KYUSHU RAILWAY part1「ゆふ」

2023-05-11 06:33:43 |  熊本の旅、多彩
港から別府駅まではバスである。
駅まで近いのだろうとなんの根拠もなく思っていたが、地図を見ると歩くには距離があった。
地図を調べておいて正解。
やってきたバスは空っぽだったが、ほぼ満員にして出発。



旅の一つ目の目的地は日田市である。
下駄で有名。
熊本県ではないが、一泊目の宿へ鉄道利用で向かうのに観光するよい町である。
別府駅から大分駅まで電車で行って、大分駅から特急ゆふに乗るのだ。



別府駅を7時44分に出る電車に乗ったのだが、通勤通学客で満員だった。
そうか、今日は平日だった。
お休みを取ったんだった。
みなさんお疲れ様です。



別府駅と大分駅の間には東別府駅と西大分駅がある。
この東別府駅と西大分駅の駅間が異常に長かった。
長くすぐ近くに人がいるのはストレスだ。
扉が開いてくれるだけの変化が意外と助かる事に気付く。
西大分駅を出ると大分駅はすぐだった。



大分駅にはゆふ2号が待っていた。
なかなか年代物の気動車だ。
内装は木が多用され、床も木製。
シートはだいぶ使い込まれ、座面のクッションはフニャリとお尻を受け止め、背中は昔のマッサージチェアに座ったみたいに(言い過ぎ)ゴツゴツしていてテンション上昇。
もちろん座り心地がいい方がいいに決まっているのだが、普段と違うところが多いほど旅気分は盛り上がる。



日田駅までは久大本線で山の中を走る。
特急列車だからガンガン飛ばす。
ドルルルルルというエンジン音で力行。
山の谷間を縫って右に左にカーブを抜けて走るので、なかなかに揺れる。



駅で買ったコーヒーの紙コップの蓋をとってテーブルに置いたらこぼれそうで怖く蓋がとれない。
昔乗った土讃線の特急南風がこんな感じだったかも。
特急列車でもこんな郷愁に浸れるのね。
車窓はなだらかな山肌に新緑が眩しい。



大分駅から乗った時はがら空きだったのに、湯布院駅から外国人観光客がいっぱい乗ってきてほぼ満席となった。
乗車時間は1時間40分ほどで、後半は船旅の睡眠不足から眠気がさしてきた。
船より遥かにやかましく、ガタゴト揺れるのに眠れる不思議。



日田駅は急にやってきた。
駅構内に入ったと思ったらすぐ停車。
他に降りる人も少なく、慌てて重い荷物を網棚から下ろし、ホームへ降りたった。
危ない危ない。
ゆふ号を見送って改札に向かうと、巨大な下駄が飾ってあった。




新造船、むらさき

2023-05-09 06:31:09 |  熊本の旅、多彩
今年のGWは九州の熊本県辺りを旅した。
日程は4/30(日)の夕刻出発し、5/5(金)の夕刻帰着するプラン。
現地へのアプローチは、大阪南港から大分別府へ船で向かうことにした。
夕方出航して寝ている間に瀬戸内海を航行、翌朝到着するフェリー「さんふらわあ」である。



連れは泊まりがけでフェリーに乗るのは初めて。
環境が変わると眠れない質なので、フェリーのようにすぐ隣で知らない人が寝ている場所では、まずもって眠ることができないそうだ。
フェリーは眠っている間に長距離を運んでくれる有効な移動手段である。
九州みたいに旅先が遠い場合は使いたい交通手段なのだが、先の理由で日中新幹線などで移動してきた。



今回も第一候補は新幹線だったのだが、フェリーの予約サイトを見ると個室がまだ空いていた。
個室なら周りを気にせずに眠れるだろうから、連れに打診してみるとOKの返事。
空いていた残り一つをすぐさま確保。
部屋のタイプはスイーツである。
うわあ贅沢。



とはいえ、新幹線の交通費に少し良い宿の宿泊費を足したくらいの料金だったから、無茶苦茶贅沢と言うわけでもない。
今後も選択肢のひとつとなるだろう。
ただ今回予約が取れたのは、旅の検討を40日も前に始めたから。
それでもギリギリだったから、フェリーを使うならもう少し早く旅の検討を始めるべきである。
まず旅するエリアを決めて、船の予約を取ってから旅の詳細を決める順番と覚えておかなければいけない。



さて出立するその日となり、地下鉄とニュートラムを乗り継いで南港に到着。
フェリーターミナルまではトレードセンター前駅から徒歩数分。
歩く先にこれから乗る船が見えた。
うーん、ワクワク。
大阪別府航路には二隻の船が就航しており、乗ったのは「むらさき」という船。
今年の4月に就航したばかりの新造船である。



乗船手続き時に体温計測が全員に行われ、長い誘導路を歩いていよいよ船内へ。
ロビーに入ると新製品の匂いがした。
ほんとに新しいんだなあ。
客室は6Fから8Fにあり、我々の部屋は8Fである。
階段を上り、通路中程に部屋を見つけ、キーをかざしてドアを開ける。
さて、どんなかな?



おー、部屋は安いビジネスホテルよりずっと広い。
トイレも普通だし、ユニットバスも広い。
テレビでかい。
ウェルカムドリンクつき。
そして専用のバルコニーがあった。
これはいいなあ。



船内放送で、この船は全席指定で満席だと言っていた。
昔乗った二等船室は絨毯の敷かれた広いスペースで、好き勝手に場所を取って眠ったものだが、今時の船は一人分の寝床をきちんと確保してくれるらしい。
一人旅なら一番小さな寝床で充分だな。



夕食はビュッフェ形式のレストランで、一人2000円だった。
出航前から開店していて、早速食べに行った。
ワインを飲むつもりで洋食メニューを集めたが、ドリンクコーナーにはビールしかなかった。
なんだ、残念。
しかし、食べ終わってレストランを出る時、ワインを売るコーナーがあるのを発見。
ぬわあ、失敗した。



レストランは床がブルブルと震えて、船に乗ってるのだなあと実感。
食事が終わる前に出航時間となった。
走り出したらもっとエンジン音が大きくなるのかと思ったら反対で、出航する前より振動が減った。
とても静かだ。



食後、お土産屋さんを覗き、外のデッキの様子を伺った。
さすがに少し肌寒い。
右手後方に神戸らしい街の明かりがすでに遠い。
前方から明石大橋がやってきたので部屋に戻り、部屋付き専用バルコニーから撮影。
橋の真下は暗かった。



TVは地上波の放送は度々画面が固まって受信状態は良いとは言えなかったが、BS放送は綺麗に入ってディスプレイの解像性能を如何なく発揮していた。
シャワーを浴びて就寝。
僅かな揺れがベッドから伝わり、それでグッスリ眠ると言うわけにいかず。
自分ですらよく目が覚めたから、個室とはいえ連れもあまり眠れなかったそうだ。
まあ、旅の間はずっと寝不足なのはいつものことである。



翌朝、窓外が明るくなっていたのでベッドを抜け出し、バルコニーに出てみた。
風は冷たいが、お天気よし。
まだ朝日は昇っておらず、部屋にとって返し、上着を着てカメラを準備。
程なく日の出の時刻となった。
オレンジ色が滲む海面がとても綺麗だった。



朝食は乗船前に買っておいたパンとバナナを部屋で食べた。
TVは四国の天気予報をやっていたが、時刻からしてもう別府湾に入っているはずだ。
バルコニーから南に見えるのは大分市だろう。
別府のフェリーターミナルに到着。
いやあ特別な船旅を経験でき、よい旅のスタートとなった。