<世界の旅・イタリアを行く> 2020.1 シチリアの旅 1 羽田からロンドンを経てローマへ
シチリア再訪
1997年2月、南イタリアを旅した。イタリアは初めてだが、ローマから列車でアルベロベッロに移動し、ナポリを経て5日目にパレルモに飛び、6日目にパレルモ、アグリジェントなどを見学し、7日目にローマに戻って、8日目に帰国した。イタリアの知識が不十分だったが、あえてアルベロベッロとシチリアに重点を置いた。
費用を抑えるため、添乗員も現地ガイドも頼まなかった。頼りはガイドブックだけである。シチリアではパラティーノ礼拝堂、ノルマン王宮、モンレアーレ、アグリジェントの神殿・・・・に圧倒された。ガイドブックだけでは、圧倒する異文化のデザインの背景まで理解が及ばなかった。その後、シチリアでの圧倒する異文化デザインを思い出すことがあったが、そのまま22年が過ぎた。
2019年の秋、偶然、NHK「旅するイタリア語」が映った。俳優の小関裕太が、シチリアを舞台にしてイタリア語に挑戦する番組である。イタリア語は棚に上げ、パレルモを懐かしく見ているうちシチア再訪に火がついた。
定期的に届く旅行社のパンフレットを調べ、2020年1月、文明の十字路シチリア島周遊10日間JALパックツアーが気に入った。初日はローマまでの移動、最終日は機内泊なので正味は8日間だが、パレルモ、シラクサ、タオルミーナにそれぞれ2連泊する(行程図)。ゆったりした行程もこのツアーを選んだ理由である。
・・2019年の年末に中国・武漢で新型コロナウイルスが発症したといった報道があったが、2020年早々の世界は何ごともないように通常通りに動いていた。ツアーは予定通り実施され、1月中旬の帰国のときも次の海外旅行が話題になっていた。
しかし、ほどなく世界は新型コロナウイルスの感染が急速で強力であることを思い知らされた。その後、緊急事態宣言が発出され、海外旅行は中止になり、国内旅行も自粛が要請されている。
記憶を紡ぎ、イメージでシチリアを旅し、気分を前向きにしたい。
羽田からロンドンを経てローマへ
シチリアの旅1日目は、日本航空で羽田空港からロンドン・ヒースロー空港、ブリティッシュ航空でローマ・フィウミチーノ空港への移動日である。
朝5:00に起きる。納豆で朝食を済ませ、7:30ごろ家を出る。通勤時間帯のラッシュにもまれながら、9:00過ぎ、羽田空港に着く。海外へ行く人、海外から着いた人でごった返していた。
宅配で送ってあったスーツケースを受け取り、9:30ごろ日本航空カウンターでチェックインを済ませる。出国手続きを終えて、10:15ごろサクララウンジに落ち着く。ラウンジは改装工事で席が少なく、混みあっていた。オリンピックに備えた改装のようだ。
・・今回はプレミアムエコノミー席にした。往路はまだ元気なので横になって休まなくても支障ないし、復路の11時間は窮屈だが寝不足は帰宅後に休むことにして、ビジネス料金を節約することにしたためである・・。
日本航空プレミアムエコノミーはサクララウンジを利用できる。幸先を祝いシャンパンをいただく。鯖の刺身があったので日本酒も少しいただく。
11:00過ぎにJL043ロンドン行きに搭乗したが、遅れた乗客を待って離陸は12:00過ぎになった。ほぼ満席だった。
13:00ごろ、ランチの準備が始まる。食前酒にシャンパンvollereauxをいただく。ヴォレローは初めて飲む。すっきりした味わいだった。料理は料理人コンペティションのファイナリストによる監修の牛肉と野菜の旨煮+ミモザ風蒸し鶏ほかを選んで、赤ワインを合わせた。日本航空便は優れた料理人による創意工夫がこらされていて、食事を楽しめる。
ロンドン=グリニッジ標準時と日本の時差は-9時間である。私の時計はワールドタイム型なのでロンドンを選び、サマータイムをオフに設定する。アナログ式の短針・長針はイギリス冬時間になり、小窓のデジタル式が日本時間になる。時差を計算しなくていいので便利である。
ロンドンまでの飛行時間は13時間弱、準備してきた資料に目を通したり、新着映画を見たり、持参の本を読んだり、白ワインや日本酒をいただいたりして過ごす。
イギリス時間9:00ごろ=日本時間18:00ごろ、ビールとカップ麺「うどんですかい」を頼む。うどんですかいは日本航空と日清食品の共同開発だそうだ。日ごろカップ麺は食べないので、カップ麺は前回の海外旅行以来になる。いい味に工夫されていて感心する。
イギリス時間13:00ごろ=日本時間22:00ごろ、到着2時間前にAir Dean & Delucaの軽食が出る。ディーン&デルーカの店やバッグを見かけたことはあるが食べるのは初めてである。これもおいしい味に工夫されていた。コーヒーを飲み終わって間もなく、着陸の案内があった。
15:40ごろ、ロンドン・ヒースロー空港に着陸した。曇り空で、10℃の表示が出ていた。
次のローマ便まで1時間ほどの自由時間になった。ブリティッシュ航空の機内ではすべて有料だそうだ。2時間半ほどの飛行であり、うどんですかい、ディーン&デルーカを食べているので食事は心配ない。ミネラルウォーターを購入し、ホップの効いたイギリスビールを飲んだ。イギリスの通貨はポンドである。ユーロも使えるがお釣りがポンドになってしまうので、カード払いにする。
16:00過ぎにゲートに集合、17:00過ぎBA558ローマ行きに搭乗する。満席で、ヨーロッパ人は体が大きいから狭苦しく感じる。
18:20=日本時間3:20ごろ離陸する。イタリアは中央ヨーロッパ時でロンドンとの時差は+1時間=日本とは-8時間、ワールドタイムでパリを選び、サマータイムをオフにする。外は真っ暗、日本は真夜中、すぐに夢のなかになった。
イタリア時間22:00=日本時間6:00ごろ、ローマ・フィウミチーノ空港に着陸する。夜遅いためか、閑散としていた。
Baggage claim=荷物のターンテーブルでスーツケースを探す。同行の皆さんのスーツケースはすべて出そろったが、私たちのスーツケースが出てこない。ターンテーブルには荷物がなく、止まってしまった。万事休す!!。
スーツケースの行方不明は以前にも体験したことがある。まずは荷物のオフィスを探さなければならない。ツアーコンダクターのHさんはフィウミチーノ空港に詳しいばかりか、イタリア語もできる。オフィスを見つけ、係と粘り強く交渉してくれ、奥に保管されていた私たちのスーツケースを見つけてくれた。
なんと、タグはパレルモ行きになっていた。羽田の日本航空カウンターのミスである。Hさんによれば、海外では融通の利かない係りも少なくないそうだ。eチケット控え、航空券、パスポートを見せ、スーツケースを受け取ることができた。
私たちのミスではないが、同行の皆さんに迷惑をかけてしまった。陳謝する。
空港から東に8kmほどのホリディ・イン・ローマに着いたのは23:00ごろになってしまった。7階の部屋から眺めると、空港近くの郊外のためか灯りは少ない(写真)。朝5:00ごろに起きてからホテルに落ち着くまでのべ22時間経っている。スーツケース行方不明のおまけもついた。
ロビー階のバーで買ってきたビール(8ユーロ=1000円)を飲みながら、スーツケースを開け安堵する。
24:00=日本時間8:00ごろベッドに入り、シチリアの旅初日を終える。 (2021.2)