江南市議会6月定例会が開会中です。6月13日、本会議で「非正規職員問題」をテーマに一般質問を行いました。
今や江南市役所では、正規職員数よりも非正規職員数の方が多く、人工換算でも約4割超を非正規職員が担っています。もはや非正規職員抜きには業務が成り立たない状況です。しかしながら、時給は1000円程度で昇給はありません。期末手当や退職手当などもなく、両者の待遇は雲泥の差です。
昨年、地方公務員法と地方自治法が改正されましたが、同一労働同一賃金の原則を反映しておらず不十分な内容です。新たに「会計年度任用職員」という任用区分が設けられましたが、一会計年度ごとの任用で、わずかな期末手当が支払われるのみです。
今回の質問で、江南市が法改正にどのように対応していくのかを質しました。「会計年度任用職員」を活用して、これ以上正規職員を減らすべきではないと迫り、当局からは「現在、正規職員を減らす方針はない」という答弁を引き出しました。
結びに、今後、本格的・恒常的な業務を担う保育士を正規職員として採用していくとともに、非正規職員の処遇改善を図るよう要望しました。
※質問要旨をアップします。ご意見・ご質問がありましたら、よろしくお願いします。
【一般質問 非正規職員問題について】
質問①(非正規職員の実態)
十数年間の正規職員数、非正規職員数と非正規化率の推移はどうなっていますか。また、非正規職員の賃金は年間で総額いくらになりますか。
質問②(非正規職員の実態)
任用区分はともかく、非正規職員として最長何年勤務している人がいますか。また、職種別の平均勤続期間はどのくらいですか。
質問③(正規職員と非正規職員の賃金格差)
非正規職員(一般事務職員、クラス担任保育士)の平均時間単価に、1日で7時間45分、月20日、年間12月をフルに働くものとして単純に乗じて年収換算すると、いくらになりますか。
また、これに対して正規職員の年収はいくらになりますか。
質問④(パート型の会計年度任用職員の期末手当)
改正地方公務員法によると、会計年度任用職員は、①フルタイム型(第22条の2第6項2号)と②パート型(第22条の2第6項1号)の2つに区分されます。
①のフルタイム型は、正規職員の1週間当たりの通常の勤務時間と同一の者が該当します。そのため、1日の勤務時間が1分でも短ければ、②のパート型に区分されます。
①については、生活給としての給料と、扶養手当や退職手当等の手当が支給されます(改正地方自治法第204条)。他方、②については、生活保障的な要素を含まない報酬と費用弁償の他、6月以上勤務の者に「期末手当を支給することができる」(改正地方自治法第203条の2)とされています。
すなわち、勤務時間の長短のみで、給与体系に大きな差異が生じています。②に対しては、期末手当以外の諸手当を支払うことができず、(勤務時間の長短に関わらず均等な処遇を求める)同一労働同一賃金の原則を逸脱しています。
さて、江南市において、①の該当者はいません。そのため、②として勤務する者に期末手当が支給されるかが大きな関心事です。「できる」規定となっていますが、果たして期末手当が支給されるのかどうか、また支給額などはどうやって決めるのか、見解を求めます。
要望
会計年度任用職員は、一会計年度ごとにその職の必要性が吟味される「新たに設置された職」と位置付けるべきとされています。
そのため、繰り返し任用されても、再度任用の保障はありません。しかし、雇い止めの口実に使うことがあってはなりません。江南市は「第八次行政改革大綱」で窓口業務の民間委託を検討事項に挙げていますが、仮に委託を行うことになっても、雇い止めとなることがないよう強く要望します。
質問⑤(非正規職員の休暇)
国の非常勤職員の休暇は人事院規則15-15で定められています。少なくとも、国が有給休暇として認めているものについては、市も認めるべきですが、見解を求めます。
質問⑥(クラス担任保育士の職務内容)
同じクラス担任保育士であっても、非正規は1日の勤務時間が正規よりも30分短くなっています。職務内容にどのような違いがあるのか、説明してください。
質問⑦(クラス担任保育士の職務内容)
現在、クラス担任保育士の非正規化率は何%ですか。
質問⑧(不安定雇用者による公共サービス提供の適法化)
改正地方公務員法と改正地方自治法に意味するところは、一体何でしょうか。
今回の法改正は、本格的・恒常的業務を非正規職員が担っている実態を追認し、今後も引き続き、不安定雇用の「会計年度任用職員」(地方公務員法第22条の2)を充てることを許容しています。
会計年度任用職員とは、①一会計年度の期間を限度とする有期雇用で、②「非常勤の職」を占める職員です。
「非常勤の職」の「非常勤」とは、勤務時間の長短という勤務形態のことではありません。常時勤務の正規職員が配置されていない職を総称して「非常勤の職」とされており、「職」(業務や仕事)そのものの性格を意味していません。
そのため、定数内の正規職員を一層削減し、不安定雇用で定数外の非正規職員に置き換えて公共サービスを提供することを促進することにならないか、懸念されています。
本来、公務運営の中核は、任期の定めのない常勤職員(正規職員)が担って、住民福祉の増進をめざすべきです。今後、正規職員数を減らすべきではないと考えますが、見解を求めます。
要望
「構造改革」によって非正規化が一気に進みました。大勢の非正規職員がクラス担任保育士として働いており、彼女らなくしては日常業務が成り立たない状況です。
保育は本格的・恒常的業務です。普段、どんな仕事をしているのかに注目し、合理的な理由がなければ、短い勤務時間を設定すべきではありません。人手不足であれば正規化を進めるべきです。
さらに、市長マニフェストには「住みたくなる子育て先進市」を実現することが掲げられています。
今後、正規職員の保育士の採用人数を増やし、同時に、非正規職員の抜本的な処遇改善を行い、構造改革の歪み(負の部分)を是正することを要望します。