立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

チベット問題に対する社民党の対応

2008年03月27日 | Weblog
 チベット問題が大きな政治問題、国際問題になっています。チベット問題の詳細はよく分かりませんが、誤解を恐れずにひとこと言わせていただきます。

 社民党のチベット問題に対する対応は甘くないでしょうか。

 党本部のHP(3月27日現在)を見ると、チベット問題への言及はトップページにひとこと書いてあるだけです。

[以下引用]

 チベット情勢 対話による平和的解決を
中国チベット自治区ラサで発生した僧侶や市民らと治安部隊との衝突事件について、福島党首は19日の記者会見で「死傷者が出ていることについて、大変懸念し、注視している。(チベット少数民族の)表現の自由は基本的人権として尊重されなければならない。対話による平和的解決を望む」と述べた。

[引用終わり]

 社民党は旧社会党時代から一貫して護憲、憲法擁護を党是とし、基本的人権、とりわけマイノリティ・社会的弱者の人権擁護を訴えてきました。ですから、チベット問題でも、もっと早く、談話を出して党の見解をはっきりさせるべきだったのではないでしょうか。

 確かに社民党は中国政府・中国共産党と長年にわたる友好関係があります。私も昨年11月、辻元さんや青年議員の仲間と一緒に訪中し、歓待を受けました。そのことについては、ものすごく感謝しています。しかし、相手に対して言うべきことをきちんと言わないと、「真の」友好関係は築けません。

 こういうところでも、社民党の存在感・存在価値が問われています。

国策にかかわる議案への社民党自治体議員の対応

2008年03月27日 | Weblog
 先日閉会した3月定例会。後期高齢者医療制度に関わる条例制定や道路特定財源の確保(ガソリン税の暫定税率維持など)を求める意見書が議案としてあがりました。

 私はいずれの議案にも強く反対し討論もしました。しかし、全国各地の社民党自治体議員の対応は必ずしも一枚岩ではありません。例えば、後期高齢者医療制度については「もう国で決まったことだから」といって賛成した社民党議員もいます。また、市長与党がゆえに賛成した社民党議員もいます。

 しかし、高齢者医療政策や税制のありかたは国論を二分しうる、極めて重要な問題です。後期高齢者医療制度については、社民党をはじめ野党4党が共同でその廃止を求める法案を衆議院に共同提出しています。また、ガソリン税の暫定税率が期限切れを向かえ、値下がりするのが確実な情勢となっています。賛成・反対どちらでもいいはずがありません。

 持論ですが、党公認を受けて当選を果たした議員は、党の政策へ理解を求めると同時に、党の方針に従い反対すべきではなかったのでしょうか。

 ただでさえ党勢が衰退しているのに、「稀有の悪法」に自治体を加担させる議案に賛成してしまったら、社民党や社民党自治体議員の存在感や存在価値はますます薄れてしまいます。

反対討論 道路特定財源の確保に関する意見書

2008年03月20日 | Weblog
【反対討論】
 議員提出意見書案第1号 道路特定財源の確保に関する意見書

 「議員提出意見書案第1号 道路特定財源の確保に関する意見書」について、ガソリン税暫定税率の廃止、および道路特定財源を将来的に一般財源化させることを求める立場から、反対の意見を述べさせていただきます。

 道路特定財源制度は、道路整備を緊急的計画的に行うため、一般的な租税原則である「応能主義」とは異なる「応益主義」に基づき、その受益者である自動車利用者に課税し、税収を道路整備の財源として充当するシステムです。1954年に創設されて以来、わが国の社会資本としての道路整備を進める上で力を発揮してきたことは率直に認めるところであります。

 そのおかげで、全国的に道路舗装率は80パーセントに達しています。道路総延長も1960年当時と比べて23万キロも増えており、道路整備の8~9割が達成済みとなっています。道路密度(国土面積あたり道路延長)で比較すると、フランスの2倍、韓国の3倍強、アメリカの4倍強、ドイツの5倍弱など欧米諸国、近隣諸国を上回る水準となっています。

 これだけ道路整備の水準が高まったことを踏まえて、従来と同じ考え方で道路整備を続ける必要があるのか検証する必要があります。約59兆円を使って道路を造るという前提で税率上乗せを10年間維持する、すなわち、道路建設とガソリン税の暫定税率を固定的にリンクさせる手法には疑問を抱かざるを得ません。

 この間、国会では論戦が繰り広げられてきました。道路建設にだけ予算をつぎ込むのはおかしいのではと聞かれると、いや渋滞や開かずの踏切対策にも使うし、これは環境にもいいという答弁がありました。それなら一般財源化すればいいと言われると、それではユーザーの理解が得られないと受益者負担の原則を振りかざしました。道路特定財源に関するこの間の政府答弁はまさに「ああ言えばこう言う」のたぐいばかりでした。結局、「10年間で59兆円」の「道路の中期計画」の枠組みを死守しようという思惑ばかりが見え隠れしています。

 しかし、次々と明るみに出た事実はどうでしょうか。

 事業の前提となる交通需要予測は過大であり、「道路関連事業」という名目での地下鉄や河川整備、使われない駐車場整備への予算転用などなど………挙げればきりがありません。啓発ミュージカルや職員旅行、レクリエーションなどに至っては、明らかに流用と言うほかありません。高規格道路の着工基準である費用対便益もいつの間にか「1.2」から「1.0」に変更されていました。

 さらに、未完成の高規格道路の8割強が、4車線用で用地取得したことで割高な「暫定2車線」仕様で工事中であることが社民党議員の追及で分かりました。未完成2900キロのうち3分の2の建設は国幹会議の審議が不要で、その中の450キロは将来の高速道路への格上げを予定していることが分かっており、暫定2車線建設は高速道予算を先食いする手法ともいえます。

 こういう状況下では、必然的に、ガソリン税の暫定税率も見直し対象となります。ガソリン税は揮発油税と地方道路税をあわせた通称で、暫定的に1リットルあたり25円10銭を上乗せしています。上乗せ分は本則分(28.70円)に匹敵しています。2008年度の道路特定財源は国・地方で計5.4兆円にのぼる見込みで、うち2.6兆円が暫定税率分です。

 政府は、「恒久」的減税(定率減税)をすぐ廃止しながら、「暫定」を30年以上も維持してきました。これをさらに延長すること、特に今回は10年も延長することには反対です。道路整備が延々と続けられることで、環境にやさしくない負の側面もあります。また、原油価格が高騰し生活を直撃しています。時代や情況の変化を踏まえ廃止する方向で見直すべきではないでしょうか。

 もちろん、暫定税率の廃止の主張は、「道路整備なんか一切やらなくてもいい」ということを意味しているわけではありません。道路整備にあたっては、地域事情や住民要求、自治体の財政状況についても十分配慮していくべきであります。社民党は、暫定税率廃止に伴う地方の財源不足(約9000億円)は国が全額補填するべきであると考えています。その財源は、大企業とカネ持ち優遇の不公平税制の是正から目をそらさず、その見直しによる財源を充てるべきであると提案しています。具体的には、法人税及び高額所得者の所得税減税廃止で約3兆3000億円の財源が生み出されます。

 ガソリン税の暫定税率を廃止して、中央集権的な税財源の仕組みを地方分権型に改めていこうではありませんか。必要な道路は交付金で対応すればいいのです。また、本当に正しいと思うならば、一般財源を工面して造ればいいのです。福祉、医療、介護、教育、建設、農業………限られた財政の中で、市民の意見を尊重した上で優先順位を決め、裁量権を行使することに地方自治の魅力があり、また地方分権の目指すところであるということを申し上げ、反対討論を終わります。

反対討論 江南市一般会計予算など

2008年03月20日 | Weblog
 【反対討論】
 議案第30号 平成20年度(2008年度)江南市一般会計予算
 議案第31号 平成20年度(2008年度)江南市国民健康保険特別会計予算

 「議案第30号 平成20年度(2008年度)江南市一般会計予算」「議案第31号 平成20年度(2008年度)江南市国民健康保険特別会計予算」について、社民党所属の議員を代表して反対の立場から討論いたします。

○ 特定健康診査・特定保健指導事業 1億1795万1千円 P199

 2008年度からメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)を主眼とした新しい「特定健康診査・特定保健事業」が始まります。糖尿病などの生活習慣病有病者・予備軍25パーセント削減の目標が設定され、40歳から75歳未満の国民全員に受診義務が課されます。

 健診の精度と安全性について、生活習慣病対策の診断基準となるメタボリックシンドロームは、欧米の学会で批判され、国内からも異論が出ています。科学的根拠に基づく適切な検診や保健指導でなければ、逆に健康を害し医療費が増加します。また、特定健康指導は医師・保健師・管理栄養士が中心になって行なうこととされていますが、絶対数が不足しています。市の職員体制も整っていません。そのため、健診・保健指導の外部委託が可能とされており、民間企業の市場が拡大し、保険料に跳ね返る危険があります。

 保険者(健保連、政管健保、国保)には検診率が65パーセントになるよう義務付けられ、数値目標達成のため、各都道府県単位、市町村単位で検診計画を立てなければなりません。

 数値目標が達成できなかった自治体は健診を手抜きした=老人医療費を増やしたとみなされ、後期高齢者医療制度に拠出する医療費の支援金が最大10パーセント増額されるというペナルティが科せられます。

 また、健診を行う責任のかなりの部分は保険者が担い、税源は主に保険料でまかなわれます。加入している医療保険、広域連合、住んでいる自治体によって、健診受診の自己負担額や検診項目にも差異が生じる恐れがあります。

 老人保健法の第1条の「目的」に明記されていた「健康の保持」の文言が削除され、高齢者の医療に関する法律には、代わりに「医療の適正化」の文言が加わりました。これまで自治体が担ってきた住民健診・保健事業(一部)は、保険者に特定健診・特定保健指導として行なうことが義務付けられますが、住民の健康保持・増進に関する国及び自治体の公的な責任が削除されたことは大問題です。

 一方で、75歳以上の後期高齢者に対する健診・保健指導は、後期高齢者医療制度の下で努力義務に格下げされました。詳細は都道府県単位の広域連合で判断することになります。

 付言すると、厚生労働省は、健診と介護保険に関わる生活機能評価を原則、同時に実施し対応するよう広域連合に求めています。しかし、実施に要する財源の確保について国の補助は未定となっていることは問題があるといわざるを得ません。

○ 後期高齢者医療制度関連事業 P203

・ 保険料収納支援事業 1億1829万5千円
 後期高齢者医療特別会計繰出金
・ 広域連合支援事業 2581万1千円
 愛知県後期高齢者医療広域連合の運営負担金

○ 保育園指定管理者制度導入事業 444万8千円 P215

・ 指定管理者合同保育委託料

 指定管理者が雇用する予定の保育士4人を6ヶ月間派遣することになっています。しかし、同じ保育士が6ヶ月間派遣されるということではなく、適切な引継ぎがなされるのか疑問です。また、時間給は江南市の臨時保育士の時間給単価1100円をもとに算定されていますが、あくまでも「委託料」ということで労働者に支払われる賃金水準が低くなることも問題があります。

○ 住民税オンライン改修事業 2693万3千円 P139

・ システム開発費 2567万3千円
・ 納税通知書等印刷製本費 126万円

 個人住民税における公的年金からの特別徴収制度は、「公的年金受給者の納税の便宜や市町村における徴収の効率化を図る観点から、個人住民税に公的年金からの特別徴収制度を導入する(2008年10月支給分から実施)」ものです。今回、地方税法等の一部を改「正」する法律案で、2008年度から公的年金からの特別徴収制度を創設するよう、第321条の7の2以下が変えられることになっています(法案は参議院で審議中)。

 全国市長会などは、「公的年金等からの特別徴収については、所得税や介護保険料において同様の制度が既に導入されていることを踏まえ、公的年金等からの特別徴収制度を創設すること」(2005年11月)と要望しています。政府税制調査会基礎問題小委員会も「個人所得課税に関する論点整理」(2005年6月)の中で、「税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある。特に、公的年金等からの特別徴収については、所得税や介護保険料において同様の制度が既に導入されていることを踏まえ、早急に実施すべきである」としています。

 政府は、「冬、お年寄りがわざわざ役場まで納税に行くのは大変だ」といっていますが、とりっぱぐれがないというのが本音です。しかし、国保税も介護保険料も後期高齢者保険料も住民税も引かれると老後の生活の糧はなくなってしまいます。そもそも「消えた年金」「宙に浮いた年金」といった問題が解決されていないのにもかかわらず、住民税を天引するのはおかしいのではないでしょうか。個人住民税の公的年金からの天引きは安心して生活する権利を侵害することになり、プライバシーが侵害される懸念もあります。

○ 住民基本台帳システム改修事業 157万5千円 P32

 公的個人認証サービスとは、行政機関へ電子申請・届出を行う際、都道府県知事が発行する電子署名(自署や押印に相当)と電子証明書(印鑑証明書に相当)とを利用することにより、なりすまし申請などの問題を解決し安全な手続を可能とするサービス。インターネットによる電子申請の場合には、印鑑は使えないことから、「インターネット上の印鑑証明」が求められることになり、自治体が発行する電子証明書によってお互いに本人であるのか正しく確認できるシステム(個人認証サービス)が考えられました。

 しかし、公的個人認証サービスについてはさまざまな批判がなされています。
① 公的に個人認証制度を創設しなければならない理由が納得できるようなものでないが、公的認証制度をつくるのであれば、住基ネットとは切り離したものにすべきである。
② 総務省が予測するような需要(2004年度~2006年度の3年間に電子証明書1,000万枚発行)があるとは考えられない。
③ 同じ納税者にもかかわらず外国人登録者は一切使えないという不平等な取り扱いがある。
④ 記名された住基カードに電子証明書を収納することで、不正利用が起きる可能性がある。
⑤ 自治体の制度であるとの体面を取りながら、実質的には自治体の理解を得ることなく、政府によって一方的かつ強引に進められている。
⑥ 情報公開もほとんどされておらず、国民への説明責任が全く果たされていない。
⑦ 電子証明書がインターネット上だけでなく、店頭や街頭など現実世界においても身分証明書として取り扱われる可能性がある。

 さて、公的個人認証と住基ネットとの関係について意見を述べます。住基ネット稼働への批判が高まっている中、「システム利用の安易な拡大を図らないこと」という住民基本台帳法改正時の附帯決議に反し、住基ネットのなし崩し的な利用拡大を認めるものとなっています。

 公的個人認証サービスも、公的な本人確認証明として、商取引でも使われることが期待されており、住基ネットの民間利用への拡大につながることも懸念されます。さらに、認証システムの指定機関として、住基ネットの指定法人である地方自治情報センターもあり得るという国会答弁がなされ、国民の個人情報を集中するスーパー機関になってしまうのではないかという問題もあります。

 専門家によれば、住基ネットを利用しない個人認証システムも構想できるようです。また、民間でも個人認証サービスがあり、それが使えない人のために公的個人認証サービス自体はやむをえないとしても、住基ネットと連動させなくてもいいのではないでしょうか。

 今回、公的個人認証サービスの電子証明書が軽微な修正により失効することを防止するため、住民基本台帳法施行規則の一部改正が行われました(2007年9月25日総務省令第108号、2008年8月1日から施行)。今回の改正は、軽微な修正について、氏名又は住所に係る記載の修正のうち実質的な変更を伴わないものを追加することにより、公的個人認証サービスの電子証明書が軽微な修正により失効することを防止するものです。確かに、電子証明を使っている人からは、再発行の手間や手数料がかからなくなることにつながり利便性が向上することになります。

 総務省は、市町村側のシステム改修をしないと軽微な修正による失効防止ができないとしていますが、パブリックコメントでは、市町村に迷惑をかけるなという意見も寄せられています。江南市が全額負担するということには同意できません。

○ 公用車更新事業 625万5千円 P109

反対討論 布袋北保育園民営化関連議案

2008年03月20日 | Weblog
 【反対討論】
 「議案第21号 江南市立保育園設置条例の一部改正について」
 「議案第22号 江南市立保育園に係る指定管理者の指定について」

 「議案第21号 江南市立保育園設置条例の一部改正について」と「議案第22号 江南市立保育園に係る指定管理者の指定について」、社民党所属の議員を代表して反対の立場から討論いたします。
 公立保育園の民営化問題をめぐって、私は今回の定例会を含めて3回にわたり、当局の見解を質してきました。布袋北保育園、古知野西保育園の保護者をはじめとする市民のみなさまと何回も意見交換をしてきました。保育園での保護者説明会も傍聴しました。当局の方ともたびたびお話し、資料もいただきました。さらに、東京都西東京市、瀬戸市、尾張旭市を訪問し、保育園の民間委託の現状を調査させていただきました。
 まもなく議員生活1年目が終わろうとしていますが、これまでを振り返ると、公立保育園の民営化問題に一番情熱を注いできたのではないかと思っています。
 やはり、私は公立保育園の民営化に賛成することはできません。これから反対する理由をいくつか述べます。

1 説明責任と情報公開

 今回、江南市は当事者である保護者や市民から、民営化について十分な理解と合意を得ることができませんでした。行政主導で都合よく民営化を進めようとするあまり、保護者や市民への説明責任を軽視した行動がたびたび見られました。
 そもそも、なぜ保育園を民営化するのか、なぜ布袋北保育園を民営化対象園としたのかについて、納得している保護者はほとんどいないと思われます。また、先の一般質問で同様の質問をしましたが、その答弁は理解に苦しみます。
 民営化対象園の発表、指定管理者選定委員会の結果発表にあたって、保護者説明会を開催したものの、平日のしかも日中にどれだけの保護者が参加できたというのでしょうか。通過儀礼として、一方的に定めた日時で開催した1回きりの短時間の説明会は、むしろ保護者の不信を増幅させ、不安に駆り立てたのではないでしょうか。
 また、民営化対象園の保護者代表を指定管理者選定委員会のメンバーに加えておきながら、プレゼンテーションを非公開にしました。しかも、その選定委員会の会議録を作成していないことが明らかになりました。メモさえ残さず、どうして選定結果報告書を作成できたのでしょうか、不思議でなりません。今後、選定委員会の議論を事後検証することができるのでしょうか。
 選定委員会の結果と江南市の方針を伝えただけでは、単なる「報告」に過ぎません。自ら積極的に情報公開を進めることによって、行政の内部決定に至る過程を明らかにして、はじめて説明責任を果たしたといえます。この点について、認識を新たにしていただきたいものです。

2 保育の質と保育士のあり方

 公立保育園の民営化によって保育の質が低下するのではないか、と保護者や市民が懸念しています。
 保育の質の確保は保育士のあり方と大きく関わっています。というのは、保育士は保護者との信頼関係を前提に、子どもと長時間にわたって過ごし、さまざまな援助をするからです。
 保護者としては、これまで安心して預けられ相談できた保育士との関係が破壊されることは、まさに保育の質の低下です。子育てには、子どもにとって安定した関係、共感的な関係の維持発展が望まれるのであり、不安定な状況を人為的に作り出すこと自体が保育の質を低下させます。
 ですから、民営化にあたって保育士のあり方にきちんと目配りする必要があります。
 まず、保育士にはそれ相応の経験が求められます。経験豊かなベテラン保育士の存在が不要だという人はいません。実際、市内に18ある公立保育園の園長の平均勤続年数が33年以上、園長代理が31年以上となっています。そうしたことを考慮すれば、「指定管理者業務仕様書」の人員配置要件に定めた実務経験年数は妥当なものであるということができます。「実務経験年数のハードルが高く、応募事業者が少なかった」という指摘は、参入を目指す事業者の立場に与するものであって、保育の当事者本位のものでないことは明白です。
 次に、高度な専門的知識と技術も欠かせません。今、子育てや保育の世界は対象である子どもや家族が急速に変化しており、障害や母子保健の知識技術、さらには世界的な保育実践の知識など、学習と研修を欠かすことができません。更新されない知識と技術は役に立たないどころか有害さえあります。そうした認識のもとで、江南市は保育の質を高めるために長年にわたって研究や研修を実践し、評価されています。これまでの実績を民営化によって投げ出すのではなく、さらに継承発展させることを考えるべきではないでしょうか。
 同時に、経験を積み専門性を維持向上させて仕事への使命を高めていくためには、保育士をプロとして処遇する労働環境を保障しなければなりません。果たして、民営化は専門職である保育士の力量を高め労働条件を引き上げ、保育の質を高める方向に作用するでしょうか。答えはおのずと分かります。
 しばしば、保育園の民営化を実施した自治体を参考にして、「民営化後に園児数が増加した」「保護者からの苦情もほとんどなく運営がうまくいっている」から「民営化は成功した」と評価する向きがあります。しかし、その評価には、そこで働く人のことが考慮されておらず、大きな間違いです。
 2006年度の園児数をベースに、江南市と日本保育サービスが試算した人件費を比較すると、年間1,719万円、つまり約2割もの差が生じています。また、人件費が支出に占める割合は、日本保育サービスが提出した収支計算書では73.7パーセントとなっており、江南市18園の割合(84.3パーセント)よりも随分少なくなっています。
 このような話をすると「私立保育園やその保育士はダメだというのか?」と憤慨される方がいらっしゃるかもしれませんが、決してそういうことではありません。全国的に、公立保育園の民営化・廃止は私立保育園への補助金カットとセットで行なわれており、国の保育制度改革の狙いは保育の市場化にあります。そして、その次の段階で私立保育所と企業保育所が競わされることになります。
 つまり、公立保育園の民営化は単に対象園に限った問題にとどまらず、その地域全体にとっての問題です。今後、私立保育所も巻き込みながら保育の市場化へ突き進む可能性が十分にあります。ですから、公立保育園をきちんと守ることは、安定的な環境のもとで地域の保育の質を確保することにつながります。私立保育園やその保育士の安定的雇用、賃金水準を守ることにもつながります。「公」「民」を二項対立でとらえるのではなく、公が一定の水準を確保することで、地域全体の保育が守られるということを認識していただきたいものであります。

3 公立保育園の公共性・公益性

 さて、公立保育園に求められる役割とは何でしょうか。
 公立保育園があることで、子どもは健やかに成長する環境を享受することができます。近年、核家族化の進行や地域安全に対する不安から、子どもが思いっきり外で遊ぶことができる機会が失われている中で、公立保育園で集団保育を実践する重要性が高まっています。また、地域における人間関係が希薄化していく中で、公立保育園は保護者同士、あるいは保護者と地域を結びつけるネットワークを再構築することが期待されています。
 さらに、歯止めのかからない少子化、離婚の増加、育児不安・ストレスによる虐待、経済格差の深刻化、労働環境の悪化-子どもが貴重な存在になっているにもかかわらず、さまざまな社会問題によって、子どもを取り巻く環境が一段と厳しくなっています。しかし、子どもには何の罪もありません。いろいろな背景を持った子どもを分け隔てなく受け入れることできるのは、公立保育園にしかありません。こんな時代だからこそ、公立保育園には市民の要求に適切に対応できるセーフティネットの役割や、地域の子育ての核としての役割が求められています。つまり、公立保育園は極めて公共性・公益性が高い福祉施設なのです。
 こういうことにも思いをめぐらして、保護者は子どもを公立保育園に預けたがっているのです。そして、公立保育園はある意味で、独自カラーが強くないということに魅力があるのです。先日の一般質問で「公立保育園はなぜ必要なのか」と質しました。しかし、公立保育園の必要性に積極的な意義を見出さない答弁には失望させられました。そうした答弁は、公立保育園を自己否定し、行政責任を放棄しているものと誤解されかねません。私立保育園、企業保育園を否定するつもりは毛頭ありませんが、公立保育園にしかできないことがあります。行政は子どもや市民を先頭に立って守る責任があることを、改めて認識していただきたいものです。
 江南市が公立保育園の民営化を目指す最大の理由は経費削減です。しかし、公共性・公益性の高い保育園を市場原理にゆだねることが妥当でしょうか。保育は人が人を育てる営みです。一番大切なのは人です。人が人を思いやったり、心を響かせあったりするのにお金は必要ありません。市場原理を優先させると、競争による保育、格差を生む保育が活力を生むという考え方が助長されかねません。共同的な保育が破壊され、子どもが儲けの対象とされてしまいます。保育を市場原理のシステム論で考えてはいけません。
 また、2園で民営化を実施するということですが、その他の16の公立保育園は一体どうなるのでしょうか。江南市の保育のヴィジョン、公立保育園の将来像が全く見えないところに強い危機感を覚えます。江南市に求められている保育ニーズは何か、江南市の公立保育園はどうあるべきかという大局観で判断した上で民営化を考えるべきではなかったでしょうか。
 同時に、保育行政は市民に身近に接する自治体に権限がゆだねられている仕事であり、国の方針に追従する考え方そのものが問われなければなりません。なぜならば、保育にとって自治体が存在することに意味がなくなるからです。地方分権化に逆行しているといわれても仕方がありません。

4 おわりに

 縷々反対理由を述べましたが、私は今後とも公立保育園を守っていくために、市民のみなさまと力をあわせていくことをお約束し、討論を終わります。

反対討論 後期高齢者医療制度関連議案など

2008年03月20日 | Weblog
 3月17日、市議会本会議で議案の採決が行なわれ、閉会しました。以下、私が反対した議案の討論原稿をUPします。





【反対討論(4議案について一括で討論)】
  議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について
  議案第15号 江南市国民健康保険税条例の一部改正について
  議案第16号 江南市国民健康保険条例の一部改正について
  議案第38号 平成20年度江南市後期高齢者医療特別会計予算について

 私は社民党所属の議員を代表し、後期高齢者医療制度そのものに強く反対する立場から、「議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について」「議案第15号 江南市国民健康保険税条例の一部改正について」「議案第16号 江南市国民健康保険条例の一部改正について」「議案第38号 平成20年度江南市後期高齢者医療特別会計予算について」、一括で反対の討論をいたします。

1. 総論

 2006年6月「医療制度改革関連法案」が強行採決されました。老人保健法は実質的に廃止され、「高齢者の医療の確保に関する法律」によって後期高齢者医療制度がスタートします。
 医療制度改革は本来、国民の命をどう守るかに重点を置いて議論するべきであったのに、その手段でしかない財政政策中心の議論に終始しました。そのため、医療費の抑制・削減が自己目的化し、本末転倒の改革になってしまいました。
 すでに、高齢者の負担増が相次いで実施されています。小泉内閣の「骨太の方針2005」(2005年6月21日閣議決定)にもとづき、2006年度から5年間かけて、医療費総枠1兆1000億円の削減が行われています(年間2200億円)。また、診療報酬の引き下げ、現役並み所得がある70歳以上の医療費窓口負担の引き上げ、70歳以上の療養病床入院患者の食住費の全額自己負担化、高額療養費(定額部分)の自己負担限度額の引き上げなどが実施されており、安心して医療を受けられなくなっています。後期高齢者医療制度はこうした一連の医療改悪の集大成として位置づけられます。
 政府(厚生労働省社会保障審議会)は、75歳以上の高齢者は①老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、慢性疾患が見られる(複数の病気にかかっている)②症状の軽重は別として、認知症の人が多い③いずれ避けることができない死を迎える-という「心身の特性」に応じた医療サービスを提供する必要がある、ともっぱら医療内容の面から後期高齢者医療制度の必要性を訴えてきました。しかし、高齢者の医療の確保に関する法律に掲げられた「医療費の適正化」「国民の共同連帯の理念」という目的を大義名分にして「高齢者は応分の負担をせよ」と迫り、さらなる医療費抑制に向けた高齢者の負担強化を迫る意図があることは明白です。
 政府が目の敵にする医療関連給付は年間約30兆円です。しかし、保険の効かないおむつや薬代などの自己負担を合わせると1.5倍の45兆円になり、国民は強い負担感を持っています。
 実際、総医療費に占める自己負担割合(現金支払い経費)はアメリカ14.1パーセント、フランス10.2パーセント、ドイツ10.3パーセントに対して、日本は17.3パーセントと先進7カ国で最高となっています(OECDの2005年データ)。
 逆に、日本の医療費は本当に高いのでしょうか。OECD(経済開発協力機構)が2006年に発表したデータによると、GDPに占める医療費の割合はアメリカ15.3パーセント、ドイツ10.9パーセント、フランス10.5パーセント、カナダ9.9パーセント、イタリア8.4パーセント、イギリス8.3パーセント、日本8.0パーセントとなっており、先進7カ国で最低となっています。また、OECD加盟国30カ国の中でも21位となっています。
 日本の経済規模に照らした適正な医療費とはどのくらいなのかという議論をせず、高齢者の負担増を強行することは許されません。

2. 後期高齢者医療制度の本質的問題

 後期高齢者医療制度の本質的問題は、弱者連合ともいえる75歳以上の高齢者を切り離した上で、保険料と医療サービスを密接にリンクさせていることです。

国民皆保険崩壊の危機

 そもそも、経済力の弱い75歳以上の高齢者だけを切り離した保険制度は理論的にはありえません。リスクを社会的にシェア(分け合う)ことが保険の意義であるのに、医者にかかるリスクが高く、かつ経済力が弱い高齢者だけを対象とした制度を設計したことに無理があります。また、「後期高齢者」という形で一律・強制的に分けるのは年齢差別であり、高齢者の尊厳を踏みにじる暴挙です。
 それに、大企業労働者の健康保険組合、公務員の共済組合、中小企業労働者の政府管掌健康保険、空洞化が深刻な国民健康保険、これらに加えて後期高齢者医療制度というふうに制度を分断することが、少子高齢社会のセーフティネット作りではないはずです。
 1961年に国民皆保険を達成してから47年、わが国は世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきました。WHO(世界保健機構)が2000年に行った報告では、日本の保健システムは世界1位であると評価されています。このままでは不十分ながらも堅持されてきた国民皆保険が崩壊してしまうのでないでしょうか。

負担増大かつ医療サービス抑制

 近年、相次ぐ年金給付の切り下げ、定率減税の廃止、扶養控除の廃止、公的年金控除の廃止、老齢者控除の廃止、介護保険料の天引き、医療費の自己負担の引き上げなどによって、高齢者の年金収入は大幅に減っています。本当に、新たな医療保険料の負担に耐えられるのでしょうか。
 愛知県後期高齢者医療広域連合の試算によれば、1人あたりの平均保険料は年間で93,204円、月額で7,767円と高額です。これまで被用者保険や国民健康保険の扶養家族になっていた高齢者も、扶養からはずされ保険料を負担しなければなりません。
 さらに、東京都や練馬区などの調べで、国民健康保険加入者1,100万人について、年収170万円~200万円層で保険料負担が2倍前後にまで増加する一方で、300万円以上の人の保険料はむしろ軽くなるデータも出されています。貧しい人々により多くの負担をさせるということは社会保障の理念に反するものといわざるを得ません。
 今後、少子高齢化が進み被保険者が増え、また医療給付費が増えれば、保険料を値上げするか医療給付内容を劣悪化するかが迫られます。どちらをとっても高齢者は「痛み」しか選択できない、あるいは両方を促進する仕組みとなっています。
 特に、「保険料収入が頭打ちなのだからこの程度の医療しかできない」という流れが強まるのではないか懸念されます。「心身の特性などにふさわしい医療体系」の名目で、疾病単位や患者単位の定額制として、医療行為や医療材料をまとめた報酬が導入されると、個々の患者の病態に応じて必要な治療を何回行っても、同じ報酬ということになります。治療の難易度に関わらず支払われる報酬は同じであるため、積極的に治療すればするほど医療機関の持ち出しになり、医療に制限が加えられ、治療内容の劣悪化するのではないでしょうか。

保険料の天引きと厳しい罰則

 保険料は年金からいやおうなく天引きされます。生計費は非課税にするという原則に反しており、「消えた年金」「宙に浮いた年金」問題を棚にあげた横暴と言わざるを得ません。
 また、保険料を滞納すると保険証取り上げ、資格証明書発行という厳しい制裁が課せられます。これに関連して、条例案の第7条から第9条で、国民健康保険にはなかった罰則規定(過料)が盛り込まれていることには強い憤りを覚えます。
 現在、市町村国保の滞納世帯は480万世帯を超え、全世帯の20パーセント近くを占めています。資格証明書の発行は35万世帯を超えました。こうした滞納者が保険料を支払う能力があるでしょうか。保険証を取り上げると、適切な医療が確保されないばかりか、受診抑制、重症化、医療費増大の悪循環を引き起こすことが強く懸念されます。

 この他にも、指摘したいことがたくさんありますが、話しをすればするほど、怒りがこみ上げてきますので、この程度とさせていただきます。

3. 成人一般への悪影響

 後期高齢者医療制度ばかりが注目されていますが、私たち若者をはじめとして成人一般もこの制度と無関係ではありません。新たに創設された後期高齢者医療制度の保険者負担分である支援金を支払うため、現行の医療給付費分及び介護納付金分に加え、後期高齢者支援金分の課税限度額(12万円)が定められます。これに伴い、全体の課税限度額が引き上げられ最高57万円の保険料を支払わなければなりません。ただでさえ高い国保税を引き上げることに市民の理解が得られるでしょうか。
 世帯内の国保被保険者全員が65歳以上75歳未満の世帯主から、国民健康保険税が特別徴収(天引き)されます。「消えた年金」「宙に浮いた年金」問題が一向に解決されない中で、天引きを強行することは許されません。介護保険料に加えて国保税も天引きされると、老後の生活の糧がなくなってしまうことを懸念します。

4. 後期高齢者医療制度は廃止するしかない

 75歳以上の高齢者は戦前に生まれ、戦時中、「若者はお国のために死んでくれ」と徴兵され青春を台無しにされました。戦後の貧しく苦しい時代においては、平和憲法のもとであたらしい社会づくりに参画され、わが国の発展に多大な功績を残してこられました。いま、国は高齢者の尊厳を守り、安心して生きることができるよう尽くす義務があるにもかかわらず、財政の論理を優先して「お年寄りはお国のために死んでくれ」と言わんばかりに、問答無用に高齢者の生きる権利を奪う「姥捨て山保険制度」をつくりました。命の沙汰も金次第ということでしょうか。まさに、一連の医療制度改革は、憲法25条の「生存権」、14条の「法の下の平等」、13条の「幸福追求権」を侵害する稀有の悪法です。絶対に認めることはできません。
 2月28日、社民党、民主党、共産党、国民新党の野党4党は、後期高齢者医療制度を廃止する法案を衆議院に共同提出しました。社民党は、いつでも、だれでも、どこでも平等に医療が受けられ、持続可能な国民皆保険制度を目指していくことをお約束し、反対討論を終わります。

行政視察の予定(3月24日 ~ 26日)

2008年03月11日 | Weblog
 3月24日(月)から26日(水)まで3日間の予定で東京都内へ行政視察に出かけます。

 主な予定は以下のとおりです。

  24日(月)14:00 杉並区 「民間事業化提案制度」
  25日(火)10:00 荒川区 「公務パートの待遇」
  26日(水)14:00 江戸川区 「子育て支援全般」

お蔵入り原稿(一般質問) 学校教育について

2008年03月11日 | Weblog
 「学校教育について」をテーマに一般質問を予定していましたが、保育園民営化に多くの時間を費やし、タイムアップになってしまいました。
 
 一応、原稿だけアップしておきます。





(1) 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)

 昨年(2007年)4月24日、全国の小学6年と中学3年のほぼ全員220万人が全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストを受けました。10月24日、その結果が文部科学省によって公表されました。出題は国語と算数・数学の2教科。結果は次のようになりました。
・ 基礎的な知識に比べて、活用する力が低い。
・ 全体として都道府県別の差は少ないが、沖縄など一部に低いところがある。
・ 就学援助を受けている子どもの多い学校の成績が低い傾向がある。
 文部科学省は今回の結果を各都道府県などに通知し、今後の取り組みに生かすよう求めています。
 しかし、これらのデータに新味があったでしょう。ほかの調査で分かっていた傾向が大半ではないでしょうか。

(文部科学省が公表した結果に対する認識)
質問
 文部科学省が公表した結果に対して、市教育委員会としてどのように認識をお持ちですか?その結果から、新しい発見や教訓とすべきことが見つかりましたか?

(テスト結果公表についての方針と保護者からの反応)
 教育長は2007年9月定例会で、「市全体の平均点を公表しない」と明言されました。また、8月、10月と11月の教育委員会定例会で、教育長と教育次長が「市町村や学校の序列化につながるものは公表しない」「市全体や学校ごとの平均点は公表しない」と明言されました。この判断は極めて真っ当な判断であると評価いたします。

質問
 文部科学省がテスト結果を発表した後、保護者や市民から、市全体や学校ごとのテスト結果公表を求める意見が寄せられましたか?また、テストに参加したことについて、賛同あるいは批判の意見が寄せられましたか?

 一方で、「市全体の結果については、学力・学習状況の傾向や特徴及び指導の改善策など、分析・考察した結果を公表する」(教育次長、10月定例会)とお考えのようです。しかし、分析・考察に必要な、「愛知県学力学習状況検証改善委員会」が開発した「愛知県版分析プログラム」が市教育委員会、各学校に届けられたのは12月でした。

質問
 市全体の(分析・考察)結果公表は、いつ、どのようにして行いましたか?

質問
 学校ごとの結果公表は2月に行なわれましたが、どのようにして行いましたか?

質問
 分析プログラムによる分析・考察結果から浮かび上がった特徴(評価すべき点、問題点)は何ですか?

(生活習慣調査と学校質問紙調査の活用)
 テストと同時に、学習意欲、学習方法、学習環境、生活の諸側面等に関する生活習慣調査が実施されました。全国的な傾向としては次のようなことが分かりました。
・ 家で宿題をする方が点数が高い。
・ 朝食を毎日食べる方が点数が高い。
 また、各学校に対して、指導方法に関する取り組みや学校における人的・物的な教育条件の整備の状況等に関する学校質問紙調査が実施されました。質問紙調査の結果と平均正答率の相関関係が見られたものとして、次のようなことが分かりました。
・ 国語と算数・数学の平均正答率がいずれも高かった学校は、国語で「書く習慣」や「さまざまな文章を読む習慣」を身につけさせる授業をよく行なっていた。
・ 全ての学校を比べた項目では、「朝の読書」など一斉読書の時間を設けている学校が、設けていない学校と比べて、平均正答率が全教科で2~3ポイント高かった。

質問
 子どもたちの学習状況や生活改善のため、生活習慣調査や質問紙調査を今後どう生かすのですか?

 11月16日、日本教職員組合(日教組)などが主催し、「なにがわかるの? これでいいの? 学力調査」と題したンポジウムが東京都内で開かれました。 司会を務めた国際基督教大学の藤田英典教授は、「保護者は全国的な序列付けに興味を持つ一方で、学習方法や指導方法の改善に興味を持つ人はあまりいない」と指摘しました。
 今回、文部科学省が43年ぶりに全員参加型の学力テストを復活させたのは、学力低下が指摘されたことがきっかけでした。保護者や市民が順位に興味を持つのは当然です。しかし、学力低下に歯止めをかけ、基礎学力を定着させていくには、日常的に根気よく勉強し、規則正しい生活を送る習慣を身につけなければなりません。その際、保護者や地域の住民の協力が欠かせません。学校、保護者や地域の住民が一体となって子供を教育するという視点が必要であるということを申し上げておきます。

(悉皆テストを受けた意義)
 子どもたちが悉皆調査を受けた意義は、「全国の子どもたちの中で自分の位置を確かめること、また自分の生活を見直すことにある」と教育長は9月定例会などで答弁されています。
 しかし、テストを受けてから返却されるまで半年間かかりました。それに、すでに全国規模の抽出調査や自治体独自の調査があり、学力や学習の状況をつかむには、それらの調査で十分足りるとも考えられます。

質問
 本当に、子どもたちがテストを受けた意義はあったのでしょうか?また、今後、どのような意義付けをしていくのですか?

(テスト結果が及ぼす悪?影響)
 2月上旬、日教組の第57次教育研究全国集会(教研集会)で「教育格差と学力保障」をテーマにした特別分科会が開かれました。その会場からはテストを批判する声が相次ぎました。
 福岡県の小学校教員は「大きな予算をかけて行なったが、現場では通塾率や就学援助率と正答率の関係など結論はある程度分かっていた。序列化につながる全国テストはやめるべきだ。全てのテストがダメだと言わないが、全生徒でなくても抽出調査で十分ではないか」と訴えました。
 大阪府の小学校教員は「結果を受けて早速現場には校長を通じて次回のテストに向けた締め付けがきている。教員評価まで行なわれようとしている。物言わず国の方針に従う教師を作り出す文部科学省の狙いがはっきりしている」と声を強めました。
 北海道の教員は「就学援助率や朝食を食べているかどうかなどと成績をクロスさせた表を、校長が保護者に配ろうとしているなど現場では混乱が起きている」と戸惑いを口にしました。

質問
 テスト結果と学校評価システム・教員評価制度をリンクさせる(結びつける)つもりはありませんね?

(今後の対応)
質問
 来年度(2008年度)も全国学力テストに参加する理由を説明してください。

(国の政策についての認識)
 1980年代、小さな政府論を唱えるアメリカのレーガン大統領、イギリスのサッチャー首相や中曽根首相が登場し、市場原理が大手を振って歩き始めてから社会全体の危機の一部として教育危機が叫ばれるようになりました。新自由主義は教育の国家管理を強め、教育や福祉を市場にゆだね競争原理で数値化して人間を判断します。
 特に、小泉政権以降、「聖域なき構造改革」の名のもとで新自由主義的政策が押し進められ、憲法や(改定前)教育基本法の理念とは明らかに違う方向で社会が建設されてきました。そうした流れを受け、2006年12月、安倍政権が教育基本法を改定し、それまでの教育基本法(1947年制定)の精神や方向性が軌道修正されつつあります。

質問
 こうした流れと、学力テスト体制はどのようなつながりがあると認識していますか?



(2) 教員の過重労働

 現行の「中学校学習指導要領」(1998年12月告示、2003年12月一部改正)では、「部活動」について明記されていません。また、江南市の「2007年度学校教育基本方針」でも、「部活動」について明記されていません。あえて関連付けると、「学校教育 3 学校経営等」の(4)に示された内容に部活動が含まれていると考えられます。つまり、部活動は形式的には課外活動として扱われています。
 しかし、部活動は、子どもたち一人ひとりの個性の伸長や生徒同士あるいは教員とのかかわりの中で、人間性を身につけ、人間形成に大きな役割を果たしてきました。江南市内の中学校においても、部活動に教育的意義を見出し、長年にわたって学校教育活動の一環として行われてきました。
 基本的に、部活動は教員の奉仕によって支えられており、多くの教員が日々、献身的に指導にあたっておられます。しかし、教員は部活動だけでなく、さまざまな職務をこなすことが求められています。

質問
 一般教員の一日あたりの平均労働時間(校務文書の作成、会議、課外活動など一切含む)を把握していますか?

 日ごろの働きぶりに注目すると、部活動が大きなウェートを占めていることがよく分かります。

質問
 部活動が教員に過重労働を強いる原因になっていませんか?その改善策を検討すべきではないでしょうか?

 教員の過重労働を改善し、一定の休息・休養を取らせる必要があります。市教育委員会は、教員が「勉強を教える」ことに専念できるような環境を整備する義務があります。
 過重労働改善に向けて、現場の声に耳を傾けるよう強く要望いたします。

(3) 保護者へのクレーム対応

 教育再生会議のメンバーや一部の政治家は、教育を「企業の論理」や思いつきで論じ、さまざまな“提言”をしているようにみえます。しかし、教育再生会議の議論は、根拠となる事実認識自体が間違っていたり、何十年も前の自らの経験を基にした主観的な思いであったりして、居酒屋談義のような感じがしてなりません。
 最大の問題は、政策決定の場に教育研究者や現場教員の声が届かなくなっていることです。ひたすら消費者(保護者)中心の発想で、「教育は責任からサービスに転換させられた」状況にあります。また、原因は多々あると思いますが、大人のモラルが欠如し、社会的常識を疑うような言動がいたるところで見受けられます。
 そうした社会にあって、保護者はますます消費者化し、無理な要求やクレームを学校側に投げつけることが全国的に多くなっています。「モンスター・ペアレント」ということばさえ出てきています。
 教員はますます萎縮し、疲弊しています。現場の第一線に立つ教員を孤立させるがあってはなりません。

質問
 保護者の不当なクレームや要求には組織として対処していく必要があると思いますが、市教育委員会としての見解をうかがいます。また、東京都港区の学校顧問弁護士制度を参考にすべきではないでしょうか?


(4) 教育委員会

 教育委員会(狭義)は市長部局から独立しており、教育部局の最高意思決定機関です。しかし、その割にはどのようなことをしているのか、一般にはよく知られていません。
 教育委員会の定例会・臨時会は原則公開されていますが、傍聴者はほとんどゼロに近い状況です。こうした状況を改善し、もっと身近な存在にしていく必要があります。

質問
 教育委員会の委員名、任期、定例会の開催日時、場所、議決事項について、少なくともホームページで明らかにすべきではないでしょうか?

議案質疑の原稿④ 第21号、第22号 江南市立布袋北保育園民営化関連条例

2008年03月11日 | Weblog
第21号 江南市立保育園設置条例の一部改正について
第22号 江南市立保育園に係る指定管理者の指定について



【指定管理者制度】

 なぜ指定管理者制度を利用して民営化を進めたのですか?

 指定管理者制度による民営化は、保護者や子どもたちに、どのような点で魅力があると考えていますか?

【指定管理者の選定】

 布袋北保育園に応募した事業者は2業者のみでした。応募した事業者が少なかったことについて、どのような見解をお持ちですか?

 何を基準にして、人員配置(実務経験年数)などの諸要件を定めたのですか?

 「布袋北保育園指定管理者業務仕様書(案)」で「クラス担任の保育士の3分の2以上は、3年以上の保育経験を有する者を充てる」としています。一方、園長・園長代理は、それぞれ20年以上、15年以上の実務経験がある者を充てるとしています。
 「保育経験」と「実務経験」では、どこが違うのですか?また、「保育経験」とは具体的にどのくらいの経験を求めていますか?

 なぜ日本保育サービスは布袋北保育園(のみ)に応募したのか、その動機について説明を受けましたか?

 選定結果報告には「民営化される保育園の保育水準が現在の公立保育園の水準を維持、向上できるよう、各委員が5段階評点で評価することとし、評価合計で54点(3点×18項目)を選定基準としました」とあります。
では、現在の公立保育園を同じ選定基準で評価すると平均何点になりますか?
 選定委員11人が日本保育サービスに下した評価で、最高点と最低点は何点でしたか?

 選定結果報告の付記事項で「江南市の保育が維持向上できる事業者を選定するよう………」とあります。では、サービスや質が向上するといいますが、具体的にどういうことを想定していますか?

 「保育園指定管理者選定に関する考え方」で、事業者が「事業計画書に沿った管理運営を安定して行う資産その他の経営能力」を持っていることが必要だとされています。日本保育サービスについて、審査項目の「経営管理に関する現況及び計画」は5点満点で3.0点でした。
 日本保育サービスの資産や経営能力についてはどのような意見が出されましたか?

【管理運営業務】

 「江南市立布袋北保育園の管理及び運営に関わる協定書(案)」第9条で「乙(日本保育サービス)は、書面により甲(江南市)の承認を得たときは、管理運営業務の一部を第三者に行わせることができる」としています。

 具体的に、再委託が予想される業務を挙げてください。また、これまで再委託していた業者を引き続き使うのですか?

 第27条で「乙(日本保育サービス)は、保育園の設置目的に合致し、かつ管理運営業務の実施を妨げない範囲において、自己の責任と費用により、自主事業を実施することができる」としています。続く、第2項、第3項で江南市が事前に承認し、実施計画を定めると規定しています。
 具体的には、自主事業をどの程度認めるのですか?

【人員配置と労務管理】

 現在勤務している臨時職員を優先的に雇用するよう努力義務が課されていますが、希望者全員を雇用するよう改めて強く要望していただけませんか?

 現在勤務している保育士を指定管理者制度導入後、出向させることはできませんか?

 「業務仕様書(案)」で定められている人員配置の基準が満たされなくなった場合、具体的にどのような対応を取りますか?また、人員配置の基準が満たされているかどうか、定期的に確認しますか?

 江南市が実施する研修、園長会議、園長代理会議などへの参加は義務ですか、努力目標ですか?

【指定管理者制度に要する経費】

 現在、クラス担任は正規職員、非正規職員、それぞれ何人配置されていますか?また、現在(公立直営)の年間総人件費(非常勤職員など一切を含む)はいくらですか?
 日本保育サービスが試算した年間総人件費と比較すると、いくら差がありますか?

 当初、指定管理料基本額をいくらぐらいと試算しましたか?
 布袋北保育園の運営費の年間総額(現在)と指定管理料を比較すると、いくら差がありますか?

【指定管理者制度のこれから】

 江南市、事業者、保護者の三者による懇談会、話し合いの場はいつごろから持たれる予定ですか?

 江南市として、保護者からの苦情にはどのように対処していきますか?
 「業務仕様書(案)」にいう「第三者委員」とは、どのような人に委嘱するのですか?また、第三者委員への相談体制をどのように構築するつもりですか?

 日本保育サービスが提出した「事業計画書」の中で、保育園に関する情報についても可能な限り公開するとしています。指定管理者制度における情報公開の範囲は、これまでと変わりありませんか?

 選定結果で、日本保育サービスは「自己点検評価体制」を整備し実績を上げていると評価されています。また、「事業計画書」で「専門機関による第三者評価を受審」することを約束しています。それは結構なことですが、行政としてどのような評価体制を確立するのですか?

 5年間の指定管理期間が満了した時、事業者の管理運営に特に問題なければ、随意契約で契約を更新するのですか?それとも、公募制で競争入札するのですか?

議案質疑の原稿③ 議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について

2008年03月11日 | Weblog
議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について



総論

【質問】
75歳以上の高齢者にとって、後期高齢者医療制度のメリットとデメリットは何か、この制度の導入目的に留意して具体的に説明してください。

 75歳以上の全ての高齢者を対象とした後期高齢者医療制度は、高齢者の負担が増え、適切な医療サービスが受けられなくなるとの批判や不安が強まっており、社民党、民主党、共産党、国民新党の野党4党は2月28日、この制度を廃止する法案 を衆議院に共同提出しました。
 政府・与党は、75歳以上の高齢者は①複数の病気にかかり、治療が長期化する傾向がある②認知症の人が多い③いずれ避けることができない死を迎える-という「心身の特性」に応じた医療サービスを提供する必要がある、ともっぱら医療内容の面からの制度改正を強調してきました。しかし、真の狙いが医療費抑制に向けた高齢者の負担強化にあることは明白です。
 というのは、この制度を定める「高齢者の医療の確保に関する法律」の目的に「高齢期における適切な医療の確保」と同時に、「医療費の適正化」「国民の共同連帯の理念」を掲げているからであります。「共同連帯」だから「高齢者は応分の負担をせよ」とこれまで保険料を負担する必要のなかった人も含め、保険料を全員から徴収します。

【質問】
 そもそも、「75歳以上の高齢者」=「後期高齢者」という形で一律・強制的に区別(差別)することについてどう思いますか?

 リスクを社会でシェアする(分け合う)ことに保険の意義があるのに、医者にかかるリスクが高く、かつ経済力が弱い高齢者だけを対象とした制度を設計したことに無理があります。

【質問】
 江南市で後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の高齢者(生活保護受給者を除く)は何人いますか?

第2条関係

 第2条で江南市が行う事務が定められています。高齢者の医療の確保に関する法律、その施行令、施行規則に規定する事務のほか、8項目の事務を行います。

【質問】
 国民健康保険を運営している現在よりも、事務量が増加しますか?特に、どのような事務が負担になりそうですか?人員配置に不足が生じる恐れはありませんか?

【質問】
 江南市は、広域連合条例第17条の保険料の額に係る通知書を引渡す事務を行ないます。すでに、被保険者ごとに保険料が算出され通知されましたか?新たに保険料負担が求められる人や均等割が減額となる人などに対しても、その旨の通知がなされましたか?

【質問】
 月額平均保険料はいくらですか?

【質問】
 江南市が運営する国民健康保険と広域連合が運営する後期高齢者医療制度で、保険料の減免・軽減制度についてどのような違いがありますか(75歳以上に関わることのみ)?

 保険料の支払いは個人単位となり、原則75歳以上の高齢者全員から徴収されます。収入がゼロの人も保険料を支払うことこのため、①世帯主である息子らの(健康保険や共済組合の)扶養家族になっている75歳以上の高齢者(年収180万円未満)も新たに保険料を負担しなければなりません。

【質問】
 ①に該当する人は何人いますか?

【質問】
 概算で、いくらぐらいの負担増になりますか?

 新たな負担に対する国民の反発を恐れて、政府・与党は激変緩和措置が設け「負担軽減」をアピールしています。4月から10月までは保険料ゼロ、その次の半年間も所得割はかけず、均等割も9割軽減されますが、選挙目当てのポーズに過ぎず、「凍結」が解除されると本来の保険料を負担しなければなりません。
 一方、国民健康保険の扶養家族になっている75歳以上の高齢者は保険料軽減の対象外です。
 また、②国民健康保険で6割ないしは4割の法定減額に加えて、均等割が軽減されている75歳以上の高齢者も、4月から保険料を支払う義務が生じます。

【質問】
 ②に該当する人は何人いますか?

【質問】
 概算で、いくらぐらいの負担増になりますか?

 ここでひとつの不公平が生じます。②に該当する人は、①に該当する人と年金額が同じぐらい、あるいは(世帯主などの同居家族の収入を合わせると)①に該当する人の収入が多くなる場合でも、より多くの保険料を負担しなければいけません。
このような後期高齢者医療制度に起因する矛盾を解消する施策が必要です。国民健康保険は、それぞれの地域住民の生活を踏まえて制度がつくられてきました。

【質問】
 ②に該当する人は、現在の国民健康保険と比較して最大で何倍の負担増になりますか?

【質問】
 ②に該当する人の負担増を抑える方法はありませんか?後期高齢者医療制度とは別枠で、江南市独自で減免を維持することはできませんか?

 旧ただし書き所得別の保険料を従来の国民健康保険料と比較すると、収入の少ない階層で保険料が急増するといわれています。

【質問】
 保険料が割り増しになるかどうかの境界ラインはどのあたりに引かれますか?これまでよりも保険料が上る人は何パーセントいますか?

 保険料は加入者全員が支払う「均等割」と支払能力に応じて負担する「所得割」で構成されます。低所得者については、保険料の均等割額の7割、5割、2割が減額されます。ただし、世帯の被保険者と世帯主の総所得金額等の合算額が基準を超えない世帯の被保険者に限られます。換言すれば、被保険者の年金が少なくても、世帯主に一定の所得があれば、均等割は軽減されません。

【質問】
 均等割が減額となる人は何人いますか?減免にあたって特別な手続きは不要ですか?

 65歳から74歳までの高齢者のうち一定の障害がある人は、制度に入るかどうか選択できます。しかし、自治体の医療費助成制度によっては窓口負担が増えたり、医療費助成が受けられなくなったりするおそれがあります。

【質問】
 こうした人への対応については、どのように考えていますか?

【質問】
 現在、75歳以上の高齢者世帯で、国民健康保険料・介護保険料を滞納している人はどのぐらいいますか?

 4月以降、後期高齢者医療保険料は年金から天引きされます。相次ぐ年金給付の引き下げ、定率減税の廃止、扶養控除の廃止、介護保険料の天引きが続き、手元に残る年金が大幅に少なくなっています。その上に、医療保険料も天引きされると、手取額がさらに減少し所得の低い人ほど苦しい生活を強いられることになります。
年金額が年間18万円未満の人は天引きではなく市町村窓口などで保険料を納付することになっています(普通徴収)。

【質問】
 その対象者は何人いますか?

 現在の制度では75歳以上の高齢者には資格証明書は発行されませんが、後期高齢者医療制度では1年間保険料を滞納すれば、「保険証」が取り上げられて、「資格証明書」(窓口10割負担)に切り替えられます。特別な事情なしに1年6ヵ月滞納すれば、保険給付が一時差し止めになります。
 資格証明書の交付は広域連合が行いますが、保険料の徴収事務は江南市が行ないます。保険料を納付することができない特別の事情に関する届け出の受付も江南市が行います。ですから、資格証明書を交付するかどうかは、江南市が滞納者に対してどれだけ丁寧に相談に乗るかにかかっています。

【質問】
 誰からも保険証を取り上げない、1枚も資格証明書を交付しないという立場に立って、保険料の納付相談に丁寧に対応できる体制を構築し、特別の事情に関する届け出についても柔軟な対応をすべきではないでしょうか?また、どうしても資格証明書を発行しなければいけませんか?

【質問】
 市民、特に被保険者に対して、まもなく新制度が発足することがきちんと周知されていますか?また、周知徹底を図るため、パンフレットを発行したり、説明会を開催したりしましたか?あるいは開催する予定はありますか?

【質問】
 この制度に対する市民からの問い合わせや相談にはどこ(の部署)が担当するのですか?また、江南市として、持ち込まれた問題、課題、意見、要望などを生かしていくための組織についてどのように考えていますか?

【質問】
 広域連合に市民が直接相談できる窓口やオンライン(電話・メール)はありますか?

【質問】
 市民の意見や江南市としての考え方を、どのように広域連合に届ける(反映する)つもりか、具体的に説明してください。

 東京都後期高齢者医療連合は、低所得者対策として、年金収入153万超~208万円の人を対象に、保険料の「所得割」部分を25パーセント、50パーセント、75パーセント、100パーセントの4段階で軽減することを決めました。軽減に係る費用の総額は約6.9億円であり、区市町村が負担します。
 この軽減策は、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移ると保険料が上るために打ち出されたものです。

【質問】
 所得割の軽減や高齢者が参加する運営協議会を設けるよう、県や広域連合に働きかける考えはありますか?

 2年ごとに保険料の見直しが行われます。しかし、後期高齢者の人口や医療費総額が増えると、それに連動して保険料が値上がりする制度となっており、値上げされる可能性が高いと考えられます。

【質問】
 そうすると、必要な医療を受けられない人が出てくる可能性があります。また、収納率の低下などの問題が発生します。そうならないようにし、また値上げを抑制するため、医療費に対する公費負担割合を大幅に増やすよう、国に求める考えはありますか?

 制度について勉強すればするほど、高齢者を苦しめる「姥捨て(うばすて)山保険制度」だという確信を持つに至りました。

【質問】
 市民の命を守るために制度そのものの廃止・見直しを国に求めるべきではないでしょうか?

第4条関係

【質問】
 第4条第2項にいう「連帯納付義務者」とは親族のどの範囲まで及びますか?また、「あなたは連帯納付義務者に該当します」という旨の告知はなされますか?

【質問】
 第2項では、第1項に規定する納期に納めることができない被保険者については、市長が別に納期を定める、と規定されています。「延納」を意味していると思われますが、延納期間はどのぐらいまで認められますか?