A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ビッグバンド育ちは、いつかは自分のオーケストラを持つことを夢見て・・・・

2012-02-29 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Dream Band / Terry Gibbs

ウディーハーマンやスタンケントンオーケストラ出身のミュ-ジシャンは多い。そして卒業後はそれぞれの道で活躍はしていても、若き日の思い出であるビッグバンドでの演奏を忘れられず、いつかは自分のバンドを持ちたいという想いで日々演奏をしていたことであろう。

ハーマンオーケストラ出身のテリーギブスもその一人だった。
ハーマンやベニーグッドマンのオーケストラを渡り歩いていたが、’57年にはロスに腰を落ち着けることになる。丁度、メルルイスやペッパーアダムスがケントンオーケストラを辞めて、ロスに居を構えた頃と同じ時期だ。スタジオワークを続けながら、ギブスは折を見てはビッグバンドを編成していた。そして、興隆を極めたウェストコーストジャズも、そのブームを過ぎた1959年に“Dream Band”と銘打ったオーケストラを立ち上げた。分かり易いネーミングだ。今回はギブスが長年夢見たオーケストラをやっと実現できたのかもしれない。

メンバーは、ウェストコーストの腕達者達、コンテカンドリもトランペットセクションに座っている。ドラムは西海岸で八面六臂の活躍をしていたメルルイス。この年も、秋のモンタレーではハーマンが編成したオールスターバンドに加わり大活躍をしていたが、ギブスのドリームバンドで演奏しながら、もしかしたら自分のドリームバンドを夢見ていたかもしれない。住み慣れた西海岸を離れ、ニューヨークに移るのは翌年1960年だった。

アレンジャーも、ビルホルマン、アルコーン、ボブブルックマイヤー、マティーペイチ、そしてマニーアルバムと錚々たる面子だ。曲もスイング時代からの有名曲、ジャズのスタンダードが中心。
このバンドのコンセプトはドリームバンドなので小難しいことは無しで、徹底的にノリまくろうということかもしれない。しっとりと聴かせるバラードプレーも無い。「スイングするバンドはこれだ」というアピールが聞こえる。ライオネルハンプトンに較べるとヴァイブの演奏は多少クールだが、オーケストラを熱っぽく操るのはハンプトンより上手かもしれない。

場所は、ハリウッドのThe Sevilleというクラブのライブ。多分テリーギブス自身のものだと思うが、合いの手や掛け声が否が応でもプレーを盛り上がらせる。聴衆の反応を含めてライブならではの雰囲気が、ドリームバンドのシチュエーションとしては最高の場を作り出している。

ところが、このせっかくの演奏がアルバムとなって世に出たのは大分経ってから。20年以上経て新たに吹き込んだアルバムと合わせるようにリリースされた。どうもギブスが録音したテープを持っていたようだが、それまで世に出すきっかけが無かったようだ。そういえばルイベルソンのアルバムも、録音されて彼が持っていたものが後になって本格的にリリースされるものが多い。リーダーとしては、せっかく編成したオーケストラの演奏を何としても残しておきたいという想いだったと思う。このアルバムも、もし録音が残されていなければ、せっかくの「ドリームバンド」の姿を文字で読むだけで耳にすることが出来なかった。ジャズの演奏は、同じ編成でも日によって違うし、特にBig Bandは同じメンバーを維持することも難しい。録音が残っていてよかった。

今、東京でも毎日のようにビッグバンドの演奏がどこかで行われている。その中から20年後に録音(今の時代は録画かもしれない)が発掘され、素晴らしい演奏が陽の目を見ることを期待しよう。






1. Begin the Beguine      Porter 2:28
2. Don't Be That Way      Goodman, Parish, Sampson 6:26
3. Cotton Tail         Ellington 3:43
4. Stardust           Carmichael, Parish 3:12
5. Opus One           Garris, Oliver 6:00
6. After You've Gone      Creamer, Layton 3:42
7. You Go to My Head      Coots, Gillespie 5:17
8. Let's Dance         Baldridge, Bonime, Stone 3:25
9. The Subtle Sermon      Johnson 8:24
10. Kissin' Bug         Eisenhower, Lampert, Linsley, Vignals 4:45
11. Jumpin' at the Woodside   Basie, Hendricks 4:30


Terry Gibbs   (vib)
Conte Candoli  (tp)
Al Porcino   (tp)
Ray Triscari  (tp)
Stu Williamson (tp)
Bob Enevoldsen (tb)
Vern Friley   (tb)
Joe Cadena   (tb)
Bill Holman   (ts,arr.)
Med Flory    (ts)
Charlie Kennedy (as)
Joe Maini    (as)
Jack Schwartz  (bs)
Pete Jolly    (p)
Max Bennett   (b)
Mel Lewis    (ds)

Bob Brookmeyer :Arranger
Al Cohn :Arranger
Manny Albam :Arranger
Marty Paich :Arranger

Produced by Richard Bock & Terry Gibbs
Wally Heider :Engineer

Recorded live at the Seville. Hollywood on March 17-19.1959

Dream Band
Terry Gibbs
Contemporary
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