10月12日~18日まで、中国政府招へいによる「2011日本青少年訪中代表団第1陣」に参加して、中国を訪問しました。旅行感想文を簡単にまとめましたので、アップします。
感想文に記した「社区」は中国独特のしくみです。詳しいことまでは分かりませんが、日本の「自治会」「町内会」とは違い、行政サービスの提供も担う組織です。
社区における市民自治の実践に学ぶ
このところ、日中間の政治・外交問題や中国の内政課題に目を向けると、どうしても中国に対して負のイメージが先行してしまいがちであった。しかし、今回の訪中でこれまで知らなかった中国の姿を垣間見ることができ、中国をもっと広い視野で見ていきたいという思いに駆り立てられた。
私が最も印象に残ったのは、鄭州の「社区」である。社区では儒教思想に基づいた中国独特のコミュニティづくりが展開されている。参観した社区には高層マンションが林立し、約1万人もの人々が暮らしている。学校や幼稚園、商店などが併設され、一見すると、日本のニュータウンに似た風景が広がっている。
その特徴は市民自治の実践を通して、将来を見据えた計画的なまちづくりを行うことにある。共産党の末端支部役員を兼務する専従スタッフが配置され、地域福祉、健康、環境衛生、安全、教育といった身近な問題について、市民ニーズに即したサービスの提供体制を作ろうと腐心している。実際、私たちが懇談したスタッフや住民の話しぶりや表情には、一人ひとりが自治の担い手であるという気概と誇りがみなぎっていた。さらに今後、社区が質的に進化すれば、現代中国が抱える困難や矛盾に対応する役割を果たすものと期待している。
社区のしくみを日本の地方自治にそのまま応用することは、社会・政治制度が根本的に異なっているために不可能である。しかし、今後の日本の地方自治のあり方を考える上で示唆に富んでいる。昨今、「地域主権」や「道州制」といった議論が活発になされているが、市民不在の感が否めない。社区の取り組みから、身近なコミュニティ(自治組織)こそ市民自治の原点であり、社会基盤の受け皿としての可能性を秘めていることを改めて確認したい。
旅行中、中国という存在の大きさに圧倒され続けながら、私たちの社会に思いをめぐらす糧をたくさん得ることができた。この貴重な経験を身近な人に伝えることが、私の最低限の責務だと考える。