インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

ベンガル湾季節便り/今年最後の落陽

2011-12-31 20:27:20 | 季節・自然
五時前勇んで浜に出た。
2011年の夕日の見納めだ。
南のタミールナドゥ州のサイクロンで低気圧が発達し、雨のちらつく曇天が続いていたが、今日は嵐が通過したようで晴れ渡り、比較的暖かな一日だった。

夕日が拝めそうだと期待して出かけたが、西の汀の上空には灰色の分厚いうろこ雲が湧きあげ、入日は隠れてしまっていた。
雲の隙間から、オレンジの光が洩れいるのみだ。
少しがっかりして、行楽客の集う大年の渚を歩きだす。
素足に冬のうしおは冷たい。
ヨットパーカー一枚のみでは、海風の吹き抜ける浜はやや肌寒かった。

冷たい潮をものともせず、二名の男性が沐浴し、波と戯れていた。
オリーヴ色の海面に時折、ジェット気流のような小波が伝わり走る。
西の空のうろこ雲がほんのり色づき、濡れた砂上に映し出された。
平らな砂鏡に反映する雲の帝国、白と灰色とピンクのまだら模様は、タピストリーのようにきらめく。まるで踏みしめる足の下にもうひとつ別の国、おとぎの城が屹立しているようだ。

雲の隙間から洩れいる光はオレンジから濃いピンクに変わったが、依然としてベールの下から沈む太陽が顔をのぞかせる気配はない。雲がぱかりと割れて全貌を覗かせないかしらんと虚しい願望を寄せたが、三分の一程度紗越しにおぼろに覗いただけだった。
洩れいる光と彩雲を反映して、オリーヴグリーンの海原がローズ色に照り映える。
波打ち際もなまめかな桜色にきらめいていた。

らくだが二匹と、白馬が一匹、いずれも観光客用の乗り物だが、通過していった。
うち、一匹のらくだが途中で停まり、客をキャッチ、父と幼い娘がはしごを使って上り、鞍に納まった。下で見守る母が記念撮影、私も便乗して、シャッターチャンスとばかり携帯で撮った。

ふと西の方角に向き直ると、雲に覆われた下空に一条の赤い縞が亀裂を生んでいた。細いあるかなきかの雲の隙間から、朱(あけ)の入日が洩れているのだ。
鮮やかな珊瑚色に洩れいる光に、今年最後の落日の端緒を見たような気になって、感激、そのまま立ち尽くし、今年も堪能させてくれたラスト・サンセットに敬礼、水平線の上はぼかしたような臙脂、その上に色づいた筋雲が二、三条尾を引き、東に向き直ると、海上は淡いピンクに染まり、藤色の雲が浮かんでいた。
すみれがかった桜色のさざなみが押し寄せる中、今年最後の浜辺を満喫し、ゆっくり戻った。
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ハッピー・ニュー・イヤー!

2011-12-31 20:11:05 | 私・家族・我が安宿
今日はいよいよ2011年最後の一日。
今現地時間午後八時二十分。
インドとは三時間半時差があるので、日本ではあと十分ほどしたら、年明けだ。
除夜の鐘を聞いて、年越しそばなんて大歳を送らずにきてもう25年、インドの年越しはパーティーを催して浮かれ騒ぎ、ジャスト零時には、花火が打ち上げられ、かんしゃく玉が威勢良く轟く。
昔は宗教上飲酒は白い目で見られがちだったが、近年はリカーショップ(インドではワインショップが通称)が全土に蔓延、女性の飲酒はいまだに田舎ではタブーだが、男性がお酒を口にするのはごくポピュラーになった。
年末年始は、飲酒運転を取り締まるおまわりさんも大仕事だ。

当地プリーは観光地なので、酔漢が路上に繰り出し嬌声、ハッピーニューイヤー!と喚きたてる。

我が家は、あと二時間半ほどしたら、夫婦水入らずで三階のベランダでワインパーティー、だ。
飲みながら、年明け瞬間を待ち、夫とハッピーニューイヤー!と祝杯する。

日本はいよいよ年明け間近、みなさま、よいお年を!

一足先に年明けを迎える日本と、日本のみなさまに、
まだ2011年のインドからご挨拶、

A Happy New Year!
謹賀新年2012


*追記
インドのシリコンバレーとの異名をとる南インドのバンガロールでIT専攻の息子は、1350ルピーの高いチケット代を払って、友人たちとバーレストランで年越しパーティー、浮かれ騒ぐ予定らしい。日本円にして2000円程度だが、物価が7-8分の1のインドでは、超高値だ。五つ星ホテルのパーティー券も高いが、バーも便乗商売、とくにバンガロールは都会で高騰気味なので、バーでのパーティーとなったら、それくらいとるかもしれない。日本の安い居酒屋であれば、一人二千円出せば、結構飲めて楽しめるのだから、それに比べると高い。雰囲気代も含まれるのだろう。まあ、よい、大年だ、大目に見よう。
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貞節の象徴(銀座新聞連載エッセイ)

2011-12-30 23:12:11 | 印度の玉手箱(銀座新聞連載)
銀座新聞ニュースに最新エッセイが掲載されました。
インド女性がサリーの端やスカーフで頭を覆う慣習について述べました。
写真とあわせて、お楽しみください。


貞節の象徴のインドの「サリー」、風、雨除けの実用面も
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あと二日

2011-12-30 21:25:54 | 私・家族・我が安宿
午後七時半から二時間弱かけて、アルミラ、スチール衣装ケースの整理と、鏡台の引き出し整理が終わった。
どっと疲れた。
捨てるのは最小限に抑えて、衣服を畳んで入れなおし。
上のほうはバッグ類、毛布・小じゅうたんなどが納まっているのを引っ張り出して、収納しなおした。

アルミラの整理は、しなくちゃなあとここ数年思ってて、億劫で延ばし延ばしになっていたものだ。
やれやれ、今年、どうにか手をつけることができてほっ。

明日の大歳は一年分の垢を熱いお風呂に入ってゆっくり流した後、日のあるうちに浜に出て、戻って一服したら、オフィスのカウンター・引き出し、ざっとホテル全体のチェックだ。
11時半から、ワインパーティー。恒例の三階のベランダで夫婦のみで行う。
ジャスト零時には花火が打ち上がり、爆竹が威勢良くなって、ハッピー・ニュー・イヤー!の掛け声が路上のどこからともなく響き渡るはずだ。

2011年は、締めの大掃除もやれたし、いい一年になった。
何より私の物書き家業にとって、飛躍の一年となった。
やっと、ここまできたという感じだ。
先は長い。
やっと始まったばかりだ。
気を抜かずに、来年はさらなる飛躍目指して踏ん張るぞ。

おかげさまで、作品の構想が今三つほど浮かんでいる。

2012年は前年以上にわき目も振らずに執筆専念の年にしたい。

大歳目前であわただしい年の瀬、みなさまもお体に気をつけて、よい年越しを!

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大寒波

2011-12-29 22:38:48 | 季節・自然
北インドは大寒波、霧が深く、70-80便のフライトや列車の遅延が相次いでいるらしい。
当地着の列車も、濃霧でキャンセルになったほどだ(おかげさまで、わが安宿は年末年始客で満室)。

地上の楽園と称される山間の避暑地スリナガルではマイナス3度、最北端のレーではマイナス16度というのだから、驚きだ。
レーの人たちはいったい、どのようにして暖をとっているのだろうか。きっと、ローカル火鉢のようなものがあるのだろう。電気ヒーターも活躍しているに違いない。
両地とも、旅行者時代訪問歴があるインドの中の異国、数ある観光地のなかでも特薦できるツアースポットだ。レーはインドのチベット、といっていい。チベット料理が日本人の口に合うし、チベット仏教のお寺、ゴンパ(仏塔)も一見の価値あり。レーでは満天の星がつかみ取れそうなくらい、大粒に瞬くのだ。
当然冬の間は、陸の孤島となり、旅行者も陸路が封鎖されるため、激減する。
飛行機だと、行けるが、この厳寒で訪ねる手合いはよっぽど物好きだろう。
雪なら、手前のスリナガルで見れる。この時季、ダル湖とナギン湖の二つの湖は凍り、固まった水面を歩けるのだ。

さて、当地プリーは南のタミールナドゥ州のサイクロンの影響を受けて低気圧が居座り、この三日ほどどんより冬曇り、小雨のちらつく陽気だったが、今日は雨は止んで、湿度があるため、気温はそれほど下がらず、寒さはあまり感じなかった。

ベランダから日中の空を見上げると、煙のような雲がもこもこ湧き上げており、とろりとまどろんだ低気圧特有の大気に、椰子樹が物憂げに巨大なひとでの触手のような葉をうごめかせていた。

本日は冷蔵庫の掃除。
しまい忘れたカシューナッツやレーズンがやたらめったら出てきて、全部サーバントに進呈。賞味期限は切れており、摂食に値しないかもしれない。日本製の加工副食品もたくさん出てきたが、そのまま収めなおすのみ、あと薬の束、それでも、だいぶすっきりして、やや隙間もできた。
今夕は冷蔵庫だけで終わってしまった。

あとはタンスと、ホテルオフィスのカウンターと引き出しのみ。
年内にはどうにか終わりそうだ。

毎日少しずつやり残しの整理というのも、案外疲れるな。

でも、今年はとにかく徹底掃除できてよかった。

気持ちよく新年を迎えられる。

大歳は、ベンガル湾最後の落日を拝むぞ!

あと三日、みなさま、よいお年を!
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年の瀬の思い出

2011-12-28 21:19:11 | 私・家族・我が安宿
いよいよ余すところあと三日、毎夕少しずつやり残した整理に精出しているが、あと冷蔵庫とタンス、ホテルのオフィスの引き出し・カウンターのみとなった。
やれやれ、である。
細かいところをいうと、切りがないが、今年は何年かぶりに自ら先頭に立ってサ-バントに指示、家中きれいにできてよかったと思う。

結局、書類はほとんど捨てず仕舞いで、ダンボールや行李に収納しただけだったが、それでも、表に見えてないだけ、ずいぶんすっきりした。
わが書斎も、見違えるようにとまではいかずとも、表向きはかなりきれいになった。
いずれにしろ、また書き始めると、原稿や資料が床に山積みにされていくので、元の木阿弥だろうが、来年気持ちよく書ける環境はひとまず整った。

郷里福井の友人宅では、明日から餅つきとか。
親戚中が集まって1500個もの丸餅を作るのだそうだ。
私も昔、祖母宅で、手作り餅の楽しい現場に何度も居合わせたので、うらやましくなるとともに、懐かしさがこみ上げてきた。
田舎のよさ、はこんなところにある。
叔父である息子がうすに入った蒸し餅米をきねでぺったんぺったん、その合間に祖母が水に濡らした手でお餅を返し、叔父がぺったん、はい返し、ぺったん、はい返しの、リズミカルな作業は続いていく。水を入れるのは、餅がうすやきねにくっつかないようにしてきねのすべりをよくするのと、餅をやわらかくする意味合いもあるのだろう。声を出しながらの合いとり、コンビの気が合わないと、危険な作業でもあり、タイミングを誤って、つき手だった叔父が祖母の頭にきねを振り下ろしてしまった事故もあった。大事に至らずに済んだが。

一部分くびりとって丸めたお餅に澱粉をまぶす作業は私も手伝ったものだ。丸餅の後は豆入り伸し餅、長方形の小切りにして、網で焼いたり、掻き揚げにしたりして食べた。とくに油で揚げたのはおいしかった。
祖母の作った丸餅、豆入りかき揚げ餅、奈良漬けはいまだに私の舌に美味を残している故郷の味、豊かな財産ともいうべき贈り物だ。白うりを塩漬けにし、酒粕で何度も漬け替える奈良漬けは通常のように甘ったるくなく、そのほんのりお酒の匂いのする辛口がまたお茶漬けに合って、うちにはおすそ分けされた奈良漬けの大甕が常備されていたものだ。
破綻家庭で育った私には、母の実家の祖父母のおかげで温かな家庭の味というものを覚えこまされた。お料理上手な働き者の祖母に人一倍なついていた少女時代、すでに祖父母はなく、半身不随の叔父が家長、叔父の体調が今ひとつなだけに、親族の大会合が実家で繰り広げられる盆と正月の行事もいつとはなしに、やみ沙汰になった。

世代が入れ替わったのである。
もう、春江町の旧家に招かれてご馳走に舌鼓を打ちながら、年二度顔あわせという親族同士の大集合もないのだと思うと、一抹の寂しさが湧きあげてくる。

それだけに、在郷の友人が餅つき行事をやると聞いたときは、羨望を禁じえなかった。
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低気圧居座る

2011-12-28 20:57:14 | 季節・自然
当地プリーは十一月いっぱい例年にない暖かな陽気が続いていたが、十二月半ばごろからすっかり冬模様、5、6度の寒波にぶるぶる震える奥地も出てきた。首都デリーは先般2.9度という最低気温をマークした。

路上生活者にとっては、厳しい冬だ。
毎年寒波の時季がやってくると、シェルターの話が持ち上がるが、インドの常、いっこうに完備される気配がない。焚き火で暖をとるといっても、その木ですら十分でないというから、お乞食さんは大変だ。インドには、浮浪者がうようよしているのである。

サイクロンは当地をよけたが、その影響で今日は小雨もちらついた。
昨日から空にはもこもこ全体に雲が湧きあげて、星も月も見えない。
午後七時ですでに暗い浜辺には、冬の冷気を伝ってゴォーッと地響きを立てる潮騒が押し寄せ、鼓膜を満たした。無人に等しい浜には、海鳴りのみが大きく鳴り渡る。我が家の枕元まで届く冬のとどろく波音である。

閑話休題。
汚職法案ロクパルがロクサバ下院を通過した。
結局、市民運動チームの要求していた中央調査機関CBI(特捜本部)を監視機関の範疇に含める案は通らなかった。27日から西インド・マハラシュトラ州都ムンバイでハンストに入っていた74歳の主導者、アンナ・ハザレは今日になってハンスト中止、熱がある上血圧も高い最悪の体調下、医師の強い警告もあって中断せざるを得なかったようだ。

八月は最高潮の盛り上がりを見せた反汚職運動も、年末で厳寒ということもあろう、支持者が集まらず低調に終わった。

汚職法案はラジャサバ、上院に回される。


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インドの男女の眉間の印(銀座新聞連載エッセイ)

2011-12-27 21:32:45 | 印度の玉手箱(銀座新聞連載)
銀座新聞ニュースに最新エッセイが掲載されました。
眉間の印についての第二編、宗教上のシンボルについて述べたものです。
写真と併せてお楽しみください。


インドの男女の眉間の印、宗教上のシンボル

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掃除魔

2011-12-26 21:17:17 | 私・家族・我が安宿
今日も推敲後の夕刻浜の散歩に出、一休みした七時ごろから一時間半ほど、やり残した書斎の整理にいそしんだ。あと冷房を拭いて、引き出しひとつを整理すれば、終わりだ。やれやれ。膨大な原稿や資料の整理を何年かぶりにしたので、見た目は片付いたが、これ以上原稿や資料が増えると、お手上げだ。ガラスケースの入ったスチールの書類棚は満杯、引き出しもごちゃごちゃ詰まって、本棚も文庫など二重に詰め込んでいるので、後ろの側の本をとるのが大変なくらいだ。

行李も、新聞の切抜きや旅行情報関連資料でぎっしり。
ほんと、ストックルームでも作らないことにはこれ以上の収納は不可能な状態だ。

それでも、室内はすっきりして、見栄えがよくなった。
きれいにしたから、来年以降の執筆もはかどる?と思う。
一年たてば、また元の木阿弥であることはわかっていても、ひとまず年内に片付けられてよかった。ほこりだらけになったが、けじめがついた感じである。

まだ冷蔵庫やスチール衣装だな(インドではアルミラといわれ、衣服を納めるのにポピュラー)の整理が残されているが、大歳は休みを取るつもりなので、そのとき一気に片付けてもいい。

ああ、ホテルと旅行代理店のオフィス二つの引き出しやカウンターの中、息子の机の引き出しの整理もあったっけ。

やりだすと切りがないお片づけ、である。

年の瀬であわただしいなか、27日から3日間、ガンジーの再来といわれる市民運動の英雄、アンナ・ハザレ(74歳)が三度目の反汚職ハンストに突入予定。すでにネットで10万以上の支持者を得ているとか。ロクサバ下院で提示された反汚職法案(ロクパル)に反対してのことである。CBI(中央諜報機関)と下級官吏を法案の対象の範疇に含めない現案に抗議してのことだ。

来年前半は五つの州で州選挙、汚職事件で信用失墜の与党国民会議派がどの程度の悪影響をこうむるものか、票田の行方が注目される。

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ベンガル湾季節便り/すみれ色のさざなみ

2011-12-26 20:50:16 | 季節・自然
今日は夕日に間に合わなかったが、沈んだ後の名残りがひとしおきれいだった。
水平線上には放射状に三つの筋雲が伸びており、明るい臙脂に染まっていた。西の下空にも幾筋もの雲がたなびき、茜色の彩雲に波打ち際がてらてらと色鮮やかな光沢を発する。
小潮の今日はうしおはひたひたとやさしくフリル模様を広げる。
生ぬるいさざなみにくるぶしを浸しながら、水紋に松かさ模様を描く濡れ砂の上をそぞろ歩いた。ゆらゆら水の動きに反映された雲が金色がかった橙のコサージュのようなかけらを散らした。

小波のせいで、沖合いに舟が幾艘も出ている。

家族連れの旅行者が、のどかなクリスマス明けのなぎさに足を浸して、戯れていた。

浅瀬が夕焼けの焔にたぎっている。
押し寄せる潮はすみれ色だ。
明るい橙から濃いピンクに塗り替えられた雲に、波打ち際が鮮やかな薔薇色一色に染まった。
鮮やかに燃える西側と対照的に、東半分の海は淡いヴァイオレット色の宵に沈み始めていた。
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