インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

奴隷労働をテーマにした人気ドラマ

2015-02-28 21:57:34 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
インドの衛星放送カラー(Colors)で今人気なのが日曜を除くメインタイム、午後八時から三十分放映されている「ウダーン」(Udaan、飛翔)
チャコールという鳥の名を冠した幼女が主人公(演じるのは6歳のSpandan Chaturvedi) だが、子役の名演技で人気の的。妹のイムリ役のTasheen Shahも可愛いし、地主の弟の溺愛する息子役のRajiv Kumarは、チャコールをサポートするブヴァン役で、キュートなコンビ(以下の動画でクリシュナ神のお祭りのとき、クリシュナと牛飼いの娘ラーダに扮した幼い男女コンビ、とくにチャコールの可愛い婚礼衣装が見れます)、長じてから、この二人が恋人になるだろうとの予測は今からつく。

チャコール役の子役がキュートで大人気


ウッタルプラデシュ州の村が舞台。チャコールの父母は極貧の百姓で地主(ザミンダール)からの借金のかたに長女が生まれたとき、いずれ奴隷として地主の豪邸で仕えるという約束で、手首にその印の丸い焼印をされる。
鎖につながれて下働きに明け暮れるチャコールはけなげにも苛酷な運命に耐えて、飛翔するという社会的なドラマだ。

今現在、地主のオーナーが地方選挙に出馬したときのマニフェストとして、学校を建設して村の子供たちを全員通わせるとの約束を反故にしたことで、チャコールはじめの子供たち、父母らの村人たちが、マハトマ・ガンジーの反英闘争の断食にならって、ハンガーストライキを行っているところ。

しかし、その渦中でチャコールのよき理解者だった地主の母(敬虔なガンジー主義者)が、悪党の地主の弟がチャコールを付けねらった銃弾に倒れてしまう。弟は誤って自分の母を打ってしまったわけで、狼狽して大号泣する。
チャコールの必死の祈りの甲斐あって、息絶えたかと見えた彼女は息を吹き返すのだが、今後どういう展開になっていくのか楽しみだ。

昔は大家族制度の嫁姑や一族のいさかいをテーマにしたいわゆるソウプオペラ(メロドラマ)がドラマの定番だったが、近年風潮が変わりつつある。

子役のスパンダン・チャトゥルヴェディがキュートで、今インドで大人気の社会派ドラマである。

*Bonded laboursはインドでは今でも社会問題になっており、当オディッシャ州だと、貧困者が児童も含め、富裕な州に出稼ぎに出て、煉瓦焼き工場で重労働、食事も給与も満足にもらえず、つながれた牛馬のように働かされている実態が争議をかもしている。救済して連れ帰ったとのベタ記事もよく載る。
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岡本かの子の芥川龍之介観

2015-02-28 18:11:07 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
昨夜、青空文庫で有島武郎や太宰治、岡本かの子を読んだが、岡本かの子の「鶴は病みき」が秀逸だった。

芥川龍之介(作中名は麻川荘之介)との生前の親交、偶然避暑で借りた鎌倉の宿H屋(芥川が昭和2年7月24日に不慮の死を遂げる5年前、岡本かの子姉妹と同宿したのが、鎌倉雪の下の平野屋旅館だった)で大物作家と隣り合わせたときの、かの子と思われる主人公葉子が観察した気鋭作家の風貌だが、後年自殺に至った理由の片鱗をうかがわせるものがあり、作家のつぶさな観察眼が生きた小品(芥川自殺の8年後昭和11年6月に文学界に発表)である。

以下あらすじの一部引用。

大正12年7月、葉子一家は避暑のため鎌倉H屋の別荘の一棟を借りた。偶然にも廊下続きの隣の一棟が高名な麻川荘之助が借りていることを知ってはっと驚く。麻川荘之助と言えば、葉子にとってかなり眩しいような小説道の大家で、はっと胸にこたえるものがあったのは、葉子の内側に稚純な小説崇拝性が内在しているからであった。葉子には、かって習作小説を見て貰おうと氏に出した手紙が黙殺されてしまったことへの恨みがましい気持ちや、X婦人の美貌を激賞する氏の審美眼に不愉快を感じたことなどへのわだかまりがあった。略……

その鎌倉時代から五年の歳月を経て、神経衰弱の病状が進みつつあった芥川と熱海に向かう電車内で再会したときの目を剥く変貌、それを病んだ鶴にたとえているのだが、以下圧巻とも言える箇所をかいつまんで引用しよう。

昭和二年の早春、葉子は、一寸した病後の気持で、熱海の梅林が見度くなり、良人と、新橋駅から汽車に乗った。すると真向いのシートからつと立ち上って「やあ!」と懐しげに声を掛けたのは麻川荘之介氏であった。何という変り方! 葉子の記憶にあるかぎりの鎌倉時代の麻川氏は、何処か齲ばんだ黝(うずくろ)さはあってもまだまだ秀麗だった麻川氏が、今は額が細長く丸く禿げ上り、老婆のように皺んだ頬を硬ばらせた、奇貌を浮かして、それでも服装だけは昔のままの身だしなみで、竹骨の張った凧紙のようにしゃんと上衣を肩に張りつけた様子は、車内の人々の注目をさえひいて居る。葉子は、麻川氏の病弱を絶えず噂には聞いて居たが、斯うまで氏をさいなみ果した病魔の所業に今更ふかく驚ろかされた。病気はやはり支那旅行以来のものが執拗に氏から離れないものらしい。だが、つくづく見れば、今の異形の氏の奥から、歴然と昔の麻川氏の俤(おもかげ)は見えて来る。葉子は、その俤を鎌倉で別れて以来、日がたつにつれどれ程懐しんで居たか知れない。葉子の鎌倉日記に書いた氏との葛藤、氏の病的や異常が却って葉子に氏をなつかしく思わせるのは何と皮肉であろう。だが、人が或る勝景を旅する、その当時は難路のけわしさに旅愁ばかりが身にこたえるが、日を経ればその旅愁は却ってその勝景への追憶を深からしめる陰影となる。これが或る一時期に麻川荘之介氏という優れた文学者に葉子が真実接触した追憶の例証とも云えよう。中略……

氏は立ち際に「あなたが二度目に××誌に書かれた僕の批判はまったく当って居ます有難かった。」と云った。それは鎌倉以後三四年たった時分葉子が××誌から書かされたもので「麻川氏はその本性、稀に見る稚純の士であり乍ながら、作風のみは大人君子の風格を学び備えて居る為めにその二者の間隙や撞着矛盾が接触する者に誤解を与える。」こんな意味のものだった。葉子がより多く氏を理解して来たと自信を持ち出した頃のものだった。
 汽車から降りてはっきりした早春の外光の中に立った氏の姿を葉子は更に傷ましく見た。思わず眼をそむけた。頭半分も後退した髪の毛の生え際から、ふらふらと延び上った弱々しい長髪が、氏の下駄穿ばきの足踏みのリズムに従い一たん空に浮いて、またへたへたと禿げ上った額の半分ばかりを撫なで廻まわす。
「あ、オバ○!」
 不意の声をたてたのは反対側の車窓から氏を見た子供であった。葉子は暗然として息を呑のんだ。
「すっかり、やられたんだな。」
 葉子の良人も独言のように云ったきり黙って居た。

 その日の夕刻、熱海梅林の鶴の金網前に葉子は停って居た。前年、この渓流に添って豊に張られた金網のなかに雌雄並んで豪華な姿を見せて居たのが、今は素立ちのたった一羽、梅花を渡るうすら冷たい夕風に色褪た丹頂の毛をそよがせ蒼冥として昏れる前面の山々を淋しげに見上げて居る。私は果無げな一羽の鶴の様子を観て居るうちに途中の汽車で別れた麻川氏が、しきりに想われるのであった。「この鶴も、病んではかない運命の岸を辿るか。」こんな感傷に葉子は引き入れられて悄然とした。


本作で改めて、かの子の作家としての腕を見直したわけだが、押しも押されぬ文壇の大家をよく見ているというか、的確な観察力には恐れ入る。まさしく見透かされるような鋭さだ。
駆け出しの作家である私には非常に勉強になったし、芥川龍之介をモデルにした作品とのことでいまだに世評の高い旧作をただで読めて重宝した。

「鶴は病みき」岡本かの子

そう長くない作品なので、興味のある方はぜひ全編をご一読いただきたい。
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エレキギターへの憧憬(写真入り)

2015-02-28 16:14:01 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
一昨日、何年か前日本人旅行者が置いていったエレキギターをチェックしてみた。



黒と白のコンビの機体(ボディ)、持ってみると、重い(以下、ギター入門ページの「初心者の女性におすすめのエレキギターの重さの話」参照)のにびっくり。
さお(ネック)の上部(ヘッド)にJAVAとあるが、これはメーカー名のようだ。



黒いズック製のケースにも、JAVAと白字で大きく銘打たれていた。
前のポケット部分を開けると、アンプにつなぐためのコードが出てきた。



右端に差し込む箇所があったので、つないでみた。コードの先をアンプにつなげばオーケーだが、アンプはない。インドでもその気になれば、手に入るだろうが。


それにしても、エレキギターがこんなに重いものだとは、知らなかった。

ネットで調べてみると、四キロ前後とある。

ライヴコンサートでギタリストはこんな重いものを肩から提げて、演奏のみならず飛び跳ねて踊るのだから、体力がないととても持たない。ベースはもっと重いそうで、そこいくと、ドラムとか電子ピアノ&オルガンはプレーヤーの体力の負担にならぬから、ずっと楽だ。

また音楽ものが書いてみたくなって、楽器、とくにギターについてちょこちょこ調べているのである。知人の自身も高校時代からバンド歴のある作家仲間Y氏が最近、電子ピアノを購入されたとかで(有名なAria社のSBギターも四機所有)、ユーチューブで探して聴いてみると、シンセサイザーがかった電子音なのでポップスによく合う。ウイキによると、音程がきわめて正確で温湿度や経年変化の影響をほとんど受けず、定期的な調律の必要がなく、軽量で安値が美点、が、本物のような音の豊かさや広がりはないとのことだが、ジャズのピアノが好きな私には、ピアノとあまり変わらない音色にも聞こえて、なかなか。

ちなみに、ラップミュージック活動に従事している息子はキーボードを買って、自前で練習しているようだ。

さすがに私は楽器演奏はだめで、目で見て楽しむ、もっぱら聴くだけだが、ギターには惹かれる。以下は、布袋寅泰、知る人ぞ知る伝説のロックバンド、BOØWY(ボウイ)の名ギタリストのライブ演奏(恋をとめないで 布袋寅泰)、ボウイのボーカルは有名な氷室京介だったが、この1981年結成のバンドは音楽関係者の間で「ボウイ以前ボウイ以後」といわれるほど、伝説的な名バンドだったのである。以下、ウイキから一部引用。
その音楽性、「誰にも似ない」「何処にも属さない」というバンドスタイル、メディアをほとんど利用しない強気な姿勢、斬新なビジュアル、絶頂期での解散、後に起こるバンドブームの火付け役となり、全国に数多くのロックキッズを産むなど、BOØWYボウイが及ぼした影響は絶大である。解散後も、ベスト・アルバムや未発表音源がリリースされると常にチャートの上位にランクインしており、今日もなお日本のロックシーンに変革をもたらしたバンドとしてその地位を確固たるものとしている。
音楽雑誌等ではしばしば「 BOØWYボウイ以前」「BOØWYボウイ以後」と表記され、フォロワーと呼ばれるバンドやミュージシャンも数多く登場している。


以前紹介したボウイの「わがままジュリエット」でも際立っていた布袋寅泰の白黒の幾何学模様のギター、画面で見ると、フェルナンデス社製ギターは薄型で軽量にも思えるのだが、実際持ってみたときのずしりとくる重量を思い出し、長身とはいえスリムな男性があんな重いもの提げて鳴らして歌って、飛び跳ねていたんだと驚きである。
ライブ中は汗びっしょり、ライブ後は肩とか痛くなるのだろうなと、勝手に想像してしまった。でも、ステージで乗っているときは神がかり的で、楽器の重さなど気にならないのだろう。ニューヨークライヴ中(恋をとめないで)の客席は熱狂的男性ファンが多く、総立ち。歌とルックスは、氷室京介に劣るが、このギターの腕前にはびんびんしびれる。

なお、布袋は作家の小池真理子ファンで、コラボでコンサートのパンフレットに「闇のオンディーヌ」(男装の麗人風恋愛詩人、吉原幸子が同じ題の詩を書いていたっけ)という掌編も書いてもらっている。2000年リリースされた『fetish』(フェティッシュ)は彼の7枚目のアルバムだが、本作を受けてのツアーを『HOTEI ROCK THE FUTURE 2000-2001 "FETISH"』と銘打ち、2000年12月20日の日本武道館を皮切りに全国14都市21公演を行ったときのパンフレットだ。

小池真理子は、日ごろお世話になっている遠縁の直木賞作家、藤田宜永の作家妻で、「恋」で直木賞を受賞(1995)したことは皆さんご存知のはず。美人作家とつとに名を馳せた女流だ。男性にはわりと小池ファンが多く、私も何冊か読んでいるが、彼女の美意識は芸術家タイプの男を惹きつけるだろうなと思う。わがミステリー系作家仲間にもファンがいる。作品も作者も共に美しいのだから、プレーボーイで鳴らす布袋寅泰が焦がれないはずはない。
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ブラジルの精神世界作家の不倫小説

2015-02-25 00:00:35 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
パウロ・コエーリョというブラジル生まれの精神世界をテーマとする作家のことは、「アルケミスト」の世界的ベストセラーでご存知の方も多いと思う。
彼の最新作をご紹介したい。

昨年十一月末、日本に一時帰国のためのバンガロールへ向かう夜行列車の途上、読んだペーパバック「Adultley」(姦通)だ。
息子はパウロのファンで、途上の駅の屋台ブックスで平積みになっていた同書を手にとって買おうかどうしようか迷っていたので、私も読みたいから、買えと勧めたのである。

で、車中、最初に読み出した私のほうがはまってしまって、バンガロールに入ってからも、宿で合間を見て読んで、出発日の前日に読み終えて催促していた息子に手渡したのであった。

精神世界がテーマの作家には不謹慎といえなくもない、姦通をテーマにした小説で、これは結婚してそれなりの年月が過ぎた人妻でないと、理解できない内容で、たぶん息子には読んでもあまりいいと思われないのではないかと思ったが、結婚して27年たって昨今きな臭い?ロマンスもちらほらの私には、オーバーラップするところがあり、不倫に走る人妻の心理小説として楽しめた。

英語は平易で読みやすい。不倫にのめり込んでいく人妻の心情がよく描かれている。
日本ではまだ、翻訳されていないようだが、英語に強い人は、洋書をお薦めする次第。

三十代の孤独な倦怠期に入った女主人公の不倫相手は今は政治家となった高校時代の同級生。ペッティングまでいった、いわゆる恋の真似事をしたクラスメートだった。私の昔の恋人が今政治家だし、半年ほど前老いらくの恋の相談を受けたJの相手が高校時代の初恋の女性であって、なんかだぶって、身につまされる思いで一気読みしたのである。

まだ独身の息子には、この結婚して倦怠期を迎えた人妻の気持ちはわからないだろうなと思いつつ、結局、母の私が息子から先に奪う形で読み出してはまってしまった小説であった。性描写もなかなかそそる形で表現されていたし、不倫を経た後の、つまり乗り越えた後の主人公の成長も、精神世界作家ならではの手腕でよく書かれていたと思う。

この小説について書かなくてはと思っていて、帰国前後のあわただしさに紛れてすっかり忘れていたので、遅ればせながら今書評をアップする次第。

いわゆるポルノではなくて、不倫する人妻の心理が鮮やかに描かれた小説で、作者は男だが、女の気持ちがよく書かれていると思った。

世界的ベストセラーの「アルケミスト」も、原書で読んで感激したが、パウロ・コエーリョは改めて達者な作家だと思った次第である。
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メキシコが舞台のアクション洋画

2015-02-23 22:07:41 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
久々に洋画を観た。
「Once upon a time in Mexico」という原題で、日本では『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』として、2003年に封切られらたアメリカ映画(動画予告編)。
ニュースを見流していて、コマーシャルの合間に洋画チャンネル(HBO)をチェックしたら、異国情緒たっぷりの画面が現れ、原題でメキシコとわかったので、鑑賞することにしたのだ。

ロバート・ロドリゲス監督の『マリアッチ』三部作の『エル・マリアッチ』(1992年)、『デスペラード』(1995年)に続く第3弾めのシリーズものらしいが、私は前二作は観ておらずこれが初めて。

以下、ウイキのあらすじ。
「ギターケースを抱えた伝説のガンマン、エル・マリアッチ(アントニオ・バンデラス)は愛する女性、カロリーナ(サルマ・ハエック)と幸せに暮らしていたが、マルケス将軍に彼女を殺され、今は悲しみの中ひっそりと暮らしていた。その頃、メキシコ国内は不穏なクーデター計画に揺れていた。このクーデター計画の鎮圧に乗り出したCIA捜査官サンズ(ジョニー・デップ)はマリアッチの噂を耳にすると、彼にクーデターの首謀者である麻薬王バリーリョと憎きマルケス将軍の暗殺を依頼する。しかし、サンズ自身にも策略があった。」

メキシコの光と影のくっきりしたエキゾチックな風土を舞台に、マリアッチ(メキシコの楽団、主人公の名前でもある)のギターによる哀愁を帯びた旋律BGM、アクションものといっても、クーデターや革命がらみの暗い色調のエスニック映画、麻薬王や軍との私闘で銃も乱発され(ギターケースから銃がぶっ放されるシーンが味噌)、人がたくさん死ぬのだが、興をそそられる。

死者の日祭りが背景の画面は、骸骨の仮装をした一団が行進し、カルチャー色豊か。メキシコでは祖先の骸骨を祭壇に飾ったりするのだそうだ。マリアッチの麦藁帽ゾンブレロに刺繍のある民族服、一時代前を思わせる犯罪の匂いがうごめく暗い町並み、テキーラとバー、背景を見ているだけで楽しい。

メキシコは一度は行ってみたい国だけに、目で見る旅情報としても重宝した。

堕落したFBI捜査官をジョニー・デップ(ご存知、「パイレーツ・オブ・カリビアン」で超有名なスター、ミュージシャンでもある)が演じているのだが、主役のアントニオを食う名悪役。麻薬王と軍の絡む大金狙って、マリアッチを刺客に雇ったが、過程で両目玉をくり抜かれ、サングラスの下から流血の跡をおびただしく引きながら、土地の少年を盲導犬代わりに銃を放射(動画)、最後は左の義手の下に隠した本物の腕の銃で裏切り者の愛人に一発見舞う。

主役のスペイン出身男優、アントニオ・バンデラス(怪傑ゾロでも有名)が霞む名演技で、スタイリストでニヒリスティックな美男振り、ストローハットに羽がついた帽子が素敵で(ハット愛好家でコレクションで二部屋が埋まるとか)サングラスとはまり、注目した。
なお、メキシコ出身女優として有名なサルマ・ハエックは、本作ではちょい役、回想シーンにしか顔を出さない。
あと、脇役として、若い頃セクシーな美男振りで女性に人気のあったミッキー・ロークが出演していたのだが、後で調べてわかったことで、劣化が激しく、私にはあのチワワを抱いたカウボーイハットの小太りの男(麻薬王の手下)が、かのミッキーであったとは思いもよらないことだった。
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男と女の齟齬

2015-02-22 20:21:30 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
半年ほど前に恋の相談を受けたJにバレンタインの挨拶メールがてら、改めて私自身の体験から女が昔の恋人から突然連絡を受けて沈黙を押し通すことの心理分析を綴った文面を送った。

Jからの相談の内容は、結婚の約束をしたが親の反対などの環境で引き裂かれた高校時代の同級生K子への想いが再燃し、メールや手紙を何通か送ったが、彼女からはなんの返事も来ない、心理を分析して欲しいとの頼みだった。

そのときは、それなりに真剣にJから転送されてきた彼女宛のメールを読み込んで分析、返事を送ったのだが、つい一月ほど前似たような境遇に自分が置かれたことでより彼女の気持ちが理解できたような気がして改めて送ってみたのだ。

以下は、私が書き送ったメールの一部引用。

「昔の恋人からメールをもらったのが先月**日、結局、私自身もこのひと月近く悩み迷いながらも返信せずにきました。ヴァレンタインデーがデッドラインかと思っていましたが、このまま無言を押し通すことになりそうです。

返信したい誘惑にかられ、夜も眠れぬほど悩みましたが、結局、自分と家族を守ったということかな。本心は出したいんですけど、結局過去の幻想に酔ってるだけのことだし、三十年もたってしまうと、昔の彼じゃないんですよ。そうはいっても、想いを遺しているから心は動くわけで、成就しなかった恋でもあり、そういう意味からも応じたいわけで、その気持ちを抑えるのにかなり葛藤しました。

だから、K子さんも、初恋の人ということでJさんに想いを遺していたなら、相応に呻吟、懊悩したはずです。
出すべきや否やでは葛藤したはずです。

まあ、いまさらどうしようもありません。返信するにしろ、何を書いていいかわからないという思いもあったでしょうし。パンドラの函、を開けてしまいたくなかったんだと思います。

交流が復活したところで、互いに互いの家族やキャリアもあるし、不毛ですよ。

だから、返信しなかったK子さんを恨まずに、許してあげてください。

私自身、返信したいという奔流のような本音をせき止めるのにかなり苦しい思いをしました。
でも、これでよかったのだと思います。
結局は、過去の遺物ですからね。
過去か、現在かで、現在を選んだのだと思います。
前を向いて進むためにも。
三十年前にはいまさら戻れません。 」

それに対して、Jから返信が来て、あなたの言葉がそのまま彼女からのものだったなら、ぼくはこれですべての決着がつけられた想いがして安堵できたことだろうが、それは結局あなたの想いでしかなく、たとえ彼女が同様の感情を抱いていたとしても それはぼくに伝わってくるわけではなく、やはり あなたの想いはあなただけのものであって そこからは彼女の想いは「推測」しかできないというジレンマが残ってしまう、とのことだった。
それから、お返しの意味もあったのだろうが、沈黙を押し通された私の元恋人の心理を分析し、行動を起こした男の側としては沈黙を守られるとつらいものがある、もし返信するや否やで夜も眠れず悩んだあなたの本心を彼が知ったら、狂喜しただろうにと書き添えられてあった。

それで、封じ込めたはずの想いがまたぞろくすぶり出して、複雑な心境にある今。

返事を期待してのメールだったはずだから、男を失望させてしまったことは間違いない。つらい思いをさせたといわれると、そうなのだろうかと気になり出し、われながら未練たらたらで情けない。Jが奇しくも言ったように、外面的には返事を送らなかったのだから、私が悶々と苦しんだことは彼に伝わってないわけで、冷たくあしらわれたととられてもしかたがない。

恋愛中は女のほうがロマンチックで、男のほうが現実的、別れた後は男のほうがロマンを追い求め、女が現実的になるものかもしれない。

昔の関係が復活して、ダブル不倫でなく、ダブル再婚になる、ファンタジーのような物語を書いてみようかとふと思った。小説家には、現実には成就しなかった恋をこのようにハッピーエンドにも出来るのだから、果報者といえないこともない。

*一連の出来事を同人進行で綴ったヴァーチャルラブがテーマのE短編、「パンドラの函」は以下から通読できます。今月中に未公開になりますので、まだお読みでない方はどうぞ。臨場感溢れる熟年男女の再燃による往復メール&チャット交歓、ご一読いただけると、幸甚です。
小説「パンドラの函」

併せて、好評既刊の
「涅槃ホテル」(李耶シャンカール、ブイツーソリューション、1200円+税)
もご購読いただけますと、幸甚です。
女の愛欲と乾いた情念を縦糸に、前世回帰の異空間を横糸に紡いだ、インドが舞台のエキゾチックなラブストーリー、著者のインド移住の動機となった恋愛事件をモデルにした臨場感溢れる自伝小説です。
王宮ホテルで繰り広げられる甘美で狂おしい情事、世紀の激恋物語はおかげさまで、好評を博しています!

「涅槃ホテル」(李耶シャンカール、ブイツーソリューション、1200円+税)
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八十年代のキュートなバンドボーカル(動画)

2015-02-21 01:07:51 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
本日、ネットラブがテーマの百枚前後の作品を脱稿したので、缶ビールで独り乾杯、昔の歌をいろいろ聞いていて、懐かしい曲を見つけたので、ご紹介。

チェッカーズ、グループサウンズ時代からは少し外れるが、私が日本にいた頃ヒットしたバンドである。ボーカルの藤井フミヤが可愛かったなあ。

ウイキで調べてバンド解散後もソロ歌手としてヒットを飛ばし、デザイン面にも優れ、俳優としても活躍、いまだに健在なことを知った。
以下、私と同世代前後の方、懐かしい曲をどうぞ。

ジュリアに傷心

ギザギザハートの子守唄

氷室京介も硬派の不良だったらしいが、藤井フミヤも不良だったらしい。
氷室京介は、藤井フミヤに楽曲も提供している。
音程がぶれないことで名高いフミヤ、可愛かったなあ。
小柄でキュートなルックス、チェッカーズはわりと好きだった。
今聴いてみると、「ジュリアに傷心」、いいですね。
以下は、中盤から中森明菜とのデュエット。明菜も純真可憐で、お宝版。

祝 30周年 藤井郁弥 & 中森明菜 ジュリアに傷心

「ギザギザハートの子守歌」も乗りがいい。
結構好きだった。

ベレー帽が可愛いフミヤ、懐かしいな。
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大物ロック歌手の引退宣言(動画)

2015-02-20 21:18:59 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
久々に音楽ネタ。
昨年七月、ライヴコンサートで引退宣言をした大物ロックミュージシャン、氷室京介(1960年生まれ)について。
以下、ウイキから一部引用。

1982年、氷室狂介の名前で、ロックバンド・BOØWYのヴォーカリストとして、アルバム『MORAL』でデビュー。1987年12月24日、およそ6年の活動期間を以てBOØWYは解散する。 1988年、シングル『ANGEL』でソロデビュー。同年オリコン年間順位8位となった。 1994年、ロサンゼルスに創作拠点を置く。ロサンゼルスという環境を生かして、外国人エンジニア、アーティスト、ミュージシャン等に自らオファーをし、自らをプロデュースするという形をとっている。

私がインド移住したのは1987年、そのため氷室京介という名前だけは知っていたが、音楽は聴いたことがなかった。たまたま知己を得た音楽通の作家Y氏の紹介で改めて知って、以来折にふれユーチューブで聴いている。以下二曲を紹介したい。

独りファシズム
作詞は泉谷しげる、こちらからどうぞ

わがままジュリエットBOØWY(ボウイ)のボーカル時代です。乗りがよくてお気に入りの曲、布袋寅泰のエレキギター(フェルナンデス社)の手書きの白黒幾何学模様に注目!>

ちなみに、33年間音楽活動を続けてきたヒムロック(氷室京介の通称)の引退宣言の理由は難聴らしいが、ミュージシャンにとっては職業病のようなものらしい。そうだよな、四六時中大音響に鼓膜を曝していれば、耳もやられる。
今でも武道館でコンサートをやれば何億と稼ぐ(2011年6月の東京ドームにおける東日本大震災復興支援ライブ<動画ではすごい熱狂!>では興行収入7億円を全額寄付)といわれる大物ロック歌手の引退宣言は、熱狂的なファンたちに大衝撃を与えたようだ。

*ラップミュージシャンとして活躍中の息子も暇さえあれば、イヤホーンでミュージックを聴いているので、耳をやられないかと常々心配していた私だが、早速SMSで警告した。インドは騒音被害の甚大なる国で、ミュージックは大音量で鳴らすものと相場が決まっているし、ライブコンサートでは耳をつんざく大音響だろうから、ちょっと心配。来月中旬所用で帰郷、その後デリーでショーが控えている。新作ラップもまもなく公開となるので、拙ブログでみなさんにご紹介できると思う。
息子(サミール26歳、芸名ビッグ・ディール)はITエンジニアの傍ら音楽活動に従事(以下自作自演のラップ、Be The Change、黒のベースボールキャップにサングラスが息子です)、南インドのIT都市バンガロールをベースに、インド全国ライブコンサート周遊中。
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幼い姉弟の戯れる浜(写真)

2015-02-19 21:27:37 | 季節・自然
日中は初夏の兆し。
二月も下旬に入って、ずいぶん気温が上がった。
今日はまだ日の高い四時過ぎ、停電タイムを利用して浜に出た。

退潮で波打ち際の砂が広範囲に顕われ、ひたひたのうしおが押し寄せる中をたくさんの人が戯れていた。

破壊と創造のシヴァ神のお祭りで祝日だったこともあるかもしれない。

のどかに海辺を楽しむ家族連れの姿が目立った。

以下、本日撮った写真。



浜へ向かう途上の邸宅の塀にしなだれかかったブーゲンビリアが鮮やかだった


引き潮で広範囲に汀があらわになって、平らかに伸された砂の上は素足での散策にはもってこい



波打ち際で戯れる幼い姉と弟。こんな時代があったと、遠い昔を思い出し、微笑ましくなる




聖なるベンガルの白浪
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マドンナを上回ったインド首相の上着、オークション値で八千万以上!

2015-02-19 14:51:46 | 政治・社会・経済
拙ブログで、先月25日のオバマ米大統領を招聘した共和国記念式典で、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が日本円にしておよそ190万円(10ラーク、lakhは10万ルピーの単位)もの自名のストライプ刺繍入りの贅沢なバンドガラ(bandhgala、別名ネルージャケット、初代首相ネルーが着用した詰襟風丈が長めのローカル上着、政治家の正装としても有名)ジャケットを着用したことは既に述べたが(以下関連記事)、浪費に政敵やメディアの非難が高まっていた折(首都デリー選の敗因とのうわさも)、このたびグジャラート州のスーラトのオークションに出されることになり、富裕な実業家諸氏からなんと1クロール(croreは1000万ルピーの単位)以上、日本円にして二千万円を上回る高値がつけられた。

最終的には、四千万円までいくのではないかとの予想が出ていたが、なんと4.31クロールと、日本円にして約8100万円もの超高値で落とされた。買い手はスーラトベースの富裕なダイヤモンド商の父子(父のLaljibhai Patelは、3800人の労働者の勤務する工場に飾るとのこと)。実はデッドラインを二分過ぎてから、5クロールと、9500万円までせり上がったが、時間切れで4.31クロールで決着した。
なお、売上金はガンジス河美化運動の資金に回されるとのことで、買い付けた親子はガンジス河をひときわ崇め、毎年リシケシ(ガンジスの清らかな源流が注ぐ北インド山間の聖地)を訪問している熱心なヒンドゥ教徒でもあったため、美化運動の資金となることをひとしお喜んでいた。

このほか、モディ首相が昨年11月の訪豪時、オーストラリアクリケット協会からプレゼントされたTシャツはじめ、この九ヶ月の外国訪問で贈られた455品目に及ぶギフトも併せて、オークションに出された。

それにしても、モディ人気を実証するような、目玉の飛び出る値段、原価の四十二倍以上になったということだから、すごい!

マドンナのジャケットですら$252,000、ブルース・リーのそれは$77,000で落とされたわけだから、はるかに上回る高値で、経済繁栄を謳歌する昨今のインドのマネーパワーを見せつけた感じだ。
コメント
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