昨年10月、会派「リフォームの会」として、広島県呉市役所を訪問し、「ゆめづくり地域協働プログラム」についてお話を伺いました。
「地域協働」は江南市の掲げる街づくりの大きなテーマです。「地方創生」が叫ばれていますが、国に踊らされることなく、住民自らが自発的に動いていける政策を考えるべきです。以下、視察報告書をアップしますので、ご一読ください。ご意見がありましたら、よろしくお願いします。
行政視察報告書
江南市議会「リフォームの会」
山 登志浩
中野 裕二
2015年10月16日(金曜日)午後、広島県呉市役所を訪れ、「ゆめづくり地域協働プログラム」について視察した。市民部地域協働課主幹の谷口善郎氏による説明を受けた後、質疑応答を行った。要旨・特記事項と所感は以下の通り。
要旨・特記事項
○ 呉市の地縁型組織の歴史は意外と古く、すでに1954年3月に「自治会連合会」が発足している。その下に、各地区自治会連合会(28団体)-単位自治会(450団体)などが組織され、加入率は全世帯の約8割とかなり高い。最近の市から自治会に対する主な支援として、防犯カメラやLED防犯灯設置助成などが挙げられる。
○ 呉市は、第四次長期総合計画(2010年~)において、「絆」と「活力」を創造する都市の実現を明記し、地域と行政との協働による市民主体のまちづくりに取り組んでいる。
○ 呉市は、2008年3月に「ゆめづくり地域協働プログラム」を策定し、地域力の向上と協働型自治体(小さな市役所)の実現をめざし、5つの具体的取り組みを掲げた。
① 住民自治を促進する基本ルールの整備
② 市民公務員の育成
③ 地域力向上のための財政的支援
④ 地域力向上のための活動拠点確保
⑤ 地域力向上のための人材育成
○ 市内28の「まちづくり委員会」(地区自治連合会単位で組織)に使途を限定しない補助金を交付しており、昨年度の予算額は4,650万円。地域に根差した特色ある地域活動(防災、高齢者支援、賑わいづくりイベントなど)が展開されている。
所感
○ 社会情勢の変化、財政状況の悪化、地域コミュニティーの衰退などを背景に、呉市は十数年前から「協働」を推進している。江南市や他自治体も共通する部分が多い。
○ 江南市内の自治会組織の中でも、防災対策の強化や伝統のまつりの復活など独自の活動を展開しているところがある。一方、自治会役員の成り手不足・高齢化や、それに伴い市広報の配布、資源ごみの立ち当番だけで精一杯という話もよく聞く。ましてや、5年先、10年先を見通した計画を持って活動している自治会はほとんどないと思われる。行政に全てお任せの時代ではなく、住民自ら地域の将来を真剣に考えることが求められている。特定の事業に単発で補助金を出すやり方はマンネリ化し、住民の創意工夫が生まれにくい。呉市のように、使途を限定しない補助金の交付も一考に値する。なお、言うまでもないが、協働の領域を行政の都合で一方的に拡大することがあってはならない。
○ 呉市の「まちづくり委員会」では、市職員が「地域担当職員」として事務局を担い、自治会連合会の活動も支援している。市役所は市民に最も身近な公的機関であるからこそ、行政サービスの企画・立案にあたって、市職員が現場の把握に努めることは極めて大切だ。市職員が地域活動に積極的に参加し汗を流す姿を見せることが、市民からの信頼醸成につながる。