うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『ストーリー・セラー』有川浩

2011年09月16日 20時12分11秒 | book
読み出したら止まらない感じで、1日で読了。
寝不足だー。


面白い。内容全然知らないままに読んだけど、面白い構成になっていました。対になる話が2つ入っていました。
女性作家とその旦那さんが出会って結婚するまでと、「Side:A」は女性作家が病で亡くなる話で、「Side:B」は、逆で旦那さんが病で亡くなる話(設定は同じで別の夫婦)。



両方とも面白かった!!
病に倒れる以外にも、いろんなドラマがあって夫婦の愛情とか、お互いが支え合う姿に泣きそうになりました。
夫婦のどちらかが治らない病に侵されると聞くとありがちな感じがするけど、それよりもお互いを思いやる姿に切なくなったり、感動したりしました。
結婚や夫婦っていうものにあまり良い印象がないのですが、素敵な夫婦だなと感じました!




夜型の奥さんのために、朝そーっと起きて出社するとか、旦那さん優しーい。君を甘やかすのが一生の目標とか言われたら、くらっときますよ!(Side:B)


命を縮めると分かっていても(思考することで脳の生命維持に関する部分が壊れていく病気)書くことがやめられない奥さんを支える旦那さんの愛も大きいなと思いました(Side:A)



旦那さんが奥さんの小説のファンというのもツボです(笑)小説きっかけで2人が出会い、惹かれ合うってロマンチック~。



「SideA」
出会いから結婚、彼女が作家として成功するまで、病に侵されてからの生活、一番のファンである旦那さんのすすめで文学賞に応募し奥さんは作家になります。だけど、周囲の心ない言葉で彼女は心を病みます。その辺りでの旦那さんの支えがあって、心打たれます。
心とは別に治療法がない病に侵されても彼女の意志を尊重するし、ほんとにできた旦那さんって感じです。また作家である奥さんが男前な性格ですかっとします!




「Side:B」


旦那さんを思う奥さん(作家)の愛の執念みたいなものがすごいなって感じました大好きな人に愛する人に死んでほしくない、死なれたら自分が生きていけないもの、というような感情は、愛の深さやそれが生み出す痛みを感じさせました。
もちろん奥さんを「甘やかす」旦那さんも素敵です!病に侵されても、積極的に病を理解し立ち向かおうとする。
私は、人間、病気にかかったらどちらかだと思っている。自分できちんと病気の事を理解しようとする人とそうじゃない人。
重病である程、向き合い理解して戦おうとするのは難しくて勇気がいる。
愛する奥さんに、子どもは作らないでいいかな、君の時間を全部僕にちょうだい。子どもがいると、時間をとられちゃうから。ごめん。っていうシーンは、切なすぎる。今まで自分よりも奥さんの意志を尊重する形で過ごしてきた旦那さんだから余計に自分を通すなんてよっぽどなんだなと思えて、胸を打つ。



設定は同じで死病に侵されるのが妻か夫かの違いだけなんだけど、その過程で描かれる出来事からは両方夫婦の互いを思いやる気持ちが伝わって物語にすごくひきこまれました。
甘い恋愛小説も好きだけど、『ストーリー・セラー』も有川作品の中では好きな一冊になりました!