風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

風立ちぬ、いざ生きめやも

2020年11月06日 | 「新エッセイ集2020」

 

ひんやりとして空っぽ
風を食べてしまったかもしれない
枯れた草の渋みと花の苦みと
とつぜんに木のオルガン
木造校舎の長い廊下をはしる

つうつうれろれろ つうれいろ
つうれいられ つれられしゃん
つれられとれ しゃんらんらん

いつどこで
誰に教わったんだか
ときどきぬっと出てくるけれど
エンドレス
ただそれだけの

シャッテン シャッテン
シャシャ コロリン
シャッテン コロリンシャン

琴爪が弦をはじく
対話する指を教えてもらった
行ってきんしゃい
アルデベルチ風の無人駅

あらぬ方へ
背中から吹かれて
風立ちぬ いざ生きめやも
もういちど再起動



風の窓

 

 

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