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私的図書館

本好き人の365日

もっと、光を!

2015-03-22 22:48:04 | 本と日常

3月22日はドイツの文豪ゲーテの亡くなった日です。

一説に「もっと光を!」と最後につぶいたとかなんとか。

代表作『若きウェルテルの悩み』では、主人公ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ想いに絶望して自殺してしまいます。

当時この小説はベストセラーになり、ウェルテルを真似て自殺する若者が急増したため発禁になったりしました。

ちなみに「お口の恋人、ロッテ」で有名なチューイングガムなどのお菓子メーカー「ロッテ」の社名はこの小説のヒロイン「シャルロッテ」から取られています。

私もゲーテの『ファウスト』は夢中になって読みました。

新潮社から出ている『ゲーテ格言集』はボロボロになってしまうくらい繰り返し読んでいる愛読書です。

私の印象では、詩人から政治家、自然科学の研究といろんなことに手を出し、そしてまたいろんな女性と恋に落ちた、とても忙しい才能豊かな(いろんな意味で)おじさんという感じですが(苦笑)、その言葉や作品にはとても惹かれるものがあります。

作曲家シューベルトもゲーテの作品に多くの曲をつけました。

「魔王」や「野ばら」は特に有名ですよね。

当時はフランス革命からナポレオンの登場という激動の時代、ゲーテ自身もフランスとの戦いに身を投じています。

 

1832年3月22日、詩人、劇作家、小説家、哲学者、自然科学者、政治家、法律家という様々な顔を持つヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、82歳でこの世を去りました。

私がゲーテの言葉の中の好きなのはこんな言葉ですね。

 

 

 「自分に命令しないものは、いくつになっても、しもべにとどまる」

 

 

自分自身の行いを自分で正すことは難しいものです。

人の心は弱いから、つい楽な方へ、自分に都合のいい方へ流されてしまう。

例え自分に不都合だとしても、自分が不利になるとしても、ちゃんと自分に自分で命令できないものは、結局誰かの人生、価値観をなぞるだけの「しもべ」で一生を終える。

この言葉の反対にあるのが「結局みんな自分がかわいい」という考え方なんでしょうね。

険しい道だとわかっていても、あえてその道を行くのが、本当の意味での「自由」なんだと私は思っています。

終始自分に言い訳したり、逃げ道を探さなきゃいけない「しもべ」の人生なんて願い下げです。

まぁ、「自由」にはそれ相応の「対価」も必要になりますけどね☆

 

  三千年の歴史から学ぶことを知らぬものは、

  知ることもなく、やみの中にいよ、

  その日その日を生きるとも。

 

         (西東詩編から)

 


『中国嫁日記(四)』(エンターブレイン)

2015-02-15 00:02:49 | 本と日常

人生なにが起こるかわかりませんね。

ブログが人気の書籍化シリーズ第四段。

『中国嫁日記(四)』(エンターブレイン)

を読みました。

 

著者 : 井上純一
KADOKAWA/エンターブレイン
発売日 : 2015-01-31

 

本の内容とは直接関係ないのですが、作者の井上純一さん。

これだけ本が売れているんだから、さぞや左団扇で人生安泰かと思っていたら、経営する会社の共同経営者に経理をまかせていたものだから、いつの間にかお金が消えていて、しかも税金滞納が発覚。

あわや口座凍結なんてちょっといま大変なことになっているみたい(そのこともブログにして発表するところは商魂たくましいですが「月サンは困ってます」http://yuekoma.blog.jp/

だからこの最新刊が売れないと、とても困るのだとか(苦笑)

 

40代のオタクな日本人漫画家(他にも肩書きあり)と、20代の中国人嫁、月(ユエ)さんの生活を綴ったブログ発信のコミックエッセイ。

日本と中国の文化の違い、中国人の月(ユエ)さん(瀋陽出身)の視点から見た日本人のあれやこれや、中国人としての受け取り方がとっても面白い♪

二人は中国で暮らしながら、仕事やコミケなどのために日本に帰ってきたりの生活。

少し前まで魚を焼いたこともなかった月(ユエ)さんも(基本煮魚の国の人)、すっかり料理が上手になってご近所に日本のカレーの美味しさを伝道したりしています(笑)

日中関係が悪化して中国で反日デモが起きた時の中国の一般市民の反応が、「反日というより溜まっていたうっぷんの噴出」と考えていたり、中国人の日常生活がわかるのもとっても興味深いです。

今回は作者の入院や手術、不妊治療についての回もあり、面白さだけじゃなく読み物としての読み応えもあります。

不妊治療って当たり前なんですが、男性に原因がある場合もあるので、病院でちゃんと検査してもらうことが大切。

人間の体が生き物である以上、ある意味時間との戦いのようなところがあると紹介されていました。

 

本当に、人生ってままならないですよね。

でも、一寸先は光かも知れない。

原因がわかって、それを受け入れる月(ユエ)さんが素敵。

原因がわからない、知らないままでいることが一番不安になるから、原因がわかってよかったと、とってもポジティブシンキングな月(ユエ)さん。

それはそれとして、努力は続けるべきと、マズイ漢方薬を飲ませるたくましさも素敵です(笑)

 

相変わらず世界はきな臭く今の日本の政権も何やってるんだという感じですが、その国で暮らしているひと達を知ると、仲良くなりたいって単純に思いますね。

知らないから不安になる。

不安になるから疑いが心をよぎる。

そのうち根拠のない大きな声に引っ張られてウワサや虚言を妄信してしまいかねない。

それにしても、未だになんでこんな素敵な月(ユエ)さんが、あんなさえない作者(失礼 笑)とくっついたのか理解できない(笑)

 


『マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女 』

2015-01-17 16:51:46 | 本と日常

パキスタン北部のスワート県で、パシュトゥーン人の両親のもとに生まれた少女マララ・ユスフザイ。

2012年10月9日。学校から帰宅するためスクールバスに乗っていた彼女は、複数の男たちに銃撃され、頭部と首に計2発の銃弾を受け、一緒にいた2人の女子生徒と共に負傷しました。

彼女を襲った男たち "パキスタン・ターリバーン運動(TTP)" はこう主張しました。

 「若いが、パシュトゥーン族が住む地域で欧米の文化を推進していた」

彼女は学校経営者の父親の影響もあり、以前からBBCなどのインタビューを受けていました。

しかし彼女がインタビューや投稿した記事で主張していたのはたったこれだけのことです。

 

 「子どもたち、特に女の子にも学校で教育を受ける権利がある」

 

銃撃事件の後、世界中から非難の声が上がりますが、TTPはこう主張します。

 

 「女が教育を受ける事は許し難い罪であり、死に値する」

 

2014年。奇跡的に一命を取りとめたマララ・ユスフザイは、史上最年少17歳でノーベル平和賞を受賞しました。

そんなマララ・ユスフザイさんの手記。

 

『マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女 』(岩崎書店)


を読みました。


岩崎書店
発売日 : 2014-10-29

 

二人の弟たちと、じゃれあいながら駆け回っていた幼少期から、大人の男たちが政治の話をしているのをこっそり聞いた少女時代。

学校に通い始め、勉強が大好きになりクラスで一番を目指したり、友達と仲違いしたり、弟たちとTVのチャンネルを奪い合ったり。

そんな平和だった生活に、しだいにタリバンの影が忍び寄って来ます。

 

手記を読んで、初めてマララさんが過ごしてきた過酷な社会環境がわかりました。

ニュースでタリバンやアフガニスタンの様子がレポートされますが、マララさんのような年代の意見、特に女性の意見にはなかなか触れることができません。

朝のお祈りを眠いからやりすごすとか、隣家の女の子と内緒の話をするとか、時にうっとうしく感じる弟たちのこと、学校での勉強、友達と仲違いしては落ち込んだりする様子は、世界共通の10代の女の子という感じで、とっても共感できました。

勉強が好きで、世界を知ることが好きで、それなのにどうして学校で学ぶことを女の子だからという理由で諦めなければならないのか・・・

 

・・・イスラム教が悪なのではないと私は思います。

マララさんもイスラム教徒です。

国連での演説で、マララさんもいっています。

 

彼らは、神はちっぽけで取るに足りない、保守的な存在で、ただ学校に行っているというだけで女の子たちを地獄に送っているのだと考えています」


国際政治だとか、宗教だとか、言葉の解釈だとか、人間は様々な言い訳を考え出しますが、私が思うのは自分の頭で考えることを放棄してしまってはいけないってこと。

タリバンはラジオを使って人々の不安を煽り、自分たちの主張を、指導者の言葉を人々に聞かせます。

それはやがてタリバンを批判する者はすなわちイスラム教に背く者だとして、個人を名指しし始め、人々を恐怖と疑心暗鬼に駆り立てていきます。

町では公開裁判が始まり、見せしめのムチ打ちが行われ、処刑された人々がさらされる。

これは実際にマララさんの身の回りで起きた現実。

イスラム国の例を出すまでもなく、これが今まさにこの地球上で行われているんですよね。

 

2001年アメリカで起こった同時多発テロ、いわゆる9.11の時、マララさんは4歳。

2011年パキスタンの陸軍士官学校の目と鼻の先で潜伏中のウサマ・ビン・ラディンがアメリカ軍によって殺害された時は13歳でした。

 

やがて学校にも脅迫状が届くようになり、女の子が学校に通うことが禁止されてしまいます。

襲撃が頻繁になり、タリバン兵の姿が町にも。

タリバンが首都にまで迫ろうとすると、ようやく政府も重い腰を上げ、タリバン掃討に乗り出し、町は戦場に。

日常の中に響く銃声に爆音。

タリバンは学校を次々と爆破し、マララさんたち家族も避難をよぎなくされます。

政府軍は一度はタリバンを退けますが、彼らは遠くに去ったわけではありませんでした。

ようやく再び学校に通えるようになったと思った時、その事件は起きるのです。

 

頭部と首に銃弾を受けた彼女は軍の病院に運ばれますが、意識不明で危ない状態。

さらなるタリバンの襲撃も考えられる中、治療と身の安全を確保するために、彼女はイギリス、バーミンガムの病院に移送されることになります。

 

一週間後、意識を取り戻した彼女が、家族の心配をするのと同時に、病院の治療費を心配するところがあって、読んでいて泣きたいような可笑しいような気持ちになってしまいました(苦笑)

読んでいて我慢できずに二度程感極まってしまったシーンも。

襲撃された場面ではありません。

パキスタンで不安と危険のせまる中で暮らしながら、イギリスで皆に囲まれて暮らしている治療中、何気なく学校に早く行きたいなぁとマララさんが思う場面。

学校に行かせてあげたい!

こんなに学校に行きたがっている女の子を学校に行かせてあげることもできないなんて、人間ってなんて愚かなの!!

空から光に包まれた神様が降りて来て「これこれ仲良く暮らしなさい」というまで争いを続けるつもり?

 

・・・極端に走るのはよくないですね。

一本のペン、一冊の本、そこからでも世界は変えられる。

 

 

 「無学、貧困、そしてテロリズムと闘いましょう。本を手に取り、ペンを握りましょう。

  それが私たちにとってもっとも強力な武器なのです。

  1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。

  教育こそがただ一つの解決策です。

  エデュケーション・ファースト(教育を第一に)。ありがとうございました」

     (2013年7月12日マララ・ユスフザイ、国連本部での演説より)


第152回芥川賞・直木賞

2015-01-17 09:47:45 | 本と日常

第152回芥川賞・直木賞が発表されましたね。

芥川賞には小野正嗣さんの『九年前の祈り』(群像9月号)が、直木賞には西加奈子さんの『サラバ!』(小学館)が選ばれました。

西加奈子さんは本も読んだことがあり、ラジオ出演されているのを聞いた時にはご本人も面白い人だなぁと思いましたが、すみません、小野正嗣さんは初めてお名前をお聞きしました。芥川賞4度目のノミネートで受賞されたんですね。だったらどこかでお名前は目にしていたと思うのですが、なにぶん人の名前を覚えないタチなので記憶に残っていません(苦笑)

 

『九年前の祈り』は大分県南部の海岸沿いの集落が舞台。カナダ人の夫と離婚し、シングル・マザーになった主人公が、精神的に不安定な息子を連れてその集落に戻ってきます。九年前にともにカナダ旅行をした女性の息子が入院していると聞き、そのお見舞いに出かけ・・・というお話らしいです。短編集『九年前の祈り』(講談社)はすでに発売されていて、『文藝春秋』3月号にも全文掲載の予定。

一方の『サラバ!』は西加奈子さんの作家生活10周年を記念する作品だとのこと。父親の赴任先であるイランで生まれた主人公の歩は、背の高い父、チャーミングな母、変わり者の姉といった家族に囲まれ、イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだのち、今度はエジプトへ向かう。西加奈子さん自身がテヘラン生まれの大阪育ちで、小学生時代にエジプトで過ごした経験があり、作者と同年代の主人公の半生を描いたこの小説には、そうした作者の実体験が反映されていそう。『サラバ!』も上下巻で小学館から発売されています。

 

きっと受賞したことで本屋さんにはたくさん並ぶでしょうから、私も手に取ってみたいと思っています。

芥川賞選考委員の作家、小川洋子さんが選考の経過を説明してみえるのですが、それがとっても興味深くて、やっぱり選考委員の中でもいろんな意見、好みがあるんですね〜

同じ作品でも読む人によって評価が分かれていたりして面白い。

芥川賞に落選した『指の骨』(高橋弘希)や『惑星』(上田岳弘)も読んでみたくなりました。


謹んで新年のお慶びを申し上げます

2015-01-03 13:51:40 | 本と日常

明けましておめでとうございます。

平成27年、西暦2015年になりましたね。

お正月といっても私は相変わらずコタツに入って本を読んだり、TVで箱根駅伝を観戦したりしていました。

青山学院大学スゴかった!

20回目の出場で初の総合優勝。

往路の最終5区を走った神野選手速かった。

何もこんなに寒い時期に走らなくても・・・と私の怠け心がどこかでつぶやいていましたが、走っている選手を見ていると、もうそんな気持ちはふっとんでしまい、いつしかコタツに入っている私の心も熱くなっていました。

いやぁ、スポーツっていいですね。

食べてばっかりいないで初詣にでも行ってこようかな?(苦笑)

 

去年は Google の位置情報を使ったスマホゲーム「ingress(イングレス)」が iphone でも遊べるようになり、私も少しは歩くようになりました。

このゲームは現実の世界で行う陣取りゲームで、ポータルと呼ばれる点を結んでフィールド(陣地)を作り、二つの陣営に分かれて争います。

実際の建物や街に設置されているモニュメントなどのアート作品、または提携しているローソンなどのコンビニがポータルになっていて、実際にその場所まで行かなかれば、そのポータルを手に入れることができない仕組み。

したがって、より多くのポータル、より大きなフィールドを作るには、実際の街をより多く歩き回る必要があるのです。

近所の郵便局や神社に毎日のように通うようになります(笑)

ある程度プレイしていると、近所で活動する他のプレイヤーの名前がわかってきますので、情報交換したり、協力してプレイすることもできます。

今まで家を出てプレイするゲームというのになじみがなかったので、これはとっても面白い!

先月12月には東京で5,000人が集まる大規模な大会も行われました。

私も平均一万歩くらい歩いてプレイしています。

ゲームの世界も進歩していますね。

こういう新しい物、大好きです。

 

歩くことと食べること。

今年の目標は「健康第一」です。

仕事だって趣味だって、健康があってのもの。

調子の悪い時には無理をしない。

自分の体と上手に付き合う。

自分の体をいたわってあげられるのは、自分だけなわけですから。

お正月だけは、ちょっと運動不足で食べ過ぎですけど(苦笑)

 

今年も相変わらず、あまり統一性のない、趣味に走った内容のブログになると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

 

 


今年も一年、ありがとうございました。

2014-12-31 10:34:29 | 本と日常

昨日30日はNHKBSプレミアムで映画『ホビット』(2012年)が放送されましたね。

映画館でも観ましたが、何度観ても面白い!

三部作の第一作目ということで「ここで終り?」というラストですが、セットや衣装の作り込みといい、すごくレベルの高い作品で、ずっと見ていられます。

『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚にあたるわけですが、「一つの指輪」や「サウロン」なんかも登場して原作ファンとしてもドキドキ。

ガンダルフの声が別の声優さんだったのでちょっと違和感はありましたが、面白かったです。

こういうファンタジー作品、日本では作られませんね〜。残念。

 

大晦日の今日は、16:00から『ロード・オブ・ザ・リング』三部作一挙放送もあります。

映画館でも観たし、DVDも持っているけど、また観ようかな?(笑)

 

このブログ、「私的図書館」も移転しながらですが、何とか十二回目の年越しを迎えることができました。

読んだ本やオススメ本を紹介するだけのブログですが、ここまで続けてこられたのは、コメントを寄せて下さった方々のおかげ。

本当に、ありがとうございました。

最近はあまり更新もできていませんが、マイペースに読書して、マイペースに書いていけたらいいなと思っています。

本当に一年間ありがとうございました。

それでは皆様、よいお年をお迎え下さい☆

 

 

 

 

 


2014年ベストセラー

2014-12-17 02:34:51 | 本と日常

今年もいよいよ終りですね。

書籍の取次ぎなどを行う会社トーハンが、2014年度の年間ベストセラーを発表しました。

総合では以下の通り。

 

1位 『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』 鬼木豊 監修・槙孝子 (アスコム)

 

3位 『人生はニャンとかなる! 明日に幸福をまねく68の方法』 水野敬也・長沼直樹 (文響社

4位 『村上海賊の娘(上・ 下)』 和田竜 (新潮社)

5位 『銀翼のイカロス』 池井戸潤 (ダイヤモンド社)

 

1、3、4位は上半期からずっと売れ続けているタイトル。

さすがなのは池井戸潤さん。昨年は『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)が年間ベストセラーだったのに、今年もベストセラーに輝きました。

『銀翼のイカロス』は『ロスジェネの逆襲』と同じくドラマで注目された「半沢直樹」シリーズ。その第四弾。

権力に対して「倍返し」でやり返す半沢直樹に世のサラリーマンは溜飲が下がる思いなんでしょうか?(笑)

 

私が興味をひかれたのは年間12位に入った『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)


フロイト、ユングの心理学は割と有名ですが、このアドラーさんの「アドラー心理学」は日本ではあまり知名度がないように思います。

よく犯罪が起こるとその原因を知るために家庭環境だとか、過去の体験などを根掘り葉掘りほじくり返して、「犯罪」をわかったような気になる人たち(特にマスコミ)がいますが、アドラー心理学では原因は行動を決める決定打ではありません(私の個人的な解釈です)。

うちでは妹や母親がTVを見ていてよく「(家庭環境が)(親が)(経済的に)○○だからこんなことをするのよ」とつぶやくのですが、すかさず私が「失礼なこというな。○○な人がみんなそんなことをするわけじゃない」と突っ込みを入れるのが日常茶飯事です。

原因に意味はない。行動を決定しているのはその人の決断であり、つまりその人がどう生きるか、何を目的としているか、という意志の力にかかっている。

「みんながしているから」「誰だって自分がかわいい」「嫌われたくない」というのはすべて自分の行動を正当化するための言い訳であり、その選択肢を選ぶのは、その方が自分にとって楽だから。まあ、個人的にフロイトやユングが好きなので、こういう本に興味を持ってしまいました。

 

あと村上春樹さんの『女のいない男たち』(文藝春秋)は14位。文庫総合部門の1位は百田尚樹さんの『永遠の0』(講談社)。私の好きな葉室麟さんの『蜩ノ記』(祥伝社)は文庫総合17位でした。

 

個人的には今年もいい本にたくさん出会えた年でしたが、こうしてランキングだけ見てみると、少し盛り上がりに欠けるかな?(苦笑)

 

書籍自体があまり話題にのぼらなかったような気がしますし、中国の戦闘機や巡視船が尖閣諸島に迫ったり、韓国で悲劇的な沈没事故があったり、政府の集団的自衛権の容認や豪雪や豪雨の被害に地震や噴火などの災害と、めまぐるしく問題が湧き出てくるような一年でしたからね(まだ早いですが)。

エンターテイメントでは映画『アナと雪の女王』が大ヒット。あれに全部持っていかれた?

まあ、トーハンのベストセラーなので、どこまで読者の好みが反映されているのかは怪しいところですが。

 

それと2014年で注目だったのは「ムーミン」の生みの親、トーベ・ヤンソンさんの生誕100周年にあたる年だったということ。

今年一年、各地で様々なイベントが行われました。

私も滑り込みで、この間ようやくそのイベントの一つ、名古屋で行われた「TRAVELLERS in北欧クリスマスストリート」に行って来ました。

フィンランドにある本物の「ムーミンワールド」の雰囲気もちょっぴり体験。

北欧のクリスマスをイメージした会場には、映画『かもめ食堂』で使われたお店も出店していて、食べ物にアートに雑貨や服など、とても楽しめました。

そうそう、USJのハリー・ポッターの世界を再現したアトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」も話題でしたね。

日本の作品にも頑張ってもらいたいところです。

 

「TRAVELLERS in北欧クリスマスストリート」にて



『殉愛』って本について

2014-11-16 21:54:09 | 本と日常

百田尚樹さんが歌手で司会者としても有名だった、故やしきたかじんさんのことを書いた本『殉愛』(幻冬舎)が売れているそうです。

田舎の本屋にもたくさん並んでいました。

私も読みましたが、途中から苦痛になってきて、パラパラと斜め読み。また最後が後味悪かった。

あまり本の悪口は書かないようにしていますが、これはダメでした。個人的に合わない。週刊誌みたいな本でした。

そのくせけっこうなお値段をとります。

誰と誰がケンカしてもいいけど、関係ない奴が「作品」て形で読者に反論や他人を攻撃する文章を見せんなよ。

それはお前らだけでやってくれ(あくまで個人的な感想です)。

 

エッセイなどでグチをこぼしたり、腹の立つことを並べたり、こんな下品な人にはなりたくないわと自分の価値観を主張したりする作品はありますが、そういうのはどこか痛快で、読者の共感を得る「魅力」を備えていなくてはお話になりません。

佐野洋子さんとか森茉莉なんてあそこまで行くとまさに痛快。

言葉の、文章の力を感じます。

作品というわけではありませんが、作家の柳美里さんが雑誌「創」の原稿料未払い問題を、ご自身のブログで告発されていて、その問題が解決するまでの一連の「創」編集長とのやり取りを私も読みましたが、問題が深刻なので失礼にあたるかも知れませんが、文章としての「魅力」がありました。

作者の体の中から出てきている言葉には力がある。

あとブログという性格もありますが、相手にちゃんと反論の余地を残しているのも大きいかったです。ちゃんとコミュニケーションになっている。

残念ながら百田尚樹さんの文章は、ほとんどが伝聞ということもありますが、一方的で、作為に満ちた、どこかヘイトスピーチを連想させる、自分のリングで相手をぼこぼこにして悦に入っているような文章にしか読めませんでした。

やしきたかじんさん司会の「そこまで言って委員会」て番組好きだったから残念なんですよね。

やっぱり三宅先生(政治評論家の三宅久之さん)が亡くなった時点で終ってた方がよかったな。

 

「文は人なり」といったのはフランスの数学者で博物学者のビュフォンだったかな?

発言がいろいろ話題になる方の最新刊だったので、ちょっと辛口コメントになってしまいました。

お金のある人は亡くなってからも大変ですね。

私はお金のない苦労しか知りませんけど(苦笑)

お金があってもなくても、どうせいつかは土の中。

それなら人の悪口をいってないで、笑って過ごしたいものです。

先日中国で行われたAPEC首脳会議。

日中の首脳が無愛想な顔で握手している姿が報道されましたが、大人げないというか、ユーモアが足りませんね。

他人を非難したって、他人は変えられないんだから。

 

 

 ニコッと笑えばニコッと返ってきます。

 もしニコッともしてくれなかったときは、

 その人は今とても辛いんだと理解してあげればいいのです。

 

     カオリ・ナラ・ターナー (ハリウッドで活躍するメーキャップ・アーティスト)

 


名月を とってくれろと 泣く子かな (一茶)

2014-11-08 00:20:23 | 本と日常

11月に入ってもう一週間なんですね。

しばらくバタバタしていて本も読めていませんでした。

久しぶりに本屋さんに行ったので、備忘録として書いておきます。

 

 

鈴ノ木ユウ 著 『コウノドリ』(講談社)

産科を舞台にした「モーニング」連載中のマンガ。ピアニストの設定はどうかな? と思うもののエピソードは泣ける。出産とはまさに”奇跡”。小中学生に読んで欲しい命の物語。

著者 : 鈴ノ木ユウ
講談社
発売日 : 2013-06-21

 

メーテルリンク 原作

江國香織 著

宇野亜喜良 絵

『青い鳥』(講談社)

私の好きな宇野亜喜良さんの絵で飾られた江國香織さん翻訳の「青い鳥」。これは妖しく美しい!

講談社
発売日 : 2013-10-11

 

そろそろ私の好きな季節。

冬物を引っ張り出さないと。

 


埜納タオ『夜明けの図書館 3』(双葉社)

2014-10-05 00:30:41 | 本と日常

図書館のレファレンス・サービスを扱ったマンガ、埜納タオさんの『夜明けの図書館 3』を読みました。

今回で3巻目。

1、2巻ほどのインパクトはありませんが、主人公の小学生時代や、先輩司書のプライベートが描かれるなど、物語に深みが出てきました。

 

著者 : 埜納タオ
双葉社
発売日 : 2014-08-16

 

本と人をつなげる仕事。

読書が個人で楽しむだけではなく、周りの人や、地域、歴史や文化との架け橋になることを教えてくれて、読んでいての共有感がスゴい! 楽しい!

図書館の司書ってなかなか求人がないみたいで大変みたいですね。

予算削減とかでどこぞやの自治体では「あかずの図書館」なんてのもあるんだとか。

運営に民間の力を借りるとか、図書館側もいろいろ工夫はしているみたいですが、そもそも本を読む人が減っているそうですし。

田舎の図書館はそこそこ人がいて、でも座る場所はたくさんあって、けっこう快適なんですけどね。

小学生の頃は学校の図書室よりもくだけた感じの児童書が多かったので入り浸っていましたが。

その頃にこんなマンガがあったら、もっと有効に図書館を活用できていたかも知れません。

当時は図書館にいる大人はみんな、学校の図書委員みたいなものだと思っていましたから(笑)

司書教諭なんて存在も全然知りませんでした。

 

図書館も外で見ているだけじゃわからないことがたくさんあって、こうして紹介してもらえるとすごく楽しいです。

こういう職場を舞台にした作品大好き。

早く4巻が読みたくなりました。

 

 

 

 


宮澤賢治 『セロ弾きのゴーシュ』

2014-09-21 23:55:00 | 本と日常

今日は少し奮発して、カツオを柵で購入しました。

もどりガツオの美味しい時期ですからね~

モヤシやタマネギなど茹でた野菜の上に薄く切ったカツオをのせて、刻みネギをふりかけ、ポン酢を回しかけます。その上からニンニク入りのあつあつオリーブオイルをジュッとかけたら、カツオのたたき風ニンニク入りオリーブオイルかけの出来上がり!

ニンニクの香ばしいニオイが食欲をかきたてます。

おいしくいただきました♪

 

今日、9月21日は岩手県の作家、宮澤賢治が亡くなった日です。

1933年(昭和8年)9月21日。詩人、童話作家として知られる宮澤賢治は急性肺炎のため37歳で亡くなりました。

TVでも岩手県を舞台にした水谷豊主演の映画 「HOME 愛しの座敷わらし」(2012年) が放送され、岩手山や岩手銀行中ノ橋支店(辰野金吾 設計)などの映像を楽しむことができました。

映画の内容はちょっと物足りなかったですが(東京に引っ越すのが早すぎる気がする)、やっぱり岩手の自然と座敷童はイメージピッタリ。

古い家に現れる座敷童が人々にとても自然に受け入れられていく点は、とくに違和感もなく見ることができました。

やっぱり『遠野物語』のイメージですかね?

自然の豊かな、そして厳しい土地では、人間だけが主人面して生きてはいけない。おこがましい。

人も、動物も、妖怪や神様も、そこでは一緒に暮らし、少しづつ重なりあって暮らしている・・・

宮沢賢治の作品にも、そんな雰囲気を感じます。

 

そんな宮澤賢治の作品の中で、今夜は『セロ弾きのゴーシュ』を読みました。

楽団の中でも腕前が一番下手なセロ弾きのゴーシュが、深夜一人で練習をしていると、次々に動物たちが訪ねてきて曲をリクエストしたり、いろいろ注文をつけるおかしなお話。

最初は「生意気なことを云うな。ねこのくせに。」なんていっていたゴーシュが、おもしろがって動物たちのために演奏するうちに、セロを弾く腕が上がっていくという。

自分では気づかないうちに、動物たちの役に立っていたり、「いい人」なんて評判が知らぬ所で立っていたり。

場所や立場が変われば、評価も様々に変わるんですよね。

それまで動物たちのことなど考えたこともなかったゴーシュが、関係性を持つうちに自分自身に変化が起きていたことを体験します。

 

あぁ、映画 「HOME 愛しの座敷わらし」も少し似た所がありました。

東京では会社や学校で問題を抱え、バラバラになりそうだった家族が、岩手の地で、自分たちの中に評価してもらえるものがあることに気がつき、受け入れられ、居場所を見つけていく。

ここにいていいんだという自信。それが大切なのかも。

 

うちの経済状態からいって、我が家には少なくとも座敷童はいそうにないですけどね(苦笑)

まだ深夜にタヌキがやってくるとかの方がありえそうです。

 

 


森薫 『シャーリー』2巻

2014-09-14 23:45:28 | 本と日常

11年ぶりの続編(笑)

森薫さんのマンガ『シャーリー』2巻(KADOKAWA/エンターブレイン)を読みました。

 

著者 : 森薫
KADOKAWA/エンターブレイン
発売日 : 2014-09-13

 

 

20世紀初頭の英国を舞台に、13歳のメイド、シャーリーとその女主人、ミスベネット・クランリーの日常生活を趣味全開で描く待望の第二弾。

メイドマンガの金字塔『エマ』の作者らしく、今回もドレスや小物、ハイヒールにお茶に料理と作者のこだわりがあふれています!

レコードにあわせて踊るシーンとか。

もう趣味としか思えない!

あとがきでも、メイド服のスカートはペチコート、スカート、エプロンのミルフィーユのような重なりが魅力的! と熱く訴えています(笑)

 

作者のこだわりの絵やシーンの数々も魅力的なのですが、当時の服装や町並み、習慣、階級差などを再現しているところも魅力的。

英国の植民地主義には閉口ですが、文化的にはとっても面白いんですよね。

「シャーロック・ホームズ」とか「ダウントン・アビー」には夢中になりましたし、魅力的なファンタジー、SF作品も多いです。

マンガの設定なので13歳のメイドというのは当時としても珍しいのですが、メイドくらいしか女性の職業がなかった19世紀あたりでは、10代のメイドも珍しくなかったとか。

それにしても、まあシャーリーはパタパタとよく走る。

朝食を用意し、主人を起こし、身支度の手伝いをして送り出したかと思うと、ベッドメイク、洗濯、食器磨きに繕いや食材の注文、階段や床や窓をもちろん手で磨きあげ、はたきでホコリを払いほうきでゴミを掃く。

お茶を入れ、忘れ物を届け、隣の家のメイドの長話に付き合い、お菓子を作り、お茶を入れ、洗濯物を取り込み、庭の草取りをし、ケーキを焼き、またお茶を入れる(笑)

本当に英国人ってお茶が好きなんですね~

 

不定期に描かれているお話なので、3巻はいつ出るのかな?

英国貴族の生活を描いた『ダウントン・アビー』シーズン2も今秋NHK総合で放送されることが決まっているので、これも楽しみです。



ボルヘス『バベルの図書館』

2014-09-01 22:07:38 | 本と日常

マシュー・アムスター=バートンさんの『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』(エクスナレッジ)という本をよだれを我慢しながら読んでいると(美味しい物がたくさん出てくるので♪)、何の前置きもなしに「まるでボルヘスの『バベルの図書館』のよう」という描写が目に入ってきました。

バートンさんはシアトル在住のフードライターで、米国人から見た日本の「食」をこの本で紹介しているのですが、まったく文学的な香りのない本の中で「ボルヘスの『バベルの図書館』」が普通に通用する例えとして使われているのが衝撃的でした。

ボルヘスってそんなにメジャーだったのか・・・

その時ちょうど人生初のボルヘスに挑戦しているところだったんですよね。

ちなみに本の詰まった回廊がどこまでも続く『バベルの図書館』が例えられたのは、デパ地下のお惣菜売り場でした(笑)


エクスナレッジ
発売日 : 2014-06-03



私が読んだボルヘスは、『バベルの図書館』も収録されている短編集『伝奇集』(岩波文庫)


岩波書店
発売日 : 1993-11-16



う~ん、難解でした。

執拗な通路や道々の描写に、迷路のような言葉の羅列。繰り返される否定と肯定。まるでバカボンのパパの「反対の賛成なのだ!」みたい(あくまで私の勝手な感想です)

上や下や四方に無限に広がる図書館「バベルの図書館」

夢の中で魂の青年たちの前で講義し、その中から血肉を与え、自分の分身たる形を与える「円環の廃墟」

言葉の迷路に迷い込んだみたい!


この『バベルの図書館』を読むきっかけになったのが、玉川重機さんの『草子ブックガイド』(講談社)

その第3巻を読みました。

 

著者 : 玉川重機
講談社
発売日 : 2014-02-21


今回紹介されるのは。 

『雨月物語』(江戸時代の読本。上田秋成のいわば伝奇集)

『百鬼園日記帖』(高給取りなのに借金まみれだった内田百の日記)

『イワンの馬鹿』(作者は恐妻家トルストイ)

『ハローサマー、グッドバイ』(マイクル・コーニィのSF作品)

『新しい人よ眼ざめよ』(大江健三郎。FMシアターでのラジオドラマが秀逸だった!「ガリヴァーの足と小さな人たちの国」とか)

『荒野のおおかみ』(ヘルマン・ヘッセ。代表作『車輪の下』)

 

作家なんて生き物は変わり者が多いけど、この上田秋成とか内田百は好感が持てる!

高田渡はちょっとわからないけれど(苦笑)

 

もう一冊、ブックガイドを読みました。

こちらは池澤夏樹さんの娘さんというよりは、私なんかは声優としての方が知っている、池澤春菜さんの『乙女の読書道』(本の雑誌社)

 

著者 : 池澤春菜
本の雑誌社
発売日 : 2014-01-23

 

何となく、私の大好きな本、神月摩由璃さんの『SF&ファンタジー・ガイド―摩由璃の本棚 』(現代教養文庫)に似てる!!

さすがに扱っている作品はSFが多いですが、 文体というか雰囲気が似ているんですよね。

た、だ、し、似ているというだけで本として読めるかというと、ちょっと作文みたい(すみません)

書評としては読めますが、桜庭一樹さんや前出の神月摩由璃さんみたいに、「読み物」としても面白いかといえば、そこまでは面白くないというのが本音です(本当にすみません)

あ、でも巻末の父親、池澤夏樹さんとの対談は面白かったです。

 

9月になっていろいろ値上がりしているので、なかなか本が買えませんが、TSUTAYAのポイントがたまったので、吾妻ひでおさんの新刊『カオスノート』(イースト・プレス)を買おうか迷っています。

田房永子さんの『ママだって人間』(河出書房新社)も気になっているので、古本でもいいから読めないかな?

今は使っているカードのポイントで注文した「松坂牛大とろフレーク」が届くのが楽しみ♪

これは『おとりよせ王子』でも紹介されていた、冷凍した松坂牛のフレークです。

前から食べてみたかったんですよね。

使っているのはポイントばっかりですけど(苦笑)


「アオイホノオ」と「花子とアン」

2014-08-25 20:16:55 | 本と日常

残暑お見舞い申し上げます。

甲子園では三重県代表の三重高校が59年ぶりに決勝進出し、東海地方に住む者としておおいに盛り上がりました♪

惜しくも敗れてしまいましたが、準優勝だってたいしたものです。

やっぱり高校野球は面白いですね~

 

深夜ドラマも面白い!

漫画家、島本和彦の自伝的ドラマ「アオイホノオ」と、深夜の飯テロ「孤独のグルメSeason4」

どちらもマンガが原作ですが、「炎の転校生」を読んでいたサンデー派の私としては「アオイホノオ 」は見逃せません。

アニメ制作会社「ガイナックス」の面々も登場するので面白いんですよね~
マクロスの石黒昇さんとか、板野サーカスと言われた板野一郎さんから直接お話をうかがったこともありますし、庵野秀明さんには一度だけお会いしたり、知り合いがガイナックスに一時勤めていたこともあって、個人的に「そうそう」とうなずくシーンが多くて笑えます。

演出もそれっぽくて面白い!



『赤毛のアン』の翻訳者、村岡花子さんを取り上げた朝ドラ「花子とアン」も見ています。

村岡花子さんが主役というよりは、「アンをめぐる人々」という感じで、村岡花子さんの周りの人のドラマばかりが目立っていますけどね。

兄やんと醍醐さんは架空の人物ですけどね。

特に「翻訳家になりたい!」という想いが伝わってこないので、ストーリー重視の人には辛いかも知れませんね。

ようやく「ラジオのおばさん」まできましたが、まだまだ「赤毛のアン」は登場しません。

いつになったら「花子とアン」になるのやら。


最近読んだのは、積読状態だった『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』(アスキー・メディアワークス)

登場人物の意外な過去がわかったり、イライラするくらい進まない二人の仲に進展(?)があったりと物語的にも面白いのですが、やっぱり本についてのお話が興味深いですね。

手塚治虫のエピソードはよかった。

でも栞子さん、かわいいというより、だんだん面倒くさく思えてきた(苦笑)


著者 : 三上延
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
発売日 : 2014-01-24

 

 

もう一冊は、明木茂夫さんの『中国地名カタカナ表記の研究』(東方書店)

地図帳のカタカナ表記から始まり、国語審議会の漢字追放や文部省などの資料も紹介されていて、知的好奇心を刺激されました。

中国では川の名前に、◯水、◯江、◯河とつくので、日本語表記にした際、例えば漢水(ハンシュイ)なら「ハン川」とカタカナ表記になる。華北平原を南北に走る大運河は大(ター)だから日本語表記で「ター運河」(笑)

これは例えば日本で地名の白浜を「sira  beach」と訳すようなもの、と紹介されていました。

いや、sira て何だよ?(笑)

何か道路標識でも誰のための標識なのかわけのわからないものがありましたね。
「~公園」を「~koen」と書いたり「~通り」を「~dori」と、そこはローマ字じゃなくて英語だろ、という標識。

カタカナって日本人は普通に使っていますが、そのルールってあまり意識しないですからね。
「カルフォルニア」も「カリフォルニア 」も同じ地名だと判断しちゃうし、「ロスアンジェルス」も「ロサンゼルス」も同様。
ただし政府機関で使う言葉はさすがに統一しようと、変なルールが決められていて、例えば「ロサンゼルス 」が一応政府公式。

「テストで 『遼東半島』 を 『リャオトン半島』 と書いたら×で、正解は 『リヤオトン半島』 だった」なんて話も。

ずいぶん前からこのカタカナ表記ってあったそうで、私も地図帳眺めるのは好きですが、そこまで意識したことがありませんでした。

エベレストのチベット側の呼び名、チョモランマもやっと違和感無く受け入れられるようになったのに。

 

著者 : 明木茂夫
東方書店
発売日 : 2014-04

 

あと読んだのは、瀧波ユカリさんの『はるまき日記: 偏愛的育児エッセイ』(文藝春秋)

こちらはちょっと毒舌なマンガ家さんの子育てエッセイ。

読みやすいのでスラスラ読めました。


著者 : 瀧波ユカリ
文藝春秋
発売日 : 2012-06-29




現在読んでいるのは、お気に入りのマンガ『草子ブックガイド 3』(講談社)と、ボルヘスの『伝奇集』(岩波文庫)。

本を読んでいると一時的に暑さを忘れます。

それだけならいいのですが、やらなきゃいけないこともたまに忘れます。

洗濯の途中だったりすると、いつの間にか洗濯が終っていて干すの忘れたり(苦笑)

あれスマホの時計みたいにスヌーズ機能とか付けてくれないかな?

洗濯が終ったら「洗濯が終了しました」→(5分後)「早く干して下さい」→(さらに3分後)「早く干せ!」みたいな音声ガイドとか(笑)

人間そこまで落ちぶれたらダメでしょうか?

私はすごく必要としているんですけど・・・

 


「大学教師が新入生に薦める100冊」

2014-06-29 11:51:09 | 本と日常

6月もあまりレビューが書けなかったので、購入、立ち読みした書籍のタイトルだけ、忘れないように書いておきます。

古本屋で購入した物が多いです。

マンガ、雑誌は除外。



大森 望 『SFマガジン700【国内篇】』 (早川書房)

ガース・ニクス 『王国の鍵』シリーズ (主婦の友社)

アーサー・ガイサート 『ノアの箱舟 』 (こぐま社)

須賀 敦子 『霧のむこうに住みたい』 (河出書房新社)

谷川 俊太郎 『みんなやわらかい』 (大日本図書)

本上 まなみ 『芽つきのどんぐり』 (小学館)

宇野 亜喜良 『悪魔のりんご』 (小学館)

村上 春樹 『バースデイ・ストーリーズ』 (中央公論新社)

エンマ・ユング 『内なる異性―アニムスとアニマ』 (海鳴社)

堀尾 真紀子 『フリーダ・カーロ―引き裂かれた自画像』 (中公文庫)

穂村 弘 『絶叫委員会』 (筑摩書房)

高柳 佐知子 『ケルトの国へ妖精を探しに』 (河出書房新社)

丸木 俊 『おきなわ 島のこえ―ヌチドゥタカラ』 (小峰書店)

 

新刊少ない(苦笑)

感想が書けたのは、

ジョー・ウォルトン 『図書室の魔法』(上・下) (創元SF文庫)

佐々涼子さんの 『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(早川書房)

だけ。

 

その他に、ネットで気になった話題に「大学教師が新入生に薦める100冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」というのがありました。http://gunosy.com/g/gHWhs 

本屋さんでも『東大教師が新入生にすすめる本』(文藝春秋)とか、『大学新入生に薦める101冊の本 』(広島大学101冊の本委員会)というのがありますね。

いや、東大教授こそファンタジーやSF読めって思うけど(苦笑)

大学生向けということで、物事の感じ方や思考の整理法に役立つ本が多い印象。

理系の本も多いですね。

『モモ』とか『幼年期の終わり』が入っているのは評価する!

ゴーゴリや泉鏡花も入っているので、文系の私も20冊くらいは読んだことがありました。

とりあえずドストエフスキーと太宰治とゲーテだけ読んどけばいいんじゃないのかな?

もちろん、モンゴメリやオルコット、シェイクスピアと司馬遼太郎は高校生までに読んでいる前提で♪

中学生なら最低限、宮沢賢治とマーク・トウェインと手塚治虫は読んでおいて欲しい。

私は司馬遼太郎じゃなくて新井素子やアシモフを読んでいたから、こんなことになっちゃったんだけど(苦笑)

 

昔は「デカンショ」といえば「デカルト」「カント」「ショウペンハウエル」だということぐらい、大学生はわかったらしいのですが、今の大学生はどうなのかな?

知識や情報という面では、ネットが普及しSNSを使いこなす今どきの大学生の方が、圧倒的に有利だと思うんですけどね。

2014年の2月に公表された大学生協が行っている「学生生活実態調査」の報告によると、調査に協力した学生の1日の平均読書時間は26.9分。そのうち読書時間が0という学生は40.5%だったそうです。 

大学生、本読めよ。

 

私が今探しているのは、乙骨淑子さんの『ピラミッド帽子よ、さようなら』(理論社)と、高見順の『いやな感じ』(文藝春秋新社)

二冊ともネットで買えるのですが、なんか高いので、とりあえず図書館で借りて、そのうち古本屋で安く買えないかさがそうと思っています(苦笑)