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私的図書館

本好き人の365日

2014年上半期ベストセラー

2014-06-20 21:34:25 | 本と日常

2014年も半分が過ぎ、先日書籍の取次ぎなどを行う会社トーハンが、2014年上半期のベストセラーを発表しました。


1位 『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』 鬼木豊 監修、槙孝子 (アスコム)

2位 『人生はニャンとかなる! 明日に幸福をまねく68の方法』 水野敬也、長沼直樹 (文響社

3位 『村上海賊の娘(上・ 下)』 和田竜 (新潮社)

 

文芸部門の1位は『村上海賊の娘(上・ 下)』で、2位に村上春樹さんの『女のいない男たち』(文藝春秋)がはいっています。

『村上海賊の娘』は私も読みました。

和田竜さんは、映画化もされた「のぼうの城」が面白かったんですよね。

この『村上海賊の娘』では、戦国時代に瀬戸内海を支配し活躍した村上海賊(村上水軍)と織田信長の戦いを取り上げています。

NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」でもこの戦いはチラっと出てきています♪

 

他に文芸部門で頑張ってみえるのが、ドラマ化でますます注目が集まった池井戸潤さんや、映画も好調な百田尚樹さん。あと宮部みゆきさんなど。

文芸部門第3位の西尾維新さんは、作品が次々とアニメ化されて人気の作家さんですね。

意外なことに常連の東野圭吾さんはおしくも10位圏内に入りませんでした。お隣の韓国では、村上春樹さんに次いで人気だという話もありますが、やはり日本の場合は賞をとったり、ドラマ化や映画化された作品に人気が出がちなので、その影響もあるのかも知れませんね。

トーハンのベストセラーなので、本当に読者の好みが反映されているのかは怪しいところですが(苦笑)


総合部門2位の水野敬也さんは『夢をかなえるゾウ』で一躍ベストセラー作家になられた方。

この「文響社」という出版社は、初めて知ったのですが、水野敬也さんとそのお仲間が立ち上げた出版社のようですね。ビジネス書とかが強そうですが、他の分野も出版するのかな?

この不況といわれる出版業界で、ぜひ頑張って欲しい。

でも、小説好きとしては、ビジネス書や健康、美容書ばかりじゃなく、文芸作品に頑張って欲しいです!

 

先日、第151回芥川賞と直木賞の候補作も発表されました。

残念ながら、私の知っている作家さんは選ばれませんでしたが、新しい作家さんがどんどん出てきてくれるのは嬉しいです。

下半期は、どんな本が売れるんでしょうね~

 

 


桜桃忌に太宰を読む

2014-06-19 19:54:57 | 本と日常

6月19日は文豪、太宰治を偲ぶ「桜桃忌」です。

 

太宰が山崎富栄とともに玉川上水にて入水自殺をはかったのが、昭和23年6月13日。

その6日後、奇しくも太宰の誕生日である6月19日に遺体が見つかりました。

お墓は東京三鷹の禅林寺にあります。

 

この昭和23年という年は、太平洋戦争が終って3年、日本はまだGHQの占領下でした。12月には、巣鴨拘置所で東条英機の死刑が執行されています。

 

昭和21年に発表された、太宰治の作品に『冬の花火』という戯曲があります。

「桜桃忌」にちなんで、今夜はこれを読みました。

津軽地方のあるという設定で、冒頭、主人公の数枝がこんな台詞をつぶやきます。

 

 

 (両手の爪を見ながら、ひとりごとのように)負けた、負けたと言うけれども、あたしは、そうじゃないと思うわ。ほろんだのよ。滅亡しちゃったのよ。日本の国のから隅まで占領されて、あたしたちは、ひとり残らず捕虜なのに、それをまあ、恥かしいとも思わずに、田舎の人たちったら、馬鹿だわねえ、いままでどおりの生活がいつまでも続くとでも思っているのかしら、相変らず、よそのひとの悪口ばかり言いながら、寝て起きて食べて、ひとを見たら泥棒と思って、(また低く異様に笑う)まあいったい何のために生きているのでしょう。まったく、不思議だわ。 

 

 

軍人の夫は生死もわからず、幼い娘を抱え、今は別の男の影もチラつく数枝は、生きることのつらさと哀しみに翻弄され、どこかやけっぱち気味。

父親に「真人間になれ」と怒鳴られても、キッと歯を食いしばり、世間や時代の風にさらされながら、虚勢を張って生きている感じの女性です。

太宰治の作品って、あまり戦争を扱わないので新鮮でした。

 

今ドラマが話題で、太宰より16歳年上の村岡花子さんの訳した『赤毛のアン』とか、『パレアナ』のほうが私は好きかな?(笑)

ドラマは花子がマーク・トウェインの『王子と乞食』の翻訳に取りかかるところまできていますね。

これからいよいよ翻訳家としての村岡花子が描かれることになるんでしょう。

楽しみです♪

 

太宰治の『冬の花火』は、現在「青空文庫」で無料で公開されています。

私が気に入ったのは数枝の(つまりは太宰の)こんな台詞です。

 

 

 あたしは今の日本の、政治家にも思想家にも芸術家にも誰にもたよる気が致しません。いまは誰でも自分たちの一日一日の暮しの事で一ぱいなのでしょう? そんならそうと正直に言えばいいのに、まあ、厚かましく国民を指導するのなんのと言って、明るく生きよだの、希望を持てだの、なんの意味も無いからまわりのお説教ばかり並べて、そうしてそれが文化だってさ。呆れるじゃないの。


 どうして日本のひとたちは、こんなに誰もかれも指導者になるのが好きなのでしょう。大戦中もへんな指導者ばかり多くて閉口だったけれど、こんどはまた日本再建とやらの指導者のインフレーションのようですね。おそろしい事だわ。日本はこれからきっと、もっともっと駄目になると思うわ


 

 


『本を愛しすぎた男』

2014-04-17 00:17:34 | 本と日常

最近チラっとつまみ食いした本です(笑)

なかなか集中して本を読む時間が取れなくて。



『本を愛しすぎた男・本泥棒と古書店探偵と愛書狂』(原書房)

原書房
発売日 : 2013-11-25

 

アメリカを舞台に、本を愛しすぎるがゆえに本を盗むビブリオマニア(愛書狂)の男と、それを追う古書店主でアメリカ古書籍商組合(ABAA)の防犯対策室長の対決。

こう書くとフィクションのようですが、実際の事件に取材した実話だというのだから驚きです! 

古書業界のしきたりや、転売目的で本を盗む泥棒、ネット注文で荒稼ぎする盗賊団、そして登場する稀覯本の数々。

本泥棒って本当にいるんですね。

この本で、本を盗む者に向けられた「ブックカース」(呪い)というものを初めて知りました。

印刷技術のなかった昔は写本ってすごく貴重だったので、「この本を盗んだら地獄におちるぞ!」みたいなことが書いてあるのですが、その言葉の端々に持ち主の腹立たしさみたいなものが表れていて、すっごく面白い(笑)

洋書の稀覯本て、皮表紙だったり鍵付きだったりして豪華なんですよね~

 

日本でも図書館の『アンネの日記』を破るという事件がありましたが、本を粗末に扱う者にはもれなくカース(呪い)が降り掛かるのかも(笑)


本に取り付かれた人々の話は他人事に思えなくて、興味深かったです。 

 




『謎の転校生』、『中国嫁日記三』

2014-02-22 21:51:52 | 本と日常

牡蠣が安かったので、思わず買ってしまいました。

鍋もいいのですが、ちょっと小麦粉をまぶしてオリーブオイルで炒めて塩コショウとレモンをふりかけて食べました。

はぁ、身がプリプリで美味しかった♪



最近注目しているドラマが、テレビ東京で深夜に放送されている「謎の転校生」

もうタイトルだけでピンとくる、原作はもちろん眉村卓の名作SF。

それを「スワロウ・テイル」などの作品で知られる映画監督、岩井俊二が企画・プロデュースし脚本もてがけています。

監督は「夜のピクニック」などを手がけた長澤雅彦。

 

有名なものはNHKの「少年ドラマシリーズ」(1975年)で放送されたものでしょうね。

眉村作品で有名なものはやっぱり「ねらわれた学園」かな?

そんな懐かしのSFジュブナイル作品が、平成26年に再ドラマ化。

深夜ドラマなのでそんなに予算があるようには見えませんが(笑)、パラレルワールドの世界観や、映像の美しさなど、見所いっぱい。

最近は「LOST」とか「 アンダーザドーム」とか、海外のSFドラマを見ていたので、こういう日本製のSF作品が見られるのは嬉しい。
星新一さんの作品もドラマになったりしていましたね。
村上春樹の短編もドラマ化してくれないかな?

 

最近読んだ本は、井上純一の『中国嫁日記 三』(KADOKAWA/エンターブレイン)

著者 : 井上純一
KADOKAWA/エンターブレイン
発売日 : 2014-02-14


中国人の女性と結婚し、その日常を綴ったブログが人気の書籍化第3弾。

さえない(失礼)中年男がどうしてこんなにカワイイお嫁さんをもらえたのか納得のいかない「中国嫁日記」ですが、中国と日本の文化や習慣の違いから生まれる笑いの数々に加え、今回は国際結婚の大変さ、中国の住宅事情など(仕事の関係で日本から中国に引越した)、ニュースにはのらない国際情勢を知ることができてとっても楽しい♪

芸術写真っていうの?(笑)

中国式の結婚式って、すごく派手なんですね~

まぁ、結婚式はお嫁さんが主導権を握るというのは、日本でも同じかな?(苦笑)

中国人と日本人の距離感(なんてったって中国の国土は日本の25倍もあります) の違いとか、公権力と市民の関係の違いとか(車ぶつけても小額の紙幣を渡して立ち去る武装警察(笑)とか)、実際に中国で暮らしているだけあって、スーパーの商品の値段や品質とか、ネット環境の違いとか、日常生活の細々とした情報を知ることができます。

日中韓と、なんだか政府同士は最近うまくいっていないようですが(そういえば今日は「竹島」の日でした)、中国で暮らす一般の人々は、当たり前ですが、いい人もいるし悪い人もいる、日本と何も変わらないんですよね。

両親を大切にし、親戚の子の面倒をみたり、一緒に買い物したり。

最近は留学する学生さんが少なくなったそうですが、どんどん国外に出て、他の文化、違う習慣を持つ人たちと接したらいいのに、と思います。

私も中国には2回ほど行きましたが、すごく楽しかったし、すごく面白かった(危ない所に行けば危ないです。どこの国にも明暗はあります。それは日本でも同じ)

『中国嫁日記』は、旦那さんの職業がかなりオタクなので(笑)、あまり一般の市民とはいえないかも知れませんが、奥さんの月さんがとってもカワイイので(反応が♪)、読むと月さんのファンになります。

日本の首相もマンガやアニメを活用しようといっていることだし、国際会議なんかで翻訳して中国関係者に配ったらどうかな?(笑)

殺伐としたニュースの多い中で、これは久しぶりにほのぼのとする中国のお話でした。

面白かった。

 

 


芥川賞、直木賞決定!

2014-01-16 21:54:57 | 本と日常

2014年最初の日記が芥川賞、直木賞発表になってしまいました(苦笑)

年々行動力と集中力が落ちてきています。

そのくせどうでもいいことに割く時間はあって、今日も「イカの眼球の構造」について調べたりしていました(イカやタコに心臓が3つあることは知られていますが、人間など脊椎動物にはある視界の”盲点”がイカにはないそうです! 初めて知った!)

 

さてさて、第150回芥川賞、直木賞ですが、芥川賞には小山田浩子さんの『穴』(新潮9月号)が、直木賞には朝井まかてさんの『恋歌』(講談社)と、姫野カオルコさんの『昭和の犬』(幻冬舎)が選ばれました。

朝井まかてさんて、朝井リョウさんと親戚か何か?
スミマセン、短絡的に知ってる名前をいってみただけです。
あまり作家さんに詳しくないので。(笑)

知っているのは姫野カオルコさんくらいかな?

正直あまり読んだことがありません。ゴメンナサイ。

 

ともかく、受賞おめでとうございます。

 

私は昨年の年末からずっと、新井素子さんの『イン・ザ・ヘブン』と、梨木香歩さんの『冬虫夏草』を読んでいます。

あと時々ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『チャーメインと魔法の家』(ハウルの動く城3)。

映画ではレンタルしてきた新海誠監督の『言の葉の庭』を観ました。

 

今回の受賞作は本屋さんに寄った時に、また手に取ってみたいと思っています。

末井昭さんの『自殺』と、松田奈緒子さんの『重版出来!』も読みたいし、また大きな本屋さんに行かないと。

行きたいと思うだけでなかなか行動に移せないんですけどね。

雪が降るとどうしてもおっくうになってしまって(笑)

 

  為せば成る 為さねば成らぬ 何事も

        成さぬは人の 為さぬなりけり

                 ―上杉鷹山―


今年も一年、ありがとうございました。

2013-12-31 01:54:25 | 本と日常

玄関に門松やしめ飾りが見えると、いっきにお正月の雰囲気になりますね。

私もやっと年賀状を書き終え、31日の午前中に大掃除をして、午後から買出しに行く予定です。

すき焼きの材料と年越しソバは買ってあるから、あとはお刺身とお蕎麦用の天ぷらを買って、車も洗ってこないと。

あぁそうだ、映画もレンタルしてこなくっちゃ。

お正月番組ってすぐ飽きちゃうんですよね。

 

このブログ、「私的図書館」も移転しながらですが、何とか十一回目の年越しを迎えることができました。

読んだ本やオススメ本を紹介するだけのブログですが、11年間続けることができたのは、これはもうひとえにコメントを寄せて下さった方々のおかげ。

本当に、ありがとうございます!

 

今年も本の話しができてとても楽しかったです♪


印刷物ならとりあえず読んでみる、そんな節操のない本好き人間ですが、来年もどうかよろしくお願い致します。

本当に一年間ありがとうございました。

それでは皆様、よいお年をお迎え下さい☆

 


2013年ベストセラー

2013-12-16 19:55:34 | 本と日常

ブログで取り上げるのが少々遅くなりましたが、今年も書籍の取次ぎなどを行う会社トーハンが発表した、2013年度の年間ベストセラーを紹介したいと思います。



1位 『医者に殺されない47の心得』 近藤誠 (アスコム)

2位 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹 (文藝春秋)

3位 『聞く力 心をひらく35のヒント』 阿川佐和子 (文藝春秋)

4位 『海賊とよばれた男(上・下)』 百田尚樹 (講談社)

5位 『ロスジェネの逆襲』 池井戸潤 (ダイヤモンド社)

 

今年はやっぱり百田尚樹さんと池井戸潤さんですかね。

百田尚樹さんは『永遠の0』(講談社)で文庫本部門1位。

池井戸潤さんの半沢シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(文藝春秋)も文庫本部門で2位に入る人気。

百田尚樹さんは作品だけでなく、その見た目と政治思想の傾き方から(苦笑)、TVのコメンテーターとして引っ張りだこですし、池井戸潤さんの半沢直樹は「倍返しだ!」のセリフと共にドラマが社会現象になって、2013年の流行語大賞のひとつに選ばれたりもしました。

 

その他、上位には芥川賞直木賞受賞作や、ベテラン作家さんのシリーズ物。映画化ドラマ化した作品が並んでいます。

私の個人的な印象では、「何となく内に篭っているなぁ」て感じ。

視線が内向きというか、みんなストレスたまってるのね、という感じ(苦笑)

まぁ、個人的な感想です。

 

ちなみに10年前、2003年の年間ベストセラーは、1位が養老孟司 『バカの壁』(新潮社) 2位が片山恭一 『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館) 3位が『トリビアの泉 へぇ~の本(シリーズ累計)』(講談社) でした。

 

トーハンのベストセラーなので、どこまで読者の好みが反映されているのかは怪しいところですが、文芸書ががんばっているのは嬉しい♪

次から次へと新しい本が出版されるので、絶版になるサイクルが早くなっていたり、割安の電子書籍がダウンロードできたり、町の本屋さんの廃業が連日のようにニュースなったりして、書籍を取り巻く環境はまだまだ厳しいですが、来年もいい本と出会いたいなぁ。

2014年は「ムーミン」の生みの親、トーベ・ヤンソンの生誕100周年にあたるので、絵本とか注目されないかな?

 

 


雨ニモマケズ 風ニモマケズ

2013-09-22 00:58:48 | 本と日常

 

 わたくしという現象は

 仮定された有機交流電燈の

 ひとつの青い照明です

         ー宮澤賢治ー

 

今年も9月21日が巡って来ましたね。

1933年(昭和8年)9月21日。

今から80年前。
詩人、童話作家として知られる宮澤賢治が、急性肺炎のため37歳で亡くなったのがこの日です。

毎年賢治の生まれ故郷岩手では、宮澤賢治の命日であるこの9月21日に「賢治祭」として、賢治作品の朗読や野外劇が行われるとか。

1896年(明治29年)、現在の岩手県花巻市の商家の長男として生まれた賢治。

『春と修羅』、『銀河鉄道の夜』、『注文の多い料理店』、『セロ弾きのゴーシュ』、『風の又三郎』、その他数多くの作品を残しました。

今でこそ賢治の作品は多くの人の知るところですが、作家として恵まれていたとはいえず、生前に出版されたのは、詩集『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』のわずか二点にすぎません。

 

私も賢治を偲んでその作品を読み返してみました。

選んだのは『やまなし』という作品。

『やまなし』を選んだのは、片山ユキヲさんの朗読マンガ、『花もて語れ』で取り上げられていたから。

賢治の命日の数日前に読んだマンガに、偶然賢治の『やまなし』が登場していたなんて、不思議な巡り合わせです♪



幼いカニの兄弟が水の底から水面を見上げています。

 「クラムボンはわらったよ。」

 「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」

 

クラムボンとは何なのか、かぷかぷ笑うという表現に隠された賢治の思いとは・・・

『花もて語れ』の第一巻を読めばわかります(笑)

 

岩手の地にイーハトーヴという理想郷を夢見た宮澤賢治。

今の日本を見たらどう思うでしょうね。

 

 雨ニモマケズ

 風ニモマケズ

         ー宮澤賢治ー

 

 


第149回芥川賞、直木賞発表

2013-07-17 22:42:54 | 本と日常

第149回芥川賞、直木賞が発表されましたね。

芥川賞には藤野可織さんの『爪と目』(新潮4月号)が、

直木賞には桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』(集英社)が選ばれました。

 

ごめんなさい、お二人とも存じ上げません(苦笑)

 

以前にも候補にはノミネートされたことがあるそうなので、活躍されている作家さんなんでしょうね。
もしかしたら見かけたことがあるかも知れませんが、作家さんの名前を覚えるのすごく苦手なんです。

本屋さんで見かけたら手にとってみたいと思います。

 

それにしても、記者会見の時の藤野可織さん、マイク気にしすぎだよ(笑)

 


ビブリオバトル

2013-06-25 00:07:17 | 本と日常

本好きの間で行われる書評ゲームをご存知でしょうか?

「ビブリオバトル」

好きな本を数人が持ち寄り、その本の”よさ”をアピール。

他の人に、より「読みたい!」と思わせることを競うゲームです。

今回、そんなゲームに参加する機会がありました。

持ち時間は一人5分。その後質疑応答の時間として3分。計8分の間に自分の選んだ本をアピールします。

質疑応答では、基本的に批判やダメ出し、イジワルな質問はNG。全員のアピール後、一人一票を投票して、一番票を集めた人がチャンピオン。

一人の読書も楽しいですが、みんなでわいわい本についてしゃべるのも楽しい♪

みんなの前でアピールしなくちゃいけないので、発表会のような緊張感はありますが、それも楽しみのうちです。

今回、大学生4名、社会人2名の方が本を選びアピールし、私はそれを聞いて投票しました。

5分間のアピールタイムもそれぞれ個性的で面白いのですが、後半3分の他の人との質疑応答が特に面白い♪

普段自分の守備範囲の本しか読んでいないので、すごく刺激になります!

 

他の人が本を読んでどう感じたか、どう自分の人生にフィールドバックしているか、その人なりの本の選び方、読み方みたいなものが感じられて、とても参考になりました。

ま、本の内容よりも、その人のパフォーマンスで読む気にさせられたところもありましたけどね♪

自分だったらこんな本を紹介するな、とか、こういうところをアピールするな、とか聞いているうちにいろいろ考え付いて、自分でもやってみたくなりました。

次回はぜひパフォーマーになりたい☆

読書の新しい楽しみ方として、とても面白い取り組みだと思います。

あー、楽しかった♪


福間雄三監督 『女生徒・1936』

2013-06-19 22:21:22 | 本と日常

今年も太宰治を偲ぶ「桜桃忌」がやってきました。

昭和23年6月13日。愛人の山崎富栄とともに玉川上水にて入水自殺。二人が発見されたのは奇しくも太宰の誕生日である6月19日でした。

お墓は東京三鷹の禅林寺。

現在、太宰の作品「燈籠」「女生徒」「きりぎりす」「待つ」を元にした映画、福間雄三監督の『女生徒・1936』が公開されていますが(一部地域のみ!)、太宰の作品の中で『女生徒』は一番好きな作品なので見に行きたい!!

どうやらまだ関東だけみたいなのが残念です。

太宰治とドストエフスキーには、人生のある時期一度はハマってみる価値があると思っています♪

 

2013年も折り返し。

書籍の取次ぎなどを行う会社トーハンが、2013年上半期ベストセラーを発表しました。

1位 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹 (文藝春秋)

2位 『聞く力 心をひらく35のヒント』 阿川佐和子 (文藝春秋)

3位 『医者に殺されない47の心得』 近藤誠 (アスコム)

    

5位 『海賊とよばれた男(上・下)』 百田尚樹 (講談社)

8位 『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子 (幻冬社)

やはり村上春樹さん強い!!

書評を読むと賛否両論ありますが、やはり一人勝ち状態ですね。

よく村上春樹はつまらない、という意見も聞きますが、ようするに暗喩と明喩というか、ちょっと矛盾したことをいうと、本なんかに答えを求めちゃダメなんですよ。答えなんて書いてないんですから。読者に想像の余地を残すのが物語の本質。私はそう思っています。

だからベストセラーに啓発本だとかハウツー本が入っているとちょっと残念な気持ちになります。

単行本文庫本ベストセラーでは、百田尚樹さんや湊かなえさん、東野圭吾さんに有川浩さんといった方々の名前が並び、映画化、ドラマ化作家のオンパレード。
意外だったのは文庫13位に入った坂木司さんの『和菓子のアン』(光文社)!
へぇ、売れてるんだ、と失礼な感想を持ってしまいました(苦笑)
いや、面白かったですけどね。

個人的には重松清さんの『きみの町で』(朝日出版社)とか、白石一文さんの『快挙』(新潮社)が気になります。

新人作家さんもどんどん出てきてくれないかな。

 

とりあえず、今夜は太宰の『女生徒』を読んで寝たいと思います。


『月とにほんご 中国嫁日本語学校日記』

2013-05-10 23:10:59 | 本と日常

問題1 次の漢字の読みとして正しいものを答えよ

「日本」    a.にほん   b.にっぽん  

「中国」     a.ちゅうごく  b.ちゅうごっく

 

エ~、こんな問題は実際には出されないと思うので安心して下さい(多分・・)

「中国」はもちろん  a.「ちゅうごく」  と読むのが正解です。

では、「日本」って漢字、正式には何て読むのかご存知ですか?

 

自身の結婚生活を綴った人気ブログ、「中国嫁日記」が書籍化されベストセラーとなった、井上純一さんのコミックエッセイ。

 

『月(ゆえ)とにほんご 中国嫁日本語学校日記』(アスキー・メディアワークス)を読みました。

アスキー・メディアワークス
発売日:2013-02-22


 

 

 

 


日本語学校を舞台にした、蛇蔵&海野凪子さんの『日本人の知らない日本語』 (メディアファクトリー)はベストセラーになりましたが、こちらは切り口がちょっと変わっていて面白い♪

まぁ、もともと変った夫婦ということもあるのですが(苦笑)、40代のオタクな日本人男性と結婚した中国人の月(ゆえ)さんが(20代!)、「日本語はヘン!」「どうして日本語はこうなってるの!?」と大いに疑問を投げかけ、時に憤慨し(苦笑)、日本語学習に悪戦苦闘します☆

 ナゼ日本語には二つの読みがあるんですか!(音読み訓読みのこと)
 どちか一つにしてクダサイ!
 ひらがなとカタカナあるのも変!

監修は筑波大学教授の矢澤真人さん。

日本語を学ぶ外国人が感じる疑問質問に、解説という感じで答えていますが、「言葉は変化するもの」、「正解はない」、「どちらも正解」と、けっこうアバウト。最後には、「日本人はけっこういいかげん」なんて書いていて笑ってしまった(笑)


 総理続投?  総理投げますか!? 何を投げますか!?
 自分探し?  自分探すナンデスカ!? 自分ココにいるでしょ!?
 ビルが建っている?  ビルは建てられるものデショ!? 自分で建っているわけじゃないデショ!?

そこで先ほどの問題。

「日本」の読み方は、矢澤真人さんによると、「どちらも正解」だそうです(苦笑)

月(ゆえ)さんは 「どちらか一つにしてダサイ!」 と叫ぶでしょうね。(一応、昭和の初めに「にっぽん」に統一したら、という話しは出たそうなんですが、現在は「どちらか一方に統一する必要はない」となっているそうです。ローマ字表記では「NIPPON」って書かれているのを多く目にしますね)

国名の呼び方(略称ではなく)が複数ある国は珍しい、と書いてあって、はじめて(そういえばそうか)と思いました。

別にどっちでもいいじゃん、同じ意味だし・・・と思うから「いいかげん」なんていわれちゃうのかな?(笑)
同じ意味なら一つでいいじゃん! と日本語を学ぶ外国人は思うんでしょうね。

英語なんかと違い、「誰がしたのか」「行動の主体は誰か」をぼかすのが日本語の特徴とよくいわれますが、「責任の所在をうやむやにする」のが日本人全部の特徴だと思われたら嫌だな(苦笑)

何かというと塩を買い占める中国人のニュースを見て、「何でいつも塩買いますか! 恥ずかしい!」と中国人の月(ゆえ)さんが声を荒げる場面が可笑しかったです♪

 

ブログ「中国嫁日記」は現在も好評更新中。
井上純一さんと月(ゆえ)さんは、仕事場を中国に移したりしていて、中国の住宅事情、中国の観光地で注意すること(タクシー運転手とか)、中国の運転免許教習所の様子などがわかって面白いです。

尖閣諸島の近海に中国の漁船監視船が度々やって来たり、人民日報が沖縄の帰属問題を取上げたり(沖縄はもともと中国に帰属しているとかなんとか)、何かと騒がしい日中関係ですが、仲良くなってくれるといいなぁ~

 


三好達治と天皇万歳

2013-04-28 18:15:10 | 本と日常

東京では天皇皇后両陛下も出席されて政府主催の「主権回復61年記念式典」が開催されたそうですね。

これは4月28日が、61年前の1952年、サンフランシスコ講和条約が発行し、日本が主権を回復、国際社会に復帰した、いわゆる「主権回復の日」にあたるため。

ただし、この時、沖縄・奄美・小笠原は、日本から切り離され、引き続きアメリカの施政権下に置かれました。

奄美群島の本土復帰は1953年の12月25日。小笠原列島の本土復帰は1968年。そして沖縄の本土復帰は20年後の1972年です。

そのため、沖縄では政府の開催した式典と同時刻に「4.28『屈辱の日』沖縄大会」が市民団体により行われたそうです。

「主権回復61年記念式典」で、「天皇陛下万歳!」と叫ぶ映像をニュースで見ましたが(政府関係者によると、突発的な出来事であり予定されていたわけではないそうです)、久しぶりに聞きました「天皇陛下万歳」

お正月の一般参賀くらい?

いや、ここだけの話、天皇陛下もけっこう大変みたいですよ。

なんか、お噂によると息子夫婦のことでいろいろあるみたいですし・・・・・・(苦笑)

 

そういえば少し前、「新潮45」という雑誌に掲載された、山折哲雄さんの「皇太子殿下、ご退位なさいませ」という文章が話題になっていましたね。

それを意識したわけじゃありませんが、最近、ハルキ文庫の『三好達治詩集』を読んでいます。

三好達治は戦前、戦中、戦後に活躍した詩人で、戦中には戦争詩、愛国詩を書いたこともありましたが、戦後「なつかしい日本」の中で、昭和天皇の戦争責任に触れ、すみやかな退位を進言しました。

もっとも、彼の場合、奥さんとの関係が話題に上がることの方が多いかも知れませんが(苦笑)

私が三好達治を読み始めたのは、茨木のり子さんのエッセイの中で、戦後の精神的な飢餓を満たそうと、多くの人が三好達治の一冊の詩集を並んで買ったという記載があったから。

 

 私のうたは砂の砦だ

 海が来て

 やさしい波の一打ちでくずしてしまう

 

 こりずにそれでもまた私は築く

 私は築く

 私のうたは砂の砦だ

      ―三好達治「砂の砦」の一節―

 

人間は過ちを犯します。

愚かなのは、過ちを犯すことではありません。

本当に愚かなのは、同じ過ちを何度も繰り返すことです。

「天皇陛下万歳」とかつて叫んだ若者たちが、どういう運命をたどったのか・・・

どんなに波に洗われようと、どんなに壁に立ちふさがれようと、こりずに砦を築くことが大切なんです。それがたとえ砂の砦のように感じたとしても、声を上げ続けることで、前よりも高く、前よりも丈夫になっていくことを信じて。

今回のハルキ文庫の本には、残念ながら戦時中の愛国詩は収録されていませんでしたが、私が読んだ限りの中で「砂の砦」以外にもっとも気に入ったのは、やはり初期の作品でした。

 

 祖母は蛍をかきあつめて

 桃の実のように合せた掌の中から

 沢山の蛍をくれるのだ

 

 祖母は月光をかきあつめて

 桃の実のように合せた掌の中から

 沢山の月光をくれるのだ

        ―三好達治「祖母」―

 

巻末には、漫画家で絵本作家、やなせたかしさんのエッセイも載っています。

これから何度も引っ張り出しては読み返すことになるんだろうなぁ。

このつかの間の平和に万歳!

限りある命に万歳!

人生万歳!

さあ、明日の糧を得るために額に汗して働くか!!

 

角川春樹事務所
発売日:2012-11-15

『書肆アクセスという本屋があった』(右文書院)

2013-04-19 20:02:04 | 本と日常

図書館で借りた本。



『書肆アクセスという本屋があった』(右文書院)

 
 
『書肆アクセスの本』をつくる会
発売日:2007-12

 

 

 

 

 

 

地方・小出版流通センターのアンテナショップとして、東京神保町のすずらん通りにあった本屋、「書肆アクセス」が閉店したのは2007年のこと。


この本は、10坪ほどのこの小さな(しかし地方の出版業界にとってはとてつもなく大きな)本屋が閉店したことに対して作られました。
 

文章を寄せているのは、「アクセス」に本を置いてもらっていた地方の出版社やミニコミ、リトルプレスの発行者、本を探しに来ていた編集者やライター、お客、他書店の関係者や経営者、そして「アクセス」の従業員たち。

その文章を読むと、いかに「書肆アクセス」のファンが多かったのか、いかに多くの人に支えられていたのかがわかります。

北は北海道から南は沖縄まで、普通の書店では置かないような、同人誌、ミニコミ誌、地方の雑誌など、日本各地の地方色豊かな本がそこには置かれていたそうです。

いいなぁ~
そんな本屋さん、一度は訪れてみたかった!

書店の経営が苦しいのは6年後の今も同じ。
大型書店の出現。
読書離れ。

少子化や長引く不景気と、原因はいろいろあるでしょうが、魅力的な本屋さんがどんどん姿を消してしまうのは寂しい。

ネットの普及で家にいながらにして欲しい本を注文することはできるようになりましたが、本棚の間をブラブラして、「こんな本があるんだ!」と興味の引かれた本に手を伸ばす、本屋さんにはそういう楽しみもありました。
自分の知らない本を教えてもらう場所・・・

「書肆アクセス」とそこに出入りする人々の会話やつながりをこうして文章で読んでみると、本屋の理想の形が「書肆アクセス」にはあったと思えてきます。

だいたい、ひとつの本屋さんについてこんな本ができちゃうんですからね!

いいなぁ~

仲間に入りたかったなぁ~

と思わず思ってしまいました。