日中蒸し風呂のようなオフィスで原稿を打った後、夕涼みに浜に出た。
雲が、水平線に黒々と垂れ込めていた。
そのうち天からぽつぽつと雨粒が落ちだし、傘を持ってない私はあわてた。
椰子の葉で編んだパラソルが六つ、五つ星ホテル前の砂浜に並んでいるので、いざとなったら、あそこで雨宿りしようと、足を伸ばした。
ところが、雨はぱらついたのみで止んでしまい、満潮の海に足を浸して涼むうちに、黒い雲もいつのまにかきれいに吹き払われ、夕日が背後の地平線上に顔を出した。
サフランオレンジに燃える落陽には、一筋の雲がかかっていた。
波打ち際では、たくさんの海水浴客が戯れていた。
日が半分沈んだところで、きびすを返す。
途上の民家が、結婚式の準備だろうか、黄橙色のフリル状の電飾で一面に飾られ、軽快な打楽器に合わせて音楽が流れてきた。
火炎樹の下を潜り抜けて、戻る。
朱色に彩られた地にかがんで、花びらを一枚拾った。
赤みがかった橙だ。
桜の花弁より、ずっと大きい。
熱帯桜真っ盛りの今は、雨季の近いことを告げる印でもある。
戻って、マンゴーをむさぼった。
熟れて甘く、乾いた喉を滑り落ちる。
ベランダに出ると、空が燃えていた。
オレンジからピンク、藤色へ変幻する夕空の高いところに、おぼろに半月がかかっていた。
もう少し浜にいればよかったと悔いながら、そのままそこに立ち尽くして、夏の上弦の月を仰ぎ続けた。
雲が、水平線に黒々と垂れ込めていた。
そのうち天からぽつぽつと雨粒が落ちだし、傘を持ってない私はあわてた。
椰子の葉で編んだパラソルが六つ、五つ星ホテル前の砂浜に並んでいるので、いざとなったら、あそこで雨宿りしようと、足を伸ばした。
ところが、雨はぱらついたのみで止んでしまい、満潮の海に足を浸して涼むうちに、黒い雲もいつのまにかきれいに吹き払われ、夕日が背後の地平線上に顔を出した。
サフランオレンジに燃える落陽には、一筋の雲がかかっていた。
波打ち際では、たくさんの海水浴客が戯れていた。
日が半分沈んだところで、きびすを返す。
途上の民家が、結婚式の準備だろうか、黄橙色のフリル状の電飾で一面に飾られ、軽快な打楽器に合わせて音楽が流れてきた。
火炎樹の下を潜り抜けて、戻る。
朱色に彩られた地にかがんで、花びらを一枚拾った。
赤みがかった橙だ。
桜の花弁より、ずっと大きい。
熱帯桜真っ盛りの今は、雨季の近いことを告げる印でもある。
戻って、マンゴーをむさぼった。
熟れて甘く、乾いた喉を滑り落ちる。
ベランダに出ると、空が燃えていた。
オレンジからピンク、藤色へ変幻する夕空の高いところに、おぼろに半月がかかっていた。
もう少し浜にいればよかったと悔いながら、そのままそこに立ち尽くして、夏の上弦の月を仰ぎ続けた。