A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ダイナマイトに勝る爆発物はあるか・・・・・

2011-06-24 | CONCORD
DYNAMITE / LOUIE BELLSON BIG BAND

世の中原発騒ぎが収まる気配が無い。昔は原子力といえは核爆弾にしても原子力潜水艦にしても軍事利用がもっぱら。空気を利用しないでタービンを回せる潜水艦用の原子炉が岡に上がって原子力発電所の発電装置の基盤として使われることになった。原子力潜水艦はいつも水の中、例え事故が起っても今回のような冷却水が無くなる事はありえなかった。今回のような暴発の危険性は無いが、原子力潜水艦の多くが退役している。潜水艦の原子炉はどうやって廃炉にしているのだろうか?まさかそのまま海の中に沈めてしまったのではないかと気になる。

原子力は放射能が怖いが、やはり一番の恐怖は核爆発。一瞬で周辺を跡形も無く焼き尽くす恐ろしさは通常の爆発物と比較にならない。
 カウントベイシーの「アトミックベイシー」といわれている名アルバムがあるが、ジャケットの核爆発の写真が印象的だった。演奏はそれほどぶっ飛んでいるわけでもなく、ご機嫌なベイシー節が抑えられている。今回はベルソンのアルバム。ルイベルソンのビッグバンドは、一時"The Explosion Orchestra"と呼ばれていた、そしてそのドラミングは“Bellson's bombastic drumming”とも言われていた。今回のアルバムタイトルは「ダイナマイト」。点火され、まさに爆発寸前の写真も記憶に残っていた。

 以前ブログを書いていたとき、Concordのアルバムを最初からたな卸しをしていた。前回が、CJ-104だったので今回は105。ルイベルソンのアルバムだ。ビッグバンドが続いていたのでその勢いで、このシリーズも復活してみよう。
 コンコルドでのルイベルソンのアルバムはこれで6枚目。これまでコンボとビッグバンドの両方の演奏があるが、今回は全編ビッグバンド。Concordの最初のビッグバンド物はすでに録音された音源を買い取ったもの。今回は、’79のコンコルドジャズフェスティバルのライブで、正真正銘コンコルドのオーナーカールジェファーソンの一連の企画の中の作品だ。その年のフェスティバルのプログラムの最終日、取りを勤めたのがこのベルソンのバンド。否が応でも盛り上がりを見せるので全編大フィーバーかと思いきや・・・・
 ドンメンザのサンバのリズムに乗った曲でスタートし、ベルソンの作曲の2曲目 Deliveranceは綺麗なバラード。ビルホルマンのアレンジもGood!・・・と続き、最後のExplosionでその名の通りやっとバンド全体で「大爆発」。ベルソンのドラムソロで幕を閉じる。

 ベルソンのドラミングはスキンディープの印象があるが、実はただひたすら叩きまくるのではなく曲に合わせて実に柔軟に対応する。ドラマーには珍しく曲作りを自分でするからかもしれない。原子力と同じで、ここ一番の爆発力はいざという時は使うものの、普段はその力を目的に合わせてコントロールし、決して「再臨界」には陥らないようにするのが、ビックバンドドラマーの理想かもしれない。決してダイナマイトの爆発のように単調で一発勝負ではない。



1. Sambandrea Swing  Menza 7:02
2. Deliverance  Bellson 8:14
3. Concord Blues for Blue  Bellson 8:23
4. Cinderella's Waltz  Menza 5:33
5. Where Did You Go?   Bellson, Hayes, Lee 6:41
6. Explosion  Catingub 11:59

John Thomas (Flugelhorn, Trumpet)
Bobby Shew (Flugelhorn, Trumpet)
Ron King (Flugelhorn, Trumpet)
Nelson Hatt (Flugelhorn, Trumpet)
Walt Johnson (Flugelhorn, Trumpet)
Dana Hughes (Trombone)
Alan Kaplan (Trombone)
Bob Payne (Trombone)
Nick Dimaio (Trombone)
Dick Spencer (Clarinet, Flute, Piccolo, Saxophone)
Don Menza (Composer, Sax (Tenor))
Gordon Goodwin (Sax (Tenor))
Andrew MacKintosh (Sax (Baritone))
Matt Catingub (Arranger, Clarinet, Composer, Flute, Sax (Alto))
Frank Collett (Piano)
John Chiodini (Guitar)
John Williams Bass, Bass (Electric)
Jack Arnold (Percussion, Vibraphone)
Louie Bellson (Composer, Drums)

Bill Holman Arranger
Phil Edwards Recorder, Remixing
Carl Jefferson Producer
Carl E. Jefferson Producer

Recorded live at Concord Jazz Festival on Aug. 1979

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束ねる強さと織り込む美しさ・・・・・昨夜の辰巳哲也BIG BAND

2011-06-24 | JAZZ LIFE
久々に辰巳哲也Big Bandを聴きに赤阪ビーフラットへ。ワークショップなどはやっていたようだが、今年に入ってライブを聞き漏らしたかなと思っていたのだが。ビッグバンドのライブ自体は昨年来だったとかまずは一安心。今回は、しばらく前に予告があったように、サドメルやボブプルックマイヤーのアレンジを主体にという構成。サドメルファンとしは期待して出掛けてみた。
 
 ジャズの楽しみは個性あるソロプレー。人によって同じ曲を同じ楽器を使っても百人十色。ゴルフで18ホールを回ってもコースとコンディションによって毎回全く雰囲気が違うのと同じだ。ビッグバンドの楽しさは、更にそれにアンサンブルワークが加わると、アレンジャーの匙加減ひとつで曲と楽器に更なる魅力が加わる。ビッグバンドファンとしては、ソロプレーに加えてそのアンサンブルを聴くのが楽しみだ。素材となるいい曲、それを奏でるプレーヤー、それを組み合わせるアレンジの3点セットが旨く組み合わさった時は最高にご機嫌だ。さらに、ライブだとその場の雰囲気、出来、不出来も大きく影響してくる。

 一本の繊維が束ねられて綱になると、たかが植物繊維でも不思議な強さが増す。それを目的に合わせて使いこなすための様々なロープの結び方には昔から先人達の知恵と工夫の積み重ねがある。ハイテク全盛期でもこのロープの構造と結び方は不滅だ。ビッグバンドも複数の楽器が組み合わさると、力強さと新たな技が加わる。セクション間のコール&レスポンスやソリなどの技はスイングバンドの時代から使われている技で、バンドカラーを生み出すひとつの要素だろう。

 一方で、繊維の美しさを面で味わうには織物がある。織り上げた布を衣服などに利用するのはデザイナーの腕の見せ所だ。これも機能面とデザインの両面で。ビッグバンドのアレンジの楽しさと美しさにはこの楽器間で生み出すテクスチャーもある。今回のお題のブルックマイヤーやサドジョーンズのバラード物は独特の美しさがある。古くはギルエバンスそして最近ではマリアシュナイダーに通じる流れだろう。自分は普段の仕事は左脳人間。論理的にゴリゴリ詰めていくが、こと音楽に関しては残念ながら才能がないせいか完璧な右脳人間。理屈で良さを説明できないが好きな音作りだ。

 2NDセットは、そのような彼曰く「重々しい雰囲気の曲」が続いたが、いつもスイングするビッグバンドに慣れ親しんでいるとこのような選曲へのこだわりも新鮮だ。サドメルのバンドでもお祭り騒ぎと強烈なアンサンブルの合間に心地よかったのと同様に。今回の震災を意識しての選曲&演奏と言っていたが、なかなか普段聴けない演奏で楽しめた。せっかく演奏なのに、辰巳さんのライブはいつもお客が少ない。何も大人数集めるのが目的ではないとは思うが、せっかくのライブ。同好の士はもっといるはずなのだが。

 サドメルのLOW DOWN(最初のライブアルバムにも入っているのでサドメルでも初期の作品)に始まり、最後はサンバ調のハイフライまで、あっというまの2時間だった。次回にも期待。次回、サドメルのレパートリーからサンバ調で締めるのであればSamba Con Getchuをリクエスト。

本家VJOのLOWDOWN



辰巳哲也 BIG BAND

辰巳哲也(cond, tp, flh)
woodwinds: Steve Sacks, 渡邊てつ, 渡邊恭一, 鈴木圭, 武田和大
tp, flh: 峰崎芳樹, 田中充, 高瀬龍一, 松木理三郎
tb: Fred Simmons, Pat Hallaran, 三塚知貴, 堂本雅樹(btb)
駒村光(g), 宮嶋みぎわ(p), 芹澤薫樹(b), 諸藤一平 (ds).

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