立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

愛北広域事務組合議会臨時会

2009年05月25日 | Weblog
 夕方、愛北広域事務組合議会臨時会が岩倉市の愛北クリーンセンターで開催されました。
 
 職員の夏のボーナスを0.2月分凍結するための条例改正について審議されました。私と共産党岩倉市議2名の計3名が議案質疑しました。

 公務員の労働基本権が制約されている現状において、今回のような勧告を出したことについて、人事院が代償機関としての役割を果たしているかどうか、はなはだ疑問です。しかし、当局理事者には、今回の人事院勧告は異例であり、特別調査も精確性に欠けるという認識が不足しているように感じてなりませんでした。

 採決の結果、賛成多数で可決されました。




【質疑】

(1)今回の条例改正にあたり、国(総務省)から、いつ、どのような通知がありましたか?

(2)人事院勧告に準拠する法的根拠はどこにありますか?
 
(3)今回の人事院の特別調査は、例年実施される調査とはどのような点で違いがありますか?

(4)職員ひとりあたり、いくら減額となりますか?その総額はいくらになりますか?

(5)本勧告(例年8月)への対応も考慮して、減額分については、他に流用することなく留保しておくべきではないでしょうか?

(6)職員給与のラスパイレル指数はいくつですか?また、職員給与は3市2町のどこに準拠していますか?

(7)職員の夏季一時金引き下げが、中小・地場企業の賃金相場に与える影響、地域経済に与える影響について、どのように認識していますか?

(8)この条例は公布の日から施行されますが、告示はいつ行うのですか?





【反対討論】

 ただいま審議された議案第2号について、社民党議員の立場から反対の意見を述べさせていただきます。
 今回の条例「改正」は、5月1日に出された人事院勧告による国家公務員の給与改定に基づいて行なわれるものです。しかし、今回の人事院勧告は背景、調査内容、社会全体や労働者全体に与える影響の3点から認めがたい内容となっています。

(1)背景

 人事院勧告の背景には、公務員の賃金引下げを選挙対策に利用しようとする与党の政治的思惑や党利党略的な動きがあります。
 先ごろ、与党の「国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチーム」は、春闘相場を踏まえて国家公務員の夏季一時金を約1割削減することを柱とした議員立法提出の動きを強めていました。総選挙をにらんで「公務員は民間労働者よりも高いボーナスをもらっている」といたずらに「公務員バッシング」をあおり、国民の人気を得ようとするためのものです。
 公務員の労働基本権が制約された現状を無視して、公務員の身分・待遇の不利益変更を議員立法で行なうことは、公務職場における労使関係そのものを否定する暴挙であり、厳しく糾弾されなければなりません。
 さて、こうした政治的動きを受けて人事院は、「もし議員立法が審議されることになれば自らが批判の矢面に立たされるのではないか」「人事院不要論が出てくるのではないか」と恐れ、主体的に判断したかのような形式を取り繕って臨時勧告を実施しました。
 こうした動機で極めて異例の勧告を実施したことは、人事院の思惑とは逆に、人事院勧告制度に対する信頼を大きく損ねるものです。つまり、政治的圧力によっていかようにも人事院勧告制度を動かせるという実績をつくってしまいました。そして、労働基本権制約の代償機関としての自らの役割を否定するとともに、独立・中立の第三者専門機関としての性格を歪めることになりました。
 人事院は、政治からの要請や圧力については否定していますが、一連の政府・与党の一時金削減の意向を受けたものといわざるをえません。

(2)調査内容

 景気悪化の影響で今年夏の民間一時金は大きく落ち込んでいますが、民間支給実態の精緻な調査に基づいて公務員の一時金に反映されるのがこれまでのルールでした。それに対して、今回の特別調査は精確性を著しく欠いています。
 ①通常の民間給与実態調査とは異なり抽出方法を用いたこと、②調査対象事業所数もわずか2,700社であり、例年の調査の11,000社と比較して極めて少なく、事業所数も各県でばらつきがあること③支給実績ではなく支給額の対前年伸び率を調査していること、④民間の約8割の従業員の夏季一時金が未定であること、⑤実地調査でなく通信調査で行ったことを問題点として指摘しておきます。
 人事院自ら、「抽出された企業の業種によって全体の調査結果が大きく左右されるおそれがある」「全産業を代表するものとは言い難い」などとしています。
 すでに昨年の勧告を通して確定している夏季一時金の凍結という極めて異例の事態となれば、これまでの民間の実態を精確に調査し比較するという公務員賃金の決定ルールを踏みにじることになりかねません。
 やはり、夏季一時金については昨年の勧告通り実施し、民間一時金水準低下については、民間準拠の原則により、今年8月の人事院勧告を経て冬季一時金で精算すべきです。

(3)社会全体や労働者全体に与える影響

 中小企業などでは労使交渉が現在も続いています。その中で、公務員の一時金凍結が実施されると、臨時・非常勤職員の賃金はもとより、中小・地場企業の一時金に多大な悪影響をもたらします。「公務員ですらボーナスをカットしているのだから、民間はなおさら」という悪循環が生まれます。また7月に予定されている最低賃金の改定にも悪影響をもたらします。「100年に一度の危機」といわれる経済不況において賃下げ圧力が増すことは、公務員に限らず市民全体の消費マインドを一層冷え込ませ、地域経済や内需に大きな打撃を与え、景気悪化にさらに拍車をかけることとなりかねません。
 また、財政難や行財政改革を理由に、すでに数年前から6割を超える地方自治体が独自に給与カットを行なっています。それ以前に、ラスパイレス指数が国よりも低い状況が改善されていません。その上に夏季一時金凍結となれば、自治体労働者にとってはダブルパンチ、トリプルパンチとなります。あわせて、地方経済にも深刻な悪影響が出ることが予想されます。

(4)おわりに

 人事院自らが「異例、特別の措置」と認めているように、今回の勧告は多くの問題を含んでいます。人事院の一方的な姿勢は問題があり、労働基本権制約の代償措置としての役割を果たしていないと批判せざるを得ません。