ブログの題に記した表現に首肯く。
口語訳すれば、
<◯◯がなかったらよかっただろうにと思った。>
ということになる。
『徒然草』(第十一段)の結びの言葉。
内容は省略するが、
「神無月のころ、栗栖野といふ所を過ぎて、……」
で始まる有名な話なので、多くの方々の記憶にある一話だと思う。
吉田兼好の表現を、日常の生き方に生かして<使える>という考え方は好きではないし、この本の題名を見たときにも、私の好みではないと思った。
それでも求めたのは、扱われている対象が『徒然草』であり、著者が齋藤孝さんだからである。
『徒然草』には、確かに教訓的な話もかなりあるが、その底には必ずユーモアが潜んでいる。
私は、そこに兼好の名随筆の面白さを感じる。
『徒然草』を完読した体験は、過去に1回しかない。
幾度も、順を追って再読したいと思いながら、果たしていない。
老いの日々、頭の冴えない日が多く、ますます完読というわけにはゆかないだろう。
気が向けば、一段一段読み返したい。
上記の一冊は、そんな思いを高めてくれた。
なお、同著者の『声に出して読みたいの本』(1〜6)を折々に読んでいる。
音読を愉しめる詩文・名文が集められていて、ありがたい。
<その1>は、河口の部屋に持参し、時折、気分転換に声を出して読んでいる。