ぶらぶら人生

心の呟き

「なかなかたそがれてるじゃん」 (ミズヒキソウ)

2008-09-26 | 身辺雑記
 昨日、瀬戸内寂聴と俵万智の対談を読んでいて、思わずぷっと噴き出してしまった。
 瀬戸内寂聴著『女人源氏物語(一)』の巻末に載っている<寂庵対談>のお相手が、俵万智だったのである。
 「嫉妬は恋のエネルギー」と題されて。
 対談が進行し、源氏の女人たちの嫉妬についての話から、現代の若者の恋に関する話に及んだ。

 そこで出てきた万智さんの言葉、
 <私の歌集(注 『サラダ記念日』)を生徒が読みまして、いちばん印象に残ってる感想というのが、「先生、なかなかたそがれてるじゃん」っていうんです。……略……>
 というくだりを読んだとき、高校生は《うまいこと言うなあ》と、その比喩的表現に感嘆すると同時に噴き出していたのだ。

 『女人源氏物語(一)』の発行が、1998年11月、『サラダ記念日』は1987年の発行で、いずれも20年も前の出版物である。
 25歳という若き歌人・俵万智の歌集を読んで、その相聞歌の心の在り様が、さらに若い高校生の目には、、<たそがれてる>と映ったのだ。そこが、なんともおかしかったのだ。

 さらに20年後の今の若者には、どう映るのだろう? など考えながら、書棚から『サラダ記念日』を取り出してきて、ページを繰った。
 随分もてはやされて時流に乗った歌人、という印象が強く、その歌に衒いのない若さを感じつつも、この歌風が20年後にはどう変わっているのだろう? と思ったことなど思い出した。
 私自身は、歌の評価にためらいを覚えながらも、気になる存在ではあったらしく、書棚を見ると、『サラダ記念日』のあと、『とれたての短歌です。』(俵万智+浅井慎平著)、『もうひとつの恋』(俵万智+浅井慎平著)、『俵万智のハイテク日記』を求めて読んでいる。いずれも万智さんの若き日の著作である。(注 浅井慎平は写真家)

 最近の著作に、どんなものがあるかは知らない。朝日新聞に、彼女の実子と絵本についての話が連載されており、目を通してはいるけれど……。
 読売では、歌壇の選者のひとりらしい。が、俵万智本人の、最近の短歌については全く知らない。歌に進化があるのかどうか?

 昨日は、対談の中で、『サラダ記念日』時代の若い俵万智さんに会った。寂聴さん主導の対談であったが、なかなか面白かった。

 巻末記事を読む前に、『女人源氏物語(一)』の、寂聴調の語りに引き込まれながら、再読を楽しんだ。引き続き、(二)以下の再読が楽しみである。
 『女人源氏物語』は、紫式部の『源氏物語』に基づいてはいるが、寂聴源氏の趣が濃い。
 カバー絵が、加山又造画であることにも、このたび気づいた。というより絵として改めてカバーを眺めたといった方がいいかもしれない。


 今日は、M 歯科医院に行き、歯の定期検診を受けてきた。
 本屋で、月刊の雑誌を受け取ったり、買い物もしたりしてきた。やや持ち重りのする荷物を持って歩いても、暑さを感じない日であった。
 急に、さわやかさの訪れである。
 今日は珍しく、旧知に三人も会った。偶然、同刻、同場所で行き合う不思議!

 (写真 庭のミズヒキソウ。野草だが見飽きない。)
コメント
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