インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

寒波襲来(菊水庵便り5)

2016-01-30 15:54:35 | 季節・自然
先般24-25日は暖冬から一転して寒波襲来、シベリアからの寒気団が流れ込み、風雪が吹き荒れ、一夜明けたら、窓の外は一面の雪景色、民家の黒瓦屋根には二十センチ近い雪が降り積もっていた。

金沢地元の大手紙、北國新聞によると、零下四度近く、多い所で24センチの積雪、能登はドカ雪だったとのこと、二日間犀川(雅号菊水川)のほとりの隠れ家的マンションの小部屋にこもる羽目に陥らされたが、ベランダのガラス戸に当たって弾ける強風を伴った雪の唸り声にまんじりともせずに、身をすくませていた。

郷里は福井で、雪国といえ、北陸の厳冬の洗礼に改めて晒されたわけで、それも29年インドという亜熱帯国に慣らされた身にはさすがにきつかった。

零下四度をなんとか、暖房のみで乗り切った。
風の音に怯えるとは、まるで子供だが、インドのサイクロンの威嚇的な強風にも似て、ピューピュー吹きすさぶので、精神が脅かされる。
俗に鰤起こしといわれる冬の雷も不気味に夜空に轟き、のっけから庵暮らしも大変である。12月中の暖冬であったうちは、菊水庵(隠れ処的マンションの自称)で風流を決め込んでいた私も、現実の冬の厳しさに甘い思いも吹き飛んだ。

二日間の雪嵐の後は、窓にほっと和むような青空が覗いて、雪が溶け出したが、翌日は曇天、灰色のベタ一色の窓絵、しかし、今日は昼ごろから日が差し出し暖かい陽気、崩れやすい北国の気候で明日のお天気は予想がつかないので、図書館に繰り出した。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菊水庵便り4

2016-01-23 15:10:24 | 季節・自然
やっと雪がやんだ。
今日は雪も半分以上溶けて、歩道も歩きやすく、橋上から望む雪がまだらに張り付いた連山が麗しかった。

昨夕、曇天にうっすら淡い満月が浮いて幻想的で、こんな冬の曇り空でも月が浮かぶんだなと感激した。

今月いっぱいは静養がてらの図書館通い。
本日初めて左目だけコンタクトをつけてみたが、メガネより見やすい。
いずれにしろ、近眼だった右が正視になるので、今までのメガネは使えなくなる。

完全に視力が戻るまでにはあと二週間、それでも、片目のみのコンタクトで、パソコンも図書チェックも可能だったから、あとは慣れだろう。

菊水庵での療養生活は続く。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菊水庵便り3

2016-01-21 15:30:07 | 季節・自然
当分、図書館通いが続きそうで、本日も金沢市立泉野図書館に来ている。繁華街の南町にも煉瓦の古い建物を活かした玉川図書館があるが、ここは菊水庵(自称マンション)からゆっくり歩いて三十分ほどの距離なので、ふらっとバス(片道百円、繁華街の香林坊まで)を利用する手間が省ける。

それにここには文庫があるし、インターネットも仕切り壁があって周囲に邪魔されずに使用出来る。
やっと雪が止んで、曇天ながら傘をささずに行けるのがよく、雪が溶けてシャーベット状になった歩道をスニーカーで滑らないように歩いて(ゴム長靴がないので)、たどりついたが、昨日よりずっと歩きやすかった。

菊水庵から表通りの下菊橋を渡って、寺町一丁目、泉野方面へ歩いて行くコースは散歩としてもいい。橋上からの雪景色は見事だ。鈍色の凍河の両面に白い雪野原が開け、彼方に医王山、白山のなだらかな山並みが遠望できる。

私のお気に入りの橋は、ひとつ上流の上菊橋だが、菊水庵からは両橋とも徒歩でいける。
河原の遊歩道は散歩する人、犬を散歩させる人、ジョギングする人と、お天気がいいと、にぎやかだ。お正月は、凧揚げする少年もいた。といって、人ではさほど多くなく、ゆったりした気分で河を横目に見ながら散歩できる。

犀川の色は雪に見舞われるまでは藍色で、美しかった。

先月の7日に東京に入ったから、かれこれ45日。今月は闘病もあって、あっというまに下旬になってしまった感じ。
昨夜、なかにし礼の「生きる」を読んだ。食道がん闘病記である。原因は生のストレートで飲むウイスキーである。私の叔父もこれでやられた。が、心臓の持病があるなかにしは切らない選択、陽子線治療で九死に一生を得た。が、病院にあった週刊誌の連載エッセイによると、四年後の今、再発して再闘病生活に入っているようだ。
水上勉の「骨壷の話」では、心臓病で39日間ICUに入ったエピソードが出てくる。

生老病死、について考えさせられることの多い昨今、一昨年還暦を迎えた私には、避けて通れない問題、眼病は生死に関わる問題ではないが、加齢の顕れ、老いの向こうに横たわるのは死、だ。

初詣がてら快癒祈願した菊水庵近くの藤棚白山神社で(こじんまりとした可愛らしい神社で気に入っている)、昨年が厄年だったと気づいた私、今年は昭和31年生まれの女性が厄、つまり私は厄抜け、したということ、とにかくあまり深刻にならずに楽観すること、それでも、病気が精神に及ぼす影響は大きく、それが死病となったら、ショックを受けるのは言わずもがなだ。

そういう意味では眼科病棟に流れる時間は、ガン病棟のそれとはちがって物憂い重さ、アンニュイがあったような気がする。ガン病棟だったら、緊張がぜんぜん違うだろう。ほとんどが短期入院の患者、しかし、高齢者が多く、老いの悲哀はそこはかとなくにじみ出ている。
色々と学ばせてもらった貴重な時間だっった。

時間がないので、ここに詳しく書けないのだが、近い将来、この体験を短篇小説にしたいと思っている。いい出会いもあった。人間の孤独、寂しさも改めて感じた。歳を重ねたがゆえの悲哀、そして、誰もがその先に、死を見ている。見て見ぬふりできる若さでないのだ。

ちなみに、白内障の手術は7,8分、翌日には見えるようになるが、緊張のあまり、血圧が190に上がった人や、目の手術は怖いので全身麻酔にしてくれと頼む人も現れた(医者に笑われて無論拒絶されたが)。
白内障は楽勝である。もし罹患しても、怖がらないように(私は白内障でなかったが)。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菊水庵の雪景色

2016-01-20 15:21:01 | 季節・自然
一昨日から、金沢は雪、北陸一帯寒波到来である。
ついこの間まで暖冬で、もう梅が咲いたとか騒いでいたのに、一転して本格冬。

本日はお昼ごろから日が射しだしたので、雪道の中金沢市立泉野図書館まで徒歩で繰り出した。
下菊橋から望む犀川緑地の雪景色は壮観だった。
春まで菊水庵(自称マンション、犀川の雅号、菊水川のほとりの隠れ処的小部屋という意味)にとどまるつもりなので、少しずつ春に近づき、枯れ野原が芽吹いて色づいていく移り変わりが楽しみ。
桜の季節には土手の上はピンク一色に彩られるだろう。

今は枯れ木の桜樹だが、春の華やかな転変が待ち遠しい。

一日1-2冊の割合で読書に励んでいるが、最近読んだのでは、玄侑宗久「梵行」、山田詠美「賢者の愛」がよかった。五木寛之の若いころの小説も「蒼ざめた馬を見よ」筆頭に面白い。金沢を舞台にした「金沢あかり坂」、「浅野川暮色」もよかった。なかにし礼の「世界はおれが回してる」も、作詞家だった経験が生きたエンタテイメントで昭和の歌謡史を知るに面白く、西村賢太の「痴者の食卓」、「下手に居丈高」も良書、母国藤島高校の先輩だったH氏賞詩人、荒川洋治の「本を読む前に」は辛口の文芸批評で、水上勉の「骨壷の話」は半分読んだところ。

四ヶ月で150冊くらい読めるかなとの目算。

短編小説の題材も、眼病に絡めてひとつできた。

それにしても、北陸のお天気の気まぐれさにはいまさらながら唖然。
照ったかと思うと曇り、雪がちらつき出す。
それでも、菊水庵の窓から日が差し込み始めると、ほっと寒さにこわばった体が和んで、外に出たくなる。

ミニマリスト生活を、修行よろしくエンジョイしている。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遅ればせながら新年のご挨拶

2016-01-16 13:48:17 | 私・家族・我が安宿
年が明けてから二週間以上が過ぎ、ずいぶんご無沙汰してしまった。
改めて、おめでとうございます。
29年ぶりの日本での年越しは、思いがけずマンションの向かいのお寺の除夜の鐘が鳴り出して、108の煩悩を落とすべく静聴、年越しそばとお雑煮も食べたし、いい年越しになった。

新年早々通院、目の闘病傍ら読書に耽溺、一日一冊くらいのペースで読んでいる。今現在は罹患した右目をふさいでの隻眼読書、でも、小説が面白くって読み出すと止められない感じだ。

ぼちぼち来月あたりから、観光の真似事も再開しようと思っている。

菊水庵での断捨離、ミニマリスト生活も、なかなか快適。
まだカーテンも寝具も家具、家電も揃ってない。郊外に店があるので、車が無い私は先延ばしにしているのだ。こんなとき、東京だったら便利なのにと思う。

郷里の福井にも先月と今月、二度市役所の手続きで顔を出し、親族と旧交を温めた。

病気のときに頼りになるのは、なんといっても身内である。
ありがたいなあと、サポートに身にしみて感謝している次第。

インドの家族もしかり。
心配させてしまったが、精神的には元気なので、電話やメールで頻繁にコミュニケーションをとっている。

それはさておき、
本年も、拙ブログをご愛読のほど、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。

*パソコン設備が整っていないため、記事は頻繁に送れないが、ご容赦のほどを!
インドに戻ったら、ご報告することがたくさんある。春をお楽しみに。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする