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ポジャギアートYangja-pang

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田中一村の全貌

2010-08-26 21:24:00 | アート2010
田中一村という画家の作品について私メが知っていたのは
50歳にして奄美大島に移り住んでからの、晩年だけでした。



亜熱帯の動植物や自然をモチーフとした
強烈な光と影、そして静謐とが同居した画風。
もちろん、私メが最も惹かれるのは、そうした作品群なのですが、
千葉市美術館で開催中の田中一村 新たなる全貌」を見て強い印象を受けたのは、
そこに至るまでの、あまりにも膨大な試行錯誤でした。

中でも驚いたのは、10代の頃から
上海文人画壇の大家、呉昌碩や趙之謙の作品を学んでいたという事実です。



実は、私メが尊敬する書家(故人)に、
こうした文人画家の影響をつよく受けていた人がいます。
そのようなわけで私自身も、彼らの書画集をよく目にしていたのですが
まさかこの会場で、「呉昌碩写し」に出合うとは思いませんでした。
あの一村の画業のスタートがここにあるとは!?
この猛暑の中、超出不精な私メが
駆り立てられるように出かけていったことからして
なんだか彼岸からの導きのような、不思議な気さえします。

田中一村という人は、特定の師をもつことなく
いわゆる「画壇」にはほとんど関わることなく生きた画家です。
晩年の作風があまりに鮮烈だったために
かえってその全貌が語られることはありませんでしたが
今回の回顧展は、一村ゆかりの地にある美術館が総力を結集した
実に見応えのあるものです。
会期は9月26日まで。ご興味のある方は、ぜひ!

光を包む糸

2010-06-01 09:29:00 | アート2010
こんな素敵なお知らせをいただいたら、
飛んでいかないわけにはいきません。



トロッドスカップさんこと宇南山美佳子さんの個展
「絲からの創作」
紙や麻の糸でざっくり織られた布の中で、
卵やキューブが呼吸するように光ります。
白、生成り、柿渋染め、あるいは藍など、ナチュラルな色合いの糸と
LEDライトのネオンっぽい色彩が不思議とマッチしています。
これまでタピストリーや額装の作品が多かったトロッドスカップさんの新境地!

写真は全然うまく撮れませんが、ディスプレーの雰囲気だけでも(T_T)




ポジャギを使ったランプはよく目にしますが、
それはあくまでも灯りであって、光を包むという発想ではありません。
その意味でトロッドスカップさんの試みは、
とても刺激的です。
今回の作品展はfirst stageとのこと。
布と光のコラボがこの先どのように展開されていくか、ワクワクします(*^_^*)



「絲からの創作 first stage」 宇南山美佳子
東京都中央区京橋2-8-2 ギャルリーソレイユ
5月31日(月)~6月5日(土)11:00~18:00(最終日17:00)
℡ 03-3567-6827


菱刺しの執念

2010-05-06 10:25:00 | アート2010
その昔、コドモ向けに世界の民族衣装および手仕事を紹介しようという
いささか無謀な企画に携わったことがありました。
(実は料理編もあったのですが、それはまた別の機会に……)
現在のようにネットで膨大な情報を検索できなかった頃のことで
資料と言えば、まず文献探し。
幸い、まだバブルの名残があって資料費もまあまあ頂戴できたので
スタッフ総出でずいぶんと色んな書籍を集めまくりました。
その中になぜか紛れ込んでいたのがこちら↓



おそらく日本各地の伝統衣装を扱う際に入手したものでしょう。
本来であればこんな専門書は必要ないのですが
あまりに美しい内容だったものですから
ドサクサにまぎれて買っちゃったに違いありません。
したがって、厳密に言えば私物ではないのですが、
まあ時効ということで……(~_~;)

さて前置きが長くなりましたが
GW最終日の昨日、帰省中のnabiオンマさんにご一緒していただき、
アミューズ・ミュージアムで開催中の南部菱刺し展
「麻と毛糸のハイファッション・美しい手仕事展」に行ってまいりました。





南部菱刺しとは、青森県南部地方の厳しい気候風土から生まれた技法。
そもそもは防寒と布の補強のため、麻布に木綿糸で施されていた刺子ですが
大正時代、化学染料で染めた毛糸が手に入るようになってきたことから
精緻をきわめた華麗な菱刺しの前掛けが作られるようになりました。
入手できるようになったとはいえ、貴重かつ稀少な毛糸。
その1本の毛糸を数本に割っては友人たちと分け合い、
「色数」を増やし、工夫を凝らして作り上げられた「マイカケ」は
農村の女性たちのハレの衣装でもありました。



展示の中には「みかん」のものもあります。
最初はこのように図案を作っていったんですね。



濃紺の藍染の麻布の上に、「色」を見せるか「技」を見せるか
そこらへんの攻防というか、意地のぶつかり合いには
かなりスリリングなものを感じます。
少ない色彩をいかに効果的に見せるかに賭けた
女性たちの執念の凄まじさに圧倒されてしまいますね。







写真オールOKという嬉しい展示だったので、
私メにしては珍しくかなり撮ってきましたが、
考えてみれば「マイカケ」の真価は、
濃紺の麻地と菱刺しとの強烈なコントラストにあるのですね。
やはり実物を見ないことには、あの迫力は伝わってきません。
7月4日まで展示されているので、ご興味ある方はぜひ!
sakuragiさん、mさんと合流。
東京駅八重洲口にある「ダバインディア」に連れて行っていただきました。
これでもかっ!とばかりに供される南インド料理をたらふく………
パパドやドーサといった珍しいメニューに加え、
大好物のマトンカレーも出てきて、もう大満足です\(~o~)/
私メは料理店でカメラを取り出すのが苦手なので、写真はありませんが、
盛り付けも美しく、実にお洒落。
もちろんお味もほうも確かですから、辛いのOKな方には断然お薦めです。
ただし、お腹を十分に減らしてから、いらしてくださいね。