

▲10:41。最上部を登るN村さん。そのまま直上するつもりのようです。少し前傾していますが、ガバホールドがあるので4級ですね。

 

▲10:57。HTさんは中間でヌンチャクを回収しながら登りました。最上部のちょっとハング気味の箇所を直登していますから、そこでHTさん苦労しています。ザイルにもぶら下がりましたが、易しいルートに逃げることなくなんとか直登しました。

 

▲11:20。ラストは僕がフォロウ。全員で懸垂下降しました。

 

▲11:29。下に降りると、N村先生の講習が行なわれます。今度は上でのフォロワーの確保法です。HTさんはATCガイドやルベルソを持っていませんから、自分の8環を使っての確保法を教えてあげています。きっちりと教えてあげています。

 

●2本目:上のルートと同じ

▲11:50。さ~て、HTさんのリードです。

 

▲12:03。苦労していた最上部のハング気味の箇所も1回落下しましたけれど、すぐに立て直して登り切りました。

 

問題は上での確保が正しく出来るかどうかです。僕も昔、同様のケース(初めてリードして、初めてフォロワーの確保をする)でフォロウしたことが何度もあります。その内のひとりのケースでは、口を酸っぱくして確保法を何度も教えたのに、本番ではパニクってしまって、まったく確保になってなかったことがありました。当然、僕もそんな可能性を考慮していますから、絶対に落ちない決意でフォロウします。ただ、HTさんは精神的に安定した人ですから、教えられたことをキチンと出来る筈との信頼感があります。N村さんが「○○さん、セカンドで行きますか? ラストで行きますか?」と聞くので、僕がセカンドで登ることにしました。

 

▲12:30。HTさんは教えられた通り、正しくセットできていました。もちろん、微妙な修正点はありましたけれど、その辺は慣れるにしたがって、徐々に修正されるでしょう。ラストはN村さんで、懸垂下降で降りました。

 

この時だったかなと思いますけれど、僕が微妙な修正点をHTさんに言うと、すぐ隣りで仲間を確保していたお年寄り(僕より少し年上かな?)が言うんです。「私も言おうかな、と思ったんだけど、悪いかなと思って」。さらに、「岩登りではATC使うけど、沢登りでは8環使ってますよ。みんなもっと8環の良さを認識した方がいいと思うな」と。確かに、8環は少し重くて、ザイルがキンクし易いけれど、制動もよく効くし、懸垂下降中の仮固定も簡単だしね。そうかもしれませんね。僕も沢登りでは8環に戻してみようかな。この方、僕よりずっとクライミングも上手そうですし、沢登りも実力者なんでしょうね。

 

▲12:41。HTさんが懸垂下降で降りて来ます。青空バックで格好いい!

 

●3本目:男岩南面中央の凹角~クラック 4級

▲13:26。N村さんリード。凹角を抜けるところで、Zクリップの失敗。この失敗は誰しもがやってしまうものですね。緊張する箇所でやってしまいがちなんです。僕も何度もやってしまったことがあります。早めに気付けば問題はないのですけどね。

 

▲13:51。HTさんが中間でフォロウ、最後のクラックで苦労しています。1度くらいぶら下がったかな? 僕がラストで登ると、最後のクラック部分にヌンチャクが残されています。N村さんのHTさんへの優しさですね。ただ、この日のように我々だけで男岩南面を独占しているからこそ出来るワザではありますね。

 

●4本目:上と同じルート

▲14:24。HTさんリード。凹角の途中で、どうしても左のフェースに出たがってしまいますね。それでは少し易しくなってしまいますから、あくまでも凹角をどん詰まりまで登って欲しいのです。でも、無事に突破。 

 

▲14:38。最上部のクラックを苦労するかと思いきや、一発で突破、見事でした。N村さんがセカンドで、僕がラスト、懸垂下降で降りました。

 

▲15:06。懸垂下降するHTさん。

 

●5本目:女岩南面の中央ルート 3級

▲15:22。最初からHTさんがリードしてオンサイト。まったく問題なし。

 

N村さんセカンドで、1本目のヌンチャクを外してから西面との境い目のカンテを登りました。気を抜いてしまったせいなのか、登り始めで落下。絶対に気を抜いては駄目ですよ。僕もラストでカンテを登らせてもらいました。N村さんがヌンチャク全て回収したので、下から上までカンテを登ることが出来ました。N村さん、ありがとう。このカンテルートにもピンがあればいいんですけれど、1本もありません。3級+くらいなんですけれどね。女岩の上からは徒歩で降りました。

 

●6本目:男岩南面右端(と言うか右隣り)のルート 3級

▲16:08。HTさんがリードしてオンサイト。

 

▲16:14。終了点ではこれまでのピン(ボルト)を使ってのシステム構築ではなくて、3本のしっかりした木の幹を使うものです。僕が上に行って、アドバイスしました。N村さんセカンド、僕ラスト。ここも安全な場所まですぐなので、移動して、その後歩いて下りました。

 

本当は最後にN村さんが男岩南面右端の3段フェースルート4級+~5級-をリードする予定でした。でも、N村さんの花粉症の症状が酷くて断念。ここでこの日の練習は終了です。

HTさんのリード練習がこの日のメインメニューでした。4本の比較的易しいルートをHTさんはリードしました。最初の2本は上部が難しくて、ザイルにぶら下がったりしていたのに、怖がらずにリードにチャレンジしていました。精神的に強いと思います。最後の2本はHTさんはオンサイトしています。オンサイトというのは、一度も登ったことのないルートを登り方のアドバイスを受けることなく自力で完登すること。その人のオンサイト能力が本当のその人の実力だとも言えますから、HTさんには3級レベルの登攀能力が備わっているということですね。この能力を少しずつ押し上げていって欲しいと思います。この日登ったくらいのルートを今後数多くリードして欲しいと思っています。

N村先生、お疲れさまでした、ご苦労様でした。教え方が上手ですし、細かなところまで心遣いが行き届いています。自分にとっての練習はあまり出来なかったでしょうけれど、人に教えることで上達できる部分も大きいですよ。必ずN村さんにとってもプラスになっていると思います。

僕も久し振りに反省会をして、楽しかったです。