A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

同じ楽器の競演をよくバトルというが・・・

2012-02-08 | CONCORD
Scott's Buddy / Scott Hamilton & Buddy Tate





60年代のスイングジャーナルを見ていたら、当時はよくドラム合戦とかドラムバトルとかが行われていた。有名ドラマーを複数舞台にのせて技を競うショー的な要素もある企画だ。いつもは裏方のドラムがこの時ばかりは主役になる。視覚的にもドラムソロは絵にはなるが、大体は終わってみればただそれだけ・・?という感じであった。

その延長上で、同じ楽器同士のバトルもよく企画される。レギュラーグループでは、アルトのフィルウッズ&ジーンクイル、テナーのズートシムス&アルコーンなどが有名だ。同じタイプであり音色の2人の演奏であり単独のプレーよりも、アンサンブルや掛け合いが加わる分だけスリルがある。この前の、ペッパーアダムスのバリトンの競演もその類だ。
こおアルバムの主役、バディーテイトが参加した、スイング派のテナー4人がご機嫌なバトルを繰り広げるアルバムもあった。

このアルバムもそのような意味ではテナーバトル、とはいうものの2人は親子ほどの年の差がある。事実、ハミルトンはテナーを始めた頃、最初に手本として学んだのがこのバディーテイトだった。実際に、ハミルトンの出身地ボストンにテイトが来た時には、何度か聴きに行ったこともあったそうだ。ということは、この2人の場合はバトルといっても師弟対決といったところ。普通であれば弟子が師匠を越えられるかが興味の対象になるが・・。

ハミルトンは、その後コールマンホーキンズやレスターヤングなど多くのスイング派のプレーを取り入れて、自分のスタイルを築きつつあった。したがって、2人が競演するからといって完全なテイトのコピーというわけは無い。しかし、2人がお互いを意識するところは自然と出てくる。息遣いなどはいつものハミルトンとは多少違うようにも聞こえる。実は、この2人の共演はConcordでは2枚目。レコーディング以外にもセッションの機会は何度も持っている2人の間柄だった。

バディーテイトは、カウントベイシーバンドの出身で、オリジナルカンサスシティーバンドの一員。当然のように、バンド全体の雰囲気もベイシースタイルになってくる。特に、ピアノのナットピアースはベイシーの影武者も務められる程ベイシースタイルのピアノを得意としている。ところが、ピアスもベイシーそっくりというのは"Swingin' Away"だけ。ギターのコリンズも確実なリズムを刻むところなどはフレディーグリーンを思い起こさせるが、しっかりソロもしている。バンド全体の響きもカンサスシティーサウンドをベースにはしているが、メンバーの持ち味をそれぞれ出し合ったオリジナルサウンドだ。
ハミルトンもテイトの間も師弟関係はすでに卒業し、立派にテイトと渡り合える関係に育っていた。ベテランにとって、後継者が立派に育ってきているのを見届けるのは楽しいものだ。そのような後輩を見ると、後進に後を譲って引退というよりは、ますます元気になるのは何の世界でも同じこと。テイトもこのレコーディングから20年以上活躍したが、2007年アリゾナに引退した途端に他界してしまった。

1. There Will Never Be Another You      Gordon, Warren
2. Everything Happens to Me         Adair, Dennis
3. Scott's Buddy               Pierce
4. Swingin' Away               Tate
5. Close Your Eyes              Petkere
6. I Want a Little Girl           Mencher, Moll
7. Scott's Soup               Tate
8. Doggin' Around              Battle,Evans

Scott Hamilton Tenor sax
Buddy Tate   Tenor sax
Nat Pierce   Piano
Cal Collins   Guitar
Bob Maize    Bass
Jake Hanna   Drums

Produced by Cark Jefferson
Engineer Phill Edwards

Recorded on August 1980 at Coast Recorders, San Francisco, California

Originally Released on Concord CJ-148
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