インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

イミグラントの句座(拾遺)

2019-01-31 16:41:28 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
何に飽くインドか人生か自問

金沢や祭は終わったと嘆息

同じ生二度やりたいか勘弁を

書くことのほかに何あり自問する

冬時代人生に倦み疲れて

甘々とたそがれゆきて春の宵
(※季節は冬だけど、春の詠<うた>が湧き出た)

書けるまで書き続けるより術(すべ)はなし

夜鳴き猫空腹訴え階下より

野良犬の遠吠え止まず夜半過ぎ

遠吠えに目冴え返りて不眠症

飽き飽きだ人生仕舞い支度今

ピリオッド人生打ち止め誰決める

ほどほどのところで終わりたいと吾

長生きはしたくないと駄々こねて

病人用俳句は息が切れても書ける

病人の救済という俳句かな

死床で句作止めなかった俳女

冬月や凜と冴え返る銀彩に

何見てもしかと焼き付けん見えるうち

冬冷えや明け方寒し毛布欲(ほ)し

熱帯地寒暖の差烈し冬季

常夏の楽園でなく冬も来る

息の音を静かに聞きて数息観

雑念の浮かぶままに只流して

雑念の千々に乱れてほと呆れ

雑念の移ろい止まずいつ止むや

座りても次から次へと雑念が

ヴィパサーナ仏陀瞑想習いたて

客観視雑念止まりまた集中

朝一の瞑想のなんと落ち着くや

鎮まりて心穏やか今日一日

鏡向きにっこりアファメーション

座りても句想止まずこれも雑念

朝座禅句想妨げ甚だし

怒涛ごと句想のあふれ止みがたし

奔騰の創作欲や喜ぶべき

ヨガ日課句興妨げサボタージュ

次々と俳句の浮かびいつ止むや

金沢や民の親切身にしみて

金沢のもてなし文化嬉しゅうや

金沢の民の親切見習いたし

親切になりたし吾も誓い立て

車で拾ってもらった恩忘れまじ

天使ごと母娘に感謝ありがとう


<熾=もゆる>
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イミグラントの句座(1月28-29)

2019-01-31 16:41:12 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月28日

子のおるを恵まれていると思うとき

子おらずばいかに退屈や老後

一人っ子ラッパーとして成功す

母語ラップ三日で三十万超

CM(州首相)の支援ラップ話題呼ぶ

州民のクシュター(幸せだ)とCM礼賛

曲名どおりCMもご満悦

州民も吾も息子もクシュター

英字紙にラッパー子息の記事満載

スターっ子テレビにも取り上げられて

オリッサの一躍寵児と化して

地元ファン急増のラップスター

英ラップ早晩ミリオン予兆す

スター街道驀進BIG DEAL

どんよりと気圧まどろむ寒の日

日は見えず大気よどみて曇り空

椰子の木の物憂げにまどろむ低気圧

1月29日

ネスカフェや日印の味なぜ違う

煎じ茶や目薬の木はほうじ茶臭

寒抜けず霧は減っても低気圧

時化海の波高く沖漁疎ら

波の山はすに押し寄せ白三角(しろみすみ)

大海や時化に荒れ気味蒼寒(あおざむ)し

冬海や霞みて淡青波尖がり

大輪の線香花火夜を焼き

火の粉の点滅垂れ飾り夜空

凍て海や寒宿し風冷たき

駱駝臭海風乗って運ばれて

獣臭の鼻腔につんと吸い込みて

内観や内なる世界の豊かかな

外界の刺激しのぎて内世界

瞑目の世界浸っていたし永遠(とわ)に

只座るインナートリップの豊饒や

瞑想の恵みに救われ還暦後


<熾=もゆる>
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イミグラントの句座(1月25-27日)

2019-01-31 16:36:24 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月25日

引き潮や泡のふわりと甲撫でて

さざなみのそっと泡立ちぬくまりて

波泡の淡雪ごとし砂に降り

潮寄せて泡の消えゆく融雪ごと

波の花ふわりと咲いて儚きや

泡の華潮に溶けてしぼみゆく

泡の華斑(まだ)ら雪ごと砂に咲き

波の泡白きレースの綾織に

波フリルレース飾りの海ドレス

波の泡もろく優しい肌触り

波の泡ソフトに触れて足の甲

濡れ砂に踵めり込みざら撫でて

足裏に砂の感触ざらついて

ふわふわと泡踏み締め波打ち際

波の泡足をくすぐりまといつき

砂触(ざわ)り意識して歩く瞑想や

波の泡シャボンごと柔らかく

大入日波打ち際に金延べ棒

濡れ砂に泡のぶくぶく貼りついて

引き潮や波泡つぶし戯れて

泡踏みて童心帰る楽しきや

泡遊び足でつぶして面白し

柔らかな泡のタッチに安らぎて

浜沿いに東進翻って日没や

シシカバブ香ばし匂い夜の町

こぼれ砂床やベッドに浜土産

1月25日

洗礼や足を浄めて波シャボン

引き海や歩く瞑想もってこい

ぺたぺたと濡れ砂踏みて歩(ほ)瞑想

波の泡素足にまとい白ソックス

醍醐味や波打ち際の泡踏みは

泡沫や汀に地図を描(か)き残し

波の泡自然シャボンの浄らかき

式場のマイクテストや浜こだま

引き潮や泡と戯れ日の落ちて

裸眼にて見える幸せまだ見える

コップ半水まだあるもうないどちら

まだあるととりたい吾は肯定派

1月26日

牛鳴きて鼻息荒らしいびきごと

もうと鳴く黒牛のろと浜よぎる

迷い牛浜に紛れて海愛でる

1月27日

珍妙やからすみ軽くあぶり焼き

煎じ茶や目薬の木の通じよし

推敲や五十回余脱稿せず

手ごわきは伝記小説いつ上がる

麗俳女恋も句も情熱のまま

同郷の夭折す美人俳姫(はいき)


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イミグラントの句座(1月23日、プリー)

2019-01-30 19:43:58 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月23日

渋滞や結婚バンド路占拠

大音響結婚行進我が物顔

祝花火楽隊行進結婚シーズン

散歩路結婚隊に阻まれて

騒音の坩堝と化す結婚シーズン

のろのろと車もお手上げ尾行かな

信号無き車道すいすい現地人

インド人車を縫って綱渡り

黒牛の車道に紛れ尻つかれ

西の町霧が出始め霞みゆく

水平線靄のかかりて舟おぼろ

冬の浜海霧流れて灰宇宙

ものなべて霞めば美し幻想や

霧晴れて日常戻り退屈や

束の間の至福味わい霧ロマン

妖し霧白ひとえの別宇宙

霧晴れてものみな元に戻りけり

幻想の美ワールドどこに消えた

不思議かつまやかし視界霧ひと夜

霧待ちて浜に佇む明視界

猫どもやそこは吾(あ)が席追い散らす

小便猫追い立てる吾鬼婆あ

オーナーのテリトリー侵すべからず

失禁の悪さ猫棒もて追い散らす

ソファの臭気にまみれて無残や

鬱金月遅く昇りて十六夜や

円月や夜を被りてライトブルー

ブルームーン紺の夜着羽織りて

蒼月や夜雲かかり金薄れ

人生はドラマチックそれぞれに

全宇宙唯一無二の吾すばらしき


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イミグラントの句座(1月22日、プリー)

2019-01-30 18:13:28 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月22日

失せ眼鏡(めがね)頭上に見つけ滑稽や

乳色の霧立ちこめて海隠し

白宇宙煙のごとく霧覆い

白霧(しらぎり)や海も空も煙幕没し

霧陰に海空消えて魔術ごと

霧立ちぬ視界効かず事故多発

冬霧や白中模索みなおぼろ

砂原を踏む足そろり霧の中

今冬は異常気象霧発生

飛行機もキャンセル相次ぎ霧禍

スモッグや塵埃に霧の混じりて

人生は霧のごとおぼろ夢世界

霧の中慎重に進む人生も

五里霧中視界閉ざされ手探りで

街も人も空も海も消える魔術

霧帳(とばり)ドライアイスの湧くごとし

乳色のマント翻す新奇術

疎き目に霧のかかりて弱視増し

みなおぼろ世界はマヤ(幻夢)然りと吾

晩冬の霧に沈みて実世界

現実も霞がかれば生きやすし

実体のすべて隠す霧恐ろし

すべて夢と思えば住みやすし

乳白の霧に浸され夢心地

珍しき白霧に眩惑される吾(あ)

美しき世界に早変わり芥消え

夕ドレス今宵はミルクブルー織

夕霧や吾は夢の女王冬ロマン

夢続け霧よこのまま立ち込めて

夢の中遊びし吾の霧ゲーム

霧ロマン冬のプリーの幻想や

只白に塗りたくられてもの見えず

夕霧と戯れ吾も白い人

白霧にまみれし吾も神出鬼没

霧世界透明人間のマントかな

白きまま夜は更けて紺衣被る

魔法ごと消えた世界に立ち尽くし

霧ゲーム虚々実々の境目や

霧中に薄く現れ大海や

霧陰に波のうっすら盛り上がり

五里霧中妖し世界幻影の

霧の魔の魅力に憑かれ茫然と

霧憑依亡霊と化し白き影

霧立ちて夜の冷え込み厳しかり

夜の底霧の沈みて乳紺色

夜マント裏は白表は紺翻し

夜霧やミルクブルーのマントぐるみ

紺青の闇の沈みて霧くるむ

夜の上霧の浮かびて墨沈み

厳冬や霧の魔力にめくるめき

冬の魔のシンボル霧の妖しけり

いつまでも霧のロマンに浸りたし

想念の作りし世界霧のごと

芳香や霧の匂いに焚き混じり

霧晴れて大満月や金円(まどか)

霧流れうすら浮き出る夜の町

霧晴れて現実再び現れて

鬱金から銀へ満月より高く

霧晴れや輪郭くきりものすべて

いずこより湧きあげいずこに去るや

ミステリー霧のドラマに魅せられて

宵霧に日常消えて未知の町

見慣れた地霧の魔術でアンノウン

はっきりしないほうがいいこともある

あいまいおぼろぼやん霞の美学

おぼろ世界クリアよりも美しき

見慣れた地霧の魔術で異郷かな

紗のかかる幻の町夢遊び

霧の町嬉遊ワールドテーマパーク

イミグラント異色の俳人たれ

一匹狼結社に属せず

眼病が呉れたプレゼント俳諧や

幸福と不幸と綯(な)いに混ぜあいて

相殺や正負の法則働きて


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イミグラントの句座(1月21日、プリー)

2019-01-27 19:13:17 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月21日

みなしごイミグラント無国籍

木切れ浮き海の吐き出す芥かな

濡れ砂に供花残骸点々と

残照や海上に白雲立ちて

残光や白き縦雲空割りて

水色の魚網絡まり盛り上がる

沐浴子波泡まみれダイビング

インド婦や真紅のサリー潮浸し

砂上(すなうえ)に相合傘の刻まれて

アニバサリー英字刻まれ何記念

夕雲や淡き口紅刷毛で塗り

立ち雲や海上の空割る大剣(おおつるぎ)

ゴーカート砂に轍を引き残し

砂原やカーブの跡のくっきりと

夕渚白雲の直立す海上に

もやい舟魚網のもっこり占拠して

沖舟のエンジン鳴らして海滑る

ぽんぽんと軽やか蒸気潮騒間(ま)

西海や夕日に向かい黙々と

人生や終焉に意志働かず

生き死にの手綱引くは神のみや

終焉の時は計れず恩寵や

遺言に遺骨の処理もしたためん

遺言は手書き必須書き直し

一枚ごと署名要るとや遺文

休眼日パソコン避けて句帳へ

目の休み瞑想して只座る

付け焼刃目によきこと試さんと

句生まるるゆったりと安らかなり

夫見て老けたと思うお互い様

夢ひと夜人生そんなものとうそぶき

目耳歯老いは来たりて嘆息や

日曜も月曜も変わらず一続き

毎日がホリデー時間持て余し

気挫ける日もイミグラントの孤愁

海と俳句と瞑想に救われて

五七五の魅力に憑かれ俳人然

俳人と自ら宣言句作旺盛

日本茶に梅干インドティータイム

ベンガルや茫洋と霞む蒼海へ

夕闇に浮き上ぐ椰子のシルエット


<熾=もゆる>
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イミグラントの句座(1月20日、プリー)

2019-01-26 17:02:09 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月20日

フルムーン鬱金の円の夜空切り

海鳴りや月と奏でるハーモニー

クラクション止まずインド悪癖や

老い初めて何も手付かずそんな日も

人生の鬱屈持て余し老後

五七五に救い求める鬱払い

如何にせんパニック抑え瞑想や

只座る時間の増して安らぎて

食卓にバナナの熟れて甘香り

冬寒や焚き火当たる人の増えて

冬日出てベランダで日向ぼっこ

夜降りて今日も終わったほっと息

句に縋り今しばらくは生きてみん

書けない日いつか来るのを想定し

ホテル椰子樹齢二十八年

ホテル業三十年矢のごとし

病弱の年月重ねインド移住

インド移住悔いなしといえば嘘になる

在印三十一年インド人になりきれず

オリッサの在留邦人第一号

日本人妻第一号悪しき前例

イミグラント三十一年走馬灯

2019馬齢重ねてまだインド

1987インド移住一昔前

悪妻に母親失格異邦人

家族住むインドしがらみ作りて

家族住むインドとて帰る義務あり

夫待つインド帰りて郷(さと)恋し

でらしねのイミグラント哀しきや

日印と引き裂かれ切なき心情

ふらふらと行ったり来たりどっち好き

日印と水辺に住みて海川や

一人息子三十歳矢の月日

古ホテルオーナー夫婦も年老いて

何匹の愛犬猫逝ったことや

ライバルの日本人妻すでになく

日本人宿ともてはやされた時期も

今一度三十年前に時戻したし

何故今日は昔のことのみ思い出す

愛おしい歳月や悔いのみ多き

老いた吾円熟ワインに乾杯

歳月を取り返したし徒労でも

老いるとは恋ができなくなることや

恋心ブレーキかけて分別臭

恋はタブーと諦めて自信なき

ときめくもブレーキかけて所帯持ち

今一度激恋したしと思えども

我が上を通り過ぎていった男たち

今でも夢に見る愛しい男たち

結婚と恋は別物夫身内

猫の発情してうなり恋泣きや

追憶のロマンに情流し元彼

禁断の恋よいずこ彼も老い

年月(としつき)の無残に過ぎて共白髪(ともじらが)

記憶裡の恋人今尚若いまま

熱き血潮の滾る熱情いずこ

直情のまま追いかけたあの日

的矢引く狙い定めてハンター

雌猫の強奪戦に雄二匹

人も猫も変わらず男女の修羅場

血の色のワイン飲みたしこんな夜は

甘美な一夜戻れ悦びの涙

肩縋り吐息にあえいだ甘い夜

睦言と甘い吐息に充ちた閨(ねや)

我が生は不発の不完全燃焼


<熾=もゆる>
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イミグラントの句座(1月16-18日)

2019-01-26 15:08:51 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月16日<拾遺>

真紅日(び)や夕着羽織り薄桃に

桜襲(がさ)ねの大夕日半没し

半月や薄蒼き天に淡白(あわじろ)に

冬海(ふゆうみ)や青磁衣(ぎぬ)着て霞みつ

象嵌の貝タペストリー砂絨毯

渚佇ち冷えし海風身に受けて

舟一艘波間漂い木(こ)の葉ごと

冬海や寒波に震え蒼白に

磯霧(いそぎり)や紗がかる海のおぼろ照り

綿飴やピンク黄臙脂カラフルに

冬曇り熱帯なれど寒(かん)強し

朝晩のやけに冷え込む聖地かな

花欲し横目でにらむ他家の庭

よその庭マリーゴールド満開や

海寒し早々去りて家路急(せ)く

布団重(おも)跳ねると寒し夜明けかな

毛布重身にずしりと冬布団

防寒の重ね布団の重きかな

1月17日

溶暗や海と空の境不明

暗き海照らすはひとえ月明かり

瞑想や雑念排し鎮心(しずごころ)

花爛漫大音響華燭の典

豆電の七彩きらめく式場や

祝(しゅく)花火連発弾け寿(ことほ)ぎや

オレンジの火花ちりぢり垂れ飾り

1月17日<拾遺>

冬潮の底まで透けて清々し

椰子陰のサフラン空に円月や

満月や燦然輝き星供に

月光のLEDより目にやさし

還暦後逢う男(ひと)は貴重と謂(いい)

ワイン手に想い馳せるは信州男(お)

月にジャズからすみチーズビターチョコ

スイングやジャズに酔い痴れ波打たせ

白ワイン甘美に陶酔ジャズナイト

1月18日

人生の残りいかほど月数え

苦しまずぽくりと逝きたし万人願(がん)

長生きを望まずともいざ去る寂し

我が作の色褪せ見ゆる傑作後

人生は暇つぶし誰が言いしか正言

琥珀色ワイン揺らしてからすみ添え

五七五迸り止まず佳境かな

朝卓(あさたく)やヨガ後の珈琲旨し

口寂し和菓子欲する吾(あ)邦人

執こきは広告スマホベル止まず

1月18日<拾遺>

銀月や薄紫の天穿ち

冬宵の紫紺の空に円月や

冬の月宵空昇り丸顔に

白皙(はくせき)の円貌に似て姫月や

白皙の美姫(びき)に似し月麗しや

月白ややんごとなき雅趣かな

満月や白き美顔の輝けり

正月のネオン残りて月半ば

酒は憂えの玉ぼうき然と

年重ね余生幾年(いくとせ)計り吾

いくとせや余生数えて老い寂し

貪欲に網膜刻み想い出作り

見えるうち歩けるうちにフル動き

書くことに倦み疲れ投げる日も

桜紅葉(もみじ)あと何度見る無常かな

不条理や何故生まれ老い死んでゆく

何のため生まれてきたや自問して

只座る自分を探る内観や

延々と連ねる句のペン止まず

頭から塵を吐き出す作業なり

頭から掃き出(い)ず句の吹き溜まり

2019何も変わらず変わりたや

新しき自分探してインナートリップ

人生にケツ捲れと開き直り


<熾=もゆる>
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イミグラントの句座(1月14-16日、プリー)

2019-01-24 20:14:41 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月14日

冬海や底まで透けて碧斑(あおまだ)ら

冬晴れの入日くっきりサフランに

霞織り羅(うすもの)纏う落日や

聖潮や洗礼シャワーの沐浴子

綿菓子屋ちりちりと鈴鳴らしゆく

週明けのメインロードの疎らかな

夕ドレスサフラン入日の金フリル

冬の日の金粉こぼし沈みゆく

沈む日の金矢(きんし)飛ばしてめくるめく

1月15日

海と空藍に溶け込み月白や

冬日落ち藍染めの町半月や

白皙や中天に上弦の月

1月16日

底冷えやインドの冬も寒劣らず

木枯らしに似し風吹きて肌寒や

凍て風の磯の香混じりに吹き募り

好日や月を愛でるに絶好の

冬月や愛でるに佳き日来たりて

華日記朗読動画早坂曉

夢千代の脚本家日記文学

六時間長尺ドラマ分けて聴き

神棚やヒンドゥ仏教習合の

聖水を七彩陶器で供えん

花盗人(はなぬすっと)よその庭侵入し

花泥棒罪にならぬと信じ込み

神棚に千手観音写真も添え置きて

金沢は出窓の縁が神コーナー

亡き父の写真も飾りなんまいだ

産まれたて子猫の鳴きて赤子ごと

さび猫の小さき生まれ家族増え


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イミグラントの句座(1月10-13日、プリー)

2019-01-23 19:01:00 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月10日

冬潮や地響き立てて炸裂し

海鳴りや瀑布のごと咆哮す

白々と西海光り冬残照

海風にショールはためき帆のごとし

夕靄に曇る視界をひた歩き

五里霧中人生旅も夢ごとし

海沿いに歩く瞑想意識して

海上を旋回するや鳶烏(とびからす)

夕波やしぶきまみれの黒翼(くろつばさ)

冬木立澄んださえずりピーヒョロロ

花木陰鳥のさえずり澄み響き

夕靄に海人霞み街の灯も

月出でぬもの寂しきは冬の宵

カーゴート我が物顔に浜疾駆

冬波やすれすれ寄せて飛びのきて

冬海の白陽(しろび)に照らされ寒々し

からすみやミーディアムで白ワイン

からすみや軽くあぶって網焼きに

ヴィパサーナ仏陀教えし原瞑想

藍空に金のお皿の受け月や

冬宵に銀の円盤三日月や

1月12日

月白や中天高く刃(は)きらりと

ヒンドゥ寺ライトアップの七変化

神隠しどこに行ってた黒猫や

黒猫やとうに死んだと思いきや

ソファ下真黒き猫のひら過ぎり

黒猫や神出鬼没ミステリー

テリトリーもひとつどこにうちよりいい

1月13日

枕上の妄想楽し眠られず

椰子陰に火花散りまく翠光(すいこう)や

只座して耳を澄まして息の音(ね)を

三日月や薄眉ごとし淡々と

ベンガルの海は霞みて薄翡翠

白波の穏やかに寄せ冬凪や

海沿いの洋館庭に花鳥や

朝寝する吾の鼓膜に大音響

ありがたき神の讃歌も只騒音

異教徒にヒンドゥ聖歌雑音や


<熾=もゆる>
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