立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

一般質問原稿 子どもの貧困と基礎学力の定着について

2012年09月15日 | Weblog

一般質問 子どもの貧困と基礎学力の定着について

 

質問1

 直近5年間の中学卒業生の進路状況によると、毎年、進学も就職もしない「無業者」いわゆるニートが10数人から20数人います。無業者が生まれる要因はどこにあるのか、また、15歳にして社会に放り出される子どもがいることを、教育者としてどのように受け止めますか。教育長に見解を求めます。

 

質問2

 子どもの貧困は社会全体の問題です。2009年の政権交代後、国は初めて子どもの貧困率を明らかにしました。子どもの相対的貧困率は14.2%、実に子どもの7人に1人が貧困状態にあり、特にひとり親世帯に限った貧困率は50%を超えていました。

 家庭の経済的問題が子どもの低学力、低学歴を招き、将来の所得や就労状況にマイナスの影響を与えます。これを「貧困の世代間連鎖(スパイラル)」といいますが、子どもの努力だけでは貧困から抜け出すことはできません。

 それを如実に示すのが中学校卒業後の進路です。厚生労働省によると、2010年春に卒業した中学生の高校などへの進学率は全体で98%でしたが、生活保護受給世帯は87.4%にとどまっています。

 子どもの貧困の連鎖を食い止めて、希望の連鎖を生み出す必要があります。

 今、全国各地で生活保護受給世帯やひとり親世帯などの子どもを対象にした学習支援が広がっています。基礎学力定着を図り、高校進学の手助けをしています。

 国は、学習支援に取り組む自治体に補助金を出して支援しています。申請件数は2009年度9件でしたが、2010年度は30件を超え、現在、70以上の自治体が実施しています(実際の運営はNPOなどに委託するケースが増えている)。特に、埼玉県は全県挙げて学習支援に取り組んでいます。その他、NPO法人、学生ボランティア団体、退職教員など多様な担い手がボランティアで無料・低額塾を開いています。

 さらに、対象者を限定せず、学力水準の底上げのための場を設けている例も少数ながらあります。

 子どもの基礎学力の定着を図るため、いわゆる「寺小屋」のような補習教室の実施を提案しますが、いかがですか。

 


 

【メモ】

 

○  児童扶養手当受給者(江南市)

・  2011年度 中学生がいる母子家庭世帯278世帯、父子家庭世帯13世帯

 

○  卒業生の進路(江南市)

・  2011年度進学率97.5%であるものの、定時制・通信制進学者が8.7%あり、実質的な進学率は88.8%。

・  進学以外の進路の割合(各年5月1日)現在

2007年度

2.2%

2008年度

3.0%

2009年度

2.8%

2010年度

2.6%

2011年度

2.5%

 

○  生活保護

・  全国では、19歳以下の受給者は2009年が25万4700人で、10年前よりも9万人以上増加している。

・  最近3年間(各年4月1日現在)、江南市の19歳以下の受給者は55人、41人、46人。

・  2009年、学習支援費を生活保護制度に新設した。

・  自立支援プログラム策定実施推進事業社会的な居場所づくり支援事業

⇒学習会など学習支援に取り組む自治体に補助金を出している。申請件数は2009年度9件だったが、2010年度は30件を超えた。現在、71自治体が実施している。

 

○  埼玉県「生活保護受給者チャレンジ支援事業」

・  2010年度から、都道府県で初めて生活保護受給世帯の中学生を対象に学習教室を開いている。大学生がマンツーマンで教えている。

・  7月現在、県内17か所で約460人が学んでいる。そのうち約7割が母子家庭。

・  学習教室に通った子どもの進学率は、全体の進学率とほとんど変わらなかった。

 

○  広島県福山市「土曜チャレンジ教室」 2011年5月から実施

・  主催:市教育委員会

・  講師:地域在住の退職教員(ボランティア)

・  対象:小学5年生から中学1年生まで

・  参加費:無料

・  自学自習方式で習熟度に合わせて指導する。

・  行政が主催者となり、授業や補習以外で学力対策専門の場を設けることは難しい。

・  広島県教育委員会が県内の小学5年生と中学2年生を対象に実施した基礎・基本定着状況調査で、福山市の成績は小中学生ともに全教科で県平均を下回ったことが背景にある。

 

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一般質問原稿 子どもの基本的人権の擁護について

2012年09月15日 | Weblog

一般質問 子どもの基本的人権の擁護について

 

質問1

 滋賀県大津市の中2いじめ自殺が大きくクローズアップされて以降、全国各地で子どものいじめやいじめが原因とみられる自殺問題が相次いでいます。このことを教育者としてどのように止めているか、教育長の見解を求めます。

 

質問2

 そもそも、なぜいじめが起こるのか、また、なぜ対策が講じられても根絶されないのか(いじめをなくすのに何が足らないのか)、教育長の見解を求めます。

 

質問3

 教育委員会制度の意義は、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映にあります。その特性は、首長からの独立性、合議制、住民による意思決定(レイマンコントロール)です。

 ところが、大津市の中2いじめ自殺問題では、自殺が起こった初期の段階で十分な調査を行わなかった、全校アンケート結果の大半を公開しなかったなど、対応のまずさが厳しい批判を招きました。

 これに対して、越直美市長は「市教委の説明を受け入れてきたけれど、前提となる事実の確認がいいかげんで信用できないとわかった。裏切られたように感じた」「市民に選ばれたわけではない教育委員が教育行政を担い、市長でさえ教職員人事などにかかわれない。民意を直接反映しない無責任な制度はいらない」と述べ、国に制度改革を求める意向を示しています。

 また、大阪維新の会が発表した次期衆院選の公約「維新八策」には「教育委員会の廃止」が明記されています。さらに、維新の会が9日に大阪市内で開いた公開討論会で、大村愛知県知事や河村名古屋市長も、教育委員会の廃止や首長のトップダウンによる教育改革を主張しました。

 一部とはいえ、地方の首長や政治団体が、これまでの教育委員会制度のあり方を大きく変貌させる主張を強めています。今後の教育委員会制度のあり方について、教育長の見解を求めます。

 

質問4

 新しい「自殺総合対策大綱」(8月28日閣議決定)では、若年層の自殺が増加傾向にあることを受け、若年層の自殺対策を重要課題と位置づけています。

 子どものいじめ問題は「どの子どもにも、どの学校でも起こり得るもの」とした上で、兆候をいち早く把握して迅速に対応することや、隠さずに対処することを教育関係者に求めています。また、文部科学省が9月5日に発表した「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」でも、同じスタンスでいじめ問題への対応強化を打ち出しました。

 具体的なアクションプランとして、電話相談体制(24時間いじめ相談ダイヤル)の見直しが言及されています。

 いじめに限らず、子どもに関する問題について相談しやすい体制(例えば、相談窓口の一本化、e-mailや携帯電話の活用)をつくるとともに、子どもに相談窓口を周知徹底すべきです。このことについて見解を求めます。

 

質問5

 いじめなど子どもの人権侵害に対応するために、市長部局に専門委員会、あるいは第三者機関を設置する動きがあります。また、いじめ防止を目的とした条例を目指す動きもあり、近隣自治体では、岐阜県可児市が9月議会に「子どものいじめの防止に関する条例案」を提出しています。

 子どもの人権を擁護する仕組みづくりの先駆けとなったのは、兵庫県川西市です。すでに14年前(1998年)、「子どもの人権オンブズパーソン条例」が制定され、全国初の公的第三者機関のオンブズパーソンを設置しています。

 オンブズパーソンとは、スウェーデン語から派生したことばであり、「弱者の味方になり意見を述べる人」「困っている人を助ける」という意味があります。ですから、子どもの人権オンブズパーソンは、子どもに対する個別具体的な人権侵害について、子ども代弁者として擁護・救済を行う人です。

 現在、大学教授(発達心理学)、大学講師(教育学)、弁護士(少年問題)の3人がオンブズパーソンとして任命されています。それをアシスタントする嘱託相談員4人も任命されています。

 日常的に相談・調整活動はもちろん、子どもの最善の利益を実現するために、関係機関に対する聴き取りなど独自調査を行い、関係機関に是正や改善を求めて、勧告や意見表明などの提言を行うことに制度の意義があります。告発や監視ではなく、子どもを中心にして関係者をつなぎ、絡まった糸をほぐす役割を担っています。

 また、「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」でも、外部専門家を活用しいじめ問題を第三者的立場から調整・解決する取り組みが推進されています。これは、子どもの人権オンブズパーソンを念頭に置いたものと考えられます。

 子どもの人権は学校教育や社会教育の領域だけではなく、行政の全領域において保障されなければなりません。ですから、教育委員会や学校だけで子どもの人権侵害に対応することはできません。

 先進事例に学び、子どもの権利条約を生かし、子どもを権利の主体として位置づけ、子どもの人権擁護に関して実効性ある政策を推進すべきです。このことについて、市長の見解を求めます。

 (参考)兵庫県川西市 子どもの人権オンブズパーソン

    http://www.city.kawanishi.hyogo.jp/shimin/jinken/kdm_onbs/index.html

 

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一般質問原稿 自殺予防対策の強化について

2012年09月15日 | Weblog

 一般質問の原稿をアップします。ただし、議場では原稿を棒読みしているわけはなく、アドリブも交えて話をしています。


一般質問 自殺予防対策の強化について

 

質問1

 政府は8月28日、自殺対策の指針となる新たな「自殺総合対策大綱」を閣議決定しました。自殺対策基本法に基づき、2007年6月、初めて大綱が策定されて以来、全体的見直しが行われたのは初めてです。

 見直し後の大綱では、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指すことをサブタイトルに明示した上で、「地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策への転換を図る必要性」「具体的施策として、若年層向けの対策や、自殺未遂者向けの対策を充実すること」「国、地方公共団体、関係団体及び民間団体等の取組相互の連携・協力を推進すること」を掲げています。

 自殺の実態については、1998年に自殺者が急増して以来、14年連続で年間自殺者数が3万人を超えており、依然として高い水準で推移しているものの、昨年は1998年以来初めて31,000人を下回りました。

 内訳は、この間、男性、特に中高年男性が大きな割合を占める状況は変わりありませんが、中高年向けの対策が一定の効果を上げた結果、その自殺死亡率が確実に低下しています。他方、若年層の自殺者数が増加傾向にあるなどの新たな課題が浮上しています。

 さて、江南市民の自殺の実態を把握するには、公的機関のいくつかのデータを活用することが有効です。

○  厚生労働省の「人口動態統計月報(概数)」に基づいて、内閣府が作成した「月別自殺者数の推移」

○  警察庁の「自殺統計原票」に基づいて内閣府が作成した「地域における自殺の基礎資料」→自殺日ベースと発見日ベースで分け、さらにそれぞれ住居地と発見地の別で集計を行っています。

○  市役所市民サービス課の死亡届

 これら3つのデータのうち、「地域における自殺の基礎資料」が最も緻密な分析を行っており、実態に迫ることができると考えています。これを基に、市民の自殺の実態(性別、年齢、職業、原因)について答弁を求めます。

 

質問2

 新たな「大綱」では初めて、自殺未遂者への支援の充実が明記されました。自殺未遂者は自殺者数の数倍以上に上るといわれています。自殺対策のモニタリング指標として、自殺既遂に加えて、自殺未遂者のサポートや、自殺の危険因子を多くかかえた人たちを見守るサービスの利用の強化を指標に加えることによって、地域における自殺対策の浸透を図ることができます。

 とにかく、自殺未遂者の実態を把握することが不可欠です。消防署の救急搬送実績のうち、自殺・自損に関するデータを活用すべき、いかがですか。

 その上で、江南市民の自殺の実態(未遂を含む)を踏まえた効果的な取り組みを考えるべきです。あれもこれもではなく、実効性の高い重点施策や具体的な数値目標を設定すべきですが、今後の取り組みについてお答えください。

 

○  「大綱」では自殺対策の数値目標が掲げられている。

・  「平成28年までに、自殺死亡率を17年と比べて20%以上減少させることを目標とする。」

・  目標達成のためには自殺者数を24,428人以下にする必要がある。

 

 

質問3

 インターネットを活用して支援情報を提供すること、自殺問題に対して正しい知識の普及を図ることが求められています。相談窓口一覧表を作成することはもちろん、支援策の取り組みなどを記したページを立ち上げるべきと考えますが、見解を求めます。

 

 内閣府の「自殺対策に関する意識調査」(2012年1月)において、自殺者数が1998年から14年連続して3万人を超える厳しい状況にあることを知らない人が34.5%となっており、20歳代及び30歳代では約半数が知らないという結果が出ています。自殺予防に関する普及啓発を一層推進する余地があります(総務省の行政評価結果の基づく勧告)。基本的事項についても、再度、普及啓発に努めるよう要望します。

 

質問4

 5月に「江南市自殺対策庁内連絡会」が発足しました。8課の課長によって構成されています。ところが、税務課長や保険年金課長がメンバーに入っていません。多重債務の問題が自殺の要因の一つとして指摘されていることを踏まえ、メンバーに加えるべきですが、見解を求めます。

 今後の課題として、庁外連携の推進体制について研究することを要望します。

 

質問5

 ゲートキーパーは直訳すると「命の門番」であり、職場や地域で悩む人に手を差し伸べ、必要な支援につなげる役割を担っています。市役所においては、相談などに訪れた人が最初に接する市職員が「門番」に位置付けられます。

 市職員や民生児童委員はもちろん、一般市民にもゲートキーパー研修を広げていくことが、自殺予防対策のさらなる推進につながります。

 富山市は、2年前から、誰もが足を運ぶまちの理美容店をゲートキーパーとして生かそうと、研修を進めています。研修内容は、メンタルヘルスの基礎知識や傾聴の仕方を学ぶ実習で構成されています(約2時間)。活動内容は、①客に対して髪をカットしながら、会話を通じて疲れを癒す、②顔色が悪い客、不安や悩みがある客には、必要に応じて相談機関を紹介するというもので、特別なことを求めているわけではありません。

 今後、ゲートキーパーをさらに拡大すべきですが、見解を求めます。

 ゲートキーパー研修の開催時、議員にも案内していただくよう、要望します。また、自死遺族支援についても検討を図る要望します。

 

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一般質問が終わりました。

2012年09月15日 | Weblog

 去る12日(水)、市議会本会議の一般質問で登壇しました。通告した3点について、当局の見解を質しました。

 「自殺予防対策の強化について」の質問では、新しい「自殺総合対策大綱」が策定されたことを踏まえて、対策の充実を訴えたところ、前向きな答弁が得られました。

 「子どもの基本的人権の擁護について」の質問では、いじめ問題を取り上げ、「なぜいじめが起こるのか、いじめがなくならないのか」、教育長の所見をうかがいました。その上で、「子どもの人権オンブズパーソン」について紹介し、実効性ある仕組みづくりを提案しました。

 「子どもの貧困と基礎的学力の定着について」の質問では、「中卒無業者(ニート)が生まれる要因やそれをどう受け止めるのか」を教育長の所見をうかがいました。子どもの貧困について論じると、議場の中がざわざわしてきました。私の主張になかなかご理解いただけなかったようですが、私としては97~98%の子ども(高校進学者など)とともに、2~3%(中卒無業者、就職者)にもきちんと目を向けて、できるだけ支援していきたいと考えます。

 

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