A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

サドジョーンズと同じような道を歩んだフランクフォスターも、やはり自分のビッグバンドを・・・

2015-10-05 | MY FAVORITE ALBUM
Manhattan Fever / Frank Foster and The Loud Minority

ペッパーアダムスと一緒にジェイムスディーンの初アルバムに付き合ったフランクフォスターペッパーアダムスの最後のリーダーアルバム"The Adams Effect"は、この後、フォスターや昔の仲間と一緒に録音したものだった。

このフォスターは、ベイシーオーケストラに参加する前は、デトロイトでプレーをしていたという。地元のジョーンズ兄弟やアダムスとは若い頃からの付き合いであった。
53年にベイシーオーケストラに参加したが、トランペットのサドジョーンズと一緒にカウントベイシーオーケストラの黄金期を支えた一人だ。プレーだけでなく、作編曲でも腕を振るった2人であった。

ベイシーのオーケストラを辞めた後は、エルビンジョーンズと一緒にプレーした時期もある。サドジョーンズもフォスターもビッグバンドの人という印象を強く受けるが、どちらもソリストとしても一流だ。ソリストとしてはどちらかというとサドジョーンズがメインストリーマー、晩年はフリュゲルホーンを多用しよりソフトなプレーになっていったのに対し、フォスターはアグレッシブなコルトレーンライクな力強いプレーになっていった。

一方で、やはりフォスターはビッグバンドとは縁が切れなかった。デュークピアソンのビッグバンドにも加わり、その後、サドメルのオーケストラに加わった時期もある。75年もメンバーの一員として来日し、サドメルのメンバー達とリーダーアルバム”Giant Steps”を作った。旧友ペッパーアダムスとも再会し、行動を供にした時期である。

そして、自らリーダーとなった”The Loud Minority”というビッグバンドも編成していた。メンバーは若手中心で-意欲的な演奏を繰り広げていたが、自らのアグレッシブなプレーをビッグバンドで再現していた。確か、このラウドマイノリティーの最初のアルバムはメインストリームの同名のタイトルのアルバムだと思うが、いわゆるスピリチュアル系とでもいうか、ベイシーオーケストラとは対極のようなスタイルの演奏であった。

このフォスターのビッグバンドは、サドメルのようにレコーディンだけではなくライブ活動も毎週月曜日に継続的に行っていた。その演奏が日本人のディレクター上野氏の耳に留まった。学生バンド出身、そしてベイシーやファーガソンのアルバムのリリースに携わった彼は、このフォスターのバンドのレコーディングに執念を燃やした。そして、アメリカでの新規レコーディングの一環として、この演奏も収録され、アルバムとして陽の目を見ることになった。日本人のプロデュースによるアルバム作りはこの時期多く行われていたが、ビッグバンドのアルバムはTOSHIKO-TABAKINのオーケストラを除けば、これが初めてであったようだ。

アルバムタイトルの「マンハッタンフィーバー」は、ブルーノートに同名のリーダーアルバムも残している。こちらはコンボでの演奏。ビッグバンドでの演奏はこれがお披露目であった。同じ曲のビッグバンドアレンジを聴く事ができる。

カウントベイシーを辞めて、サドジョーンズは自らサドメルでポストベイシーサウンドを確立した。同様にフォスターも自らのバンドでポストベイシー、さらにはサドメルでの経験を踏まえポストサドメルともいるビッグバンドサウンドを作り出していった。フォスターのビッグバンドは日々進化を重ねていった。同じ曲でもそのアレンジは変化をしていったという。

このアルバムの一曲目のスルーウェイトラフィックも、最初はシャープス&フラッツに提供された曲、アレンジであったが、このアルバムでは大分手が加えられている。演奏全体はフォスターのテナーの進化のようにエモーショナルであり、アグレッシブに変化している。かと思えば、2曲目はギターが確実にリズムを刻む様はベイシーオーケストラの伝統も踏まえている。タイトル曲のマンハッタンフィーバーも大編成で大きくスケールアップしている。あまり話題に出ることはないが、ひとつの時代を作ったビッグバンドだと思う。

サドジョーンズ、フランクフォスター、同じような経歴を辿り、それぞれがベイシーを卒業後自らのバンドで大きく飛躍しながら、最後はベイシーバンドに戻ったのも何か不思議な因縁を感じる。

1. Thruway Traffic            Frank Foster  10:29
2. Four Five Six             Frank Foster  9:39
3. Manhattan Fever            Frank Foster  8:57
4. Marie Jean              Ronnie Mathews  11:22

Frank Foster (ts,ss) & The Loud Minority
Sinclair Acey (tp)
Virgil Jones (tp)
Joe Gardner (tp)
Don McIntosh (tp)
Chris Albert (tp)
Kiane Zawadi (tb)
Charles Stephens (tb)
Janice Robinson (tb)
William Lowe (btb)
Leroy Barton (as)
Charles Williams (ts)
William Saxton (ts)
William Cody (ts)
Doug Harris (ts)
Kenny Rogers (bs)
Bill Davis (Tuba)
Michael Tucker (p)
Earl May (b)
Ted Dumper (g)
Charlie Persip (ds)
Roger Blank (per)

Produced by Yoshio Yoshida
Engineer : Jim McCurdy
Arranged by Frank Foster
Recorded at Sound Ideas Studio, New York on November 29 & 30, 1977

マンハッタン・フィーヴァー +2
クリエーター情報なし
日本コロムビア
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする