うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

2013年11月公演『伊賀越道中双六』

2013年11月12日 16時23分00秒 | catch
三連休の時に、文楽観劇しました。

つ・い・に、この日がきました!

『伊賀越道中双六』通し公演!!

私の熱い思いをとりあえず語ります。この作品は、私が大学卒業時の卒論でテーマにした作品で、私にとって文楽作品の中でも特別な作品です。
卒業してからもちょいちょい文楽を観に行ってて、いつか『伊賀越道中双六』が通しでかかればいいなー、生きてるうちに実現すればいいなーくらいだったんだけど、こんなに早く実現しました!
あんまりメジャーな作品でもないので、通しで上演はないかもなぁと思ってたんだよね。ちなみに大阪で通しでするのは21年ぶりらしく、それにめぐりあえた私はラッキーガール!

通常、文楽は全ての段(作品まるまる)を上演することってほとんどなくて、見せ場の段だけっていうのがほとんどで、何作品かそれぞれ一段だけだったり、二段だけだったり上演されます。


通しなので、1部(昼公演)と2部(夜公演)両方観て全部観る。丸一日観るのは体力いる。10時半からちょこちょこ休憩挟みながら21時前まで。


当然、睡魔に襲われた時間もありました。完全に寝てはないけど、うとうとしながら寝てはいけないと睡魔と闘う自分。
昼公演は、若い人多いなと思ってたらある大学の国文学科の人が集団できてたもよう。もっと若者に来てほしい。
客席もほぼ埋まってました。夜は昼よりおきゃくさ少なかったです。


この春から学生なので、学割料金で観られてそれも嬉しかった。一般と比べると1000円以上安い!
思いの外早いスピードで貯金がなくなってるので、お財布にやさしい料金設定は大切です(笑)

席は、私はこの辺りで観たいっていうのがはっきりあるんだけど、予約した時にはかなり埋まっていてそれでもまずまずの席で観られました。
外国人の方が4人くらい並んでイヤホンガイド使いながら鑑賞されてて、敵討ちの概念は理解されるとして、実の息子を手にかけるとか理解されるのかしらとすごくいろんな場面で考えてしまいました。日本人だから、日本で学んできたから深く考えなくても分かる文化
がたくさんあるよなぁ。夫をたてるとか、男性が優位だとか。
今回は、敵討ちの話だからまだ外国の人でも理解出来るかもしれないけど、心中の話とかってどう思うのかなと気になる。文楽、心中の話もまあまああるからね。
私は、歴史に材をとった時代物の方が好きです!

敵討ちの話なので、男性がメインで改めて観てみると、華やかな女性は出てこない。関所の前のお茶屋のお袖が唯一目を楽しませる色みの明るい着物を着てましたね。ほんとはお姫様のきれいな着物を着てるキャラクターが好きです。あくまで視覚的にだけど。


話のあらすじを知ってても、一番しびれたのは、やっぱり住大夫さんの「沼津里の段」。ぶっちぎりで他の段より良かったです!!ぶっちぎりで!!
『伊賀越道中双六』の一番見せ場の段なんだけど、涙を流してるお客さんがたくさんいました。
実の親子なのに敵討ちの敵と味方に分かれてしまう。養子に出したきり会ってなかった親子が実の親子と分かりながらも名乗れない、自分の命をかけて敵の行く先を聞き出す平作(父親)と最後には親子だって名乗りあえるんだけど、亡くなっていく平作…。

明らかに自分の中で感情を一気に持っていかれたというか、突き抜けた瞬間っていうのがはっきり分かって、初めてそんな体験をしました。リミッターがばんっと外れた感じ。
住大夫さんの語りの力だと思います。
素人の私が聴いてもそれと分かるくらい住大夫さんの語りは特別。ご病気されたことを感じさせない素晴らしい語りでした。お姿を見た時は、一回り小さくなった感じがしてちょっとショックだったけど、平作と十兵衛(息子)の世界に完全に引き込まれてしまいました。

最初、笑えるようなおどけた場面から始まって、これだけ切ない親子の話にまでもっていくのが一段の中で収まってる。それが魅力なのかなぁ。よくできてるなぁ。卒論書いたけど、きっとあんまり分かってない。

ほんと、沼津だけでも聴きに行ってほしいです。


「岡崎の段」では、唐木政右衛門(敵討ちの助太刀をしてくれる)が巳之助という実の息子を刺し殺すっていうこれまた敵討ちのためにやむなしの場面があるんだけど、思ってたよりは胸に響かなかった。巳之助が赤ちゃんだから?沼津がめちゃくちゃ感動したから?お谷という巳之助の母親が不憫すぎます。

遠眼鏡でのぞいて見えてる遠くの場面を途中で挟むっていう演出を初めて観たんだけど、ちょっと観てる間に飽きてしまいました…。

景色(舞台装置)としてはやっぱり雪がはらはら舞ってる沼津が良かった。

動物キャラで馬がちらっと出てました。

三味線の弦が弾いてるときに多分切れて、すぐに張り直して弾いててすごいなぁと思った。私は、基本的に人形と字幕を見てて、あんまり大夫さんや三味線さんの方を見ないけど、音がないなぁと思って見たら、弦を張り直してる感じで弾き始めるタイミングをはかって普通に再開されたので、すごいなあと思いました。弾きながら弦を調節されてる場面ってよく目にするけど、弦を張り直す早さにさすがプロだなと思いました!

見事に敵討ちが成就して終わりなので、良かった、良かったという気持ちで劇場を出られました。

芸術の秋、満喫。

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