インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

湿度100%の大熱波

2017-05-31 20:12:51 | 季節・自然
この一週間ほど、熱波の猛攻撃でグロッキー気味である。
熱風が吹きぬける環境下、帰国の荷造りをしなければならず、疲労がたまるばかり。
冷房があるので、なんとか乗り切っているが、エアコン付き三部屋以外に出ると、むおーんといったすごい熱気にさらされ、キッチンで料理するのもしんどい。

去年の比ではない。
夫も、こんなのプリーで初めてといって、午前十時には冷房室にこもって涼をとる日課。

浜に出たら、空全体をもくもくと雲が覆い、これじゃあ暑いはずだよな、たぶん100%近い高湿度じゃなかろうか、体感38度、湿度が異様に高いと、実際の気温より暑く感ぜられるのである。

で、一週間前までは英字紙をゆっくりリビングのソファで読んでいたが、二階のリビングも、付随する寝室からのエアコンの冷気が十分に流れ込まないため、三階の書斎か、一階のコンピュータ室に早々に引きこもる昨今、ああ、暑い! ほんと異様な炎暑だ。
早くひと雨来てほしいよー。
6月3日には当地をたつので、それまでに少し気温が下がって過ごしやすくなるようにと願っている。

それにしても、この分じゃ、デリーの暑さが思いやられる。
たぶん四十度はあるだろう。
ただ、海辺の当地と比べ、湿度はそう高くないはずだが。

今回は、息子(BIG DEAL)のデビューアルバム宣伝もかねているので、いろいろと忙しい。
二日前EMSでCD&Tシャツがどっさり届いた。
親族・友人への格好の土産になるほか、マスコミ関係に配るつもりでいる。
私が単行本を上梓した際、宣伝記事でお世話になった地元紙など、あたってみるつもりだが、結果が吉とでることを祈るばかりだ。
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BIG DEALの詞曲について

2017-05-31 17:16:24 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
BIG DEAL(プロフィールはこちら)が二月にリリースしたEP版(7曲収録のミニアルバム)、One Kid With A Dreamのオリジナル詞曲について簡単に触れておきたい。

まず、13万回の視聴数を突破した宣伝用動画ともなっている冒頭の曲、One Kidについて。
BIG DEALのバイオグラフィーがテーマで、出生から学童期を経て、社会人として巣立つまでの、平坦でなかった道のりが歌われている。
日印混血でいわゆる周囲の子供と外見が異なることから揶揄の対象となって傷ついた生まれ故郷プリーでの子供時代、13歳のとき北東インドの避暑地ダージリンの寄宿舎へ送られ、上級生の手ほどきでラップに目覚めたこと、カレッジ進学に際して両親の薦めでITエンジニアとしてのキャリアを目指すべく、インドのシリコンバレーとして名高いバンガロールでコンピュータを専攻することになった経緯、が、大学院卒業後、米IT企業のブランチに就職するものの、音楽への夢と情熱を捨てきれず、プロラッパーとしての道を目指す決意をし、成功する現在までの、二十八年の人生が赤裸々に吐露されている。

歌詞は現代風にスラングが多いのが特徴だが、英語が第二母語であるインドの英語教育のレベルの高さを示す出来栄えだ。
Look Uptoは自分を敬うことの大切さがテーマとなった、母の私のお気に入りの曲でもある。
Not Chineseは、インドの北東州民が内陸部のバタ臭い顔立ちと異なり、オリエンタル系であることから、同国人にも差別される実態を、自らの外人顔に対する差別と重ね合わせて告発したもの。ラップの伝統を踏襲して韻を踏んでいることにも特徴があり、北東州の特徴的景観であるhillという単語に関してHelium, heal, hill billy, heelなどの同音異語を12語用いるテクニックをこなしている。
このように社会的メッセージをこめた作品も多く、言語・カースト・宗教の差異による差別を告発し、まず自分が変わることの大切さを説いた平等提唱のBe the Change、レイプ地獄との悪評を買うインド社会を批判し、女性差別の撤廃と女性自身の地位向上に向けての努力を謳ったHeroineなど、過去に話題を呼んだものだった。

アルバムに戻って、ほか二曲も紹介しておく。One Dreamはおなじみ北東・マニプール州出身の女性歌手、June Neeluと組んだもので、Wrong This Timeは男性シンガー・Mar Jamirとの初コンビ、インド人視聴者に人気。

メロディに関してはラップらしい乗りのいいリズミックなものから(アルバム中ではヒンディ語混じりの英ラップI Hate You)、メロディアスなバラード調、ブルース風まで、ヴァラエティに富んでおり、私のお気に入りはバラード調だが、リズミカルな曲がインドの若者には好まれるようである。近年、インドの巨大娯楽産業、西インドの商都ムンバイ(旧ボンベイ)ベースのヒンディ映画界、通称ボリウッドでも、テーマ曲にラップが使われる頻度が増えており、インドは今ラップブームといってもいい隆盛ぶりなのである。若者には好まれる今風のミュージックで、そういう背景の中、BIG DEALもポピュラーになってきたいきさつがあるわけだ。

今回のミニアルバムの宣伝用動画One Kidにおいては、たくさんの地元民からのコメントが殺到したが、若いころのエミネムを思わせる、インド人とは思えぬ国際級ラッパーとの賞賛は、エミネムの熱狂的なファンであるBIG DEALにとって、最大の賛辞といっていいだろう。
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読者各位(一時帰国に際して)

2017-05-29 15:41:45 | 私・家族・我が安宿

読者各位

いつも拙ブログをご愛読のほどありがとうございます。
いよいよ帰国間近となりました。
荷造りなどの雑務に追われる昨今、ブログ記事を送っている暇もなくなると思いますので、いまのうちにご挨拶させていただきます。
不在期間中、記事が途絶えることもあると思いますが、この間すでにアップした17小説作品ならびに5エッセイ作品をお読みいただけると、幸甚に存じます。
現時点までのE全集一覧

◎著者お薦めのベスト5小説は、以下です。
1.ゆきのした秘恋(福井新進文学賞佳作作品)
2.虹の魔窟のブローカー(銀華文学賞奨励賞作品)
3.祭のない原野へ(第一部)
祭のない原野へ・第二部
4.マハラジャ王宮にトリップ
5.ダブルマリッジ(やまなし文学賞最終選考作品)

*また音楽好きの方には、次の三作がお薦めです。
ジュリーやショーケン、タイガースやアルフィーをモデルにしたミュージシャンやバンドが登場する音楽がテーマの異色作です。
生まれ変わったメッセンジャー
再帰(カムバック)
還暦バンドの魔術

ほかにインドが舞台の社会的なメッセージをこめたフィクションや、海外移住をテーマにしたもの、著者の自己体験をベースにした私小説と、テーマは多彩です。
先述した、E全集一覧から、お好きなテーマをお選びいただけます。

作家生活四十三年の結集ともいうべき全集作品、現時点までの22作、ご拝読いただけると、幸甚に存じます。

以上、簡略ながらご挨拶まで。

「インドで作家業」著者
李耶シャンカール(インド在住作家)



※また金沢に入り落ち着き次第、折に触れて、菊水庵(隠れ処的マンションの自称)便りを送りたいと思います。お楽しみに。
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奇跡の摩訶不思議バンド(吉田拓郎のアルフィー評)

2017-05-27 16:04:02 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
アルフィーの曲はだいぶ前にほぼチェックし終わったので、最近はコントや、ラジオ番組収録の動画を覗いているが、以下、紹介したい。
THE ALFEEの奇跡とは?初心貫徹とは坂崎幸之助のこと?!【吉田拓郎&高見沢俊彦&坂崎幸之助】

卓越したメンバーがいなくて、バランスが取れていることと、いい意味でのアマチュア度が残っているのが、43年続いた奇跡?
タイガースやテンプターズには、ジュリーやショーケンという傑出したヴォーカルがいたもんなあ。
ヴィジュアル系たかみーが一番目立つメンバーだけど、他の二人もヴォーカルを務めてるし、とにかく内輪もめがなくて解散危機がなかったという、自己主張の強くない次男坊ばかりのバンド、コントに関しては、ファンの間でも是非があるようだが、高見沢さんはコント作家志望だったそうで、そのせいで昔からコントもよくやっていたようだ。

ザ・ドリフターズの志村けんが言っていたことだけど、お笑いのセンスとミュージック感覚には通じるものがあるようで、笑いに敏感な人は音楽のセンスもしゃれているとか。ドリフってのも元は音楽グループ、ビートルズの前座も勤めたことがあったし、クレイジーキャッツの音楽センスが優れているのは周知の事実。桜井センリと石橋エータローの連弾ピアノなんてすごい。谷啓のトロンボーンもね。
"HANA Hajime & Crazy Cats" - The members' solo performances
結局、お笑いの方が注目されちゃって、コミカルバンドになっちゃったけど。だから、アルフィーは、音楽バンドの伝統を踏襲しているともいえる。でも、下手すると、コミカルバンドになるリスクを潜り抜けて、音楽バンドとして成功したわけだから、ラッキーだったといえるだろう。

というわけで、最後に笑えるコントをひとつ。
RF-ある日の天ぷら

先に紹介したラジオ番組では、ホストの坂崎さんとタクローの漫談めいた掛け合いがサイコー!
たかみーが女優よりまめに長い髪の丹念なトリートメントをして、常に巻き毛のカール具合を気にしており美の追求がすごいというタクロー証言や、自身の結婚歴25年の奥さんの森下愛子ののろけ話が飛び出したり、たかみーに結婚を薦めたりで、面白いので、右の欄からお気に入りのテーマを見つけて聞いてみて下さい。

*アルフィーがモデルのバンドがアラカン(アラウンド還暦の意味で六十歳前後を指す俗語)カップルの再婚のキューピッド役になるほのぼのラブストーリーも併せて、ご一読いただけると幸甚です。誌上ライヴが体験できます!
還暦バンドの魔術
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ジュリーのサムライ別ヴァージョン(お宝動画)

2017-05-26 20:23:42 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
そろそろ明日から、帰国用の荷造りを始めようと思っている。
あわただしい雑務の合間を縫って、音楽を楽しんでいるが、昨夜、ジュリーを覗いていて思わず引き込まれる新動画を見つけたので、アップしたい。
ジュリーの動画は削除される確立も多いのだが、その分新しいものが続々アップされている。

以下、アップされて間もないサムライの別ヴァージョンをどうぞ。

沢田研二 「サムライ」夜のヒットスタジオ HDTV

ナチのハーケンクロイツ版、伝説の畳シリーズとはまた違った趣きの別ヴァージョン。
二番に入る前の中盤のジュリーのすねたような顔つきと、横目の流し目、超色っぽい。
思わず、見とれてしまった。
終盤のかがり火に赤く映える美顔、鞘から引き出した短剣がぴかりと鋭利に光って、超かっこいい!
ジュリーファンにとっては、必見のお宝動画、消されないうちにお見逃しなく!

次はジュリー主演の伝説のドラマ「悪魔のようなあいつ」(1975)のおなじみの主題歌で、ジュリーの歌では一番ヒットしたといわれる名曲。
故阿久悠の名歌詩と大野克夫の美曲があいまって絶妙のコンビネーション、気怠く美しい哀愁のこもったラブソングでポピュラーだが、ステージ衣装が真紅のジャケットという動画は初にお目見え、若いころのジュリーの美貌がひときわ際立つので、別ヴァージョンとして再紹介したい。
沢田研二 「時の過ぎゆくままに」HDTV

他に二曲、知名度は低いけど名曲といってもいいナンバーも紹介しておく。

沢田研二 「胸いっぱいの悲しみ」HDTV
この曲はあまり知られていないけど、私のお気に入りのナンバー。
失恋ソングを書かせたら右に出るものがない作詞家の故安井かずみと、曲は故加瀬邦彦の名コンビによるものだが、歌うのは四十代ごろのジュリーかな。

沢田研二 「そして一人」HDTV
こちらも知られていないけど、ご本人作詞作曲の名曲なので。ジュリーのオリジナル曲にはなかなかいいナンバーがあり、かのヒット曲「ストリッパー」(ステージ衣装が超かっこいい! 必見!!!)の乗りのいいロックナンバーもジュリー作。

*ジュリーをモデルにした主人公が登場する次の小説も併せてお読みいただくと、幸甚です。
生まれ変わったメッセンジャー

*併せて、ジュリー(シローもややミックス)がモデルの元GSヴォーカルが脇役で登場する次の小説もお読みいただけると、幸甚です。
再帰(カムバック)

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BIG DEALのプロフィール

2017-05-26 19:57:56 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
これまで愚息BIG DEAL(フェイスブック)をインドで五指に入るヒップホップアーティストとして幾度となく紹介しておきながら、肝心のプロフィールの詳細をアップしていなかった失態にはたと気づいたので、いまさらながらではあるが下記に掲げさせていただく。


BIG DEALプロフィール

1989年9月17日、インド人父と日本人母の混血として東インドのベンガル湾沿いのヒンドゥ聖地・プリーに生まれる(本名はSamir Rishu Mohanty、ミドルネームは日本名で理秀、現在28歳で国籍は日本<本籍福井>、両親は現地でHOTEL LOVE & LIFE経営)。
12歳まで地元の英語スクール(母語オディヤでなく、英語で授業が行われる)に通い、13歳のとき、北東インドの避暑地、ティーで有名なダージリンの寄宿舎、セントポールスクール(授業は英語一本やり)に送られる。四年間の寄宿舎生活中、先輩の影響で有名米ラッパー、エミネムのファンになり、文化祭などで上級生と組んで英語ラップのパフォーマンスを繰り広げ、好評を得る。
寄宿舎卒業後、南インドのIT都市・バンガロールのカレッジでITエンジニア(コンピュータ)専科(3年)に進み、卒業後マスターコース(3年)へ進学、大学院卒業後、同地の米エンタテイメント系IT企業のブランチに勤め始める。翌年、優秀エンジニアとしてベストパフォーマンス賞を射止めるものの、音楽活動が多忙になったことで、自ら嘱託を望み、在宅勤務の傍らラップミュージック活動に携わる。徐々に注目されだし、米ニューヨークベースのミュージックテレビジョンのインドブランチ、MTV・INDIAに出演したり、ヒンディチャンネルでビデオが放映されたり、各種英字紙などのマスコミにも取り上げられる。
2015年、西インドの商都ムンバイ(旧ボンベイ)ベースのヒンディ映画界、通称ボリウッド映画(Detective Byomkesh Bakshy!) のテーマ曲の一環を請負い、BGMとしてオリジナルラップが流れる。2016年西インドの商都ムンバイの娯楽産業主宰のベストヒップホップ・アーティスト賞の栄冠を射止め、若いころのエミネムを思わせる世界級のインディアンラッパーとの評判を呼ぶ。
2017年2月にリリースしたデビューアルバム(オリジナル7曲収録のEP版)、One Kid With A Dream EPは地元ファンに多大なる人気を博し、宣伝動画が13万回の視聴数を超えた。ラッパーとしての活動主体だが、ほかのアーティストに作詞作曲も提供したりしている。
一両年中に、ラップ修行に本場アメリカへの渡航をプラン中。


One Kid With A Dream EPの宣伝動画はヒットし、地元TVや新聞でも大々的に取り上げらました。ビデオはBIG DEALの出生地プリーの海辺や両親の経営するホテル(HOTEL LOVE & LIFE)、名高い聖地であるプリーのシンボルのヒンドゥ教寺院・ジャガンナートテンプル(12世紀創建の古刹)はじめ、35キロ離れたコナラークにある13世紀の遺跡・太陽神殿(スーリヤテンプル)、母校ダージリンの寄宿舎セントポール・スクール、現在ベースとしているインドのシリコンバレーとの異名を誇るIT都市・バンガロールなど、舞台が次々変わり、インドを旅しているような気にさせてくれます。
どうぞ、背景とともに、インドらしい異国情緒あふれるリズムのラップミュージックをお楽しみくださいますように。

*今後とも、日本のみなさまの篤いご支援のほどくれぐれもよろしくお願い申し上げます。
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現時点までのE全集一覧

2017-05-25 17:43:06 | E全集(受賞作ほかの全小説作品、2017~)
E全集の編纂作業はおかげさまで順調に進んでいます。
現時点での17小説作品と5エッセイ作品、計22作(うち13受賞作)を改めて一覧として掲げさせていただきますので、まだお読みでない方はぜひご一読のほどお願い申し上げます。

★未発表作品一覧(現時点で9作品)

*インドの王宮ホテルが舞台の異色のオカルトミステリー作品。
「マハラジャ王宮にトリップ」

*六十半ばの落剥した男性主人公の再起と、同年代のグループサウンズ(ザ・タイガースがモデル)の四十二年ぶりのカムバック、再結成物語を重ね合わせた作品(音楽小説第一弾)。
「再帰(カムバック)」

*インドの有名聖地ベナレスでホテルやレストラン業に携わる三人の日本人妻間の敵対意識や友情を描いた作品。
「撫子戦争」

*著者二十代後半の雑誌取材記者時代をほぼ忠実に再現した、原点とも言うべき恋愛私小説。
「祭のない原野へ」

*17歳年齢差のある男女の修羅にも似たインド行脚譚。一部とがらりと趣を変え、主人公の男女は匿名の「女」、「男」で登場。一・二部に通底するテーマは文学で、後年インドに移住して書いていくことになる予兆が仄見える、著者の原点とも言うべき私小説。
「祭のない原野へ」第二部

*昭和の二大イケメン、ジュリーとショーケンをミックスした主人公(ミュージシャン)を造型、舞台は京都、東京、タイ、インドと変わり、歌手から求道者へ転身した主人公が、十六年ぶりに帰国し、十代のころのバンド仲間と再結成・カムバックするまでを描いた、音楽小説第二弾。
「生まれ変わったメッセンジャー」

*著者が東京の女子大生時代関わった郷里福井の同人誌と、文学を目指す若き仲間たちがモデルの、恋・友情あり、涙・笑いありの青春小説。
「春雷」

*経歴42年の日本一長命バンド、ジ・アルゴ(ジ・アルフィーがモデル)が脇役で登場する、初老の男女の再婚譚(音楽小説第三弾)。
「還暦バンドの魔術」

*ネット紙・銀座新聞ニュースに2009年11月から連載された、著者にとっては希少なミステリー作品。再公開にあたって、ネット新聞では削除されていた6章と9章を復活させ、新たな装いで生まれ変わった娯楽作品、西インドの一大ビートリゾート地・ゴアが舞台の、現実の事件がべースになった異色の強姦殺人ミステリー。
「ドラッグ天国殺人事件」


受賞小説全作品(8作品。年代順に列記、なお移住前の二受賞作は除く)

*当地プリーに伝わる奇習、デヴァダシ制度、赤子もしくは幼女時ジャガンナート寺院に引き取られ、ユニバースロード、宇宙の主であるジャガンナート神に嫁いで、一生人の男と交わらず、歌舞をささげる巫女的存在がテーマになった異色作。
「ガッドワイフ奇譚」(2010年度銀華文学賞第三次選考通過作品)

*日本女性ツーリストと八十年代のカルカッタの安宿街を闊歩するブローカーたちの友情を描いた作品。
「虹の魔窟のブローカー」(2011年度銀華文学賞奨励賞作品)

*イスラム教徒の重婚制度がテーマの、日本女性とイスラム教徒インド男性の国際結婚から第二現地妻の登場で離婚を余儀なくされるまでを描いた異色作。
「ダブルマリッジ」(2012年度やまなし文学賞最終選考作品)

*八十年代のカルカッタが舞台の、日本女性ツーリストと19歳のインド学生の日本駆け落ち譚。
「ジャパニーズ・ドリーム」(2012年度銀華文学賞佳作作品)

*男性遍歴を重ねる女主人公と、伊勢崎町の路地裏で春をひさぐ心の浄らかな街娼を対比した私小説。
「聖娼婦」(2013年度銀華文学賞佳作作品)

*著者の母がモデルの、戦前戦後の福井を舞台にした名家の男女の秘められた純愛小説。
「ゆきのした秘恋」(2013年度福井新進文学賞佳作作品)

*夫のなきがらが横たわる槙に未亡人が身を寄せてともに焼かれていく儀式サティ、インドの残虐極まりない風習、寡婦殉死制度をテーマにした作品。
「焼かれる花嫁」(2014年度銀華文学賞佳作作品)

*カクテルを空ける回数とともに会話だけで筋書きが展開する、架空の異国が舞台の新趣向の恋愛劇。
「アラマンダの追憶」(2015年度銀華文学賞佳作作品)


エッセイ受賞全作品(5作品)

「日印の狭間で」(2012年度文芸思潮エッセイ賞佳作作品)

「インド移住までー天の配剤」(2013年度文芸思潮エッセイ賞奨励賞作品)

「投稿歴三十四年─私の文学彷徨」(2014年度文芸思潮エッセイ賞佳作作品)

「22分に一件のレイプ地獄」(2015年度文芸思潮エッセイ賞佳作作品・社会批評部門)

「タラーク(離婚)、タラーク、タラーク」(2016年度文芸思潮エッセイ賞入選作品・社会批評部門)

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帰国十日前

2017-05-24 20:32:03 | 私・家族・我が安宿
いよいよ帰国が目前に迫ってきた。
当地を去るのは来月三日、州都ブバネシュワールからのフライトで首都デリーに向かう。

というわけで、E全集の小説アップもひとまず中断である。
受賞作(8作)から始まって16作品アップし、一応週一のノルマは果たした。

三十数年書き溜めた全作品をアップすると決めたのは二月だったので、まだ四ヶ月弱。
昨年12月金沢から戻って六ヶ月、この半年の収穫はこのE全集の発願にいたったことと、余暇では日本のドラマにはまり、「前略おふくろ様」全五十話をユーチューブで見終わり、大感激したこと。

今でも、主題曲を聴いたりして、いいドラマだったなあと改めて噛み締めている。

当地プリーはここ数日、熱波の猛攻撃にさらされ、冷房なしでいられない高湿度の不快感100%の蒸し暑さである。
計画停電も増えだした。
日本は初夏、インドほどではないだろう。
過去六月末からひと月間帰ったことがあるが、七月下旬が少し暑くなって冷房のお世話に数時間なったことのほかは快適に過ごせた。

いずれ折を見て、五月一杯までのE全集一覧を掲げたい。

日本ではブログも毎日というわけにいかず、送れても短文になるので、この間、アップした小説をお読みいただくと幸甚である。
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ドラッグ天国殺人事件・解説(あとがきに代えて)

2017-05-23 19:54:05 | E全集(受賞作ほかの全小説作品、2017~)

ドラッグ天国殺人事件・解説

 ネット紙・銀座新聞ニュースに2009年11月より連載された娯楽小説で、好評を博したものである。著者にとっては希少なミステリー作品でもあり、十枚前後という短めの章ごとに主格が変わる趣向もなかなか面白く、楽しめるのではないかと思う。
 しかし、一見殺人ミステリーの装いをとっているが、実は裏のテーマは、欧米人女性ツーリストに体を売っているビーチボーイのことを書きたかったのであり(貧困家庭で育った美少年たちの搾取の実態)、そういう意味では人間(かつ社会)ドラマのつもりでいた。
 なお、タイトルの「ドラッグ天国殺人事件」についても、一言付記しておきたい。
 ドラッグへヴンとは日本でよくドラッグ天国と訳されるが、実際のヘヴンの意味は天国でなく、ヘイヴン(Haven)、隠れ処(避難所)という意味で、オリジナルの題は「ドラッグヘイヴンの迷宮」だったのだが、それだと、いまいちキャッチ力が弱いため、同紙主幹の意向もあって、日本人にとってはわかりやすい、現在のタイトルに変えられたものである。
 また、ネット紙では、6章と9章はカットされていたのだが、拙ブログに再掲載するにあたって、オリジナルをそのまま活かす形式にさせてもらった。
 6を挿入すると、中盤で犯人の名がほのめかされてしまい、ネタバレの危惧もあったのだが、フランスが舞台の被害者の母親が主格の章はどうしても挿入したく、復活させたわけである。また、最後の被害者の日記の章だが、銀座新聞ニュース主幹には、8で終えたほうが全編引き締まってよいと諭され、ジョーンの独白で連載終了したのだが、蛇足とわかっても作中登場する被害者の日記(二刑事マックの推理)をラストにどうしても入れたく、こちらも復活させた次第である。
 以下、銀座新聞ニュース紙連載終了にあたっての「あとがき」もそのまま掲げておく。

著者からのあとがき(銀座新聞ニュース載)
 「ドラッグ天国殺人事件」完結にあたって、ひとつ付け加えさせていただきたいことがある。筆者が日本に帰国中の2009年12月2日、拙作の舞台ともなった西インドの有名リゾート地ゴア、南のコルバビーチで、ロシア人女性強姦事件が発生した。
 なんと、容疑者の名前はジョーン・フェルナンデス(35歳)。作中の犯人と同姓同名で、偶然の一致にはさすがに唖然とさせられた。実際の事件のジョーンは州議選に敗北したものの、地元ではわりと名の知れた政治家だったらしい。
 被害者のロシア女性(25歳)は、5つ星ホテルに勤務していたとかで、深夜ジョーンに食事に誘われたとき飲み物に刺激物を混ぜられ、帰途の車中で暴行されたようだ。被害者には13カ所もの傷があったとされるが、ジョーンは合意の上だったことを主張、仮釈放を勝ち取った。
 近年、ゴアではレイプ事件が頻発しており、先般1月26日も9歳のロシア人少女強姦事件が北のアランボールビーチで発生した。ドラッグ犯罪都市として悪名高いゴア、レイプリゾートの汚名を着せられないか危ぶまれており、観光上大打撃であることはいうまでもない。
 ちなみに、拙作も、実際の事件(2008年2月発生した15歳のイギリス少女、スカーレット・キリングの強姦殺人事件)をヒントに、創作したものである。


↑当時(2010年1月)のあとがきにあるように、同作は2008年2月18日実際にゴアで発生した15歳の英国人少女強姦殺人事件が基になっている。なお、この事件の詳細については、拙ブログに過去掲載した記事(ゴアのレイプ殺人事件、2008年3月19日・記の、ベスト10にしばしばランクインされる人気記事)をご一読いただきたい。現実の事件とフィクションの違いがわかって、興味深いはずだ。
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ドラッグ天国殺人事件9(中編小説)

2017-05-23 19:09:52 | E全集(受賞作ほかの全小説作品、2017~)

エピローグ・ソフィの日記

7月*日
 一年ぶりに、ゴアに戻ってきた、うれしい! これから三ヶ月はわくわくするようなバカンスの始まり、去年も世話になったメアリーホームに落ち着きシャワーを浴びたあと、遅いランチにママンと繰り出す。行き付けだった海辺の人気レストラン・デアデヴィルで、マネージャーのエディは無論、顔なじみのウェイターらが大歓迎してくれた。フランスで買ってきたささやかなお土産をみんなに手渡す。そのくせ私はどこか上の空、隅の席に腰掛けているアンリを目の端で強く意識しながら、さりげなく斜め後ろのテーブルに腰掛ける。この角度からだと、アンリのアポロンのように精巧な貌がよく拝めるのだ。が、彼はいつものように知らん振り、一年ぶりに戻ってきたというのに、ほんと冷たーい。あたしが密かに恋焦がれている人はビーチボーイ、白人客相手の売春夫だ。ママンはあたしの気持ちに勘づいているけど、職業が職業だけに、好ましくないと思っている。自分もアンリを買ったくせして、勝手なもんだ。あたしは、身分なんて、気にしやしない。アンリがスウェーデンとの合いの子なら、あたしだってパパなしっ子、おんなじだもの。色が白くて、碧い瞳の飛び切りハンサムなアンリはビーチボーイのキング、欧米人女性から引っ張りだこ。三年前デアデヴィルで逢ってからというもの、あたしはぞっこん参っている。でも、アンリはなぜかあたしには冷たい。エディやアンリの商売敵のロッキーはあたしに無我夢中というのに。ルックスにも体にも自信があるのに、意中の人に振り向いてもらえないだけで、自分がちっぽけに思えてくる。保護者のいない大人の女性だったら、あたしだってアンリを買うのに。ママンときたら、本当に口うるさいんだから。やれ、地元の不良少年どもとは付き合うなだの、やれジョイントはほどほどにしろだの、自分だってマリュハナづけのくせして、ほっといてほしい。アンリが少しでも振り向いてくれないかと、ピザをほおばりながら、ちらちら盗み目で窺っていたが、完全に無視された。あたしは、短パンのポケットに忍ばせた黒蝶のペンダントをそうっと掌でもてあそんだ。アンリに買ってきたお土産だが、この分では手渡すチャンスはなさそう。久々にアンリの顔が見れてわくわくしたが、ハローの一言すら声をかけてもらえなかったのには、本当にがっかりした。でも、まだ胸が激しく動悸を打っている。アンリ、愛してる!

7月1 *日
 アンリ、何でそんなに冷たいの。あたしのいったい、どこが気に入らないの。会話のないまま虚しく時間だけが流れていき、あたしはいらいら。ただデアデヴィルで遠くから見つめるだけの切ない時間が流れていく。ああ、片思いはつらい。地元の不良少年どもはちやほやしてくれるけど、肝心のお目当てに振り向いてもらえずないんじゃあ、哀しい、それにしても、一言くらい声をかけてくれたっていいじゃない。店の入り口で、ちょうどイタリア女を連れて出てきたアンリとばったり鉢合わせして一瞬目が合ったのに、ぷいと逸らしてしまった。あんな醜い出っ腹のおばさんのどこがいいの。あのババアのぶかぶかのあそこがアンリのあれをくわえ込むと思うと、嫉妬で胸が張り裂けそう。15歳のあたしのあそこは、フランスにいるボーイフレンドのポールだって賞賛するくらい、締りがいいのに。アンリのテクニックは抜群と聞くけど、あたしだって名器、負けやしない。ママンやおばさん連中にはサービス一本やりで、自分が感じてる暇もないだろうけど、あたしとやったら、気持ちよくさせてあげる。フェラチオだって、あたしはほんとに上手なんだから。ママンが出ている隙を見計らって、アンリのことを思ってマスを掻く毎日。ああ、アンリに抱かれたくてむずむずしている。あのキュートな唇をむさぼってみたい。あたし、アンリを見ると、発情期のメスみたいになっちまう。アンリが欲しくて、欲しくてたまらない。狂おしくキスされて、自慢のBカップの胸を愛撫されて、あそこにアンリの繊細な指が忍び込むと想像するだけで、びちょびちょに濡れてくる。ほかの男に体を投げ出す気にはなれないので、自分で後始末するだけだ。今日も、タオルを汚してしまった。

7月2*日
 ああ、ままならぬ恋、だんだん悲観的になってくる。アンリに振り向いてもらえないんじゃあ、ほんと生きてる価値がないよなあ。あたしには頼ったり甘えたりできるパパはいないし、お先真っ暗。ママンが一人でここまで育ててくれたことには感謝してるけど、お金のため、いろいろ悪いことしてきたの、あたしちゃあんと知ってるんだ。ママンの秘密は何もかも、お見通し。自分であくどいことやってて、娘にはえらく厳しいんだから。あれをしてはいけない、これをしてはいけないと押さえつけられると、かえって反抗的になるってこと、ママンにはわからないのかな。あたしはママンが思ってる以上にませた悪がきなんだ。ママンだって、あたしがとっくにヴァージンでないことは、知ってるはず。それにしても、ママン、何であたしを産んだんだろうな。子供が将来不幸になるとは思わなかったんだろうか。あたしは一度も父親の顔を見たことがない。ひょっとして、あたしという娘が存在していることすら知らないんじゃないか。ママンは、パパのことは何も話してくれない。その男のこと愛してたのかな。でも、子供の将来のこと、ちゃんと考えてほしかったな。愛の結晶だなんて、エゴだよ。あたしはおかげで、こんなに苦しんでる。寂しがり屋で、独りぼっち。どんなに男たちにちやほやされても、孤独は癒されない。胸にぽかりとうつろな穴が空いたよう。いくら仲のいい女友達だからって、自分のほんとの胸のうちなど明かせない。ときどき、むしょうに死にたくなってくる。父親の顔は知らないし、アンリには全然振り向いてもらえないし(しくしく涙顔の自画像イラスト)。

7月3*日
 ああ、もうほんとに死んでしまいたい。どうでもいいようなにやけた男ばかり寄ってきて、あたしをうるさがらせる。アンリの冷淡さはいっこうに変わらない。あれからひと月近くたつのに、事態は改善する兆しなし(絞首台で首を吊ってる自画イラスト)。

8月*日
 近々、フルムーンパーティーが催されるかもしれない。ゴアのパーティーはドラッグ・セックス三昧で有名、二年前一度だけ参加したことがあったけど、ママンの監視付きであまり楽しめなかった。ママンを何とか、ゴアから追放できないかな。野生動物保護区にいっしょに行こうと前から言われているんだけど、ママン一人だけ発たせて、あたしはここに残るってどうかな。でも、ほんとにパーティーが開かれたらわくわく、そしたら、今度こそ、ママンの目を盗んで、アンリをものにしてみせる。乱交パーティーだから、暗がりに誘惑して無理やりにでも、犯してやる。ふふふ、犯すだなんて、あたしとしたことが。でも、冷たくされた長年の恨みを果たしてやるんだ。やってやりまくってやる。そして、必ずアンリをあたしに夢中にさせてみせる。醜い中年客より、ルックスも体もあたしのほうがフレッシュだってこと、15歳のソフィの魅力を思い知らせてやる。早くフルムーンが来ないかなあ。ママンがひいきにしているガイドのトミーに、ちょうどその時分ママン野生動物保護区に行きたがってるみたいだよって、何気なく洩らしておこうかな。でも、パーティー、ほんとに大丈夫かなあ。最近、警察の取締りが厳しくなって、主催者のイギリスのお兄ちゃんも、渋い顔してた。これまでも、何度か開こうとしたんだけど、そのたびに事前にお流れになったんだそうだ。ワイロとかいろいろ根回しが大変らしい。ゴアの刑務所には、ドラッグ所持のかどで捕まっている外人旅行者が六人もいるから、みんな慎重なんだ。汚職警察なんて、バクシーシというわいろで買収できるけどね。ママンに内緒で、エディからガンジャを買った私は、夜の浜でパーティー主催仲間とジョイントした。もっと良質のチョコレート色の塊まり・ハシシや、大麻入りビールも回ってきた。お兄ちゃんのイタリア人恋人がハイになってビキニを脱ぎ捨て、気勢をあげながら海に飛び込んだので、あたしもビキニを取って、後に続いた。夕刻、アンリがレストランで若い英国女性客と親密げに話していたのがまだ癪に障っていた。むらむら湧き上げるジェラシーの炎は止まぬままだったので、裸で泳いですっきりした。アメリカの陽気な若者ジミーが追いかけてきて、ヌードで絡みついてきたので、キスとペッティングだけ許してやったが、それ以上やろうとするので必死で抗って、浜に戻った。あたしのあそこは、アンリだけもの、ここでは絶対誰にも許さない。フルムーンパーティーがどうか開かれますように。そして、アンリとの恋が成就しますように!アンリ、愛してるよ、心からのキスをこめて!

8月1*日
 毎日届くポールのメールを無視してたら、ついに国際電話があった。懐かしい声を聞くと、逢いたくなってくる。こっちにいると、アンリのことしか眼中にないけど、ポールはなんといってもあたしの初めての男、クラス中の女の子のアイドルだったポールも最初あたしに冷たかったけど、落としてやったんだ。恋人になってわかったのは、意識するあまりクールに装ってたんだとか。アンリももしかして、それかなと希望を持ったり。ママンに買われたことでも、気にしているのかなと思う。ポールがあたしが恋しいと言ってゴアに来たいと言い出したので、あたしはちょっとあわてた。両天秤かけてると、知れたら大変。ポールときたら、男のくせにあたしよりやきもち焼きなんだから。でも、今はやっぱりアンリのほうに少し気持ちが傾いてるかな。ポールはあたしのものだけど、アンリはまだだから。フランスに帰ったら、けろっとアンリのことなど忘れて、またポールといちゃつくんだけどね。あたしって浮気性、やっぱ相当のワルかな。でも、パパがいないから、愛情に飢えてるんだ……(中断)。

                                        了


自作解説はこちら。
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