インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

ビーチ祭り最終日

2011-11-29 22:55:15 | カルチャー(祭)・アート・本
今日はベンガル湾沿いの聖地プリーの恒例のお祭り、ビーチフェスティバルのラストデー。
浜に出た後、ネットカフェでPDFファイルの校正送信、七時過ぎ、現地に向かった。
23日に始まった、第17回恒例のビーチ祭りは、極西の浜で開催中なのである。

オートリキシャ(三輪車)で60-70ルピー(日本円にして百円程度)、15分とたたぬうちに、会場に到着。
先週の土曜日こて調べで八時半過ぎ向かったら、出し物は最後で、ネパールからという退屈なソロダンスだったので、今日は早めに出向いたが、正解、最前席に座って十分ほどで、催しが始まった。

一番最初はマハリ・ダンス。私が観たいと思っていた原初の古い踊りだ。当地のジャガンナート本殿に祀られたユニバースロードはクリシュナ神の化身とされるが、マハリダンスとは、そのクリシュナ神にささげられる献舞なのだ。当オリッサ州の寺院奉納舞踏といったら、オディッシーが有名だが、そのオディッシーの母型である。
ジャスミンとマリーゴールドの花冠をつけた、金銀の腕輪、胴輪付き、金銀のラメ入りの赤、ピンク、オレンジ、緑、紫の綾のある舞衣装に着飾った五人の踊り子が登場。
軽快でリズミカルなオディッシーに比べると、ゆっくりした重い動きの舞いで、ステップもずいぶんと違う。踊り子たちの両手指の先は赤く染められ、てのひらの真ん中に赤丸がある。
ベンガル地方で、既婚の印だ。マハリとは神に属する女性という、文字通りガッドワイフ、クリシュナ神に嫁ぎ、生涯を歌舞で奉仕する聖なる芸妓を指すのだ。
今月締めの私の小説のテーマとなったのも、このマハリであった。
そういう意味でも、見といてよかったと思う。もっと軽快で動きのある踊りかと思ったら、予想に反していたので、やはり観てみないとわからないものだとしみじみ思った。

次はお待ちかねオディッシーの男女各12名ずつによる群舞。やはり、ソロよりグループ舞いのほうが活気があるし、華やかだ。男女入り乱れての乱舞のテーマは季節ごとのお祭り。とても楽しげで軽やかな踊りだ。
白いジャスミンのまげ飾り、くすんだ赤やオレンジ、緑、紫の素朴な舞い衣装に着飾った女舞踏家に、黒の腰巻をまとった男の組み手、ペアになって踊る舞いは目を楽しませてくれる。女たちが跳ねるたび、銀鈴つきの足輪が涼やかにしゃんしゃんと鳴り響く。
舞台は白、赤、青、緑と変幻するスポットライトに浮かび上がり、ドライアイスがもくもく袖からのぼったり、演出効果抜群だ。背後の空にはうこんの三日月が浮かんで、ムード満点。
ステージの両袖には赤い光沢のある大壺が飾られ、当てられる照明で水が流れ出しているように見える。左端には宇宙の主のジャガンナート神と、兄のバラバドラー、姉のスバドラーの三位一体神。マハリダンサーたちが踊りを終えたとき、ひれ伏した神座だ。

お祭りのテーマが変わり、男性舞踏家が両手に赤い入れ物のお香をもって現れたときは、舞台が一面芳しい煙幕にさえぎられ、紗がかかったようになった。
お祭りが変わるごとに12名の女のみ、12名の男のみ、6名ずつの男女や、4名ずつの男女と、組みや衣装を変えて、オディッシー特有のリズミカルなステップを踏んで観客を堪能させてくれた。最後の色水かけお祭り、ホーリーでは、収穫を祝うお祭りらしく、女たちはオリッサ州名産イカット、赤地に黒絣のひざ下の見える短い衣装をまとって、原住民の踊りも披露してくれた。オリッサ・ダンス・アカデミー団の熱演に拍手大喝采が沸いた。

次は西オリッサのサンバルプール地方の原住民舞踏。男女六名ずつの群舞。男たちは太鼓を首から提げて、緑のバンダナ、赤シャツ、女たちは赤地に黒絣、黄色いスカーフを首の両側から垂らし、赤いきれを振っては、男たちの太鼓に合わせて軽快に踊る。威勢のいい素朴な舞いで、技術的にはオディッシーのような難解さはないが、とにかく生きのいい踊りで、観客席にも活気を与えてくれた。

四番目の出し物は、西インドの大都会、ムンバイからのモダンダンスらしいので、期待したが、前口上が長くていっこうに始まらない。そのうち、表彰式まで始まった。最終日なので、アーチストたちの顕彰である。どうやら、ムンバイダンスはこの後、ということになるようだった。しびれを切らした私は、立ち上がった。
露店はすでに見学済み、煉瓦タイル敷きの歩道を歩き出して少し行くと、オート三輪車の空車を見つけたのでつかまえた。100ルピーとぼるのを70ルピーに負けさせて、一路我が家へ。
たどり着いたときは、九時半を回っていた。
しかし、今日は三つの出し物を堪能できたし、行った甲斐はあった。
何より、マハリダンスをわが目で目撃できたのが収穫だった。




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ベンガル湾季節便り/三日月の雲隠れ

2011-11-27 22:00:59 | 季節・自然
ベランダから日の落ちた空を見上げると、西寄りの中空にこんじきの三日月と、その下方に明星を認めたので、いそいそと浜に出た。
ところが、海辺にたどり着くころには、月も金星もどこへともなく消えていた。
雲の中に隠れてしまったのかもしれない。

がっかりしながら、暗いうしおに足を浸した。
東寄りの上空にはひときわ明るい木星が瞬いている。
すっかりおなじみになった、わが守護星だ。

今日は日曜。西の浜で開催されているビーチ祭りにもさぞかし、たくさんの人が繰り出しているだろう。
昨夜覗いたが、中日だったせいか、土曜というのに、人は少なく、踊りなどの催し会場もがらがら、しかも出し物は退屈極まりないソロの舞いだった。

でも、今年は東側でも、五つ星ホテル「ホリデーリゾート」の催すささやかなパーフォーマンス、曲芸舞踏やマジックショーを満喫したので、よしとする。
うちから歩五分の近場にある白い大きなマンションのようなビルと、背後にコッテージの立ち並ぶ「ホリデーリゾート」では事あるごとにファンクションが催され、外人の特権で侵入、ただで催しを楽しませてもらってきたが、ホテル協会と観光省主催のビーチ祭りより、よっぽどソフィスティケートされているのである。

無論ステージは小さめだが、背景の小道具とか、照明がしゃれている。
プライベートで、依頼客から金をもらっている余裕もあるんだろうけど、進行とか、少しホリデーリゾートに学んだほうがいいのではないか。
旧態依然としたビーチ祭りに比べ、よっぽどモダンである。
見ているほうも、いろいろ新しい趣向を見せられ、おっ、田舎にしてはなかなかやるではないかと、楽しい。

結婚式は無論、企業主催のファンクション、ヨガキャンプまで、ホリデーリゾートはファンクション慣れ、ノウハウをつかんでいるのである。

ビーチ祭りも、このままだと、客離れは避けられまい。

観光上の振興というなら、いっそのこと、クリスマスから新年にしたほうが盛り上がるのにと、口惜しい。当地から車で5,6時間のゴーパルプルビーチがちょうどその期間中ビーチ祭りなので、日程はぶつかるけど。

まあ、時間があったら、最終の火曜日、少し早い時間帯に再訪してみるつもりだが、あまり期待は出来ない。
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変わり映えのしない恒例祭

2011-11-27 21:53:29 | カルチャー(祭)・アート・本
昨晩八時半から二時間ほど、極西の浜で開催中のビーチフェスティバルを覗いてきた。
今年で17回目ということもあって、主催者のホテル協会(観光省支援)もだれ気味。
目新しい呼び物は何もなく、ネパールからの踊りは退屈極まりなかった。
土曜日だったが、席はガラガラ。手織物の物産展と民芸店も一周したが、掘り出し物は見つからず。

もう一度催し会場に戻ったが、まだ物憂い踊りは続いていた。
そのうち閉幕。どうやら、最後の出し物だったようだ。
もう少し早い時刻に来るべきだったかと、後悔。
東の浜から行くと、2、3キロ離れているので、もう一度覗くのも億劫だが、最終日の火曜にはマハリダンスの催しがあるみたいなので、時間があったら、行ってみてもいい。

ちなみに、マハリとは、当オディッシャ州の寺院に奉納する古典舞踏として有名なオディッシーの原型で、クリシュナ神の化身である当地プリーのジャガンナート寺院の主神ユニバースロードにささげられる献舞だ。
実は、今月投稿する創作もマハリをテーマにした作品ゆえ、一度見ておいたほうがいいかとは思っている。

12月から当地から35キロ離れた、13世紀の遺跡・太陽神殿のあることで有名なコナルークで、ダンス祭りが開催される。これも恒例のお祭りだが、今年も夫同伴で訪ねるつもりだ。
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ベンガル湾季節便り/荘厳なる日没

2011-11-26 19:41:56 | 季節・自然
西で行われているビーチ祭りの余波で、東の浜でも五つ星リゾート主催のライヴステージが二日連続催されたので、今日は何かなと期待して、海に出た。
予想に反して、ステージのあった砂浜はがらんとしていた。
どうやら二日のみだったようだ。

しかし、落胆を跳ね返すように、本日の夕日はひときわ美しかった。
黄金(こがね)の太陽は、波打ち際に金箔を刷いて、入日とは思えぬほどまばゆい光輝を放射状に発していた。
濡れた砂に長い金の帯が映し出され、まるで薄くれないに染まったキャンバスに切れ切れに貼り付けられた金箔模様のようにゆらめく。
日が沈むにつれて、紅を増した大円は、汀を朱色の箔で横切った。

朱(あけ)の落日はゆっくりと、灰色の紗にくるまれていき、壮麗なサンセット劇が幕を閉じた。
日が落ちたすぐ上の空には、雲が幾筋かかかり、淡いローズオレンジに染まっていた。
それより少し斜め上に、オーム(梵語で宇宙の原初のおん)をかたどった白い雲が浮いていり、敬虔さに身が震える。

聖なるガンジス河が流れ着く先のベンガル海の、荘厳なる夕景である。

心行くまで入日を味わった満足感で、ゆっくりときびすを返す。
海は穏やかで、盛り上がった小波がざわざわと押し寄せる。
波の泡が点々と、濡れた砂面に貼りついていた。
郷里の日本海の波の華のように、風が引きちぎって花吹雪が舞うことはない。

ふと背後の浜に目を移すと、杏色の制服に白手袋をしたNGOらしき一団が、砂浜に散らばるごみを拾って、ビーチ美化にせっせといそしんでいた。
インドの常で、ゴミ箱がないため、嘆かわしいことにそこかしこにごみが落ちているのである。
せっかくの美景がムードぶち壊しになるので、あまり書きたくないことだが、動物の糞のみならず人糞まで落ちているし、立小便をする不届き者もいる。
もっと、こうしたビーチ美化運動が広がるといいなと感謝しながら、そぞろ歩いていると、平らな濡れ砂の上を自転車の二人乗りが駆け抜けた。
下車して、携帯カメラで記念撮影をしている。
そのうち少年の一人が自転車を肩の上に持ち上げてポーズ、学童期にありがちのいたずらっぽさが微笑ましかった。

戻りかけた砂浜に、廃棄物を焼却する炎が三つ、磯の香にきな臭い匂いが混じる。南から吹く海風で、火焔が引きちぎれ、砂上をなめるように走る。灰煙が低空を北に向かって、ゆらゆらたなびいている。

今宵は金星は見えなかったが、東寄りの上空に木星がかすかに瞬いていた。

帰途は、久々に五つ星ホテルを通って帰ることにする。
結婚式の名残りの青と緑のフリル電飾の垂れる、ホリデーリゾートの裏門から侵入し、芝ガーデンからコッテージ、レストラン、プールと通過してフロントに出、表玄関に出ると、ビルの前のほうは虹色のストライプ電飾で彩られ、屋上も緑に縁取られていた。



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ベンガル湾季節便り/夕暮れのマジックショー

2011-11-25 20:04:52 | 季節・自然
今日も、浜でライヴ舞踏を楽しめるかなと期待して、五時前家を出た。
道なりに仰ぐ夕日は昨日より一回り大きく、橙がかった金色の光輝を発していた。
サングラス越しでもまぶしいくらいだ。
浜に出ると、昨夕砂上ステージのあった場所に、人が群がっていたが、舞踏は繰り広げられていないようだった。マイクの音声が聞こえるが、準備段階かなと思い、まず波打ち際を歩いて壮麗な入日を堪能してしまうことにした。

碧い海原が爽快に開けるなか、渚を伝って、日の沈む方角に進む。
サフランオレンジの日没が浅瀬に尾を引いて映し出される。
淡い珊瑚色にきらめくさざなみ、濡れた砂も乙女の頬のような桜色に染まっていた。
水平線に、灰色の帆かけ漁船が、冬の蛾を思わせて停まっていた。

日が没した後、人が群がっている浜の中ほどまで足を進めると、今日はなんと手品が繰り広げられていたのだった。マイクの音は、マジシャンの技を披露するアナウンスだったのだ。そうとは知らず、ホテル関係者のマイクテストで、いまだ準備中と思っていた私は一瞬、しまったと思った。
あわてて、プラスチックチェアの最前席に座った。
もう半分以上終わってしまったかと失望していると、それから三十分以上も、いろんな仕掛けを披露してくれた。

観客の一人に請うて筒型の布袋に20ルピー札を入れさせた後、てのひらでしだれ模様をつくり、ちちんぷいぷいとやると、中からあらあら不思議、100ルピー札が五枚も飛び出した。拍手が飛び交う。また五枚のお札を中に入れて呪文をかけると、今度は元の20ルピー札が出てきて、お金を提供した観客の手に戻った。
あとは、何も入ってないはずのふた付銀器の中から花が飛び出したり、器中に収めたろうそくが閉めて開けると花に変わったり、四角い入れ物に入れたうさぎの飾りがミッキーマウスに変わったり、の他愛ないマジックだ。
おそらく、容器に仕掛けがしてあるのだろう。
細長いテーブルにはそれら、観客をあっといわせるたくさんの仕掛け道具が積み重なっていた。

暗いオレンジから薄紫、薄藍へと暮れていく夕空を背景にしたマジックショーは乙なもの、手元に花が咲く演出に観客は拍手を惜しまない。

私はいつだったか、テレビで明かされた手品の仕掛けをふと思い出していた。
長い剣をするする口元からのどへ、さらに食道へ胃へと飲み込んでいく技、観客はスリリングではっとするが、仕掛けはなんのことはない、刃物の部分が押されるとするする柄まで巻き上がる仕組みになっており、実際のところは切っ先は中にまったく入ってないのである。種を明かされれば、他愛ないものだ。箱に入った人間に刃物を突き刺すマジックはポピュラーだが、これも突き刺すと、刃物の部分が曲がり、肉体を貫かないように出来ているのである。

ただ、それらをいかにも本物らしく演出する技も必要。
手元がぎこちなかったりすると、見破られてしまう。
口舌の巧さも必要だ。
音楽に合わせて優雅に手元を操り、観客の目を惑わせるテクニックはプロのマジシャンならでは。
目前の手品師は今ひとつ、その技に欠けるような気がした。
いわゆる子供だましのテクニックである。
観客もパーフォーマーに促されてぱらぱらと拍手はするが、あまり盛り上がらない。昨日の曲芸舞踏のほうが観衆は多かったような気がしたが、それでも、宵が深まるにつれ、人垣が出来た。

まあ、こういうマジックショーも田舎の当地では滅多にないので、それなりに楽しかったが、コピーに行くついで、駅のキオスクで久々に英字雑誌を買おうと思っていた私は、適度なところで切り上げた。
戻る途上、背後の浜を振り返ると、今日も西寄りの低空に宵の明星が瞬いていた。東側の藍が深めの中空には木星がきらめいている。

明日はなんの催しかなと楽しみながら、後にした。
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黄金好きなインド人(銀座新聞連載エッセイ)

2011-11-25 19:56:13 | 印度の玉手箱(銀座新聞連載)
銀座新聞ニュースに最新エッセイが掲載されました。
インドは金が財産代わりという黄金トップ消費国、ゴールドフィーバーについて述べてみました。
豪華な装飾品の写真と併せてお楽しみください。


黄金好きなインド人、金尽くしの結婚、日常も金飾り
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ヘルシー無卵ココナッツクッキー

2011-11-24 21:20:58 | 食・健康
インドは椰子の楽園だ。そのせいで、ココナッツはフル利用される。夏になれば椰子水は愛飲され、椰子の実は料理や菓子に用いられ、花からはトディといわれる蒸留酒もとれ、それら食用のみならず、整髪油、体に塗る油ほか、椰子の葉は家を葺くのにも用いられる。

わが安宿ラブ&ライフにも、椰子の木がたくさん植わっている。
天然の獲れたてのココナッツウオーターはほんのり甘みがあっておいしいし、脱水症状や胃炎にもきく。夏になると、青い実をなたでぱかりと割って、毎朝堪能している私だ。成熟して固い茶色の実になると、カレーや菓子などの食用に用いられる。
オリッサ州にはピティといわれるローカルケーキがあるが、油で揚げた小麦粉の生地の中身に、椰子蜜グドで絡めたココナッツジャムが入っており、美味だ。

ココナッツ風味はインドならではの味覚なのだ。
カレーがぷうんと香ばしいココナッツ風味でポピュラーなのは、椰子のパラダイス、南のケララ州。しかし、北の人たちは、髪油を料理に使って臭いと、敬遠する。

ココナッツの香りと風味が大好きな私、最近、市販のココナッツクッキーで美味な製品を見つけてほくほく。
菜食主義者の多いインドではエッグレス(無卵)製品も多いが、このビスコット・イタリア、インターナショナル・テイストとパッケージにキャッチの入ったDIVSSクッキーも、エッグレス。
ケーキもエッグレスがあるが、ヴェジタリアンのほうがおいしいこともあるのだ。
とくにパウンドケーキはエッグレスのほうがおいしい。
卵を使えない分、ドライフルーツやナッツをたっぷり使って、趣向を凝らすせいだ。

というわけで、ハリドワール、北インドの聖地産のこのエッグレス・ココナッツクッキーは、市販とも思えぬおいしさで、私をとりこにしてしまった。
300グラムでボリュームたっぷり、プラスチックケース入りでしけないように配慮が凝らされて、お得な55ルピー(約90円)だ(インドの物価は日本の7-8分の1だが、酒類や衣服、家電は高め、インフレ率二桁近いので、デフレの日本のほうが安い製品もある)。
Shakti Bhog Ltd(宇宙のエネルギー食会社)という社名どおり、超おいしくて力のつくクッキー、日本にクッキーは数あれど、ココナッツ風味においてはインドにかなわないかもしれない。

今もかじりながら、これを書いてる私、読者の方々におすそ分けできないのが、残念だ。

インドにお住まいの方は、ぜひお試しあれ!

*追記/西の浜のしゃれたケーキ屋さん・モンギニスの、特製手製チョコクッキーも、甲乙つけがたいおいしさ。カカオやナッツがちりばめられたこってりチョコクッキーは、ココナッツクッキーの量は半分だが、40ルピーと高め。モンギニスのウオルナッツパウンドケーキも優れもの。胡桃やレーズンの入った、椰子蜜ブラウンシュガー味の芳しいケーキで、チョコクッキーと併せて食べると、一段とおいしい。来月はクリスマスシーズン、今年はなんのケーキにしようかな。わが子息は、クリームケーキよりパウンドケーキがお気に入りだが、一切れ20ルピーもするピュアチョコクリームケーキはさすがに美味だ。
一足早いケーキの話でした。






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ベンガル湾季節便り/宵の明星対木星

2011-11-24 21:17:31 | 季節・自然
西のビーチ祭りのおこぼれ、東のリゾートホテル主催のささやかな舞踏ステージを堪能した後、波打ち際まで出た。
すでに夜の緒に入った渚は、海風がやや肌寒く感ぜられ、冷たいうしおに足を浸すことがためらわれた。そのまま手前で立ち尽くし、つと空を仰ぐと、西寄りの低空に星が一粒、瞬いていた。長いこと、木星と金星を取り違えていたが、今度は間違いなく宵の明星だと思った。
かなり離れた東寄りの高いところに、ひときわ明るくきらめいているのが、木星だ。二つの星を目撃、確認できた幸運に感激。

東側にいるせいか、金星より木星のほうがやや明るく見える。金星はその名のとおりこんじきに輝いているが、木星は白光だ。なにはともあれ、郷里の友人の教示で、やっと二つの星の違いを確認でき、うれしかった。
何度も二星を見比べながら、浜をゆっくり後にした。

ビーチ祭りの立て看板が、道のそこかしこに立っていた。
仕事が一段落したら、西の浜に遠出、鑑賞するつもりだ。
少年の踊り子が展開する曲芸舞踏ともいうべき、ゴッティエ・プオ(一人の息子)を、ついさっき東側でも鑑賞して、一足先に祭りの緒をかじった気になった今日の散歩は有意義だった。

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ベンガル湾季節便り/落日に映える舞踏

2011-11-24 20:45:59 | 季節・自然
冬季で夕日が壮麗なので、今月から極力日没前に家を出るようにしているが、今日もちょうど切れのいいところで仕事が終わったため、五時前にいそいそ向かった。
ベランダから見上げたとき、入日は雲に隠れていたが、海に近づくころには、顔を出して、臙脂の大円の頭に雲がふた筋かかって、風趣ある趣になっていた。すぐ真上の空には色づいた筋雲が棚引いている。

浜の中ほどに小さなステージが設けられ、人が群がっているのを目撃した私は、波打ち際には降りずに、そちらのほうに向かった。
緋毛氈の敷かれた砂上の仮ステージでは、舞踏が披露されていた。
外人ということで、関係者に最前列の席に招かれた。
プラスチックチェアに腰を下ろして、鑑賞。
出し物は、「ゴッティエ・プオ」(一人の息子)だと気づく。

背後の五つ星ホテル、ホリデーリゾート主宰らしく、ホテル名を入れた赤青緑黄の三角旗がステージの四つ角に立っていた。
舞い手は7-12歳ころの女装した少年六名である。
衣装は当地の古典舞踏オディッシーと変わらず、ステップも同じだが、踊りの技能よりも、曲芸に重きを置く舞踏で、ヨガの難ポーズや、スクラムを組んで難しい型を作ることから、しなやかで強靭な少年が舞い手なのである。

古典舞踏だと、退屈に思う向きもあるので、そういう意味でも、ゴッティエ・プオは人気。
朱とピンクと黄金(こがね)の色鮮やかな舞い衣装で着飾った、眉の太い浅黒い踊り子たちは、軽快にステップを踏んで、大車輪や180度開脚などのさまざまなポーズを、リズミカルな歌に合わせて披露する。
脇に三人の伴奏隊が控え、ボーカルが太鼓とアコーディオンに合わせて「タタタタ、アタタ」と合いの手が入った軽快な歌声を響かせる中、踊り子たちは次々に曲芸を披露していった。小柄な一番年下の少年がポーズを決められずに途中でやめてしまった失態が二度ほどあったのも、微笑ましかった。踊りの技巧はみなつたないが、メインは曲芸なので、誰も気にしない。

「タタタ」の合いの手が差し迫って大きくなると、いよいよ難しい型に入ることがわかる。チャクラアサナといわれるブリッジポーズをとる二人の腹の上に乗っかる一番幼い6、7歳の少年、危なっかしげな足元ながらどうにか立って、クリシュナ神が笛を吹くポーズをとった。両脇に寝転がった二人が足を屈曲回転、両足を中央の二人の腹につけ、ばっちり決まった。拍手大喝采。

見事な型を作る少年舞踏家の肩越しに、朱鷺色の夕日が覗く。
ムード満点だ。
さすがに小学生の子供だけにエネルギーにあふれており、かれこれ一時間近く芸を披露しているにもかかわらず、疲れ知らずだ。人間ブリッジの合間に、「ムー・オディア」(私はオリッサ人)という演目も披露したが、胸に手をやって大またで回転歩きする、誇らしげな振りつけが愛らしかった。オリッサ民であることにプライドをもった意味合いの楽しい歌なのだ。

日が落ちて、背景は薄藍から藤色、紫とグラーデション模様の空あいになる。
淡い紫紺の宵に、踊り子たちの色鮮やかな衣装がシルエットを帯びて、くっきり浮かび上がる。

ちょうど西の浜ではビーチ祭りが開催中で、浜が途切れる端をきらびやかに彩っていた。
徐々に夜は降りて、深い紫のバックグラウンドに美しい型を組む少年踊り子たち、見事な芸に拍手が鳴り止まなかった。

それにしても、東の浜でのこうした催しは初めてだ。
ビーチ祭りというと、西のホテル街のお祭りと相場が決まっていて、東のホテル街はいつもほされているだけに、今後東のほうでも、このような催しが広がることを期待したい。ホリデーリゾートのせめてものささやかな抵抗だったのかもしれない。
メインのホテル街は向こうで、こちとらは、昔は外人旅行者向けの静かな浜だったのだ。しかし、近年はローカル旅行者が東にも入り込んで、隆盛を誇っている。
とはいえ、西はホテル街の目の前に、海岸が開けるので、インド人旅行者のお気に入りだ。レストランや土産物屋も列を成しており、インフラが整っているのだ。

渚の遊歩ついでに、踊りを堪能できた私は、得した気分で、浜を後にした。
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ベンガル湾季節便り/冬の荒潮

2011-11-23 22:45:25 | 季節・自然
日が沈んでから、浜に出た。
ここ数日気温が落ちて、やや肌寒い夜気のなかをショールをかき寄せて、足早に海に向かった。
人気のない浜は七時前でも暗く、背後の五つ星ホテルのオレンジ色の街灯が唯一、明り取りだ。
渚に自分の影が長く伸びる。

海と空の境は見分けがつかないくらい、深い藍に沈んでいた。
暗い水平線にトパーズ色のいさり火が二つ、次第に近づいて数珠の金の鎖のように点滅しだした。

今宵も、ジュピターが中空に瞬いていたが、昨夕に比べると、光度がやや低く、ほのかにきらめく程度だ。もしかして、別の星ということもあるのだろうか。

極西のホテル街の灯は今日からビーチ祭りが始まったせいだろう、いつになくきらびやかで、観覧車と思われる緑の光が幻想的だった。

波打ち際にたたずむ足元に、大波が押し寄せる。
ベンガルの荒潮はどーんと弾け、宙にいくつもの白蓮を咲かせる。
砂地を轟かせる豪快な勢いで、瀑布、闇にほの白くひらめく。
海底を這ってうねる木霊が名残りのように追いかけてくる。

荒く弾ける波は日本海の怒涛を思い起こさせる。
郷里の冬の海の激しさは、熱帯の海の比ではないが、ベンガル湾も荒海で知られ、溺死者も毎年数十名出るほどだ。油断していると、荒潮にさらわれるのだ。

轟くような潮騒に混じって、背後にどんと上がる花火音。
結婚シーズンの今は、どこかで祝いの花火を打ち上げているのかもしれない。

砂浜の後方に掘っ立て小屋が立っていた。
不法占拠者だが、この界隈では一軒のみなので、ひときわ目立つ。
今春逗留した山谷のホームレスのテント小屋を思い出した。
東の漁村は全部、不法占拠、浜に掘っ立て小屋が続く、いわばスラムだ。

屋根代わりに厚い葉の植物を生い茂らせた、わら作りの小屋には、旗が立っていた。
葉の茂みから突き出した長いポールの先に、三角旗がたなびいている。
我が家を誇示するシンボル、でもあろうか。
粗末な仮所帯ながらも、小屋の入り口からは小さな火が覗き見え、夕餉の匂いがして楽しそうだった。



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