風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

星霜

2010年04月28日 | 詩集「星の時間」
Jikuu


星が降る
そんな時代がありました


いちどだけ
空から便りが届いたのです
遠い星からのとてもシンプルな手紙です
地球にいた頃はしあわせでした
たったそれだけでした


しあわせな星から
すぐに手紙を書きました
けれども
そのひとの星を探すうちに
おもわぬ歳月を費やしてしまいました


流星群が飛びかう夜は
せわしく宇宙の手紙が配達されるのでしょう
ときには
たった1通の手紙が届くのに
幾億光年もの時がたってしまうのでした


ですから私はまだ
そのひとに会ったことがありません


(2005)


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