うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『20代からはじめる社会貢献 400社が支援した「社会起業」とは』小暮真久

2011年11月27日 17時37分41秒 | book
 新書でわりと新しく出た本です。社会起業家と呼ばれる人たちやそれ自体について興味があったので読みました。

完全なタイトルだけで選んだ本だったのですが、とても読みやすかったです。

著者はテーブル・フォー・ツーの理事をされている方でした。テーブル・フォー・ツー聞いたことある!と思って、それがけっこう糸口となりました。

私の聞いたことある!というテーブル・フォー・ツーの理解では、自分の頼んだ昼食に何十円かがプラスされていて、それが途上国の子どもたちの給食1食分をプレゼントすることになるっていうことだったんですが、ちょっと理解不足で、違う所がありました。

正しくは、そのメニューがどんなものか限定されている点。低カロリーでバランスの良い、いわゆるヘルシーメニューであることと、そこに20円プラスされているものでした。
ヘルシーメニューに限る理由は、そもそも「食の不均衡を是正しよう」という理念があるからです。先進国では、飽食で捨てられる食べ物がある一方、途上国では飢餓に苦しむ人たちがいる。それがうまく配分されるメカニズムができれば2つの問題が同時に解決できるというわけです。

いくつか聞きなれない言葉も出てきましたが、実際に小暮さんがどのような仕事をされているのかを1つの例として提示しながら書かれているのでとても理解の助けになりました。
また、日本では情報不足で正しく理解されていない場合もあるなどの面もきちんと書かれています。

社会貢献に対する考え方も非常に考えさせられました。
日本では特に、社会貢献=自己犠牲上に成り立っている、またはそうあるべきだというような風潮があるということ。これに関して、それだけでは長く続けていくことはできないんだということをおっしゃっています。事務所があればその維持費がかかるし、無給で働いているかと言えばそうではない。利益を出しながら長く続けられる仕組みを作ることの大切さを学びました。利益なんて言葉を出すとこれも誤解されそうだけど、寄付金を100%支援にあてていたら続けられない。
  

実際の仕事を知ることができたのは大きな収穫だったのですが、この本の肝は、考え方にあるように思います。いわゆる「社会起業」、「社会貢献」についての考え方。

私の中でもうまく理解しきれたとは言えないけれど、既成概念とか断片的に今まで得てきた情報から考えるのとは違う考え方が示されているように思います。

たとえば、人の役に立ちたいという想いさえあればなんとかなる、あるいはやっていけるかと言えば、そうではない。他の仕事と同様にある程度のビジネススキルが必要だと書いてありました。もちろんその想いなしでは出来ないことなんだけど、だからと言って想いだけでできることでもない。善いことをしようとしているのだから、熱意だけあればなんとかなると思いがちだったけれど、そうではないということは、意外と見落としていました。


他にもいろいろ大事なことが詰まっている本だと思います。まだ自分のものんびできていないのですが・・・。

そして、最後に著者が影響を受けたブックガイドがついてます。本好きとしてはたまらないですね。そして、その中に読んだことのある本があって、うれしかったり。



要再読本です。