yoosanよしなしごとを綴る

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奥多摩湖=小河内貯水池を歩く

2022年01月19日 | 旅行

日本の旅・東京を歩く>  奥多摩湖=小河内貯水池を歩く 2020.11+2021.12 
 水と緑のふれあい館 小河内ダム・展望塔 みはらしの丘遊歩道・八方岩展望台 山のふるさと村 湖畔の小道 麦山浮橋
 

 コロナ禍であっても「心」「身」への適度な刺激は、水、食事、日光浴とともに生命に不可欠である。感染対策の自衛策を講じ、人出の少ない景勝地でのウオーキングに出かけた。
 以前は炭酸ガス排出削減のため外出は公共交通機関を優先させてきたが、感染対策のため+あおり運転対策のため、ドライブレコーダーを取り付け、マイカーで出かけた。
 その一つ、2020年11月に訪ねた奥多摩湖、武蔵御嶽神社、御嶽渓谷などの印象がよかったので、2021年10月に白丸ダム+鳩ノ巣渓谷、2021年12月に奥多摩湖と御嶽神社を再訪した。
 東京・大田区の小学校で東京の水源の一つである小河内貯水池=奥多摩湖を勉強したが、遠足では行かなかった。その後も奥多摩・青梅に出かけたことはなかったので奥多摩湖は初めてである。
 マイカーのナビに奥多摩湖を入れる。圏央道・青梅ICから一般道に入り、青梅市街を抜け、多摩川に沿った国道411号線=青梅街道を西に走る。国道411号線は多摩川の北側を通る片側一車線だが、多摩川の南側にも片側一車線の県道45号線が通っているためか、車の流れはいい。

 青梅ICから1時間弱走ると、奥多摩湖東北端の水と緑のふれあい館に着く(写真)。水と緑のふれあい館は1998年の開館で、傾斜屋根は背景の山の稜線に配慮したそうだ。外観は四角いが、入口を入ると最上階まで吹き抜けの円形ホールで、円形の吹き抜けに沿ってスロープがぐるりと巡らされ、スロープを上りながら「水のふるさと」「水が生まれる」「水が集まる」「水が輝く」「水が広がる」といったテーマの展示を見ていく(写真)。来館者に水に関する展示を楽しんでもらおうとした工夫であろう。子どもでも理解しやすい表現になっているから、日ごろ、小中学生が見学に来ているようだ。
 最上階はパノラマレストランとショップで、パノラマと銘打っているように奥多摩湖の雄大な風景を見ながら食事をとることができる。外観写真の上部の窓がパノラマ展望になる。
 設計者の努力を理解できなくはないが、駐車場から眺めたときは取っつきにくい物流倉庫のように感じてしまった。奥多摩の来訪者が立ち寄りたくなるデザインを工夫して欲しいね。
 展示を見たあと、2021年12月はパノラマレストランでランチを取った。20食限定の名物ダムカレーは販売停止だったので、奥多摩湖を眺めながらカツカレーを食べた。深皿を使いカツをダムに見立てればダムカレーになると思うが、シェフは手の込んだダムカレーを考案したようだ。次の機会の楽しみにしたい。

 小河内ダムは1957年に完成し、小河内貯水池=奥多摩湖に水が蓄えられた(写真)。集水域は東京都奥多摩町、山梨県丹波山村、小菅村及、甲州市にまたがった多摩川上流域である。有効貯水量185,400千m³は東京都の水源のおよそ20%をまかなうそうだ。東京都の水源のうちでは利根川水系の矢木沢ダム17,580千、下久保ダム12,000千、以下八ッ場ダム9,000千、奈良俣ダム8,500千・・を抑えて1位の貯水量で、小河内貯水池の重要性がうかがえる。
 蓄えられた水はダム直下の発電所で発電に使用後、多摩川に放流され、下流の取水堰で水道原水として取水され、貯水池、上水路を経て浄水場に送られ、水道水として配水される。
 型式は重力式コンクリートダムで、ダム堤頂の標高は530m、ダム高さは149m、ダム長さは353m、有効水深は約101mである。

 ダム堤頂の中ほどに小河内ダム展望塔が建っていて、内部が公開されている。2020年11月に見学した。
 2階にはダムのジオラマや小河内ダムの歴史を紹介したパネル展示があり、3階は床に流域全体のイラストが描かれている。
 大きな東側=下流側の窓からは真下を見下ろすと、ダム高さ149mの落差にめまいを覚える(写真)。西側窓からは小河内貯水池=奥多摩湖とかなたの水源になる山々を遠望できる(前掲奥多摩湖写真に同じ)。
 放流された水は多摩川を下り、およそ140km離れた東京湾に注ぐ。小学校で習ってから60数年経って小河内貯水池=奥多摩湖を見た。子ども時代を思い出し、感慨深くなる。

 奥多摩湖観光マップに、水と緑のふれあい館の北西の山にみはらしの丘遊歩道が描かれていたので2020年11月に歩いた(2021年12月は熊目撃・ハイキング注意の情報が掲示されていた)。
 上り口になる駐車場脇の奥多摩湖口(標高530m)の案内板に、斜面をつづら折りにおよそ1km、徒歩30分ほど上ると八方岩展望台(標高600m)に着くと記されている。上り30分なら往復で1時間もかからない。
 上り始めの遊歩道は整備が行き届き、ツツジなどの低木と桜が植えられていて、春は彩りが楽しめそうだ(写真)。上るにつれ視界が開け、奥多摩湖と山並みが遠望できる(前掲奥多摩湖写真に同じ)。天気はよし、風はなし、ほかに人はいない。傾斜は比較的なだらかで、風景を遠望しながら気持ちよく歩く。
 八方岩展望台に近づくにつれ、桧などの針葉樹や広葉樹の林になる。ほぼ30分で展望台に着いた。風景を独り占めしながら一息する。遊歩道や登山路がいくつか整備されていて山歩きを楽しめるようだが、展望を終えたあと駐車場に戻り、御嶽渓谷に向かった。

 奥多摩湖観光マップには、ほかに小河内ダムの堤頂を渡りきった先から山のふるさと村まで12km、約3時間30分の行程の奥多摩湖いこいの道、山のふるさと村からドラム缶をつないだ麦山浮橋まで2.1km、40分の行程の湖畔の小道も描かれている。奥多摩湖に架けられた麦山浮橋=通称ドラム缶橋を渡るのは一興だが、小河内ダムから麦山浮橋まで片道4時間超え、往復8時間越えのウオーキングは時間的にも体力的にも負担が大きい。
 2021年12月、山のふるさと村から麦山浮橋まで、湖畔の小道を往復した。
 水と緑のふれあい館でカツカレーを食べたあと、奥多摩湖北側の国道411号線=青梅街道を西に走り、奥多摩湖に架かった深山橋で国道139線に左折、もう一度奥多摩湖に架かった三頭橋で左折し、奥多摩湖南側の県道206号線=奥多摩周遊道路を東に走ると山のふるさと村に着く。
 山のふるさと村は、1990年10月にオープンした東京都自然公園施設の一つで、いかにもふるさと村といった農家風屋根のデザインである(写真)。ビジターセンター、クラフトセンター、キャンプ宿泊施設、カフェなどを併設していて、「山ふる」と愛称され、奥多摩の自然を楽しむ人々に人気があるらしい。

 山のふるさと村駐車場に車を止め、奥多摩湖南側に整備された湖畔の小道を西に歩く。
 奥多摩湖は多摩川を堰き止めてできた人造湖だから、かつての川の面影を残しながら谷あいにくねくねと長く延びていく(写真)。湖畔の小道も湖面に沿ってくねくねと延びていく。くね、くねと小道が曲がるたびに眺めは変わるが、空+山並み+紅葉の面影を残した樹林+静かな湖面の構成は同じで、単調に感じる。
 上り下りはほとんどないので息は切れないが、日射しは弱い。30分ほど歩いたころ、樹林のあいだから湖面に大きくカーブした浮橋が見え隠れし始めた。歩き始めから40分ほどで麦山浮橋のたもとに着いた。
 かつてこのあたりには多摩川を挟んで集落があり、多摩川に架かった橋で行き来をしていたそうだ。奥多摩湖=小河内貯水池のため900を超える民家が水没し、近くに移住した人も少なくなく、生活道路のため麦山浮橋(写真)とさらに上流側に留浦の浮橋が設けられた。
 当初はドラム缶を利用したためドラム缶橋と呼ばれたが、いまはポリエチレン・発泡スチロール製の浮子を並べている(写真)。対岸まで200m以上あるらしい。すれ違いできる広さがあり、手すりもついているので中央部まで歩いてみた。歩くと若干の揺れを感じるが、不安なく歩ける。
 麦山浮橋の中央から東西に延びる奥多摩湖=小河内貯水池を眺める。東京都の水源の20%をまかなうために900を超える民家が湖の下に沈まざるを得なかったと思うと、風が冷たく感じ始めた。山の日暮れは早い。水没した民家に感謝し、戻ることにした。

 行きで1人とすれ違い、帰りは2人だった。シーズンオフのせいかもしれない。往復1時間半、やや単調だったが時期を選べば水と緑の湖畔の小道はウオーキングにほどよいと思う。
 山のふるさと村にはカフェやませみも併設されているので一息した。スタッフは若く、はきはきしていて感じがいい。アメリカーノは私好みでおいしかった。
 一息後、奥多摩湖周遊道路、青梅街道を戻り、今日の宿であるかんぽの宿青梅に向かう。 (2022.1)

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