特に「読書の秋」を意識しているわけではないのですが、このところ読書に勤しんでいます。
まず藤原伊織著「シリウスの道」を再読しました。

電通社員の「過労自殺」報道以来、再読しようと考えていました。
藤原伊織さんご自身、電通に勤務されていた方で、彼の著書の中でもこの「シリウスの道」が広告会社の業務内容が一番詳しく記述されていると思います。
昔、この会社の仕事を何度かしたことがあり、ご一緒に仕事をした方を彷彿するような人物がこの小説に登場するのも興味深いです。
主人公は辰村祐介という人物ですが、以前ご一緒した方に「石村」さんという方がいました。
石村さんは著者の藤原伊織と確か同大学同学部ということもあり、小説の描写から想像される辰村と石村さんとの間に共通点があるような気がします。
映画では内野聖陽さんが辰村役を演じています。

それから映画には登場しませんが、小説には「トヨさん」と呼ばれる銀座四営部の豊原部長が登場します。
やはり以前、ご一緒させていただいた豊田さんという方も小説の「トヨさん」と同様、べらんめい調でお話しされるところなど似ています。
小説に登場する園井社長と以前ご一緒した社長さんも厳格でも人間味溢れるという点では似ているような気がします。
他にも色々興味深い点はあるのですが、今回一番印象に残ったのは辰村が昔の友人に語る以下の文章です。
大手の広告会社に勤める辰村に幼馴染の浜井勝哉が「裕ちゃん、エリートになったな」と言うのですが、それに対して
辰村は「ストレスは大きい。在職者死亡率もふつうの会社の三倍ある。自殺とかな」と答えるのです。
2冊目は沼田真佑著「影裏」です。
この間、在外投票をするためデュッセルドルフの総領事館に行った折、日本の書籍店で購入した文藝春秋に芥川賞受賞作品として掲載されていました。

作者は現在、私の故郷岩手県の盛岡在住だということを、初めて知りました。
それで小説には盛岡周辺の風景描写が多くあります。
渓流釣りが物語の主要部分なので、子供の頃、父に連れられて行った気仙川でアユ釣りに興じたことなどを懐かしく思い出しました。
あの頃、私専用の釣竿があり、母が作ってくれた竿入れの袋の模様もおぼろげに覚えています。
先日、ケルンの日本文化会館の図書館で日本の書籍を6冊も借りてきました。
貸出期間は4週間なので全ては読めないかもしれませんが、何冊かの感想はブログでも綴りたいと思います。