うさぎの耳

大学卒業→社会人→看護学校→6年目ナース
読書の記録と日々の出来事。

『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』大鐘良一小原健右

2011年09月03日 09時02分36秒 | book
新書です。普通の新書より分厚かったけど、面白かったです。一気に読めました。


タイトル通り、宇宙飛行士の採用試験の模様が書いてあります。最終選抜に残った10人の候補者たちに密着したものでNHKで放送されたドキュメントがベースになっています。「その番組観たい」と思いました。



宇宙飛行士がどんな試験で選ばれるのか興味があって読み始めたけど、宇宙飛行士以外の仕事をする人にも通じるものがたくさんあって、勉強になりました。



宇宙飛行士、なれるならなりたいなぁと憧れます。



英語はもちろん、コミュニケーション能力、折れない心、危機対応能力、健康な心身、ユーモア、リーダーシップなどなど宇宙飛行士に求められる能力は、語学を除いては、ほとんどの仕事においても大事な能力であると本書は語りかけます。


私もほんとにそうだなと感じました。命までは危険にさらされなくても、ピンチに陥ることはあるし、職場でのコミュニケーションはどんな仕事においても大切。



また、ありのままの自分を見せることの大切さも感じました。取り繕ったり、背伸びしても自分を苦しめるだけで、つまるところはその人が今までの人生で磨き上げてきた人間力のようなものを採用試験では見ていると書いてありました。



宇宙飛行士になる人って超人のような気がしてたけど、読んでみて親しみがわきました!
彼らは、医師、研究者、パイロットなど確かに素晴らしいキャリアの持ち主ばかりなんだけど、ドキュメントで密着する事で彼らの素顔や生の感想が綴られているので、彼らの情熱や人となりにふれられて共感できました。



肝心の試験ですが、英語の筆記などのペーパーテスト、面接、さらにスペースシャトルを模した施設での共同生活(1週間缶詰めで、外界との接触は試験に関するやりとりのみ)、アメリカのNASAでの船外活動の訓練施設における実地や面接(NASAの宇宙飛行士と英語で!)などかなり特殊な宇宙飛行士ならではの試験もありました。
ストレスかかるし、初めてだらけの中で「皆で協力して宇宙飛行士を癒すロボットを作れ」とか、かなりハードルが高いと思われる課題ばかりでした。



宇宙飛行士になりたいっていう情熱を内に秘めながら試験に挑む皆さんは、本当に生き生きとしてました!
ライバルだけど、同じ夢を抱き続けてきた同志として最後には絆ができていたのもいいなって思いました。


私よりもかなり年上の方達が夢に挑戦する姿に勇気が湧きました。それなりに今の仕事で築いたキャリアもあるし、家族もいて、夢が叶えば今の仕事は辞めてアメリカへ行かなくてはならない。それでも挑戦する強い意志と覚悟に感嘆します!!



2008年の試験では3人が選ばれて、NASAで訓練中のようです。
いつの日にか宇宙へ行かれる日には心から応援したいです。



試験だけでなく、宇宙飛行士の仕事そのものについても知ることができました。私たちは、宇宙の無重力空間で楽しい実験をしているような場面しか目にしないけど、死亡リスクの高さや、勉強すべき知識の多さ、訓練期間も数年単位だし実際に宇宙へ行けるまでの時間の長さや訓練の過酷さについても理解を深められました。



夢に向かって努力する人たちの一生懸命さが詰まってる一冊です。