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霧の中

2019-07-22 06:30:20 | 山行
ビジターセンターの建物の裏に白山神社奥宮の祈祷殿があるので、まずは無事の登山と良い写真が撮れるようお参りした。
白山神社は正式には白山比咩(しらやまひめ)神社というらしい。
奥宮は山頂にある。
最初なだらかで徐々に勾配の増す道を登って行くと、上から登頂を果たした人たちが次々に降りてきた。
山頂の向こうに小さな池がいくつかあって、自分はそれも見て降りてくるつもりだったが、みんなはそちらには行かず山頂からピストンして戻ってきているようだ。



高度も増して空気が薄くなったのもあるのか、脚の重さがさらに増し、息もすぐに切れてしまう。
普段なら登る前に確認するのだが、今回初日はコースタイムが白山室堂までの4時間だけなので上る標高を調べていなかった。
弥陀ヶ原で大休止した時に地図で調べたら、登山口の別当出合は1260m、白山室堂は2450mで標高差1190mもあった。
過去の登山でも1000mを超える標高差の山はあまり登ったこともないから、疲れてて当然なんだな。
さらに御前峰までとなったら2702mでトータル1442mになる。
下ってないにしても疲れて当然としておこう。



下からどんどんガスが上ってきていて、遠くの山は雲の向こうで室堂平の眺めしかない。
御前峰に到着すると先に到着して残っている人は一人だけだった。
御前峰の向こう側の眺めも近場の山まで。
まあ梅雨時なのに雨が降っておらず、ガスに巻かれて真っ白けでもないだけ幸運である。
奥宮にお参りして、早々に出発。



お池めぐりの池は火口湖だろう、池の周りは荒涼とした岩場、ガレ場である。
山頂から池までは急な下り。
お池めぐりしてるのは、だいぶ先に1パーティしか見えない。
一つ目の池に着くととうとうガスが山頂を越えてこちら側に流れ落ちてきた。
ガスに覆われると急に気温が下がる。







荒涼とした場所で冷たいガスに一人巻かれているとさすがに心細くなる。
何度か雪渓を横断し、池を順に見て回る。
ガスは晴れたり濃くなったり、進むにつれて池や峰の見える角度も変わり、おもしろい。
最後から二つ目の池のあたりの雪渓が深く、道がよくわからなくなったが、室堂へ帰る道にうまく戻れ、最後は単調で緩やかな下り坂を30分程歩いて室堂に戻った。
祈祷殿の向こうの御前峰はすっかり雲の中だった。




白山室堂まで

2019-07-21 18:16:37 | 山行
5時に起き出した。
結局2時間くらいしか眠れなかったが、眠気はなく起きる事ができた。
空は快晴。
車を出て朝食のパンをかじりながら付近を歩いてみると、すぐそばに大きな沢があった。
この音が響いていたのね。
下の駐車場は上の駐車場より遥かに広く、昨晩見た自衛隊の車両が止まっていた。
みんなどこに行ったのだろう。



登山靴を履き、ザックを背負って出発。
登山口と思った林の中への入口は少し先にある登山センターへのアクセス道だった。
5分ほど歩くとトイレや自販機などがある大きな建物が現れた。
広いロータリーもあり、市ノ瀬からのシャトルバスはこちらに直接入るようだ。
トイレを借りて登山届けを出して再出発。
まずは長い吊り橋を渡る。
ガッチリと作られた鋼鉄製の吊り橋で、揺れるかなと思ったが全くと言っていいほど揺れずに渡ることができた。



登山道の植物は夜露で化粧されてツヤツヤツプツプ、いつもよりフォトジェニック。
写真を撮る私を追い抜いて行く登山者は意外と若いお兄ちゃんが多い。
なぜなのか考えてみたが、多分この時間の出発だから日帰り10時間コースで今日の内に戻ってくるのだろう。
走ってる人もいて、すごいなぁ。
私と同じ年頃の人でもザックの小さい人は日帰りなんだろうな。
皆さん健脚で羨ましい。



白山の登山道にはいくつかコースがあり、上りは砂防新道という谷間の道を利用した。
朝見た大きな沢を下に見て歩く道だ。
この沢は災害を引き起こしたことがあるようで、砂防ダムを建設中だった。
朝日が谷間に差し込むようになると、景色は一変する。
光を透かして見る緑は一段と輝いて、とても素敵である。



さて本格的な登山がとても久しぶりな私の足は、よれるはふらつくはつまづくはで自分の思う足取りでは歩けず、登山靴で反対の脚を蹴るので裾をいつも以上に汚してしまった。
写真を撮って休憩しつつ登るのでなんとか続けて歩ける感じだ。
そろそろ腰を下ろしたいなと思う頃に甚之助避難小屋に到着。
小屋前のベンチにザックを降ろし、一休み。
別山がクッキリと望めた。
ところがビスケットをかじっていたら、早くも雲が湧き出し別山を隠してしまった。
そうそう、山のお天気はこんなだったなあ。
朝の9時には眺めを隠してしまう。



小屋のトイレを借りてから再出発。
この辺りから大きな木は無くなり、見晴らしが良くなる。
登山道はよく整備されていて、平たい石が敷いてあるところが多く、歩きやすい。
要所要所に道しるべが立っており、自分の居場所が良く分かる。
時々つるりとした石が敷いてあるので滑ることがあり恐いが、さすが日本三霊山、登山者が多い山は違いますな。
下の方の山はガスに隠れてしまったが、上空はまだ青空が広がり行き先の山肌は緑に輝いて、夏山の雰囲気をしっかり味わえた。



途中、十二曲りと言うジグザグな坂道を上り切ると弥陀ヶ原の笹原に出る。
とても広々とした原の向こうに白山の主峰御前峰が姿を現した。
いい景色なのでここでお昼にする事に。
木製のベンチに腰掛けておにぎりを頬張る。
下から湧いてきたガスが弥陀ヶ原に達し、時々原の上を滑り抜けていく。
うーん、長閑。



そうそう、自衛隊の皆さんが十数人のグループで間を置いて目の前を下って行った。
全部で5グループ(分隊?班?)くらいだろうか。
私は駐車場から道無き道をかき分けて行軍する訓練なのかと思ったが、普通に山頂往復するものだったらしい。
そりゃそうか、国立公園内の山を荒らすような訓練なんてできないよな。
迷彩服を着て登山靴になりそうなブーツを履いて、皆さん鍛えられてるから足取りも軽い。
目が合うと普通の登山者と同じように笑顔でこんにちはと挨拶してくれた。



大休止を終え、弥陀ヶ原を横切り五葉坂という上りを過ぎると、重機で工事する音が聞こえてきた。
突然白山室堂の大きな山小屋が姿を現した。
ふう、到着。
ビジターセンターのロビーに入ると、宿泊受付は13時からとある。
今12時過ぎだから、ちょっと待たねばならない。
掲示板に今日と明日の天気予報が書かれていて、今日は午前快晴、午後一時雨、明日は午前雨、午後雨一時雷雨、とあった。
御前峰に登るのは明日の予定にしていたが、時間もあるし雨の降っていない今のうちに登っておいた方が良さそうだ。
てことで疲れてはいるが再出発。


夜間移動

2019-07-18 22:07:11 | 山行
車で夜を走り、登山口の駐車場で車中泊するいつもの戦法でアクセスしよう。
夜に出発し車中泊とする時の夕食は、コンビニで助六を買って、高速道路の車中でつまみながら走ることにしている。
助六はローソンのが美味いと思う。
店に行くと、これまでなんでかいつでも売っていた助六が売場になかった。
旅に出る時、どんなに遅い時間に店に行っても、他のお弁当はほぼ売り切れ状態であっても、必ずひとつは残っていた助六なのに、今回はどうしたことだ。
家を引っ越したので、昔と入る店が変わったからか。
仕方なくサラダ巻きとおいなりさんを別に買った。
あとは明日の朝食のパンと昼食のおにぎりと非常食兼行動食の袋菓子詰め合わせ、そしてペットボトルのお茶。
でっかいレジ袋が満杯になった。
いいお客さんだこと。

<ササユリ>


20時前に名神高速道路へ流入。
日曜日のこの時間、走ってる乗用車は遊び帰りだな。
私はこれから遊びに行くのだ。
むふふ。
この土日、近畿北陸地方は曇りか晴れだったようだ。
週末に白山を登った人は梅雨の晴れ間にうまく当たってラッキーだなあ。
明日、明後日のお天気はどうだろうか。

<ギンリョウソウ>


米原JCTから北陸道に入ると走る車は激減。
日はすでにとっぷりと暮れて、そう遅くは無いのに深夜の高速道路を旅してる気分になってきた。
たっぷり持ってきたCDから夜の雰囲気に合うアルバムを選び、走行音に負けぬギリギリの音量で流し続ける。
その昔のロングドライブを思い出した。
高速道路もそうだけど、山間の国道県道を深夜に何度も走ったなあ。
街灯に浮かぶ景色とセンターラインの白が後方に流れ続ける時間。

<エゾニュウ?>


福井北JCTから中部縦貫自動車道へ入る。
へえ、こんな道が出来たんだ。
無料開放区間で対面通行の高速道路だ。
新しくできたのかと思ったが、道路の舗装状態や壁やなんかの構成物は使い込まれていて、私が存在を知らなかっただけで結構昔からあったのかもしれない。
勝山ICで流出し下道へ。
恐竜の絵や模型が次々現れる道を走ると、いよいよ山中へと入って行く。
道路が濡れているので、雨が降ったようだ。
やはり下界は晴れてても山は雨なのだろうか。
国道を離れ県道へ入るといよいよ私以外の車がいなくなった。
谷あいのくねくねと曲がる道路には雪から道路を守るシェードが度々現れ、豪雪地帯であることを教えてくれる。
時々ガスに覆われヘッドライトが白く乱反射する。

<カワラナデシコ>


大きな建物が現れたと思ったら、市ノ瀬に到着。
ハイシーズン時は自家用車はここまでしか入れないが、この時期、平日はこの奥の別当出合まで行くことができる。
規制解除と書かれた看板を横目にさらに奥へと向かう。
道はさらに細くなり、シャトルバスが通るというがすれ違えるのか疑問な道を行く。
左手は谷川のようで底まで光は届かず真っ暗だ。
がたがただが舗装はしっかりされている。
こんな道を初めて走った時は怖かったものだが、今や慣れたものだ。
怖かった過去の道を思い出しつつ、ヘッドライトが照らす先へと進む。

<オオバミソホオズキ>


一般車、バス、タクシーを誘導する看板が現れ、別当出合に到着。
私と同じく登山口で車中泊するのだろう先着者の車が数台止まっているのをヘッドライトが舐め、駐車枠に車を止めてエンジンを切った。
駐車場に自販機のひとつくらいあるのかと思っていたが何もなく、ライトを消すと真っ暗。
沢を水が流れる音が辺りに充満するばかり。
ドアを開いて外に出てみると空は満天の星空だった。
おやおや、雨は上がってくれたようだ。
明日の天気は期待が持てそう。

<キヌガサソウ>


背もたれを倒して眠ろうとするが全然眠れず。
これまでであればこんな出発は金曜日の仕事後で、眠くて仕方なくなって車を止め眠るので、車中泊でもそれなりに眠れたのだが、この日は日曜日で夕刻にお昼寝してから出発したのがいけなかったようだ。
時々新たな車がヘッドライトを光らせ仲間に加わる。
そんな中、緑の幌に赤い十字のあるトラックがやってきた。
自衛隊か?と思ったらその通りで、後から後からトラックがやってきてもう一つある広い方の駐車場へ降りていった。
山岳演習でもやるのだろうか。
野生の証明の特殊部隊を思い浮かべた。
しばらくすると隊員に訓示する声が遠く聞こえてきた。
整列してこれから出発するのを脳裏に描いていると、ようやく眠りがやってきた。

<クロユリ>



爽快、秋の大台ヶ原

2018-10-24 06:23:22 | 山行
金曜日、年休を取れたので山に行ってきた。
山。
久しぶりだったなあ。
今年初めてではないか?と記録を追うと、今年は1月に一度だけ行っていた。
でも大阪の北摂にある山で、登山靴なんて必要のないちょっと長めな散歩の感覚で登れる山だったから、きちんとした山登りは今年初だ。
まあ、生活環境が変化したから致し方なし。

脚も衰えた事だし、しんどいところは避けて初心者向けで、でも眺めのいいところがいいなあ、と選んだのが大台ヶ原。
大昔、新緑の頃に一度歩いたことがある。
家から登山口までが遠いが、登山自体は高低差が少なく、楽に歩くことができる。
木曜日の晩に家を出て、登山口駐車場で車中泊し、早朝から歩いた。


日出ヶ岳への道から。


昨晩山を覆ったガスの水分で足元はしっとりしている。


山頂まで40分のコースを2時間半もかけた。


魅力的な被写体がありすぎだ。


山の空気はやっぱりおいしいなあ。


天気は晴れたりガスったり。


紅葉はまだ早いかと期待していなかったが、ちょうどよい頃合いだった。


山頂から正木ヶ原方面はササ原が広がり被写体に変化がない。


さくさく歩みを進めた。


牛石ヶ原で昼食。


大蛇嵓に着いた時、対岸はガスって見えなかったが、数分で晴れ始め、見晴らしが効くようになった。


大蛇嵓辺りから木道でない普通の登山道に戻る。


シオカラ谷を挟んで下り上る。


被写体にまた変化が出てきて、脚がたびたび止まる。


時々ガスに包まれる。

山中滞在時間は8時間弱。
お手軽に楽しめる秘境をゆっくりじっくり楽しんだ。
来るときは真っ暗で分からなかったが、登山口までの県道もいい具合に色づいていた。
そういえば新緑の頃もきれいだったな。
紅葉見るだけならこの道をドライブするだけでも楽しめそうだ。


夢をひとつ

2018-01-26 08:31:47 | 山行
日曜日、新生活に向けて準備することがいろいろあるのに、遊んだ感を得たくて山へ行った。
このところなんか気分が晴れず、週明けに仕事に出ると憂鬱この上ない。
多分結婚騒ぎでお休みに旅に出ていないからだろう。
年末年始に帰省はしたが、何度も通った道だ、旅の移動感覚は味わえるが、新鮮味はない。
金曜日の映画鑑賞でストレス解消したが、それはそれ。
近場でいいので知らない街や山を歩きたい、な。



てことで歩いた山は近場も近場、茨木にある竜王山ハイキングにした。
登山なんて言えない、手ぶらで往復できそうなところだ。
事前調査で30分程で登れると情報を得、忍頂寺スポーツ公園に車を置いて登り始めた。
府道の交差点の上に石造りの鳥居があり、そこをくぐって出発。
道は石畳みで登山道というより参道だった。



石段はほどなく終わり、舗装された細い林道に出る。
山中に宝池寺というお寺があるらしい。
お寺?、なんで登山口に鳥居があったのだろう。
車も通らず、歩く人もいないのに、節分の紫の幟が道路脇に並び、奉納者がたくさんいるんだなと失礼ながら意外だった。
道路は時々車で上れるの?と思う程の急坂になる。
小さな広場の向こうに建物が見えた。



ありがたいことに大きなトイレがあり、使わせてもらった。
その上には左にお寺らしい建物があり、右に八大竜王を祀る神社があった。
同じ境内にあり、神仏混淆しているようだ。
ひと気は無いのに寂れた感じのしないきれいに整備された境内で、氏子なのか檀家なのか、しっかりした支持母体があるようだ。
神社は緑に囲まれた小さな池を覗くよう建てられ、苔むした岩が祭壇状におわしまし、水の神様の住処への入口にふさわしい佇まい。
水の恵みに感謝して、先へと進んだ。



そこからいよいよ山道となる。
でも険しい箇所があるわけもなく、すぐに山頂に到着してしまった。
標高510m。
立派な木製の展望台があり上ってみた。
大阪の街が霞んで見えた。
空気が澄んでいれば生駒山なんかも見えるらしい。
山頂で昼食を食べるべくサンドイッチを持ってきた。
そしてこのハイキングで実は一番楽しみにしていたのが山で飲む初ホットコーヒー。



これまでアウトドア用のストーブ(携帯バーナー)を持ったことがなく、山の上でカップラーメンを食べたりホットコーヒーを飲んでる登山者を見ると、いいなあ、あったかそうだなあ、と羨ましかった。
昨年した越中の旅で、出発する前まで中日に山に登る気だったから、いよいよ山の上でカップラーメンを食べホットコーヒーを飲むべし、とストーブを買っていたのだ。
結局雨で登山は諦めたので使わず仕舞いだったストーブの初陣である。



さて、どんなかな。
ボンベにコンロ?を取り付け、平らな石の上に設置。
幸いにして無風、風除けは不要。
ツマミを回してシゥゥ…とガスを放出し、着火。
水を入れた鍋を五徳に乗せ、しばし撮影タイム。
明るいので炎が見えず、火加減が強いのか弱いのかよく分からない。
コーッという焔の発する音を聞きつつ待つこの時間がいいですなあ。
お、沸いてきた。
けど、家で湯を沸かす様には沸騰しない。
こんなもんなのかな?



カップにドリッパーを置き、ペーパーフィルターをセット、コーヒーの粉を投入して、いざ蒸らし湯を注がん。
のほほー、お家にある細首のヤカンで注ぐみたいには上手くいかず、ドパドパとムラムラに粉にかかった。
あははー、こんななら蒸らさんでもいいか、と抽出に移るべくさらにお湯を投入。
お、出来た出来た、いただきまーす。
…うーむ、美味しいんだけど、この寒空の下だと、あっという間に温度が下がる。
熱々のホットコーヒーを期待していたのだが、ぬるぬるである。
サンドイッチを食べ終わる頃にはアイスコーヒーの一歩手前にまで冷たくなってしまった。
そうか、保温タイプのマグカップがいるなあ。
それに、コーヒーを淹れる時も鍋を火にかけつつお湯が冷めないようにした方が良さそうだ。
勉強になった。



さ、帰ろう。
ボンベとコンロをまとめ、ザックに詰め、下山開始した。
やっぱり初めて経験する出来事、行為は楽しさが違いますなあ。
色褪せた冬の景色もなんとはなく華やかに見える。
上機嫌で下り坂を下った。
次の山行きがまた楽しみである。


リフトで楽々登山

2017-09-04 23:09:59 | 山行
今年三つ目の山行きは剣山。
標高1,955m。
大昔に一度登ったことがある。
だから知ってるはずなのだが、西日本第二の高峰と書いてあるのを見て、意外な感が否めない。
近畿以西に標高2,000m以上の山はないらしい。
一番は石鎚山の1,982mだって。
石鎚山は尖がってるが、剣山はなだらかな山だ。
登山リフトを使えば山頂まで40分で登れてしまう。
お手軽百名山である。

<一人乗り>


しかしそれは登山口からの話で、登山口までが大変である。
国道ではあるがセンターラインの無い狭く曲がりくねった道路を延々運転して行かねばならない。
カーブの向こうから対向車がいつ現れるかとずっと気を張って運転しなければならず、たいそう疲れる。
とても山深いところにある山なのである。

<柱の長さが違う鳥居>


剣山だけだともったいないので、お隣のジロウギュウと一ノ森を周遊しようとしたが、リフトの上の駅である西島駅からジロウギュウへ行く道が通れなくなっていて、仕方なく剣山山頂への直登ルートをとった。
お天気は雨のち晴れ。
登山用に手に入れた防滴ズームレンズがまた役に立った。

<シコクフウロ>


山頂への道は2ルートあり、大剱神社のある方の道を選んだ。
カッパを着て歩くとやはり暑い。
ムレムレして汗をかく。
カッパの外は山の風がとても涼しそうだ。
神社に着く頃には雨は上がり、また降りそうだったが降るならまた着ればいいと上だけカッパを脱ぐ。
おー、スースーして気持ちよし。

<大剱神社>


神社の横の道を下ると名水百選の剣山御神水があるらしい。
行ってみた。
小さなお社があり、岩に囲まれた穴から地下水を汲むような水場になっていた。
なんかすごく効き目のありそうな(なにに?)御神水である。
ひんやりした山の水だった。

<神水を守るお社>


大剱神社から山頂へはも少し歩く。
今度は下半身が暑い。
見晴らしのいい岩場で下のカッパも脱いだ。
おー、スースーして気持ちよし。
雲に覆われ真っ白な景色を眺め、木道を歩いて一旦頂上を極めた。
ジロウギュウへの尾根道が伸びているが食事の時間がうまく合わないので諦める。
頂上ヒュッテまで降りて食堂でソバの昼食にした。
私の好みはも少し固めである。

<頂上ヒュッテ>


食後、一ノ森へ向かう。
雲が切れ、晴れ始めた。
真っ白だった景色の向こうには、笹に覆われ柔らかそうな山肌をしたジロウギュウがいた。
そのまま晴れてくれたらいいのに、またガスったり晴れたりを繰り返す。
一ノ森への道の周りには白骨林というのか、枯れて白っぽくなった木々がたくさんある。
鹿に樹皮を食べられたに違いない。

<白骨林>


一ノ森ヒュッテのベンチで一休みし、そこからなだらかな一ノ森山頂までは一足だった。
リフト乗り場へと道を下る。
この道には途中に行場がある。
白装束の山伏さんには出会わなかったけど、ここで修行する(修行した?)のだろう。
行場の中には二つルートがあり選択を迫られる。
「おくさり」ってポイントが気になった。
鎖場なんだろう。
こちらのルートにした。

<林床は湿潤である>


行場の中を通過する登山道は急坂なだけで特に難所はなかった。
「おくさり」は一見の価値あり。
鎖は普通の登山道に設置されてるものとは違い、大振りだ。
それより岩の形が不思議。
どうしたらこんな風に円柱形にくりぬかれるのだろう。
この上はどうなっているのだろう。
興味があったが、注連縄があってお気軽に登ってみれるような雰囲気で無かったので、入口から覗いたのみ。
看板の標記だとこれだけでなく、この後も結構な長さで続いていそうである。

<おくさり>


ほどなく刀掛に到着。
誰かが刀を置いて休んだという松より、狛犬が気になった。
ここから参道が始まるのだろうか、それともここから御神体なのか。
いつの間にかお天気はすっかり回復し、ジロウギュウよりさらに西にある三嶺がすっきりと見えた。
刀掛からリフトの西島駅はすぐ。
帰りも楽して下った。

<狛犬>



さ、出発。

2017-07-08 22:32:31 | 山行
夏休みは一週間山籠りすることに決めた。
北アルプスを歩く。
仕事の関係者に休暇取得を言って回り、業務調整。
なんとかなりそうだが、やっぱり無理はある。
行く前の調整と帰って来てからのリカバリが大変だ。
やっぱり分割取得した方が良かったかなあ。

決定が遅くなったので今週は現地までのアクセス方法や宿泊先の調査、手配、準備でバタバタ。
漏れてる事がないといいのだが。
しかし雨の可能性が高いのに、雨だと魅力激減の山を選ぶかな。
事前の行先検討をやらなさ過ぎだ。
そしたら調査に一番時間を使えた山行になっちゃうよなあ。
もしかしたらお天気いいかもという期待も少しあったし。

山行期間中の週間天気予報が分かるようになった。
入山日は晴れ、山中は曇り→雨、下山日も雨。
稜線を歩いてる時の眺望は期待できないみたいだ。
まあ、集中豪雨に見舞われたところもあるのに、全日雨で無いだけでこの時期としては上々。
せめて雨でも風は弱くあって欲しいな。
無事に帰って来れますように。




もちろん夏休みは長い方がいいけど

2017-06-29 19:28:43 | 山行
今年は5日間連続して休みを取れない可能性があり、久しぶりの分割取得となるやもしれぬ。
無理やり休めないことも無いが、うまく調整しておかないと休み明けの仕事の状態が恐ろしい。
それに、何が何でも長期休暇が欲しい、という執着が今年はあまりない。
遊び過ぎかな。

短いお休みとなると山は日帰りで旅程に折り込むことになる。
いや待てよ。
山の雰囲気を味わってゆっくりしたいのなら、山頂に立つことを目的にせず、山小屋に行くことを目的にしたらいいのでは。
山小屋に早く着いて付近を散策し(あれ?前にも書いた気がする)、山上の夕焼け、朝焼けに染まり、星空を仰ぐのだ(雨でなければ)。
気に入った文庫本持っていって物語世界に浸ってもいいな。

ガッツリ歩くと山小屋に早く着いても疲れちゃってあまり動けない事が多い。
余裕がありすぎるくらいの行程で、山小屋でゆっくりする体力を保持して(なんだそりゃ)到着するのだ。
考えてみれば、写真撮影に時間を取ると当然バッテリーの減りは激しく、長期縦走だと最終日まで持たない。
山小屋で充電できるところは少ないからなあ。
毎日お花畑ばかり見ていたら、きっと飽きるに違いないし。
なら一泊か二泊で十分ではないか。
これに山周辺の観光をプラスして、短くとも充実した夏休みにするのだ。
登山口からそれなりの距離で、花が豊富で、見晴らしのいい山小屋ってあるかな。




今年も夏休みは7月

2017-06-27 23:31:50 | 山行
夏休みはどこへ行こうか。
そう考えた時まず頭に浮かぶのは日本アルプス縦走である。
前回は南アルプスだったから、今回は北アルプスかな。
行くならそろそろ決めないと、と本屋さんで山のガイドブックの背表紙を眺める。
北アルプス南部をまとめたのがあって、買ってしまった。
槍や穂高が最初に紹介されていた。

知らなかったのだが、槍ヶ岳といってもコースを選び槍ヶ岳だけ登る分には難易度は高くないようだ。
ふーん。
穂高岳との縦走路が難路らしい。
行くなら山中に長く留まりたいし、すると縦走になるからやっぱりこの辺は止めておいた方がよさげだな。
梅雨時で雨の中歩く事になるから、さらに難しそうだし。
もう少し平たいところを探そう。

これまで二度した縦走はしっかり歩いたけど、別にガシガシ歩かなくてもいいんだよなあ。
縦走って言っちゃうと距離を歩かねばと思ってしまうが、山の上公園でゆっくりするみたく、撮影メインでお花畑の横でお昼寝して(雨じゃなければ)、二泊三日のコースを四泊五日で歩いてもいいかも。
岩場を歩くスリルを求めているわけで無し、非日常の世界でゆるり時を過ごしたいのが今の気分だ。
まあ、一週間休めないと出来ないんだけど。




白鬚岳で足慣らし

2017-06-21 22:35:19 | 山行
今年初めての山行きは6月になった。
あれあれとっても期間の開いたこと。
登ったのは奈良県は台高山脈前衛の白鬚岳。
どこか山に行こうと思い立ったのは先週になってからで、直前まで行先を決められず。
というのも引越しで関西の山のガイドブックが何処かのダンボール箱に入ったままで、探す時間がとれなかった。
仕方なく本棚に入ってた地図から近場で登ったことのない山を選んだ。
ガイドブックに記載されているような山の特徴、例えば花が多いとか、眺望に恵まれるとかいった情報は少なく、ただただ足慣らしのため適当な登山時間のとこはないかと見つけた山だ。



登山日前夜、山に向かう途中の道の駅に車中泊し、早朝から登り始めた。
登山口は東谷出合。
紀伊山地の山はほとんどが植林で覆われ、尾根にのみ広葉樹が残るイメージがある。
ここも植林帯の上りから始まった。
それでも林床の下生えは多く、長く放置されている感じだ。
咲く花は少ないものの、幾つか目に止まる花があり、写真を撮りつつ進む。
最初傾斜は緩やかだったが、神ノ谷分岐にかけて急坂となり、息を弾ませ上る。



尾根に着くともう脚の筋力がなくなりかけていた。
まだ半分しか来ていないのに、こりゃいかんな。
最近筋肉にあまり負荷をかけてなかったからなあ。
自転車にも乗っていないし、歳をとったから筋力の衰えも激しいのだろう。
しかもバランス感覚も鈍り、狭い足場で脚を開いて立てないと体がふらつく。
こんなでアルプス縦走なんてできるのかしらん。



尾根に出ると植生が変わった。
ブナとヒメシャラの木々らしい。
所々で林がきれると横に並び連なる峰が覗ける。
斜面一面が杉だか檜だかの針葉樹で覆われた眺めだ。
所々にある広葉樹も緑が濃くなって針葉樹に混ざり目立たない。
緑のじゅうたんを立てたみたいだ。



尾根の途中の小白鬚までは上りばかり。
小白鬚で荷物を降ろして汗を拭き、少し腹ごしらえ。
いつからか行動食はカントリーマアムである。
いつもなら2、3枚食べてまた歩き出すのだが、すぐまたお腹が空くので5枚食べてみた。
ら、少し多かったよう。
この後山頂に着いてもすぐお昼を食べたいという気にならず。



小白鬚から山頂までは下ったり上ったりを5回繰り返さねばならない。
結構下る。
うーんまた上るのか、って5回ため息をついた。
4つ目のピークから山頂が見えた。
まだ結構距離があるなと目測し最後の下り上りを頑張ると、思ったより早く山頂の石碑が見えた。



ところでここまで他の登山者に一人も会っていない。
こんなにいいお天気の週末なのに。
ずいぶんと人気薄な山だったようだ。
確かに咲いてる花は少なく、眺望も360°遮るものなし、なんて山ではない。
花の時期は別にあるのかな?
誰もいないのをいいことに、山頂の小さな広場に一人なのにレジャーシートを広げて昼寝したった。



30分ほどして起き出し、お昼にした。
オニギリを喰む。
小さなアブとハエの羽音だけが聞こえる。
青かった空には薄雲が広がっていた。
アリンコがズボンを上ってくる。
汗で濡れたシャツが冷たい。



1時間くらいいたがその後も誰もやってこなかった。
下山することにした。
このまま誰にも会わなかったら、初めての経験になるかもしれない。
と下っていたら、下から二人連れの老夫妻が上って来られた。
その日初めて言葉を発した。
下りはさくさく、撮影に脚を止めることもなく降りてしまった。