過日求めた<文芸春秋>(3月号)には、第146回(平成23年度下半期)の芥川賞受賞作が掲載されている。
円城 塔 『道化師の蝶』
田中 慎弥 『共喰い』
の二作品。
いずれも異色作であった。
私の老化した頭にとっては、理解を阻まれたり、少々刺激が強すぎたりする作品だった。
それは、受賞作に不可欠の<新しさ>でもあるのだろうけれど。
『友喰い』は、表現力や描写力など、ディテールのうまさ、常識的には異常とも思える登場人物やその人間模様に引きずられて、一気に読んだ。
うまい作品だとは思ったが、読後に、心地よさは残らなかった。
それは、作者の狙いでもあろう!?
『道化師の蝶』は、途中で読むのを中断した。
作者の変幻自在な表現についてゆけなくなったのだ。
そのまま読了を諦めようと思っていたが、数日を経て、またページを繰った。
最後まで読んだけれど、科学者らしい作者の編み出す論理に、十分ついてゆけなかった。
が、こういう小説を楽しんで読める読者も、世の中にはたくさんいるのだろう。
今回の二作品は、多くの点で異質であり、非常に対照的であった。
味や匂いのまるで異なる作品である。
二人の受賞者にとって、互いの作品を受容し難いのでは? などとも思った。が、実際はどうなのだろう?
二人の作家に、他者の作品評を聞いてみたい気がする。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
今日は、強い風が吹いた。夕方のニュースが、「春一番」だと報じていた。
気温が高いのに、快適とはいえぬお天気だった。
夜9時、玄関がほの明るんでいるのに気づき、外に出てみた。
雲が忙しく移動する夜空に、14夜の月があった。
雲間に見え隠れする様子が、あたかも月が移動しているように見えた。
円城 塔 『道化師の蝶』
田中 慎弥 『共喰い』
の二作品。
いずれも異色作であった。
私の老化した頭にとっては、理解を阻まれたり、少々刺激が強すぎたりする作品だった。
それは、受賞作に不可欠の<新しさ>でもあるのだろうけれど。
『友喰い』は、表現力や描写力など、ディテールのうまさ、常識的には異常とも思える登場人物やその人間模様に引きずられて、一気に読んだ。
うまい作品だとは思ったが、読後に、心地よさは残らなかった。
それは、作者の狙いでもあろう!?
『道化師の蝶』は、途中で読むのを中断した。
作者の変幻自在な表現についてゆけなくなったのだ。
そのまま読了を諦めようと思っていたが、数日を経て、またページを繰った。
最後まで読んだけれど、科学者らしい作者の編み出す論理に、十分ついてゆけなかった。
が、こういう小説を楽しんで読める読者も、世の中にはたくさんいるのだろう。
今回の二作品は、多くの点で異質であり、非常に対照的であった。
味や匂いのまるで異なる作品である。
二人の受賞者にとって、互いの作品を受容し難いのでは? などとも思った。が、実際はどうなのだろう?
二人の作家に、他者の作品評を聞いてみたい気がする。
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今日は、強い風が吹いた。夕方のニュースが、「春一番」だと報じていた。
気温が高いのに、快適とはいえぬお天気だった。
夜9時、玄関がほの明るんでいるのに気づき、外に出てみた。
雲が忙しく移動する夜空に、14夜の月があった。
雲間に見え隠れする様子が、あたかも月が移動しているように見えた。