2021.1 朴葵姫Kyuhee Park ギターリサイタルを聴く
私の住むマンションの2区画先のプラザノースには、区役所にホールや図書館が併設されている。先の緊急事態が宣言されたころは、ホールも図書館も休館した。不要不急の外出自粛が要請され、買い物、病院、ウォーキング以外の外出を自粛していると、だんだん気が滅入ってくる。
宣言が解除され、感染リスクに用心しながら図書館の利用を始めた。ホールは密閉空間なので、比較的長時間の催し物は避けていたが、感染リスク対策が広く行き渡った昨年12月早々、朴葵姫ギターリサイタルと野村万作の狂言の世界のチケットを購入した。どちらも感染リスク対策をさらに万全にしようと、席は2方向が空いている端を選んだ。
12月中ごろから新型コロナウイルス感染がじわじわ増え、年明けには爆発的感染とまでいわれるようになった。
2021年1月8日に、埼玉県を含む一都三県に緊急事態宣言が発出された。
急ぎ、朴葵姫ギターリサイタルを調べたら、体温測定、手指消毒、マスク着用で開催とのことだった。
感染リスクが危惧されるときはキャンセルするか途中退席しようと、「デビュー10周年記念 朴葵姫ギターリサイタル」に出かけた。
感染リスクを避けキャンセルも出たようで、およそ400席は6割ていどだった。私の選んだ左中2階席はガラガラだったので安心してギターリサイタルを最後まで楽しんだ。
聞き慣れない曲が多かったが、1年ぶりに演奏を実感し、気分が少し晴れた。自宅でCD音楽を聴くのと興奮の度合いが違う。暮らしには文化的刺激が必要である。気軽に演奏や観劇が楽しめる日が待ち遠しい。
朴葵姫は、1985年韓国生まれで、日本と韓国で育ち、横浜にいたころ、3歳でギターを始めたそうだ。ウィーン国立音楽大学を首席で卒業し、スペインのギター第一人者に師事するなど腕を磨き、国際的なコンクールで数々の賞を受けている。
YouTubeの朴葵姫による「アルハンブラの思い出」は503万回の再生だから、知名度がうかがえる。
リサイタル前半は
エチュードOp.6-11 F.ソル
ラグリマ(涙) F.タレカ
アラビア奇想曲 F.タレカ
スペインOp.165より第5曲カタルーニャ奇想曲 I.アルベニス
スペインの歌Op.232より第4曲コルドバ(夜想曲) I.アルベニス
詩的ワルツ集 序曲・第1曲・第2曲・第3曲・第4曲・第5曲・第6曲・第7曲・第8曲 E.グラナドス
休憩後の後半は
愛のロマンス 映画「禁じられた遊び」より 伝承曲
旅立ち 劇的幻想曲」Op.31 N. コスト
交響曲第5番嬰ハ短調より第4楽章アダージェスト G.マーラー
フリア・フロリダ A.バリオス
ワルツ第4番 A.バリオス
大聖堂 第1楽章・第2楽章・第3楽章 A. バリオス
が演奏された。
パンフレットには、トレモロ奏法の技術の高さは絶賛されていると紹介されていたが、演奏技法には疎い。
子どものころ手巻き蓄音機でタンゴを聞いた記憶がある。そのせいか、アルゼンチンタンゴやコンチネンタルタンゴを好んで聴き、アルフレッド・ハウゼ来日公演の演奏会にも出かけた。碧空、真珠取りのタンゴ、ラ・クンパルシータ、リベルタンゴなどが耳にしみこんでいるせいか、朴葵姫ギターリサイタルにはなじみのない曲が多く、物足りなく感じたようだ。それでも実演は刺激的である。前半45分、後半45分+アンコールで気分をいやし、帰路についた。 (2021.1)