インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

豊かになったIT大国・インド

2006-04-30 20:34:11 | 政治・社会・経済
<4月2*日>
今夜は、待ちに待ったオディッシーダンスのリサイタルが催されるというので、早め
にヨガレッスンを済ませたあと、いそいそと午後7時の開演にあわせて中央郵便局近
くのタウンホールまで駆けつけたが、意に反して、全オリッサスクールの文化祭
で、子供中心の催し物、いわゆるダンス競技会だった。 

我がスミタースタジオからも数名参加、オディッシーの特徴はその舞いの優美さばか
りでなく、装束の可憐さにもあるのだが、当州特産の素朴でカラフルな絣の短サリーに
共布のサルワール(パンツ)をまとって、銀の耳輪、太い首輪・腕輪・胴飾りで装飾
し、まげにした髪の周りを白い花飾りで覆うのである。

あでやかな晴れの舞台衣装をまとって念入りに化粧し、子供ながらも見違えるよう
に美しくなった少女たちは小さな体で大熱演、かぶりつきでカメラのシャッターを
切る私の手は止まなかった。 
前日まで先生に叱咤されながらの猛練習の甲斐あって、サンバルプール地方のロー
カル色豊かなフォークダンスは見事栄冠を勝ち止めたばかりでなく、三位にも入賞
するなど二人も受賞者を出した。
チビっ子たちの白熱した競演に、会場からは拍手が鳴り止まなかった。

                       

<4月3*日>
最近とみに思うのは、インドが豊かになったということ。私がまだ旅行者だった二十
年前は、貧しい後進国のイメージそのものだったが、いまや世界に誇るIT大国、中国
に次ぐ巨大市場として欧米はいうまでもなく、日本からも注目されている。

アウトソーシング先としてもひっぱりだこで、米英のホワイトカラーたちはインド人
に職を奪われるってんで、ストライキを起こしているほど。

息子はじめ、私の周りの若者たちを見ても、ファッションからものの考え方まで西洋
化されており、デジタルグッズ漬け。
携帯ブームの昨今は所有してないと赤面物で、私も、ヨガ教室の主婦がみな持ってい
るのに影響されて、購入を余儀なくされた。

最近、いろんな催しものに参加する機会も多いのだが、デジタルビデオカメラはごく
ポピュラーに使用され、いまだ文明開化途上にある私個人、小さなディスプレーに目
前の演技がきれいに映し出されるのを背後から半ば唖然と、興味しんしんに見守って
いるといった態。
なにせ強度のメカ音痴ときているから、これからどうやってCDに焼き付けられるの
か、ん???といった面持ち。

結婚式はじめおめでたい儀式には必ず、専門のカメラマンに依頼して一部始終を撮影
してもらうのがインドの習わしだが、ちょっと前まではビデオカセットだったのが、
いまや完全デジタル化。

そういやあ、車も、ひと昔前までは、英コロニー来のモリスオックスフォードが原型と
いわれるクラシックカー、「アンバサダー」がインドの悪路を席巻していたが、い
まや外資と提携したスマートな最新車があふれるようになった。

カルカッタ、チェンナイ(旧マドラス)、バンガロールなどのIT都市ではNRI(在外
インド人)向けの超ゴージャスマンションが続々乱立、欧米諸国での便利で優雅な
文明生活に慣れた出戻りエンジニアたちの需要にこたえるべく、ゴルフコースやプ
ール、テニスコートはおろか、医療設備やセキュリティまで完備された、ちょっと
見た目はアメリカとまったく変わらないモダンな住居が飛ぶように売れていると
か。まさしく、デベロッパー関係者は笑いが止まらないといったところ?

近年、民間の航空会社も競って市場参入。ついこの前までエアラインといったら、
「エア・インディア」か「インディアン・エアライン」の二社(現在合併進行中)
だけだったのが、いまや十数社乱立、格安航空券をネットで提供するなど、しのぎ
をけずっている。  
デリーやカルカッタ空港の再構築プランも、外資の参入で行われる計画が進んでい
るところ。 
                              

グローバル・プレーヤーとして注目を浴び始めたインドの株市場はこのところうなぎ
のぼりで、外国の投資家も熱い眼差しを向けている。

ほんとインドは豊かになったなあというのが、生活者としてのしみじみした実感。

年間経済成長率、10%(現時点では8%)をめざし、勢いとどまるところを知らぬ
アジアの巨象、高齢化社会の先進国と違って、若者中心で理数に強く人的資源に恵
まれているだけに、今後のさらなる躍進が期待される。

ちなみに、いまもっともリッチなNRIとして注目されているのは、英在住の鉄鋼王、
ミタル
。娘の結婚式をベルサイユ宮殿を借り切って大判振る舞いしたことでも有名。
最近、このロッテルダムベースのミタル鉄鋼がルクセンブルクのアルセロル大手鉄
鋼会社を買収せんとする動きに出ており、欧州連合から攻撃されたがどこ吹く風、
(そこはかとなくホリエモン騒動を思い起こさせるな)、世界一をひそかにもくろ
む大野心家である。

                                               


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

息子帰郷、ヨガキャンプ、ダンスと目白押し

2006-04-06 20:54:55 | 私・家族・我が安宿
<3月2*日>
日印混血息子(17歳)のサミール(日本名は理秀)が北東インドのティーで有名な避
暑地・ダージリンから、12年生の最終試験を無事終えて戻ってきた。

同地での四年間の寄宿舎(英語学校)生活を卒業、いよいよカレッジ進学。国内切っ
ての西洋化されたIT都市、インドのシリコンバレーとの異名をとる、南のバンガ
ロール
の大学を希望しており、目下ネットや知人が持参したリストをチェックしてめ
ぼしい大学に申請書を送る日々。

希望の学科は、インドならではのITと、MBA(マネッジメント・オブ・ビジネス)。
実はITについては、両親から半ば強制されたもの。ご存知のようにインドはIT
ブーム、世界の先進国にエンジニアたちが進出、ン千万年収取得の記事が折々新聞
をにぎわす昨今。
無論日本にも、優秀なインド人コンピューター技師たちが進出しており、州都ブバネ
シュワールの日本語学校で学ぶ300名の生徒の大半はエンジニアとか。

実は本人はジャーナリスト志望なのだが、「エンジニアにならなくても、IT関連の
記事を書いたらいいじゃない」とかなんとか言いくるめて、納得させた次第。
+MBAのディグリーも持っていると、キャリア上有利なことはいうまでもなし。

合間を縫って、母がヨガを習うセンターでジムにも通いだした息子。受験前なのに
と渋ったが、甘い父親がすでに許可を出してしまったあとのことで、まあ、机にか
じりついてばかりも可哀想だし、気分転換になればと、私も渋々承諾。

                      

<3月2*日>
今日から三日間は、初心者向けのヨガ講習会(150ルピー/1Rs=2.5円)。会場は当
地プリーのバザールのバス停近くのセンター。

教師は、日ごろ私が通っているヨガ教室の若き女性インストラクター、ビティカのグ
ル(導師)、ジャメシュワラ・クンティヤ師。7歳のころからのヨガ歴37年とい大ベ
テランで、現在香港のヨガセンター(生徒数7000名)で、インストラクターとして活
躍中なのだが、一時帰国に合わせてのこのたびのキャンプ開催となったもの。

実はこれに先立つこと、西の外れにあるアシュラムで、毎早朝グルの直接指導下の
レッスンにすでに参加していた私だった。
さすが、ビティカが師と仰ぐだけあって、ダイナミックでパワフル、アサナ(体型)
もオリジナルの工夫を加えたもので、ポーズ中の息の仕方も明瞭に指示してくれるの
で、初心者にはとてもわかりやすい。香港でインストラクターをしているだけあっ
て、英語にも堪能で、外国人の私にはもってこい。

というわけで、このたびのヨガのヨの字も知らない人のためのビギナーコースは私に
はちと物足りなかったが、最終日の講習が終わった後のファンクションがとてもよ
かった。

州観光省の大臣が最前の賓客席に座して見守るなか、グル主宰の「バーラト・ヨガ・
ケンドラ(インド・ヨガ協会)」の愛弟子6名が名演技を披露、無論一番弟子のビ
ティカもその一人で、黒のレオタード姿でアクロバティック紛いの難技を披露し、
集った報道陣からいっせいにカメラのフラッシュを浴び、拍手大喝采の渦に包まれ
た。
                      

最後にグル自身が見事な演技を披露してくれ、感激
これで終わりかと思ったら、引き止められ、なんと予想外においしいディナーまで出
された。

バナナの葉っぱにギー(牛脂)で揚げたインド風パンケーキ・パラタ、野菜入りダル
(豆のドライスープ)、黄色くて甘い天カスのようなスウィートがお好みの分量だけ
配られ、円座になった参加者でシェアしていただく。
レオタード姿だったビティカは、インドの民族服、鮮やかな黄緑色のスパンコール付
きのきらびやかなパンツスーツに着替えており、華やかさを添える。

キャンプ自体の内容はいまいちだったが、ローカルディナーも堪能できて、ほくほく
満足顔で帰途についた私だった。

<4月*日>
新しい月の始まり。当地プリーはミッドサマーで、酷暑の毎日が続く。海がそばなの
で、湿度は100%近くと、耐え難い。が、まだ風があるだけましで、州都はいつもこ
の時期最高46度という空恐ろしい気温をマークする。

                        

今月から、ヒンディ語のレッスンを開始、加えること、当オリッサ州古来の伝統舞
踊、「オディッシー」まで習い始めた(入学金Rs100/月50)。

オディッシーは寺院に奉納する古典舞踏で、衣装の華麗さと舞いの優雅さで全国的に
有名。外国人のダンサーも珍しくなく、小野雅子さんといって、かの小泉首相にも舞
いを披露した日本女性ダンサーは当州都を拠点として講演会を定期的に催し、活躍な
さっている。

ヒンディ語はまず書き文字から入ったが、当州の言語、オリヤ語を四ヵ月半、学んだ
あとだったこともあり(基本的には同じで、似通った発音の単語もある)、比較的
すんなりと入っていけた。

問題は、オディッシー。この年になって、ステップの難しい、精力的なエネルギーを
要する古典舞踏を習おうというのがそもそも甘かったかと、少女中心の生徒たちに混
じって、ちと後悔、初回レッスン後は持病の腰痛とひざの痛みがぶり返し、翌日のレッ
スンは自主休講せざるをえない羽目に。

                         

ただし、ムドゥラといって、両手の指を駆使していろんな型を造る手の所作は面白く、
少女が一人ずつ前に出て、ムドゥラ名をつぶやきながら、次々に見本を披露してく
れるのだが、私も見よう見まねで真似て必死にフォロー、楽しかった。

                 

古典舞踏のあとはフォークダンスで、カレッジに通う女学生が映画音楽に合わせての
ダンスのレッスン、私にはどうやらこちらの方が合ってるようで、そのうち折をみて
モダンダンスに変えてくれるよう提案してみようと思っている。

講演会などでオディッシーは見ているのは楽しいしわくわくするのだけど、実際にや
るとなると一筋縄ではいかず、観客でいるのが無難なことを思い知らされた感じ。


コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする