インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

2013年ラストサンセット

2013-12-31 23:06:27 | 季節・自然
昨夜は午前二時半まで投稿作品をチェックして小包にまとめ、就寝したのは三時半、目が冴え返って眠れず、大晦日は寝不足、しかし速達で原稿を日本に発送したので一息、遅い朝食後ゆっくり新聞を読んで、熱いお風呂に入って一年分の垢を流してリラックス、2013年最後のサンセットの見納めに午後四時半過ぎ、浜に出た。

入日はまだ高めのところにあり、こんじきに近い光輝を発していた。
満潮気味のうしおにサンダルを脱いだ素足をそっと浸すと、ぞくっとするほど冷たかった。
2013年ラストデーはたくさんの観光客が浜に群れており、水の冷たさをものともせず、沐浴する人も目立った。

傾いた陽は薄橙に色づきながら、臙脂から赤みを増して朱鷺色に、波打ち際が落陽を反映し、コーラル色の長い翳を引く。しかし、うす曇りの肌寒い陽気のせいか、早々ともやに侵食されていき、灰色の紗がかったピンクの半円と化したと思うまもなく、没してしまった。

最後の一日まで美しい夕日を見せてくれたベンガル海に感謝、振り返って終わりよければすべてよしで、いい一年になったことにも心から感謝して浜を後にした。

今現在現地時間で午後十一時半過ぎ。これから3階のベランダに上がって、年越し、ジャスト2014年には夫婦でプラムケーキカッティング、赤ワインで乾杯するつもりだ。

一足先にご挨拶。

ハッピー・ニュー・イヤー!
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今年最後の投稿原稿印刷終わる

2013-12-30 16:42:45 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
明日締め切りのB賞の作品の印刷が無事終わった。
これから、食事を挟んで、印字原稿を読み返し、また何枚か印刷し直し、完璧にする。

今日中に小包を作って、明日送る予定だ。
ぎりぎり。
結局、八十八枚まで延びたので、百枚程度という応募規定には合うだろう。

まず第一稿の印刷を済ませて一息。

とはいえ、素読み次第で、全面印刷し直しもありうる。

今朝はインクカートリッジが二度スタッフを送ったにもかかわらず、だめで、結局新規購入させた。
インドでは、カートリッジが切れても、インクを注入してそのまま使うのだが、四十日不在だったため、だめになってしまったようだ。

何はともあれ、無事印刷できてよかった。

これで、心置きなく年越しできそうだ。

プラムケーキもワインも入手済み、大晦日の明日は、夜の十一時半から年越し秒読み、2014年が明けたら夫婦でハッピーニューイヤー!の花火打ち上げを愛でながら、祝杯する予定だ。
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見た、書いた、勝った!

2013-12-30 01:34:52 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
本日八十四枚脱稿。
三日で仕上げたことになる。
これまでの最速かも。
百枚弱の小説を書くのはそんなに、しんどくなくなってきている。

しかし、印刷しようとしたら、インクが切れていた。
やばい、一応チェックしたのだが、A一文字で印字されるかのみのチェックだったので、実際に印刷してみたら、半ページでおじゃんになった。

すでに夜の九時半だったので、明日の午前中にスタッフをやることにした。

本日中に印刷しといて、明日紙に印字されたものを読むのがベストだったのだが、明日に延期となった。午後一くらいで印刷を済ませ、見直せばなんとかなるだろう。明日一日しかない。明日中になんとしてでも仕上げて、大晦日に送る。

ぎりぎり。

投稿は長い私も、こんなに超スピーディーなのは初めて。

本日、文芸思潮誌の一月号が届いた。
来年から購読することになったが、届いたのは編集長が気を利かせてくださったバックナンバー。
ありがたや。
ノンチャン、ワットプノムヘ」(五十嵐勉、アジア文化社)の、最初の一編「ノンチャン」も、半分読み終わった。
ずしりと重たい読後感。ビフテキを食したあとのような。

文芸思潮主宰の銀華賞の常連投稿者で、このたび高山樗牛賞を受賞した小笠原新氏はすでに読了、五十嵐氏のことを並みの人ではないと、絶賛していた。
同封の手紙に編集長直筆の数行がしたためられており、感激。
先の帰国時、思い切ってお目にかかってよかった。
瀟洒な一軒家の編集室を訪ねさせていただき、一対一で、美味な釜飯をご馳走になりながら、尊敬する編集長氏と、短時間ながら対峙できたのがよかった。

何もかもがうまくいっている。
藤田宜永氏からも年賀メールを戴いた。
奥様の小池真理子さんのご母堂が逝去され、立て込んでいる最中にだ。
私が、喪中なのにお贈りしてよいものかと迷いつつ送ったEクリスマスカードに対してのお返事だった。
切り絵の素敵なカードなので、沈痛なご気分が少しはまぎれるかとお贈りしたのだが、喜んでいただけたようでよかった。

今年はさしずめ、よく書いた!の締めくくりになろうか。
息子のラップ、「来た、見た、勝った」(I came, I saw, I conqered by Big Deal)をもじれば、
「見た、書いた、勝った」
か。
賞が三つに、最終選考通過作品がひとつ、悪くない成果だ。
海外在住ながら、授賞式に二度も出席できたし、ついでに鮮やかな京都の紅葉も満喫できたのが、最大の収穫だ。
ふくい新進文学賞の盾を母に進呈し、予想以上に喜んでもらえたことが、最高の殊勲かな。

息子と、彼女含めてのクリスマスパーティーを催せたのも楽しかった。

いい年で締めくくれそうなことに深く感謝したい。
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海に沈む落陽

2013-12-29 22:41:16 | 季節・自然
二日間こもって書いていたので、今日は合間を見てサンセットに間に合うように浜に出た。
西の下空に浮かぶこんじきの入日が、臙脂に色づいて、まもなく朱色から真紅へと鮮やかに変化(へんげ)していく様が美しかった。
波が引いては現れる濡れた砂地に映し出され、ゆらゆらと蛇腹模様の長い帯を流す。
首を長くもたげる緋の龍のように。
波打ち際は桜色にきらめいていた。

海は満潮、青みがかった淡い翡翠色、底が透けて見える透明さだ。
豪快な潮騒とともにざんぶと押し寄せる波濤。

東側の沖合いには漁船の列が連なり、木彫りのネックレスのように架かっていた。
すぐ前方をいく蒸気船には鈴なりの人が。
一時的に観光船に早代わりした漁船か、漁師も混じる中に旅行者のような顔ぶれも。浜辺に佇むこちら側に手を振っていることからも、観光客だろう。
ベンガル湾に乗り出していくのは爽快だろう。
私はまだ、このにわか観光船には乗ったことがない。
ベンガルの波は荒いので、大揺れしそうでちと怖い。

うしおに足を浸すと、最初はひやりとしたが、冷たさに慣れるうちに生温くまとわりついてきた。
とろりとした感触。
波打ち際で子どもたちが戯れている。
沐浴には寒い季節だが、何人か泳いでいる影も見える。

真紅の円は灰色の夕もやに下部から浸食されていき、あっというまに半欠け、頭少しを残すのみとなった。

ベンガル湾の壮麗な夕日を眺めて、リフレッシュ。
冬季は汀より前方の海上に色づいた落陽が架かるので、ことに美しい。
明日はまた執筆専念で、出れないだろうが、大晦日に投稿してしまえば、2013年最後のサンセットを拝めそうだ。
ラストデーはリラックスして、この一年を振り返りつつ黙想する時間も持てそう。
読まなきゃいけない本が溜まっているが、ぼちぼち片付けていこう。

来年からはまた戦争だ。

わき目を振らずに、ひたすら書く。

正月返上で一月末締めの作品にかかる予定だ。

2014年は思う存分、小説を書きたい。
読むも、書くも、大好きな小説三昧の年にしたい。
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年内書き始め

2013-12-27 19:30:26 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
戻って四日目、小説を書き始めた。
二日で五十枚。
年末締めのB賞に間に合わせたいが、あと三十枚ほど延ばせるだろうか。
野坂昭如の「文壇」を読んで、著者の型破りな創作法に目を見開かされた。
この法でいくと、年末締めに投稿するのも不可能でないと。
かくして、昨夜九時半から、書き出し、16枚、本日は午後から書き出し、一気に35枚。

しかし、B賞は枚数が百枚程度となっている。

先の帰国時のエピソードを盛って、戻ったばかりのインドと重ね合わせるといいかもしれない。

年の瀬になって、急に正月返上で書き出したわけだが、クリスマスはエンジョイしたし、その前帰国休暇でたっぷり充電してるので、苦ではない。

幸先いい書き出しといえそうだ。

来年も、がんばるぞ!
2014必勝!!!
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古きよき「文壇」時代

2013-12-26 15:32:06 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
日本で仕入れた野坂昭如の「文壇」(文春文庫、泉鏡花賞受賞)がめっぽう、面白い。
周囲に野坂ファンが何人かいて、先の帰国時買い求めたものである。
「エロ事師たち」や「火垂るの墓」を読みたかったのだが、正規の本屋でも手に入らず、ブックオフで偶然見つけた同書を買うことになった。

よく書き、よく飲んだ往時の「文壇」時代が独特の語り口調で、活写されている。作家仲間や編集者との交遊録でもあり、新宿や銀座の文壇バーが頻繁に登場する。酒乱の作家や(野坂本人ももちろん大酒のみ)編集者が入り乱れ、かなりはちゃめちゃな豪遊録でぶっ飛ぶが、佐藤春夫ののたまう「酒、歌、女」の時代だったのだろう。
歌はこの場合散文詩、つまり書くということになる。

川端、三島、吉行、大江、遠藤、立原、五木、色川、丸谷、司馬、開高、梶山と往時の売れっ子作家たちが勢ぞろい、銀座の文壇バー「姫」(後年直木賞受賞の山口洋子がママ)や、「ラモール」で酒をくらって暴れる。わが世の春、流行作家としての盛りを満喫する。奇人変人怪人の跋扈、野坂が敬遠する、大御所(舟橋、丹羽ら)のたむろす敷居の高いバー「ゴードン」もある。作家に劣らず、編集者も左党、当時の出版関係者の酒びたりの生態がユーモラスな語り口で描写されている。その一方で、仕事も精力的にこなす、よく遊び、よく働いたということだ。
それにしても、月何百枚と量産する売れっ子作家たちが毎晩、銀座に繰り出す時間をよく捻出できたものだ。高級バーで飲んで美人ホステスと戯れることがストレスの発散ともなっていたのだろう。

ぎりぎり締め切りにならないとエンジンがかからない野坂本人はじめの作家連は編集者に業を煮やされ、出版社クラブや旅館、かの有名な山の上ホテルでの缶詰に追い込まれる。バーのテーブルや、印刷所で書く豪の者も。抜群のストーリーテラーである五木寛之への嫉妬も仄見え、もの書きの鬱屈した情(テレビ局上がりということや雑文書きとしての劣等感もあった)など、わが身にも通じるものがあった。
まっとうな純文学作家のお仲間入りをさせてもらえなかった下積み時代から、「火垂るの墓/アメリカひじき」で直木賞受賞、そして四年で15冊の流行作家へとのし上がる。西鶴ばりといわれる文体の由来や、句読点が極端に少なく、改行なしで一気呵成に書き、読み返さず、ゲラも読まないという異端の創作秘話も盛り込まれる。

小説というものは、締め切りのプレッシャーに追われれば、書けてしまうものなんだなあと、推敲しすぎの私は、著者の破天荒な創作法に目を見開かされた思い、これから私もあまり形式ばらず自由に豪放に書いてみようと思わされた。

「文壇」なるものが廃れかけている時代だけに、昭和文壇史ともいうべき貴重な記録といえよう。2002年に書かれた作品というが、著者の記憶力のよさにはうならされる。熱を孕んだ当時の空気が伝わってきて、一世を風靡した文壇カルチャーに憧憬を覚える。

今回、同郷出身の作家ということで、水上勉の「雁の寺」(新潮文庫、直木賞受賞作品)も読んだが、さすがに巧緻。ぐうの音も出ないうまさだ。作者が少年僧として奉公した京都の寺時代がモデルになっているが、知られざる僧侶界の内実がわかって面白い。仏教関連用具など意味不明の用語が出てきて、在家にはわかりにくいところもあるが、興をそそった。帯にあるような売り文句、少年僧の完全犯罪ミステリーというよりは、歴然たる純文学である。文句なし、直木賞に価する逸作である。併録の「越前竹人形」も読ませる筆力で面白かった。
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冬のベンガル海

2013-12-25 22:02:33 | 季節・自然
クリスマスの今日、海辺のサンセットを愛でるつもりで、早めに家を出た。
路上から仰ぐ落日は、うす曇の陽気でもやがかかったような空に淡い朱色の円をあるかなきかに浮かせているだけで、浜に着く頃には消えてしまった。

海は一昨日に比べると荒めで、波が立っている。
漁船が一艘のみ、前方の海を軽快な蒸気エンジン音を鳴らして行き過ぎる。
沖合いに幾艘もの船が連なっていたおとといに比べると、漁日和とはいえない本日。

三つ星ホテル前の浜には、たくさんの旅客が群れていた。
しかし、混雑しているのはそのあたりだけで、クリスマスにしては浜の人出はさほど多くない。

昨日の新聞に載っていたサンタクロースのサンドアートはこの先の浜に造形されているはずと思ったが、うすら寒い陽気で足が伸びなかった。

西半分、あえかなオレンジ色の斜陽を照り返す海を眺めた。
白々と名残の陽を照り返す西側が淡く色づいているのに比べ、東半分はいまだ日が落ちない風情、昼とほぼ変わりない表情を見せていた。

灰色にもやる、寒そうな海を早々に後にした。
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インドからメリークリスマス!

2013-12-25 15:46:06 | 私・家族・我が安宿
               クリスマスイヴのベンガル海の夕焼け


イヴから明けて本番クリスマス。
昨夜はフルーツパウンドケーキを肴に赤ワインで祝杯。
ケーキ屋さんが混雑するので、使用人を差し向けたところ、丸型タイプでなく、スライスタイプが九つ納まった棒状のものを買って来た。

しかし、意外にこれがおいしかった。
ボリュームもたっぷり。
クリスマス用のスペシャル仕様だと、ナッツやレーズンたっぷりで、ラムケーキもあるのだが、そちらはニューイヤー用にすればいい。
スタッフにはボリュームたっぷりのこちらのケーキのほうがよかったかもしれない。

プリーに戻って二日目、荷物の整理も洗濯もほぼ終わったし、ヨガも再開して、日常に戻りつつある。
しかし、やらなきゃいけないことがいまだ手付かずのまま。年賀状も数枚書かねばならないし(海外のためほとんどEカードだが、コンピュータをやらない老齢の親族知人もいるので)、日本で仕入れたり、贈呈いただいた本が山積みになっている。休刊していたメルマガも、年の締めくくりの挨拶かたがた出さなければ。

昨日はせっせと家族友人に、Eカードを贈った。
この時季、夜になると、ホテル街のネオンがきらびやかに瞬く。
日本のように精巧でなく、クリスマスツリーをかたどったデザインもないが、色とりどりの豆電飾のきらめきを見ているだけで、クリスマス気分に浸れる。

ホテルはどこも満員御礼。
明けて二日まで、正月料金で倍以上に跳ね上がる稼ぎ時、サイクロンでお祭シーズンがふいになったので、埋め合わせだ。

駅のキオスクで買った2014年ホロスコープの全体運を読んで、来年は今年以上にラッキーな一年になりそうで、わくわく。
私はうま年、年女なのである。

読者の皆様にも一言、メリークリスマス!
この一年、拙ブログをご愛読いただき、ありがとうございました!
お体にはくれぐれも気をつけて、楽しいクリスマス、よき新年をお迎えくださいませ。
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本番イヴ

2013-12-24 20:29:27 | 私・家族・我が安宿
一夜明けて、クリスマスイヴ。
ホテル街には旅行者があふれ、前の道をひっきりなしに車が行きかう。朝から騒音猛々しい。
実に四十日ぶりにヨガをやって、野菜フルーツジュースにブラウンブレッドの朝食、ゴーヤジュースを合間に飲んで、昼は煮物とからすみ、ヘルシーな粗食に戻った。

夕刻、ワインとケーキを買いに使用人をやる。
寄港地のバンガロールで現地勤務の息子とすでにクリスマスパーティーは済ませていたが、本番イヴでやはり、ケーキとワインがなければ寂しい。
息子とはクリームケーキを堪能したので、フルーツパウンドケーキを購入、あとでスタッフにもおすそ分けだ。

九時近くなったら、夫婦二人でスラ(Sula, 太陽の意)、インド製お日様顔ラベルの赤ワインで乾杯だ。白を飲みたかったのだが、入手不可。先の帰国でキャセイ機上で白をたっぷり楽しんだので、よいことにする。

プリーはやや暖かめ。
日中は汗ばむほどだ。
州都の最高気温は三十度、最低気温は十五度となっていた。
当地は、やや涼しめかもしれない。
昨夕は久々にベンガル湾の入日にお目見え。
四時半過ぎに出ると、ちょうどいい。
渚に沈む大ぶりの落日、橙から朱色、真紅に鮮やかに色を増していく光景、自然の妙に見とれた。さざなみに映し出される金色がかったオレンジの斜陽は蛇腹模様に揺らめく。色が濃く鮮やかになるにつれ、まるで赤い龍のように首をもたげる。汀の砂は桜色に照り映えていた。
イヴの前日で人出はさして多くなく、淡い青緑色の透明なうしおにくるぶしを浸すと、ひんやり冷たかった。

クリスマスのイルミネーションに瞬くホテル街を見下ろしながら、3階のベランダで乾杯だ。
メリークリスマス!


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息子と先取りクリスマス

2013-12-23 23:15:55 | 
ほぼひと月間の帰国休暇を終えて、先般18日午前二時半、南インドのバンガロール国際空港へ到着した。
夫と息子が迎えにきており、待たせてあったタクシーで一路息子のアパートへ向かった。が、着いたときには午前四時過ぎ、朝が白みかけていた。アメリカ系IT企業に勤めるエンジニアの息子は午後四時出社(真夜中十二時まで勤務)とはいえ、会社差し向けの車が午後二時半に迎えに来るので、即座に布団にもぐりこむ。寝つきのいい夫はすぐいびきをかきだしたが、私はジェットラグのせいか、神経が冴えて眠れなかった。

翌日は八時と早めに目覚めてしまい、やはり早起きの夫と朝食がてら、眠っている息子を残して、外の軽食レストランへ。
息子が住む郊外のクマラスワミ地区は住宅地で、周囲に商店街もあり、便利だ。南インドでポピュラーな朝食、インド版塩味クレープ、ドサを戴く。
戻って土産の披露、夫には時計と財布とウイスキーと洋モク(マルボロ)、息子や息子のガールフレンドのお土産、ジャケット類やサングラス、化粧クリーム、チョコレートその他の菓子類も引き出す。
息子が11時ごろ眠い目をこすりつつ、起きだしたので、土産を見せると、表は黒、裏はグレーのストライプと両面使えるジャケットがとくに気に入ったようだった。発つ前、食事をご馳走になった息子のGFには赤のジャケットとサングラスを買ったが、息子からオーケーサインが出てほっとした。

昼は近くのレストランで外食、ほどなく送迎車が来て、息子は出社、私たち夫婦は休憩、夫は昼寝、私は読書にいそしんだ。
翌日はショッピング、息子のアパートに足りないものを買い足し、パソコンノートをチェック。中国製のレノヴァが3万ルピー以下(約4万五千円)で売られていたが、田舎町のプリーではサービス体制が整っていないらしく、買うのは諦める。
アパートから10キロほど離れたバンガロールセントラルというショッピングセンターにオートリキシャで出向いたのだが、なかなか立派なデパートで衣類などもしゃれた品揃え、二枚で399ルピーのディスカウントTシャツがあったので、息子は父にプレゼント、私にも何か買ってくれるというので、お言葉に甘えてナイティ(夜着)を所望、戻って今度は昼食づくりに精出し始めた。

ライスは私が作り、ダル豆スープは息子の手製、チキンは昨日夫が出前で取ったタンドール(グリル)チキンの残りを温めた。
息子は合間を見て、ベランダでエキササイズしながら、りんご一個、ゆで卵二つの軽食のみで、出社していった。
夕刻、バンガロールセントラルに出て、久々にヒンディ映画を夫婦で鑑賞、がらがらだったが、まあまあ面白かった。チケットは昨日息子に購入してもらったもので、「ラム・リーラ」というインド版ロミオとジュリエットのはずだったのが、たくさんある劇場を間違えたものか、別のもの(「ラジ・クマール」)だった。しかし、映画にあまり関心のない夫も楽しめたようで、アート級作品よりよかったかもしれない。

翌日は夫婦のみで早起きして、バスで片道三時間余のナンディヒル(Nandi Hill)へ。五年前に一度息子含め三人で遠出したことのある、ヒルスポットだ。
乗継がうまくいかず、一度乗り換えて、最後は山のてっぺんまでリキシャで登った。500ルピーの散財だったが、前とは違ったハプニングで一興、岩山の頂きのヴューポイントで缶ビールを空けて乾杯、つまみにクラッカーを開けようとしたら、猿に見事にかっさらわれた。
昼食は、見晴らしのいい州政府経営ホテル付設のレストランで。ここでもキングフィッシャーズ・ビールを一本頼み、エッグフライドライス(卵チャーハン)をシェア、夫のお菜はパニール(生チーズ)カレー、私はカレーが苦手なので、チャーハンのみだ。全面ガラス窓から俯瞰するデカンの赤い台地、棚田が壮観だ。

下が宿泊施設になっており、ダブル一室2300ルピーと高かったが、前方が丹精されたガーデンになっており、ベンチが置かれ、すばらしい下界を見下ろせるようになっている。眺めでとっているようなものだろう。かなり高いけど、一泊ぐらいしてみるのも悪くないねと夫と語り合いながら、絶景に見とれた。

その夜、息子は帰らなかった。仕事があるので朝になると言い訳していたが、どうやら友人宅に泊まったようだ。友人というのが、ガールフレンドであることは暗黙の了解。25歳の立派な社会人だし、親がとやかく言うことではない。自分の若い頃を見ても、彼氏がいたし、親に友達のところに泊まると言って、外泊した前歴のある手前、ものわかりのいい母親にならざるをえない。

翌朝はモップを買って来て、息子の部屋を大掃除。ほこりっぽかったのが、雑巾をかけたらきれいになった。掃除の最中、息子がきまり悪げに帰宅、さりげなく迎え、午後二時に彼女宅で5日早いクリスマスパーティーを催すことになっていたので、早速ダル豆スープづくりにいそしみ始めた。息子のダルはおいしいと評判らしいのだ。

日本のお土産と香港の免税店で買った赤ワインを片手にいそいそ、リキシャで十分の彼女宅へ。息子のアパートより高級で部屋が三室もある。
チーズを乗せたクラッカー作り、日本の菓子類やインドのスナック類も開けて、前もって買っておいたワイングラスを五つ並べて、いざ乾杯という段になって、赤ワインを開けようとしたら、なんとコルク栓。やばい!
息子が急遽、ワインオープナーを探しに行った。ついでに、忙しくて買ってる暇のなかったケーキも買ってくるように言い渡す。夫婦のみ、先にビールを飲みだしたが、肝心の栓抜きはなかなか見つからず、息子がやっと探し当てて戻ったのは一時間近くも後のことだった。
インド人には、ワインはポピュラーでないのである。
でも、昨日行ったナンディヒルの途上はぶどう畠が開け、ワインファームもあってテイスティングできると聞いたことがある。デカンの台地がはぐくむローカルワインだ。

息子がコルクに錐を差込みぐるぐる、渾身の力で抜いて、歓声が沸いた。透明な赤紫のワインが等分に注がれる。パイナップルの円形クリームケーキにはチョコレートで「Merry Xmas!」の文字が入っている。
彼女の妹さんも含めて、五人で乾杯。
フランス製のワインは美味、チーズの乗ったクラッカーと合った。彼女の手で八等分に切り分けられたパイナップルケーキは私には甘すぎたが、一足早いクリスマスパーティームード一杯。
家族水入らずで、おいしいワインと、手製の料理を、おしゃべりと共に楽しんだ。
私はブータン(彼女の母親のお国)の名物料理、ちっとも辛くないチーズカレー(カレーというよりシチュー)に舌鼓を打った。

彼女宅を辞して戻ったのが七時半、一休みするまもなく荷造りを済ませた同日午後九時過ぎ、息子に世話になったことの礼を言って、イエストヴァントプール鉄道駅に向かった。
楽しかった帰国休暇、戻って思いがけず、息子とのひとときも分かち合え、クリスマスを先取りして祝えたのがなんといってもよかった。
夫婦水いらずで、ナンディヒルに日帰り旅行もできたし、映画も観れた。

ワイングラスは息子宅に置いてきた。
次の帰国時、またみなでワインを楽しめるように。
明日の日曜は、余暇にラップミュージシャンとしても活躍する息子のパーフォーマンスがあるとかで、一日違いでライヴを見れないのが残念だったが、そのうち機会も訪れるだろう。

車内に二泊した23日月曜の午前六時に、プリー駅に到着した。車窓に茜色の朝日が覗いていた。

*ビッグ・ディール(Big Deal, 息子サミールの芸名)の新作は新春発売、「YOU」にご期待!
またその折には、拙ブログで紹介しますので、お楽しみに!
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