うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

藤まつり(2018連休)

2018年05月05日 19時37分00秒 | trip
今日は家族で朝来市へ藤を観に行きました。

よく晴れたお天気で暑いくらいでした。



連休とあって、駐車場で停めるまでに少し時間がかかりましたが、そんなにめちゃくちゃ混んでいることもなく、藤を堪能しました。

ちょうど見頃で、甘い匂いもかぎながら藤棚の下を歩きました。




リフレッシュ!!

鯉のぼりも見れました。

『かがみの孤城』辻村深月

2018年05月05日 11時45分02秒 | book
kindle版

連休に読みたいと思っていた本。
面白かった!!!

一気読みです。

ファンタジー的要素(鏡が光って突然大きなお城に飛ばされる、願いの鍵を探し出したら何でも1つ願いが叶う)ももちろんあったんだけど、それよりも主人公たち7人のキャラクターや置かれている状況、勇気を出して行動するところ、苦しい心情、相手を思いやる優しさ、一生懸命に自分や周りと闘う姿、すべてがとても丁寧に描かれていて彼女たちの絆やたくましい姿にとても引き込まれました。

7人となると、少しメインキャラクターとしては多いのではないか、と読む前は思っていたけど、そんなことはなくて、それぞれの個性やお互いの関係が巧みに描かれていて、友情という言葉では当てはめれられない7人の繋がりがとてもかけがえのないものに感じることが出来ました。

大人には結局こころが置かれている苦しい状況、本当はどんなことがあったのか理解されないままに終わってしまうのかなと感じていたんだけど、ちゃんと理解して寄り添ってくれる味方になってくれる、向き合って話を聞いてくれる大人が現れて、読みながら嬉しく感じました。
そして、彼女の母親にもこころのことが本当の意味で理解されて、「こころ良かったね」って言いたくなりました。

いわゆるステレオタイプのいじめがあって、学校に行けなくなったのでは断じてなかった。それが自分の身近な家族に知ってもらえない、伝えられなかったのはどれほど辛かっただろうと思うと、本当に読んでいて、「良かったね」と言ってあげたくなった。また、単なるいじめがあったので学校に行けなくなったんだというような書き方をしていない辻村さんってすごいとも思いました。他の6人も皆いろんな事情があるんだけど、なぜそうなったのかがちゃんと描かれていて、一括りに片づけてしまえるような描き方はしていない。


さらに、願いの鍵を探し出したら、何でも願いが叶う、それを探し出せということだったけれど、あんまり鍵探しの場面はなくて、でもそれは気になりませんでした。
何でも願いを1つだけ叶えてくれる、それはとても心魅かれることかもしれないけど、それ以上に皆で過ごせるこの場所の大切さや、いずれは現実の世界の自分の身の振り方を考えて決断せねばならないという悩みもあって鍵探しへの皆の考え方が徐々に変化していくのは、興味深かったです。

学校以外にも居場所があるということや、学校に行かなくてはいけないという考えで、行けない自分に対して劣等感のようなものを感じていてたこころだけど、行かなくても良いという考えをしているマサムネと出会うことや、学校以外の居場所を見つけたことはとても良いことだったんだなと改めて感じた。


最近、よく耳にするように学校に無理に行かなくても良いということや、学校に行くのが辛かったら逃げても良いということが、この物語によってより強く意識された。
こころにとって、学校へ行けない、外へも同級生に会うかもと思うと怖くて出かけられないそんな子にとって、かがみの孤城は安心して過ごせる居場所になっていて、いろんな考え方を知ることが出来たきっかけの場所となっていました。

こころの現実世界での状況は時間の流れとともに描いてあるのでとてもよく理解できたけれど、それ以外の子たちのなぜ学校へ行かない、行けないのかということについては本人が口を開いて話す以外の場面では読者は知る機会がなくて、少しの情報しか得られなかったんだけど、ラストの場面でそれぞれの現実世界を覗き見ることによって、皆本当にいろんな状況があって、闘っていたんだなということを知ることが出来ました。
こころ以外の皆の現実世界について気になっていたので、知ることが出来て、読み手としては満足度アップでした。


こころやその他の何人かに寄り添ってくれた大人の正体がラストで明らかになるんだけど、この仕掛けには、素敵だけど読者的にはやられた!うまいなと感じさせられました。
かがみの孤城の中だけじゃない、7人のつながりが現実でも明確にはお互いが分かっていなくても、ちゃんと会えたんだなということも、素直に嬉しかった。

その他にも驚く仕掛けがあって、かがみの孤城の番人的なキャラクターがいるんだけど、その正体が明かされる。
そこは全然ノーマークというかむしろそのキャラクターに何か大きな意味があるとは考えていなかったので、その正体が分かった時は、うわー、そんなところにつながってるのという感じで驚きました。


ストーリー展開、いろんな仕掛け、そして魅力的なキャラクター達の現実世界での闘いや、かがみの孤城で育まれた絆、そのどれもが素晴らしく、とても楽しい読書体験でした。