うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『スペードの3』朝井リョウ

2017年05月07日 13時54分00秒 | book
連休読書のために買った文庫。
朝井リョウさんの小説好きです。
その中でも未読だったこの小説が文庫になったので手に取りました。



爽やかさとは反対の女子のどろどろした部分というか、心の汚い部分を丁寧に描いた話でした。

ただ、どろどろだけではなくソコにいたるまでそれぞれの物語がちゃんとある。

立場の違う3人それぞれに表面で見てるだけでは分からないいろんな思いがあって、葛藤もあり、自分を保つためだったり、自分を良く見せたかったり、いろいろな理由があってそう振る舞ってるっていうのが描いてあって、女性なら共感出来る部分が多いのではないかと感じた。



幼い頃と立場が逆転してるのとかリアルに怖いけど、ありそうだなど思った。大人になったらすごく美人になってて、というのはありそう。
しかも、単に美人になったのではなく努力してそうなったことや、学生の時の劣等感もちゃんと描いてある。


3人の女性が主人公で、元スター女優、そのファンクラブのまとめ役、ファンクラブの新メンバーが出てきます。


元スター女優、ファンからするといつまでもスターなんだけど、その人のファンから見てるだけでは分からないことが、その日とが語りになると見えてきて楽しめました。

ゆるやかに繋がってる立場の違う3人の女性を通して、いろんな女性同士の関係の中で生まれる感情がいっぱい詰まってるお話でした。

読み進むにつれて、同じ出来事でもどの人物から見るかで捉え方が変わっていって面白かったです。