サントリー美術館で8月28日まで開催されていた「歌枕 あなたの知らない心の風景」展です。先月上京した折にまいりました。サントリー美術館は初めてです。大阪にも以前サントリー美術館がありましたが、“文化果つる地大阪”ではやっていけなかったようで、閉館してしまいました。ま、場所も悪かったんですけどね。天保山って港の近くで、交通の便もあまりよくありませんでしたから。
特にこれを目指していたわけではなく、どこか美術館へ行こうと探していたところ、「歌枕」とあって、元・文学少女としてはこれは外せないかなと思いまして…。
展覧会の概要です。
まず、最初の作品が根津美術館所蔵の「吉野龍田図(六曲一双)」でした。これ、春に根津美術館へ行った時に右隻の桜だけを見ています。なかなか圧巻で左隻も両方見たいと思っていたのですが、思いがけずこちらで左右「紅葉」と「桜」両方を見ることができ、テンションが爆上がりです。「あぁ、これ見られただけで満足。うふっ」って帰りそうになってしまいましたが、せっかく行ったので最後まで拝見しました。
↑概要にもあるように、「和歌」が中心になるので、作品の説明が何だか古典の授業みたいで、掛詞がしょっちゅう出てきて「えーっと」って考えていたら、何だかテストを受けてるような気分になりました。でも、そういうの嫌いではありません。面白かったです。ちょっと上品?になったようなきがするし(あくまで「気」ですが…)。
何度も繰り返し詠まれる土地が「歌枕」として定着する過程のようなものが順番に作品として出てきます。昔の日本人の思考回路をなぞるような感じで興味深く見ました。
松尾芭蕉の「奥の細道」も西行を偲ぶ歌枕の旅のひとつだったとみられているそうで、大学時代変体仮名を読む授業で1年かけて「奥の細道」のナントカ本を読んだんですけど、「え、そうなん?」ってなりました。そう言われたら、象潟とか白河の関とかそんなこと習ったような気もせんでもないのですが。四十数年前を思い出そうと遠い目になりました。
暗くてわかりづらいですが、唯一撮影OKだった「野々宮蒔絵硯箱」です。最後の展示室が「暮らしに息づく歌枕」というタイトルで、歌枕がデザインされた工芸品が展示してありました。その中のひとつです。和歌にゆかりの深い硯箱に名品があるそうです。
こういう美術館独自で企画された展覧会ってやっぱり楽しいですね。学芸員さんや研究員さんの個性とか思いとかがギュッと詰まっているように思います。
東京ミッドタウンの中にサントリー美術館はあります。ミッドタウンも見たかったのですが、この後北千住で玉ちゃんの映画を見る予定があり、通過しただけです。
その北千住の銀行の前にいらした松尾芭蕉さんです。「奥の細道」は千住から出発するんですよね。ちょっとご縁を感じて写真を撮ってきました。
特にこれを目指していたわけではなく、どこか美術館へ行こうと探していたところ、「歌枕」とあって、元・文学少女としてはこれは外せないかなと思いまして…。
展覧会の概要です。
古来、日本人にとって形のない感動や感情を、形のあるものとして表わす手段が和歌でありました。自らの思いを移り変わる自然やさまざまな物事に託し、その心を歌に表わしていたのです。ゆえに日本人は美しい風景を詠わずにはいられませんでした。
そうして繰り返し和歌に詠まれた土地には次第に特定のイメージが定着し、歌人の間で広く共有されていきました。そして、ついには実際の風景を知らなくとも、その土地のイメージを通して、自らの思いを表わすことができるまでになるのです。このように和歌によって特定のイメージが結びつけられた土地、それが今日に言う「歌枕」です。
こうして言わば日本人の心の風景となった歌枕は、その後美術とも深い関わりをもって展開します。実景以上に歌枕の詩的なイメージで描かれてきた名所絵や、歌枕の意匠で飾られたさまざまな工芸品などからは、歌枕が日本美術の内容を実に豊かにしてきたものである事に気づかされます。
しかし、和歌や古典が生活の中に根付いていない現代を生きる私たちにとって、歌枕はもはや共感することが難しいのではないでしょうか。この展覧会では、かつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景、歌枕の世界をご紹介し、日本美術に込められたさまざまな思いを再び皆さまと共有することを試みます。
そうして繰り返し和歌に詠まれた土地には次第に特定のイメージが定着し、歌人の間で広く共有されていきました。そして、ついには実際の風景を知らなくとも、その土地のイメージを通して、自らの思いを表わすことができるまでになるのです。このように和歌によって特定のイメージが結びつけられた土地、それが今日に言う「歌枕」です。
こうして言わば日本人の心の風景となった歌枕は、その後美術とも深い関わりをもって展開します。実景以上に歌枕の詩的なイメージで描かれてきた名所絵や、歌枕の意匠で飾られたさまざまな工芸品などからは、歌枕が日本美術の内容を実に豊かにしてきたものである事に気づかされます。
しかし、和歌や古典が生活の中に根付いていない現代を生きる私たちにとって、歌枕はもはや共感することが難しいのではないでしょうか。この展覧会では、かつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景、歌枕の世界をご紹介し、日本美術に込められたさまざまな思いを再び皆さまと共有することを試みます。
まず、最初の作品が根津美術館所蔵の「吉野龍田図(六曲一双)」でした。これ、春に根津美術館へ行った時に右隻の桜だけを見ています。なかなか圧巻で左隻も両方見たいと思っていたのですが、思いがけずこちらで左右「紅葉」と「桜」両方を見ることができ、テンションが爆上がりです。「あぁ、これ見られただけで満足。うふっ」って帰りそうになってしまいましたが、せっかく行ったので最後まで拝見しました。
↑概要にもあるように、「和歌」が中心になるので、作品の説明が何だか古典の授業みたいで、掛詞がしょっちゅう出てきて「えーっと」って考えていたら、何だかテストを受けてるような気分になりました。でも、そういうの嫌いではありません。面白かったです。ちょっと上品?になったようなきがするし(あくまで「気」ですが…)。
何度も繰り返し詠まれる土地が「歌枕」として定着する過程のようなものが順番に作品として出てきます。昔の日本人の思考回路をなぞるような感じで興味深く見ました。
松尾芭蕉の「奥の細道」も西行を偲ぶ歌枕の旅のひとつだったとみられているそうで、大学時代変体仮名を読む授業で1年かけて「奥の細道」のナントカ本を読んだんですけど、「え、そうなん?」ってなりました。そう言われたら、象潟とか白河の関とかそんなこと習ったような気もせんでもないのですが。四十数年前を思い出そうと遠い目になりました。
暗くてわかりづらいですが、唯一撮影OKだった「野々宮蒔絵硯箱」です。最後の展示室が「暮らしに息づく歌枕」というタイトルで、歌枕がデザインされた工芸品が展示してありました。その中のひとつです。和歌にゆかりの深い硯箱に名品があるそうです。
こういう美術館独自で企画された展覧会ってやっぱり楽しいですね。学芸員さんや研究員さんの個性とか思いとかがギュッと詰まっているように思います。
東京ミッドタウンの中にサントリー美術館はあります。ミッドタウンも見たかったのですが、この後北千住で玉ちゃんの映画を見る予定があり、通過しただけです。
その北千住の銀行の前にいらした松尾芭蕉さんです。「奥の細道」は千住から出発するんですよね。ちょっとご縁を感じて写真を撮ってきました。
こういう美術展が見られるのは都会ならではです。
ちょっと羨ましいです。