インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

人生の流れ

2015-05-31 01:20:49 | 私・家族・我が安宿
三ヶ月前、事故に遭遇し、ひざに怪我を負っていまだに本調子でないことから、私の人生の流れが大きく変わろうとしている。

これまでのわが人生の推移を見ても、大体五年に一度くらいの割で転機が訪れているが、初老期に突入して、事故に遭遇したことから私の人生の優先権が大きく変わってしまった。

好いた惚れたは五十代まで、若さの総決算として、「涅槃ホテル」を昨冬上梓できたのは、作家として幸福だったと思うばかりだ。一番好きだった男との経緯を活字化できたわけで、私の青春の総決算をしたわけで、五十代というと中年で若くないといわれそうだが、五十代はまだ若い、五十代までは青春、その証拠に、男性からのお誘いもたびたびあったし、メル友ともフラート(いちゃつき)してきた。

でも、大台に乗って、事故に遭遇したことで、五十代の甘い想いは全部吹き飛んでしまった。

事故で歩行が少し困難になったことから、老いをいやおうなく受け入れなければならない羽目に陥り、ここにきて急に浮上してきたのが、日本のベース問題。

ひざの問題がなかったら、ここまで真剣に今こそ買い時のチャンスと動けたか、疑わしい。

立地も迷っていたが、ほぼ決まりつつある。

とはいえ、これから情報を送ってもらう段階でまだ何も具体化していないのだが、私の急転に家族はやや戸惑い気味。

しかし、今決めなければいつまでもぐずぐず延ばし続け、結局はチャンスを逃してしまうような気がするので、当方としても焦っているわけだ。

息子の意見も聞いて、あわてず、自分にとって最良の物件を見つけるつもりだが、人生あと二十年かそこらだとすると、思い切って冒険してみてもいいような気がする。

これも、ひざの怪我がなかったら、これほど切羽づまって緊急事項とはならなかっただろう。

今決めなきゃこのまま生涯インドに埋もれっぱなしだとそそのかす声。

思い切って、清水の舞台から飛び降りてみる覚悟だ。

32歳のとき、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでプロポーズを受け入れ、インドの永住を決め、ホテル建設へ乗り出したごとく、28年後の今、インドから一歩脱出、母国のベース作りに踏み出す。

ここは家族の躊躇を押し切ってでも、我を通さないといけないところだ。

つまり、決めるということ。
人生はあれにするかこれにするか選択の連続。
うだうだ惰性に甘んじて、決定を延ばし延ばしにしてきた私だが、今決めるべきときにきている。
今決めないと、日本には一生戻れない。

日本人は平均、3500万円もの大金を銀行口座に遺して、逝くそうだが、老後の安泰を求めて自己保身に陥る気持ちと、子孫にお金を遺したい気持ちはわかるが、その半分でも自身が人生をエンジョイするために使ってはどうか。

親の遺産で助かった身としては大きなことは言えず、確かに親が金を遺してくれると、孫の代まで恩恵があるわけだが、退職金などそっくり銀行に預けたまま自身はエンジョイせずに死ぬ前あれもしたかった、これもしたかったと後悔して亡くなっていくなんてナンセンスだ。

たった一度の人生。

たとい生まれ変わるにしろ、モハンティ(荒木)三智江としての人生は今宵今生、たった一度だ。

フルにエンジョイしたいし、リスキーであっても思い切って冒険したい。

死ぬ前後悔しないためにも。

ひざの怪我で、これが私のスタンスとなった。

死ぬ前後悔しないため、今踏み出す!

年内には、購入したマンションで、ついに日本にベースを作りました!と、このブログで喝采していたい。



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ひざ慣らしと雨季の予感(写真)

2015-05-29 22:04:38 | 私・家族・我が安宿
自転車との衝突事故から三ヶ月、ひざは六割方まで改善したが、その後の進展が見られない。関節が拘縮してフルに曲げられず(ロッキング現象)、平坦な道はそれなりに歩けるのだが、起伏があると、ひざが固まっているせいで、動きがぎこちなくなる。

それはさておき、やっと腰にもひざにも比較的痛くない座法を体得した。わかってしまえばなあんだという感じだが、これまでの丸椅子に正座座法(坐骨神経痛用に私が編み出した)が不可能になって、長時間タイプが打てなくなり、ああでもない、こうでもないと、いろいろ座り方の研究をして、坐骨神経痛を悪化させてしまったりしていたのだが、座布団敷きの固いプラスチックのチェアに正常に下肢を下ろして坐る、これだけでオーケーだったんである。これで二回に分けて四時間ほど打てる。

お尻も殆ど痛まないし、事後ひざの疼痛も少ない。

昨日あたりから、坐骨神経痛のとき効き目があった、インド古来のアユールヴェーダの痛み軽減軟膏(Fast Relief)をひざにも塗り出した。能書きを見ると、関節炎にも効くとあったので、これからひと月ほど試して、どれだけ痛みが減るか見てみたい。今までの抗炎症クリームはそれなりに効き目はあったのだが、三ヶ月経過しても痛みがなくならず、ちょうど坐骨神経痛の痛みを緩和するため使っていたファーストリリーフも何度かひざに塗って試していた折、回数をもっと増やして様子を見ることにしたのである。

ちなみにこのシナモン入りのハーブ軟膏の効験はあらたか。ずっと座していることから来るお尻の痛みなんか、一回すっと塗るだけで消える。日本にも輸出されている優れもので、腰痛もちの友人にもプレゼントしたことがある。

ただべたべたしてシナモン臭が漂うのが難。それでも、痛みが完全に消えれば願ってもなく、ひざにももっと使ってみることにしたのだ。

リハビリのため、階段も少しずつ両足で上り下りするようにしているが、くだりは斜め歩行でしか、両足使っての降りはできない。のぼりも手すりに捕まらないと、片足交互の正常昇りは出来ない。

浜には目下、週二回が精一杯。でも、ずーっとこもっていると、リフレッシュできないので、本日は出た。左足を踏み出すとまだ違和感があり、でこぼこ道に来ると、ひざの伸縮がきかないため、少しきつい。が、週二度出れるようになっただけまし。

荒海の上空には雲がもくもく湧き上げていた。近々ひと雨きそうな模様。雨季の走りの一番雨である。お湿りがくれば、この猛暑も一段落するだろう。
以下、本日撮った空全体を覆う雨雲とベンガルの荒海の写真をどうぞ。







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感動の名画「ビューティフル・マインド」(動画)

2015-05-29 01:14:07 | ラッパー子息・音楽ほか芸能
先般、ノーベル経済学者受賞の天才数学者、ジョーン・ナッシュ氏とその妻アリシア夫人が、交通事故激突死したが、ユーチューブで、彼をテーマにしたヒット映画「ビューティフル・マインド」(2001年のアメリカ映画/監督ロン・ハワード)動画が一般公開されていたので、冷えた白ワインを飲みながら、二時間以上鑑賞した。

同映画は、アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞を受賞し、ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞した秀作で、英語のみで字幕はなかったが、感激した。

ちょうどネット接続がいいときで、切れ切れでなく通しで観れた。

統合失調症にかかった主人公が電気ショック療法を受ける場面がすごかった。

主演のラッセル・クロウは大熱演。

年いってからの老けぶりは、実在のナッシュ氏を思わせるほど。

統合失調症の執拗な幻覚を克服して、1994年のノーベル経済学賞受賞に至るまで、感動の人間ドラマだった。
美しいアリシア夫人(映画ではジェニファー・コネリー、抑えた演技で光る)のサポートが胸を打つ。

映画では十年に渡り精神病院に入退院を繰り返す夫を妻が終始支える設定だが、現実には夫の幻覚症状がひどかったときは離婚して妻は遠目から見守っていた。しかし、後年症状が治まったとき再婚して支え続けた内助の功で、美しい夫婦愛は画面でも強調されている。

長いけど、休日を利用してぜひご鑑賞いただきたい。

A Beautiful Mind 2001
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オディッシャ州で初のドル鳥目撃

2015-05-28 21:40:21 | 季節・自然
今日の新聞に、当オディッシャ州で初めてdollar's birdが目撃されたとの記事が載っていた。
ドル鳥と名づけられているのは、尾羽に青いコインのような斑紋があるからと書かれていて、興味をそそられたので、ネットで調べてみると、和名は仏法僧であった。

ブッポウソウ、名前くらいは知っていたが、どんな外見の鳥なのか知らず、ウイキで調べてみると、胸元が青緑色の美しい鳥である。
以下一部引用させていただくと。

ユーラシア大陸東部とオーストラリアで繁殖する。種小名orientalisは「東洋の」の意でブッポウソウ科では本種のみユーラシア大陸東部にも分布する。日本には夏鳥として飛来し、本州、四国、九州で繁殖し、冬は東南アジアに渡る。
全長約30cm。雌雄同色で、頭部は黒褐色、尾羽は黒色。のどは群青色で、胴体は光沢のある青色の羽毛で覆われ、この羽毛は光の加減により緑色に見えることもある。初列風切に白い斑紋があり、翼を広げる時、飛翔している時には目立つ。嘴と脚は赤橙色である。

森の中で夜間「ブッ・ポウ・ソウ」と聞こえ、仏・法・僧の三宝を象徴するとされた鳥の鳴き声がこの鳥の声であると信じられてきたため、この名が付けられた。しかし、実際のブッポウソウをよく観察しても「ゲッゲッゲッ」といった汚く濁った音の鳴き声しか発せず件の鳴き声を直接発することが確認できないため、声のブッポウソウの正体は長く謎とされた。
結局のところ、この鳴き声の主はフクロウ目のコノハズクであり、このことが明らかになったのはラジオ放送が契機となった。
(以下略。続きはウイキ本文をお読みください)

初列風切(鳥類の翼後方に整列している一連の羽根で、翼の先端側から順に初列・二列・三列風切という)に白い斑紋があるのが、銀色のドル硬貨に似ているためダラーバード、ドル鳥と名づけられた由縁らしいが、当地の英字紙には、尾羽に丸い青い斑紋があってドル硬貨を思わせるのでという形容になっていた。

当州では初の目撃で、ものめずらしがられている。
ドル鳥なんて、なんとなく縁起がいいでないか。
金運をも運んできてくれそうな吉兆鳥である。

なお、ブッポウソウと鳴くのは実はふくろうのコノハズクとのことだが、ダラーバードがなぜブッポウソウと鳴くと信じ込まれたかについては、以下のブログページをどうぞ。
八幡次郎好酉の鳥紀行/仏法僧

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アナルプラグと痴話喧嘩(マミーポルノ三部4)

2015-05-28 17:21:14 | カルチャー(祭)・アート・本
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第三部「フィフティ・シェイズ・フリード」(翻訳版はこちら)を第九章まで読み進んだ。

カーチェイス事件の興奮から夫をSMプレー室に誘った妻アナは、初のアナルプラグ(肛門詰め性具)体験を賜り、これまでのどんな刺激的なプレーよりも強烈な絶頂を覚え、失神していた。

夜ごとの性カーニバルで幸福の頂点にある一方で、夫はアナの勤める出版社に乗り込んできて、アナ専用の個室で妻がいまだに旧名を用いていることを烈しく詰る。
アナはしきりに弁明しようとするが、夫は聞く耳を持たず、今にも社内の一室で妻に性的攻撃を仕掛けそうになった。

夫が買い取った出版社でもあり、同僚の手前、そのオーナーの姓を名乗ることにためらいがあったアナだったが、夫は驚きあきれることに、アナに出版社経営までそそのかす始末だった。アナは夫のような経営手腕はないと、めっそうもないと退ける。

結局折れて、グレイ姓を名乗ることになったが、威圧的に妻を支配下に置こうとする夫に対する怒りはいまだくすぶっていた。
ゴージャスな新居の改築デザイナー、金髪ボブ美人が相談に訪れ、夫に愁波を送るのにアナはかちんときて、夫が仕事で急遽席を外さねばならなくなったのを幸い、女に詰め寄り、ちょっかい出すなと怒りのままに通告する。昼間夫が勤務室に駆け込み今にも自分を犯しそうになった出来事に触発されての、暴発だった。

アナは、結婚前下見に行った大豪邸をなるたけそのまま保ち、改装は最小限にとどめたかった。女性デザイナーは恐れ入って、アナの希望を受け入れる。


ちょうど三分の一まで読み進んだことになるが、どうもマンネリ気味で面白くない。それに不要な性描写が多すぎる。反復表現も気になるし、感じた妻がアーとかウーとかの感嘆詞を会話に発するのも、英語だから気にならないが、日本語に訳せば、低俗なポルノに堕してしまうこと、間違いなし。宇能鴻一郎の先生(医者)と看護婦の濡れ場を思い出すごとく、ああ、うーっ、わーの連発である。

邦訳がこの辺、どう処理しているのか気になるところ。
女の歓楽のうめき声を感嘆詞で入れれば、安っぽくなってしまうことは否めない。

どうも結婚編は面白くない。
惰性で読んでいるが、それでも、英語が平易なのでページは進む。
これから先、読者をおっと言わせてくれる場面にぶつかるか。

シアトルのスカイラインが真珠色の光に沈む黄昏描写は短文だが、気が利いている。自然描写は多くないが、リリカルで美しい。
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大熱波!死者1400名以上

2015-05-28 17:02:04 | 季節・自然
とうとう、熱波の死者が1400名以上に達した。

とくに南のアンドラプラデシュ州とテランガナ州の被害が甚大だ。

原因は熱中症がほとんど。

この分では2000名の規模に到達しそうだ。

当地プリーはおかげさまで、一昨日あたりから曇天で気温がやや下がり、オーヴンの中にいるような体感は薄れた。

熱中症の予防として、水分補給は肝要、私は日ごろから水は割とたくさん飲むのだが、気をつけたい。自然のポカリスエットともいうべき、ココナッツウオーターもこの時季、よさそうだ。

もちろん、炎天下の外出は避けるべきだ。

うちは冷房があるのがありがたいが、インドの庶民クラスの殆どは天井扇風機で乗り切るのだ。

それでも、オンライン店で、ディスカウント提供のエアコンは人気絶頂らしい。

当オディッシャ州では電力不足で計画停電、いつものことだが、扇風機や冷房を住民が目一杯使うせいで、パンクしてしまうんである。
チョー暑いうえに停電となったら、切れる。
自家発電機を完備している個人宅は極小なのである。
電力会社の職員を襲いたくなる気持ちもわからないでないが、怒りの矛先を向けられた職員はお気の毒。

しかも、当州ではビールが入手不可、冷蔵庫によく冷えた白ワインが一本収まっているので、近々ワインで暑気払いを決め込んでいる。
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ビール不足と計画停電(海の写真入り)

2015-05-27 15:19:16 | 生活・慣習
インド全土で猛威を振るっているヒートウェイヴの死者はついに750名以上に達した。
当オディッシャ州では現在67名、しかし1998年の大熱波で2000余名が命を落としているから、死者数はさらに増えることが予想される。

炎天下に出て日射病で命を落とす人が一番多い。

私もこの熱波の急撃にはさすがに参っている。

湿度100%近く、頭が痛くてぼんやりする。

夕涼みに浜に出たが、高湿度で海はもやっていた。
荒波しぶきの水滴が大気中に飽満、視界もぼんやり霞がかっていた。
海岸地帯は曇天でやや気温が下がったが、今月一杯この炎暑は続きそうだ。

ビールで暑気払いしたいところが、肝心のビールが手に入らない。
チョー暑いところにもってきて、州政府とビール会社の紛糾で供給不足なんである。
もちろん熱波で需要が急増したこともあろう。

おまけに計画停電頻発、今朝は二度もあって汗びっしょりに。
旧州都カタックでは怒り狂った住民が、配電会社の職員を襲撃したようだ。
苛酷な風土でかっと激しがちのインドの国民性ならでは。
まあ、気持ちはわからないでもないが、暴力に訴えるのは言語道断。

うちは冷房があるだけまし、庶民は天井扇風機と、停電中はハンドファン、竹製の団扇で乗り切る。
私は日本で無料配布されていた宣伝用の紙製団扇で、自家発電機がくるまでぱたぱた。

家具屋に行ってベッドや椅子、本棚を買わないといけないのだが、六月に入って暑さがひと段落してからのことになりそうだ。
先般息子に同伴してもらって、当たりをつけておいたので、出向いて買うだけの話だが、この炎暑ではつい億劫になる。

終わりに、曇天でもやったベンガル海の写真も掲げておく。大気中に荒波しぶきの水滴が飽満、サングラスも濡れそぼって視界が曇った。









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故天才数学者夫妻の数奇な生涯

2015-05-26 22:51:15 | 政治・社会・経済
ハリウッド映画「ビューティフル・マインド」(ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演、動画はこちら)にもなった、統合失調症のノーベル経済学賞受賞(1994年)数学者、ジョーン・ナッシュ氏とその妻・アリシア夫人が5月23日、交通事故死した。

最後の最後までドラマチック、氏にふさわしい終わり方だ。

自動車激突事故死という暴力的な終焉で幕を閉じる波乱の一生だった。

精神の病を克服し、天才数学者としての名声をなした人で、崇敬の念を覚える。

人間の力、というのは改めてすごいもんだと感じる。

偉業に敬服を表するとともに、心から合掌!

以下、ブリンストン在住の冷泉彰彦氏(『ニューズウィーク』日本版のコラムニスト)が、コラム「プリンストン発 日本/アメリカ新時代 」でジョーン・ナッシュ氏の訃報に寄せた記事をどうぞ。
数学者ジョン・ナッシュ夫妻の訃報

かいつまんで引用させていただくと。

ジョン・ナッシュ氏と言えば、著名な数学者であると同時に、ゲーム理論に関して大きな功績を残したことで有名です。特に彼の証明した「ナッシュ均衡」というのは「ゲーム参加者の相互が非協力的」である場合、例えば「囚人のジレンマ」のようなケースで、個々のプレーヤーが自分の選択によって利得を最大化することの限界を数学的に証明したものとして、よく知られています。

 出身はウェストバージニア州。学士と修士はカーネギー工科大学(現在のカーネギーメロン大学)、博士号はプリンストンで、西海岸のシンクタンクであるランド研究所、MITの教員を経てプリンストンの教員となっています。

 その生涯は映画『ビューティフル・マインド』(ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演)並びに、その原作で描かれており、統合失調症による闘病生活、そしてアリシア夫人との夫婦関係といったエピソードも含めて世界的にも広く知られることとなりました。

 特に、中年期になってナッシュ氏の症状が重かった時期、とりわけ「自分は南極王国の王になる」的な妄想に取り憑かれている時期には、アリシア夫人は籍を抜いてナッシュ氏と距離を置きながらも、遠くからナッシュ氏を見守り続けたこと、そしてナッシュ氏の症状が落ち着いた後年には、あらためて2人は結婚して現在は一緒に静かに暮らしていること、そうした「夫婦の物語」も有名になりました。

ナッシュ氏の「ゲーム理論」に関する業績は若い時代のものですが、世界的な評価が進んだのは後年で、ノーベル経済学賞が1994年に授けられています。また、ノーベル賞に数学の賞がないことの埋め合わせ的な意味もあってノルウェーがアーベル賞(ブログ著者注/顕著な業績をあげた数学者に対して贈られるノルウェーの賞で賞金額はスウェーデンのノーベル賞に匹敵し、数学の賞としては最高額)である。という賞を、21世紀になって創設しているのですが、今年2015年にはこれを受賞しています。
そのアーベル賞は先週ノルウェーで授賞式があり、ナッシュ氏と、NYUのルイス・ニーレンバーグ氏が受賞したのでした。授賞式の後、5月23日の土曜日の昼のフライトで、ナッシュ夫妻とニーレンバーグ氏は、ニュージャージーのニューアーク空港に帰国したのです。

 その際に、報道によればナッシュ夫妻は「その日になって当初予定より5時間早いフライト」に変更をしたそうで、その変更については、予約してあった「ハイヤー会社にも連絡した」そうです。ところが、空港の出迎えを5時間前に変更することが確認できないまま、飛行機に乗り(おそらくオスロ=ニューアークのUA直行便)で戻ってきたのでしょう。ニュージャージーに戻ってみると、どうもハイヤーの変更はできていなかったようです。そこで仕方なく「イエローキャブ」の「タクシー」に乗ったことが運命の分かれ道になってしまいました。

 その運転手は、ほんの2週間前までは「アイスクリームの屋台」をやっていた男性で、新しく個人タクシーの会社を立ち上げたばかりだというのです。そのタクシーは、私の家のすぐ近くにある高速道路の出口近辺で、追い越しに失敗してスリップ事故を起こし、ガードレールに激突してしまったのでした。

 おそらくはシートベルトをしていなかった夫妻は、ショックで車外に投げ出されたようで、ほぼ即死状態だったそうです。運転手は負傷して病院に収容され、生命の危険はないということですが、報道によれば「そんな著名人を乗せていたとは知らなかった」と言っているそうです。

一部のメディアでは、フライトを変更したことでハイヤーの予約が使えなくなり、タクシーを選択したことの結果が「全てを失うこと」になったことから、人生の最後にあたってはゲーム理論が生かされなかった、などという皮肉を言う人もあるようです。

 ですが数奇な運命を辿ったこの夫婦が、最後は高速道路での事故、しかも即死に近いかたちで一緒に亡くなった、それもノルウェーでアーベル賞を授賞された帰途だったというのは、ある種幸福なエンディングだったという考え方もできるかもしれません。ナッシュ氏は86歳、MIT時代の教え子であったアリシア夫人は82歳でした。


*終わりに、氏の訃報を伝えるニューヨーク発のニュース画面も掲げておく。
John Nash, Inspiration for Film 'A Beautiful Mind,' Dead in Car Crash
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京都で唯一のインドスパイス専門店「Spice Bazaar Kyoto」(写真入り)

2015-05-26 00:09:40 | 食・健康
拙ブログの愛読者でコメントを下さったことから日本でお会いして親しくなった、京都在住のプリ佳子さん(ご主人はノルウェー国籍のインド人)が先月、ご自宅の一階にスパイスショップをオープンなさった。

その名も、「Spice Bazaar Kyoto」、フェイスブックをやっておられる方はご検索いただければ、住所や電話番号はじめ写真満載のお店のページにぶつかるはずだ。

京都唯一の本格スパイス専門店は四十数種のスパイスを取り揃え、全商品が並んだ店内は壮観、異国情緒漂うお店は地元民や観光客にじわじわ人気を呼んでいる。

京都に永久帰国される前、佳子さんご夫婦はノルウェーで15年間ピザレストランはじめディスコやバー、ボーリング場など十店舗を経営なさっていた。それだけに商才に長け、エキゾチックな店内には、キュートなピンクのクッション付き座席コーナーももうけられ、お客様とのコミニュケーションを大事にする心配りは、さすがベテラン店主ならでは。

カラフルなスパイス展示は見ているだけで楽しく、芳しい刺激臭が食欲をそそる。
本場スパイスのほかにも、インド食品各種、インドの豆せんべい・パパド(ビールのおつまみにサイコー!)やピリッと辛いマンゴーピクルス、有名なアルフォンソ銘柄のマンゴー缶詰(人気商品)、インド製スナック菓子ミックスチャー(マサラ=カレー味のインド版スナック、豆やチップスがミックスされたものでお酒のおつまみに最適)、ハーブティーまで取り揃え、インドファンにはうれしい限りだ。

もちろん、インドに行ったことがない人にも、興をそそるお店で、カレー料理に凝っている人にはぜひ本場のマサラ粉を試していただきたいところだ。フェイスブックでは、「Spice Bazaar Kyoto」で購入したスパイスのみを用いて作ったいかにもおいしそうなカレー写真のアップや、マンゴー缶詰を用いて作ったプリンも、おいしくできあがったとの顧客からの感謝の声が届いている。

さて、本場スパイスの気になるお値段だが、25g入りで120円からととてもリーズナブルで庶民にも手の届く価格、市販のルーにマサラ粉を少し混ぜて使えば、本場のお味に近くなるということで、京都にお住まいの方、もしくは京都に旅に出られる方、ぜひぜひ「Spice Bazaar Kyoto」に立ち寄ってみてください!

気さくな女主人、佳子さんが、レシピなどはご相談に応じますとのこと。ご主人の日常食として本場カレーを毎日手作りされているだけあって、心強い。座席コーナーで異色の経歴のマダムと対面しながら、レシピのヒントをメモったり、スパイスの知識を賜るひとときも楽しい。



■プリ佳子(経歴)

29歳まで京都で仏像截金師をする。
30歳の時、チベット仏画を習う為に、インドのダラムサラに行く。
35歳、友人の紹介で、現在の夫と知り合い結婚、ノルウェーで商売を始める。
ピザレストラン4軒
ボーリング場1軒
ディスコ3軒
スポーツバー2軒
を15年間経営後、50歳に日本に本帰国する。
特技 アメリカンピザ作り(15年間のレストラン歴でピザを400000!枚焼いたギネスブック並みの腕前)
趣味 易経の勉強
本7月で52歳。



  
「Spice Bazaar Kyoto」のエントランス。手作りの立て看板がキュートな店頭には、
素朴なウッド製テーブル&チェアが置かれ、とてもおしゃれ

   
棚には実に四十数種の本場スパイスが並び、壮観! 北インドの家庭料理でよく使うスパイスは、
ターメリック、クミン、コリアンダー、ガラムマサラとクミンシード。25g入りで全部で760円(中央)。

 
スパイスのエキゾチックな香りがつんと鼻をつく店内には、ピンクの
クッションつきの座席コーナーも。女主人とのスパイス談義で盛り上がりそう

  
(左)ハーブの王様「トゥルシー」、別名ホーリーバジル入りのヘルシーティー。シソ科植物のトゥルシーは抗酸化有効成分を多く含み、老化防止や生活習慣病の予防にもってこい。インドでは「比類なきもの」 と称され、5000年以上も前から食されている。
(中)おいしいことで有名な銘柄アルフォンソ・マンゴーの缶詰も人気商品。
(右)ビールのおつまみに最適のパパド・豆せんべい、からりと揚げて食べるとおいしい
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映画の乗りのカーチェイス(マミーポルノ三部3)

2015-05-24 20:37:42 | 私の作品(短編・エッセイ)
世界で一億部突破の「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(翻訳版はこちら)の第三部「フィフティ・シェイズ・フリード」(翻訳版はこちら)を第六章まで読み進んだ。

三部は結婚編ということもあって、一・二部の緊張感がなくなり、私にはいまひとつ面白くない。
おそらく、著者が三部を書き出した頃には、一部が世界的大ベストセラーになっており、映画化の話も出ていたのだろう。筋書きが通俗で、男女主人公の乗るアウディがBMWに追跡され、ヒロインのアナが自ら運転を買って出、猛スピードで危機を潜り抜け、駐車場に滑り込み、そこで間一髪のリスクを抜け出した興奮と安堵感から、乗り移ったようなスリリングなカーセックスをするという設定。

それはさておき、私は車の運転が出来ないので、こういうシーンになると、物書きとしては不利だなと思う。運転テクニックに相当長けていると思われる著者のカー追跡シーンは臨場感に満ちている。画面で見たら、迫力ものだろう(インドでは、一部が原作の映画も上映禁止)。

これ以降を午前三時近くまで少し盗み読みしたところ、またしてもSM室での性懲りもないサドマゾ性交シーンで、この女主人公は、男の変態嗜好についていけず、一度は涙ながらに去っていながら、愛する女性を傷つけたくないとの意図でドミ(主人)としてサブ(従者)をコントロールすることを断念した男の改心返上を迫るごとく、誕生日にSMプレー室のキーを贈ったり、今またそそのかして男をプレー室に誘うという、矛盾した性向で、尻をはたかれて痛い思いをしたのに、懲りないというか、せっかく正常に戻りつつある男を元のSM嗜好へ戻すという、なにやらわけのわからん行為に出ている。

つまり、男の巧妙なテクニックによって性感満開した新妻は、刺激あるプレーをしたくなった、SMプレーは個人のライフスタイルの選択だから、変態と目くじらを立てることもなく、エンジョイしてよいと、性欲が貪欲になったということかもしれないが、清楚な女子大生、バニラ(正常)セックスのみ求めていたアナは、どこにいったのかという感じである。
男性主人公よりやり手という感じで、人物造型に無理を感ずる。
まるで色情狂と変わりない。実母の売春婦にヒロインが似ているという設定だから、肉欲も同等ということでいいのかもしれないが、短期間でこの様変わりには読者としてはついていけない。英文学専攻の理知的な女子大生がいくらセックスがいいからといって、三ヶ月でここまで変われるものか。まあ女は魔物ということで、性欲に狂わされた顛末を楽しめばいいのだが。ポルノだし、固いこといいっこなしという声も聞こえてきそうだが、最初恋愛もののつもりで読み始めた私だけに、ついていけない。

三部までくると、性描写にも食傷してきて、しかも、筋書きが映画並みに通俗だから、私にはつまらない。現在までで一番面白かったのは、二部である。結婚してしまうと、緊張感がなくなるし、SMプレーやりっぱなしの男女主人公にはいい加減にしろと毒づきたくなる。
もう、ほんとに好きなんだからとあきれ顔である。
恋愛小説ではやはり、男女の心理の応酬を読みたい。複雑に交錯する心理の綾がわくわくするし、ラブスートーリーの醍醐味である。

昨冬上梓した初の小説集「涅槃ホテル」はそのつもりで書いた、肉欲の裏の純愛物である。性描写だらけのポルノはお断り、男女の心理がきちんと書けていて、価値あるラブストーリーといえるのだと思う。そういう意味では一部もよかった。

まあ、まだ五分の一なので、これから先のストーリー展開を追わないとなんともいえないが、追跡者の首謀者はいうまでもなく、アナにちょっかいかけてきて解雇された元上司のジャックである。

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