風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

きみの国を探している

2010年04月28日 | 詩集「ぼくたちの神様」
Ryukyu


仰げば星がまばゆい
さすらえば闇が深すぎて
ぼくらは歓喜で眠れない
そんな国があった


言葉でもなく指切りでもなく
赤い木の実を食べ
甘い草の根をかじって
確かめあった


いくつも集落があり
すこしずつ異なる言葉があり
そこで生きてそこで死ぬ
飢えて一粒の米も大切にした
米は命だった
米は薬だった
瑞穂の国


水が豊かに流れていた
メダカがいた
ニゴロブナがいた
オオサンショウウオがいた
そして
きみがいた


虫たちの夏が終わり
ひとびとの冬もすぎて
あの国の四季も
終わったのだろうか


きみの国を探している
きみに会うために帰りたい
だがきょうも
どこまで帰らねばならないのだろうか


(2007)


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