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大木昌の雑記帳

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「子宮頸がんワクチン」の定期接種化の問題点-有効性・副作用・費用-

2013-05-31 21:18:29 | 健康・医療
「子宮頸がんワクチン」の定期接種化の問題点-有効性・副作用・費用-


政府・厚生労働省は4月から,子宮頸がんで年間2700人ほどが死亡している現状にたいして有効であると考えられる
予防ワクチンの接種を,小学校6年生から高校生を対象に,自治体への補助も含めて定期接種(無料化)とすることを
決めました。

たとえば栃木県大田原市で今年の5月に実施された事例では,1人当たり4万5000円を全額市が負担して小学6年
の女子334人のうち,329人の希望者に集団接種を実施しました。

ここで,子宮頸がんとワクチンについて三つ確認しておきたいことがあります。

まず子宮頸がんは,性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因とされており,厚労省はワクチン
接種によって予防できると考えています。

ただし,これは既に感染(必ずしも発病しているとは限りません)している場合には全く治療効果はありません。

したがって,まだ性行動に入る前の小学生から高校生までがワクチン接種の対象となります。

このため,上に示したように,接種は自治体の主導で学校単位の集団接種という形を取ることが多くなります。

この小学校の場合,98.5%の女子児童が接種を受けています。

二つは,子宮頸がんはワクチンを接種しなくても定期的に検診を受けることでほぼ100%予防が可能であることです。
これは厚労省も医師も一般に認めています。

以上を念頭において,ワクチン接種に関連した最近の動きをみてみましょう。

毎年,2700人から3000人が子宮頸がんで亡くなっていることを踏まえ,政府はワクチン接種でこれを減らすことが
できると考え定期接種を導入しました。

しかし,これまでにワクチン接種の副反応(副作用)であると考えられる2件の死亡および重症の事例を含む,
多くの被害者が発生しています。

こうした現実を背景として,ワクチン接種の被害者の保護者が中心となって組織された「全国子宮頸がんワクチン
被害者連絡会」は,厚生労働省にたいして,4月から定期接種(無料接種)を始めた子宮頸がんワクチン接種の
中止を求める嘆願書を提出しました。

これを受けて5月16日,子宮頸(けい)がんのワクチン接種後の健康被害が報告されている問題で,厚労省の
検討会は医療機関などから,報告されていない例も含めて実態調査を行うことを決定しました。

販売が開始された2009年12月から2013年3月末までに推定で,計340万人が接種を受け,副作用が認められ
たのは1926人(0.05%),このうち重篤なものは861人(0.025%)でした。(注1)

厚労省によると,製薬会社のグラクソ・スミスクライン製造のワクチンでは医療機関から1001件,製造販売会社
から704件,別の製薬会社(旧万有製薬)機関から1001件、製造販売会社から704件、別の製薬会社のMSD
(旧万有製薬)製造のワクチンは,医療機関から195件,製造販売会社から68件,接種後に何らかの異常な
反応があったとの報告がありました。

厚労省は,データが不足しているので,接種と副作用の因果関係は断定出来ないので調査は続けるが,定期接種
を中断する必要はない,という姿勢を貫いています。

私は,製薬会社と製造販売会社からの報告が本当かどうか,この点でも疑問をもっています。

『産経新聞』の電子版(2013年5月29日)は,ワクチンを接種することによって子宮頸がんを70%減少させる
ことが期待できること,「ワクチンで防げるがんは防ぎたい」という医師の声を引用しています。

つまり,ワクチンをしなくても定期検診さえしていれば,子宮頸がんはほぼ100%予防できるが,
この検診率が欧米先進国では60~80%であるのにたいして日本は20%に留まっていることが問題だ,
というのです。

ワクチン導入に積極的な人たちは,2006年にアメリカで承認されて以来,このワクチンは世界で100カ国以上で
使用され,既に1億人以上が接種していること,そして,それらの国では子宮頸がん病変の減少が認められている
ことなどを,主張の根拠としています。

しかし,こうした主張をそのまま受け容れるのは危険です。

子宮頸がんのワクチンが定期予防接種として認められた直後の3月28日,「生活の党」のはたともこ参議院議員
は薬剤師でもあり,その立場から厚生労働委員会の委員ではないのに特別にこの委員会での質疑を認められて質問
をしています。

この時の質疑応答の内容は新聞などであまり詳しく報道されていないので,重要な部分だけを引用しておきます。
なお,はた氏は自身のブログでさらに詳しい調査結果と解説をしているので,それも合わせて,ワクチンの定期接種
の問題点を要約しておきます。(注2)

まず,性活動をしている日本の女性の50%はHPVに感染しているが,そのうち90%は自然に排泄され自然
治癒しているので,何の症状ももたらさないことを厚労省も認めています。

次に,現在日本で認可されているワクチンはガーダシル(MSD社)とサーバリックス(グラクソ・スミソクラ
イン社)ですが,日本ではほとんどが後者です。

これらは16型と18型のウイルスに対してのみ有効である,という点が重要です。この二つは欧米に多いウイルス
のタイプですが,日本では52型と58型も高危険なウイルスです。

日本人の一般女性でHPVの16型に感染している人は0.5%,18型は0.2%です。うち,18型は日本では
自然治癒することが多いので,実際には,99.5%の人は感染していないウイルスのためのワクチン接種だった
ことになります。
厚労省も99.9%意味がないことを認めているようです。

しかも,万が一感染していても,発病する可能性はさらに低く,そして,たとえ持続的に感染して前駆病変が現れ
ても,適切に治療すれば100%治癒することは広く認められています。

ワクチンの問題は,その副作用にありますが,これについても現在使用されているワクチンにはかなり重大な問題
があります。

日本では医薬品として認可されるためには,その薬品の効果や有害性などを,人間に適用して確かめる「治験」が
義務づけられています。

主として日本で使われているグラクソ・スミスクライン社のサーリバックスについての治験は612例(年齢などは
不明)あり,そのうち99%に疼痛(筋肉注射時の疼痛だと思われる),発赤が88.2,腫脹が78.7%,
57.7%に疲労,その他,頭痛,吐き気,下痢などの胃腸症状,関節痛,発疹,発熱などの報告があります。

死亡例やショック・アナフラキシー様症状などの重篤なものについては,海外では報告がありますが,日本での
治験ではみられなかったために,「頻度不明」とされています。

『毎日新聞』(5月16日)に14才の被害者の保護者から寄せられた実例では,接種後に足や腕の痛みを訴え,
現在,歩行時には車椅子が必要となってしまい,今年の3月からは休学に追い込まれています。

他方のガーダルシアも危険がいっぱいで,アメリカ,オーストラリア,インド,韓国などでワクチン接種により
高頻度の重篤患者が発生しています。日本ではあまり普及していないガーダルシアを個人輸入で入手し使用して
いる日本人医師もいるようですが,非常に危険です。

これだけの問題がありながらも,本来欧米人に多く見られる16型,18型のウイルス用に開発されたワクチン
を日本の若年女子に定期接種を適用するのは,かなり問題です。

ワクチンが副作用をともなう危険をもっている上に,ワクチンの有効期限も不明なままです。一説には6~8年
と言われていますが,製薬会社はこれについて確かなことは言っていません。

さらに,ある意味で馬鹿げているのは,これらのワクチンの説明によれば,ワクチンは定期検診の代わりには
ならないから,かならず定期検診と併用することを謳っています。

定期検診をすればほぼ100%予防でき来ることがわかっているのに,なにもわざわざ危険を伴うワクチン接種
する意味は全くありません。

さらに私は,このワクチンを製造しているグラクソスミスクラインという会社(本社はイギリス)に,大きな
疑念をもっています。

この会社は,抗うつ剤としてよく使われる「パキシル」を製造販売していますが,パキシルが自殺の誘因となる
薬であるにもかかわらず不正販売促進したとの理由で訴えられ,2012年には医療訴訟の和解金としては全国史上
最高額の30億ドル(当時の為替レートで2400億円)を連邦政府と州政府に払っています。

さらに,この薬を売るためにホストの医師と「さくら」の被験者を使って宣伝させました。その際,その医師に
27万5000ドルのキックバックを支払ったこともあります。

また,未成年には使用できなことになっているこの抗うつ剤を,平気で販売していることもこの企業に対する
批判の対象になっています。

パキシルは,日本では何の批判もなくほとんど無制限に使用されています。そのため,2003年には310億円,
2005年には450億円,2007年には590億円を,たった一つの薬だけで売り上げています。(注3)

また,以前,インフルエンザの世界的流行が懸念されたとき,そのワクチンを提供したのもグラクソスミスク
ライン社で,それが日本に到着したときには下火になっていましたので,ほとんど使用しないまま,廃棄され
ました。

この時の金額は1400億円でしたが,同社は途中解約を認めず,日本は全額払いました。

私は,ほとんど効果がない,あるいは意味のない子宮頸がんワクチンを日本の厚労省なぜ集団接種させようとし
ているのか,とうてい理解出来ません。

健康上の問題に加えて,経済的にも大いに問題があります。冒頭に引用した栃木県の例では,1人当たり
ワクチン接種費用は4万5000円でした。このうちいくらがグラクソスミスクライン社に入るのかは分かりま
せんが,仮に3万円としても,既に340万人が接種しており,これだけでも1000億円を超えます。

さらに,これから厚労省は,小・中・高校で女子にたいする集団接種を公費で行おうとしています。これまで
グラクソスミスクラインがやってきたことを考えると,どうしてもこの会社も厚労省も信用できません。

実質的な効果がなく,反対に危険をはらんだワクチンに日本は莫大なお金をグラクソスミスクライン社に与える
ことになるのでしょうか?

医療の問題はいつも,「因果関係が確認できない」という言い方で歴代の政府は対応をごまかしてきました。
その結果,水俣病やサリドマイド禍で,多数の悲惨な被害者を出してきたのです。今回の子宮頸がんワクチン
の定期接種は是非止めるべきです。



(注1)これらの数値については,新聞や製薬会社,医療機関によって異なるが,次の新聞やインターネットサイトを参照されたい。
『毎日新聞』(2013年5月16日)
http://www.asahi.com/national/update/0516/TKY201305160077.html (『朝日新聞』電子版 2013/5/16)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1600X_W3A510C1CR0000/ (『日本経済新聞』 電子版 2013/5/29)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130529/bdy13052907530001-n2.htm (「産経新聞ニュース」 電子版 2013/5/29)

(注2)この時の質疑応答の映像は,http://memogoldentama2.blog.fc2.com/blog-entry-333.html 
(ブログ 「放射能・災害・経済関連ニュースメモ」2013/4/7 )に埋め込まれた You Tubeでみることができます。また,畑ともこ氏は氏のブログでさらに詳しく説明しています。
http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826/e/e20a38c2b991d514c59fcf958644094d.

(注3)パキシルの問題に関しては,さし当たり,
http://www.news-postseven.com/archives/20120806_132299.html (2013/05/31参照)
http://www.yakugai.gr.jp/inve/fileview.php?id=67 (2013/05/31 参照)

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「死の形」からみる日本人の“死にざま”と“生きざま”(1)-三大死因の背景-

2013-03-22 13:46:50 | 健康・医療
「死の形」からみる日本人の“死にざま”と“生きざま”(1)-三大死因の背景-


人は「生きたように死ぬ」という言葉があります。これは,その人がどのように生きたか,がどのように死んでゆくのかに現れるという意味です。

もちろん,これは物事の一面を表現しているに過ぎませんし,何の根拠もありませんが,どことなく説得力があります。

それでも,社会全体としてみた場合,日本人の“いのち”がどのような形と質をもっているのかという“生きざま”の問題は,
死の形といのちの重み,という“死にざま”という観点からも考えることができます。

それほど大げさに考えなくても,日本人はどんな原因で死んでいくのかを知ることは,自分自身の問題として考える上でも,無意味ではないと思います。

まず,平成20年(2008年)と平成23年(2011年)における,死因をみておきましょう。(注1)

         平成20年(2008年)  平成23年(2011年)
総死亡者数    114万2467人      125万3463人
悪性新生物(がん)  30% (342,2849人)    28.5% (357,185人)
心疾患        15.9%(181,882人)   15.5% (194,761人)
脳血管疾患     11.1% (126,944人)    9.9% (123,784人) 
肺炎         10.1% (115,240人)     9.9% (124,652人)
不慮の事故      3.3% (38,030人)      4.8% (59,596人)
老衰          3.1% (35.951人)      4.2% (52,207人)
自殺          2.6%(30,197人)       2.3% (28,874人)
その他       23.8% (54,225人)     24.9% (57,475人)

(注)上の表のうち,「その他」には,腎不全,慢性閉塞性肺疾患,肝疾患が含まれる。
   また,平成23年(2011年)の「不慮の事故」が急増したのは,「東日本大震災」
の影響と考えられます。

昭和20年代末まで,日本人の三大死因といえば,結核,胃腸炎,肺炎でした。これが,昭和30年代から徐々に変化し,
現代では悪性新生物(がん),心疾患,脳血管疾患と言われるように変化してきました。

ただ,肺炎については少し説明が必要です。2011年には,数の上では脳血管疾患の死よりも肺炎の方が多くなっています。

肺炎による死亡のほとんどは,抵抗力が弱まった高齢者なので,全ての年代で肺炎が増えているわけではありません。
言い換えれば,この肺炎による死亡の増加は,日本社会の高齢化が進んでいることの証でもあります。

このため,従来は「三大死因」を問題にしてきましたが,これからは「四大死因」を考えるべきかもしれません。

さて,この変化の背後には,二つの大きな要因がありました。一つは,医学の進歩です。

とりわけ,結核と肺炎という感染症は抗生物質の普及によって激減してきました。

二つは,感染症が激減したことと相まって,日本人の平均寿命が伸びたことです。終戦直後の昭和22年(1947年)の平均寿命は,男50.6才,
女53.96才でしたが,平成23年(2011年)には,男80才,女86才へと20才以上も伸びました。

男は世界第二位,女は第一位,男女合わせた,総平均寿命は83才で,世界一です。

長い平均寿命を反映して,現在では総死亡者の3分の2は75才以上の高齢者が占めるようになったのです。

以上の背景を念頭において,昨今の日本人の“死にざま”をもう少し細かくみてみましょう。

平成20年も23年も,死因の第一位は悪性新生物(がん)で,全体の3分の1弱です。よく,日本人は3人に1人はがんで死ぬと言われますが,
統計的にもほぼそれを示しています。

国際比較をみると,近年の人口10万人当たりのがん死亡者数(年齢調整率)は,日本が214.0/103.5、アメリカが207.3/144.5、
イギリスが221.8/155.9、フランスが253.6/117.1、イタリアが230.3/122.5 となっています(数値は 男/女 の順です)。

これらの数値からみると,先進国の中では日本のがん死亡率が特別に高いわけではありません。

先進国に共通しているのは,平均寿命が長く,男女合わせ78才以上が大部分です。

つまり,日本人の平均寿命が長いということは,それまでに感染症で死ぬことが少なくなった結果です。その反面,
私たちの体は年齢が高くなるにつれてがんが発症しやすくなってきたのです。

私たちの体の細胞は,定期的に古い細胞をコピーして新しい細胞に入れ替わっています。

この過程で,何らかの理由でミスコピーが生じたり,正常な細胞の遺伝子に傷が付いて異質な細胞に変化することがあります。

異質な細胞がカン化するには喫煙,食事,運動,ストレスなどの生活習慣,ウィルスなど多様な要因が関係していて,
そのメカニズムは正確に分かっているわけではありません。

私は,食べ物に含まれる有害化学物質の影響もあると考えています。つまり,長期に保存するための合成保存料や合成着色,
残留農薬(除草剤,殺虫剤,化学肥料)や,収穫後の消毒(ポストハーベスト)などの化学物質が多くの食べ物に含まれており,
それらが体に取り込まれての中で遺伝子を傷つけている可能性もあります。

いずれにしても私たちの体には,こうして傷付いた細胞を排除するシステム,つまり免疫力があるので,異質な細胞が全てがん細胞になる
わけではありません。

しかし,この免疫力は年齢と年と共に弱くなり,異質細胞のがん化を防ぎきれないと,がん細胞は増殖して,いわゆるがんが発症します。

この意味で,がんという病気は老化現象という側面もあるのです。

私たちは長寿と引き換えにがんに罹るというリスクを背負ってしまったといえます。逆に言えば,以前はがんが発症する前に,感染症で死んで
いったのです。

それにしても,戦後間もない昭和22年(1947年)には,10万人当たりのがんによる死亡者は60人前後でしたから,
現代はがんによる3倍以上に上昇しているというのは驚異です。

日本人は一生のうち2人に1人は一度はがんに罹るといわれることがありますが,現代の日本において,
がんはもはや特殊な病気ではなく,むしろ国民病といっていいほど一般的になっています。

ただ,日本人の男のがん死亡率が女の倍となっているのは,考えさせられます。これには男性の喫煙,過度の飲酒,ストレス,
過労など,がんを引き起こし易い条件が関係しているものと思われます。これも,日本の男性の生きざまを物語っています。

がんをさらに細かく,たとえば大腸がん,胃ガンなど部位ごとにみてゆくと生活との関連がもっとはっきりしますが,それは別の機会に
ゆずります。

がんに続いて大きな死因は心疾患です。心疾患といっても,急性,慢性,先天性,など多様な疾患があります。

私たちがイメージする,心疾患による典型的な死は,心筋梗塞で倒れてあっという間に亡くなってしまうものです。

ほかにも心不全のように慢性的な心臓疾患により徐々に命を縮める病気もあります。

しかし,先天的に心臓に欠陥がある場合を除けば,心臓疾患もやはり生活習慣を反映しています。

たとえば,塩分,脂肪,糖分の摂りすぎ,肥満,運動不足やストレスは高血圧・高血糖・高脂血症をもたらし,それが動脈内に血栓を作ったり,
動脈を傷つけたり動脈硬化をもたらします。これらの症状が限界を超えたとき,心臓の機能を阻害します。

戦前から1950年代くらいまで,心疾患の死亡率は10万人当たり50~60人でしたが,現在は150人前後へと3倍近くに増えています。

脳血管疾患には脳梗塞,脳出血,クモ膜下出血などが含まれますが,いずれも高血圧その他の理由で脳の血管が弱くなったり傷ついたりして,
あるとき突然血管が破れたりして脳の機能を阻害する病気です。

脳血管疾患による死亡者は,戦後まもない1947年ころには10万人当たり120人前後でしたが,最近では90人の後半に落ち着いています。

患者数でみると,心疾患が80万人ほど,脳血管疾患が134万人弱(いずれも平成20年)ですが,
死亡者数では心疾患の方が6万人から7万人も多くなっています。

これは,心疾患が直ちに命の危機につながるのに対して,脳血管疾患の場合,麻痺などは残りますが直ちに死に至ることが少ないからだと
思われます。

心疾患も脳血管疾患も,高血圧や肥満がもたらす生活習慣病です。とりわけ高脂肪,高カロリー,塩分,糖の摂りすぎなど,
食生活はこれらの病気に大きな影響を与えています。

食生活の変化には,魚より肉への好みの変化の他に,味が濃く(塩分が多い)高カロリーの外食を摂る機会が増えたことなども関係しています。

加えて,ストレス,運動不足,喫煙などの生活習慣が,複合的に作用して,これらの疾患による死をもたらしていることはまちがいありません。

以上を要約すると,がん,心疾患,脳血管疾患が三大死因となっている背景には,日本人の全般的な高齢化,食生活の変化,運動不足,
ストレス過多が見えてきます。

次回は三大死因(プラス肺炎)以外の死因について考えます。


(注1)今回の記事のデータは下記のウエブサイトを参考にしました。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2776.html (社会実績データ図録)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai06/kekka3.html#2 (厚生労働省,年間死亡者数)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai08/kekka3.html(厚労省 死亡統計)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/dl/gaikyou23.pdf(厚労省 人口動態 平成23年)
http://ganjoho.jp/professional/statistics/digest/digest01.html (国立がんセンター)

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「物語り(ナラティヴ)」による医療-医療思想の革命-

2012-12-18 23:47:32 | 健康・医療
「物語り(ナラティヴ)」による医療-医療思想の革命-


今,医療の現場で静かですが,革命的とも言える根本的な変化が起こりつつあります。

この変化を一言で言えば,「証拠に基づく医療(Evidence Based Medicine)」から「物語りに基づく医療( Narrative Based Medicine)」への変化です。

もっとも,この変化を「革命的」と考えているのは,私だけかも知れません。

この医療の方法について説明する前に「物語り(ナラティヴ)」といういう言葉の意味を簡単に説明しておきます。

私たちが,何かを理解し説明する仕方には大きく二つの道があります。

すなわち「科学的理解」・「科学的説明」と「物語的理解」・「物語的説明」です。

科学的説明とは,普遍性,一般性,客観性,必然性から物事を説明することです。

最も分かり易い例を示せば,リンゴが木から落ちることを,万有引力の法則から説明することです。

科学的説明とは,物事を必然の世界で説明することです。

こうした説明は「科学の物語」ということもできます。

これにたいして「物語的説明」は,必然性だけでなく,偶然性をも含んだ物事の展開から説明することです。

ある事件が起きたとき,これまで確認されている科学的法則を当てはめて事態を説明しようとします。

たとえば,家庭環境にこういう問題があると人間はこういう行動をする,あるいは,性格にこんな傾向が生ずると
いった具合です。

しかし,同じような境遇にあっても事件を起こさない人が大半なのに,なぜこの人だけが事件を起こしてしまった
のか,という疑問も生じます。

そこには,必然や法則だけではとても説明がつかないような,「偶然のいたずら」「運命のいたずら」も関わって
います。

このような時,偶然も含めてその人がたどってきた物事の展開を,一貫性をもったひとつのまとまりとして描かれた
世界が「物語」です。

言い換えると,物事の「物語」を理解して,「なるほど,そういうこともあり得るな」というふうに了解を可能
にする説明が「物語的説明」です。(注1)

自然現象と異なり,人間の思考や行動について,科学的・普遍的な説明だけでは理解できないことの方が多いので
はないでしょうか。

私たちは,ある事件や事態を一つの繋がりをもった「物語」として描くことができたとき,それらを理解したと
感じます。

逆に描けなかった時は不可解となるのです。

つまり,「物語」は,混沌とした世界に意味の一貫性を与え,了解可能なものしてくれるのです。

ここで,「物語」についてもう一つ基本的な点を整理しておきます。

「物語」の最小限の要件は,複数の出来事(思いや感情も含めて)を時間の流れにそって並べ順序関係を示した
ものです。

これにはストーリー(a)とプロット(b)があります。

(a) 王様が亡くなりました。そして王妃様の亡くなりました。
(b) 王様が亡くなりました。そして悲しみのあまり,王妃様も亡くなりました。

(a) の文章を聞いている方は「ふ~ん,それで?」という反応しか出てきません。

(b) の文章では,王妃様が亡くなったのは,悲しみのためだった,という事情を聞いて,“なるほど”と事態の全体を
了解します。

ここで私たちは,王様の死と王妃の死との関係がはっきりと理解できるのです。

つまり,「物語」の重要な点は,物事を「つなげる」ことなのです。

「物語り(ナラティヴ)」とは,ストーリーとプロットを含んだ概念です。

さらに,「物語り」は,「物語そのもの」(story) と「物語を語る」(story telling) の両方の意味を含みます。

ところで,上に述べた「物語り」が医療とどういう関係があるのでしょうか。

前者の「証拠に基づく医療」とは,確かな科学的な証拠に基づく医療という意味です。

通常の,いわゆる西欧医学は自然科学として,実験と観察による検証を経て,客観的な理論を構築し,治療方法を
発展させてきました。

体の不調があって病院に行くと,血液,尿,血圧,体温,心電図,レントゲン写真,時にはCTやMRIといって
高度な検査機器で,検査を受けます。

これらの結果は体の異常の正体を判断する際の確かな「科学的なデータ」つまり,「証拠」として用いられます。

そして,「病名」が付けられ,それに対する標準化された治療なりケアが行われます。

これが,通常の治療プロセス,科学的証拠に基づく「医学の物語」です。

そして,医者は次に,医学の物語を借りて,「医者の物語」を患者に告げ,多くの場合,一方的に押しつけます。

そして患者も医者の物語を概ね受け入れます。

しかし考えてみると,患者は患者で医者とは異なる人生についての物語,「人生物語」をもっているはずです。

たとえば,当の患者は,現在どのように感じ,その病気をどのように意味づけ,家族との関係をどのように考え,
治療について何を望んでいるのかなどをえているはずです。

しかし従来の医療では,患者の物語が十分に考慮されることはほとんどありません。

物語に基づく医療の発端となったのは,心の病,精神疾患の治療現場でした。

従来は心の病を,心理学理論に基づいて診断し,つまり「医学化」し,科学的な「医学の物語」として治療が行わ
れてきました。

しかし,90年代以降,ナラティヴ・セラピーが注目を集めるようになりました。

それは,セラピストが患者の物語を十分に聞き,クライエント(サイコセラピーでは「患者」という言葉ではなく,
クライエントという言葉を使う)と共同で「人生物語」を構成してゆく実践です。

セラピストとクライエントの関係は,物語の「共著者」に例えられます。

従来,セラピスト・医者とクライエント・患者は上下関係でした。

ナラティヴ・セラピーはこの関係を根本的に変えてしまったのです。

というのも,さまざまな実践の場で,この方法によりクライエントは,自らの苦悩,迷い,希望などを自由に語る
ことにより,「自己に関する物語」を構成しやすくなることが分かったからです。

ここで,ナラティヴのもう一つの側面である,「物語る(story telling)」ことの大切さが発揮されるのです。

心の病の治療に対してナラティヴ・アプローチの有効性が認知されるようになると,これは全ての医療やケアにも
有効ではないか,という方向に発展してきました。

たとえばあなたが医者に“がん”であることを告知されたとしましょう。

一般的な治療のプロセスは,まず医者がさまざまな検査結果と症状から,あなたのがんが,どこの臓器にどれほどの
範囲で,どの程度の進行しているかを“科学的”,“客観的”に説明します。これは

そして,この病状にたいして,どのような治療方法があり,多くの場合医者は,この病状に対する「標準的な」
治療方法を薦めます。

しかし,ナラティヴ・アプローチでは,まず医師は,患者がどんな人生物語をもっており,現在の病をその物語の中
にどのように位置づけ,これからどんな治療を望んでいるのかを一緒に考えてゆきます。

こうした物語を語ってゆく過程で患者は,自分が本当に悩んでいること,望んでいることを,自分自身で確認し,
新たな人生物語を構成する事ができるようになるのです。

医師の役割は,そのプロセスを一緒に考えて,物語の構成の手助けをすることになります。

これも,従来の医療とは根本的に異なります。

残念ながら,現在の日本では,このような医療はあまり実践されていませんが,私は,これこそ医療の原点だと思います。

ナラティヴ・アプローチは,今では医療の領域に留まらず,人類学,社会学などの分野にも及んでいます。

これらについては順次,書いてゆきたいと思います。



(注1)今回の記事に関しては,野口裕二 2002 『物語としてのケア―ナラティヴアプローチの世界へ―』医学書院
    ―――― 2005 『ナラティヴの臨床社会学』 勁草書房
    グリーンハル,トリシャ,ブライアン ハーウィッツ(編) 2004(2001) 『ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語と対話―』
    (監訳者 斎藤清二,山本和利,岸本寛史),金剛出版
    を参考にしています。



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病と心のケア-がん治療の裏事情-

2012-12-08 23:35:16 | 健康・医療
病と心のケア>-がん治療の裏事情-


現在日本の総死亡者数は90万人ほどで,うち,がんによる死亡者は30万人強です。

つまり,3人に1人はがんで死んでいるということになります。

実際,私の周囲で亡くなっている人を考えても,がんによる死亡が多いことに改めて驚きます。

こうなると,がんはもう国民病といっていいほど一般的な病気でとなっています。

がん治療といえば,なかにし礼氏が,初期から進行がんに進む段階にあった食道がんの治療に,手術ではなく陽子線治療を受け,
見事にがんの消滅に成功しました。

なかにし氏の場合,基本的には手術が適用となる症状でした。

しかし彼は27歳と54歳の時,心筋梗塞を患ったため,手術に不安をもったといいます。

陽子線治療は,今後もますます普及してゆくことが考えられます。

ただ,現在は治療費が280万円から300万円ほどかかります。

しかも,この治療ができる医療機関が少ないため,なかなか治療の順番が回ってこない,という問題もあります。

確かに,手術は患部を切り取るという意味では根本治療の有効な方法の一つです。

他方で,手術は体に大きな負担を強いる治療方法でもあります。

このため,手術は成功したが体の抵抗力が弱まり,他の病気を発症させてしまうこともあります。

つい先日亡くなられた中村勘三郎氏は,今年7月に食道がんの手術を受け,その後抗がん剤治療を受けていました。

手術そのものは成功だったようですが,12時間に及ぶ手術は体に大きなダメージを与えたようです。

手術が与えた体へのダメージと抗がん剤による免疫力の低下のため,肺炎を発症してしまいました。

結局,この肺炎が直接の死因となってしまいました。

がんと聞けば,不治の病,激痛,抗がん剤治療の苦しさ,等を思い浮かべます。

これらは,病そのものの性質,それからくる身体的な苦痛です。

しかし実際にはこれらの他に,再発の不安や高額の治療費負担など,心理的,経済的な苦悩や苦労があります。

私はこれまで何人か,がんの手術を受けた人の相談にのってきましたが,一様に再発の不安をかかえていました。

しかし,この不安の他に最近,特にがん患者にとって大きな問題は,経済的な負担と,それにともなう精神的苦痛です。

ある血液がんである慢性骨髄性白血病のがん患者の場合,1錠約3100円(現在は2700円)のグリベッグを1日4錠服用しな
ければなりませんでした。

この他,精神安定剤,睡眠剤,糖尿病治療薬,頭痛薬など,1日分の薬は20錠にもなるそうです。

もちろん,このような高額の医療費に対して,国は高額療養費制度で,一定額事情の医療費がかかった場合には,
所得に応じて上限を定め,それを超えた分を負担しています。

この女性の場合,高額療養制度を使っても年間30万から60万円になります。

このため,この女性は「迷惑をかけているのかな,家族に」という罪悪感も加わって,うつ病も併発してしまいました。

何度も「死」が頭をよぎったそうです。

がんを抱えて生きている人は,ただでさえ再発の不安で精神的に厳しい状況にあります。

それに,経済的な負担が加わるので,二重苦に苦しむことになります。

実際,調査の結果,経済的負担感があったと答えたがん患者で,うつ傾向がかなり強いと評価された割合は21.2%でした。
(以上は『毎日新聞』2012年11月24日)

つまり負担感がなかったという患者の6.6%に比べ3.2倍も多かったのです

がん患者のこうした苦悩にたいして,現在の日本ではどのように対応しているのでしょうか。

日本の医療体制の下では,手術や深刻な病を抱える患者の精神的問題に対応する仕組みがありません。

まず,外科や内科の医者は,病気そのものに関する説明は丁寧にするようになりましたが,

患者の心理的な問題には関わりたくないようです。

したがって,患者が強いうつ傾向やうつ病になったとき,患者は精神科の医師の所に回されることになります。

しかし,外科・内科医師と精神科の医師とが相互に連絡し合い協力して治療にあたることはほとんどありません。

さらに病の身体的な不安だけでなく,経済的不安や個人的な不安にじっくりと耳を傾けるスタッフもいません。

これは,日本の医療システムの欠陥という面の他に,西欧医学の問題でもあります。

まず,日本の医療制度では,カウンセリングに対する評価が非常に低いのです。

これは,カウンセリングに対する保険点数が極端に低いため,多くの医療機関では高額の給与を払ってまでカウンセラーを雇う
ことが出来なのです。

このため,精神科では薬をたくさん処方して保険点数を上げることになります。

これは,患者の経済的負担を大きくするだけでなく,薬の副作用をももたらします。

また,西欧医学では体は体,心は心と,肉体と精神が峻別されていまい,体のケアと心のケアが一体化していません。

日本の医療もこの西欧医学の特徴を受け継いでしまっています。

しかし,同じ西欧医学に基づく医療でも,私が見聞しているオーストラリアのある病院では,日本とかなり違った態勢をとって
います。

この病院では,専属の心理カウンセラーがいて,常に患者の相談にのっています。

私がとても有効だと思ったのは,これらのスタッフが手術を控えた患者さんに,不安を取り除いたり和らげたりするカウンセリング
をしていることです。

ここには,病気治療と心のケアをセットにして考える姿勢が見られます。

日本は,医学の進歩によりがんを徐々に克服すしつつあり,世界でも有数の長寿国となっています。

しかし,このことは同時に,病に長期間苦しむ人が増えることでもあります。

このような事情を考えると,医療における身体的ケアと心のケアの有機的な連携がますます必要委になってくると思います。

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アメリカ産牛肉の危険性-発ガン性と発育異常-

2012-11-23 21:32:01 | 健康・医療
アメリカ産牛肉の危険性-発ガン性と発育異常-(注)

このブログの2012年6月17日「食文化の変化(2)-魚から肉へ-」で,

現在,日本人の一般家庭では魚より肉の消費量が多くなっていることを書きました。

今日の日本人の食生活において,肉は欠かせない食品となっています。

しかも,肉は家庭での食事の他に,外食店での消費がかなり大きな比重を占めているのです。

とりわけ若者の間では,ハンバーガーや牛丼,焼き肉などが人気です。

若者だけでなく,サラリーマンも昼食にハンバーガーを食べることが珍しくありません。

さらに,ランチ時に,若いお母さんがマクドナルドなどの店で小さいこともと共にハンバーガーを食べている姿を
よくみかけます。

アメリカのハンバーガーショップ,マクドナルドの社長はかつて次のように言っていました。

子どもの味覚を自分たちに会社のハンバーガーの味に慣れさせてしまえば,その後ずっと彼らはマクドナルドの
ハンバーガーを食べるようになる,と。

この会社は時々ハンバーガーの大幅値下げをします。

これは,上に述べたような戦略のもとに行われているのです。

ところで,日本人が食べている牛肉はどこからくるのでしょうか。

農水省の発表によれば,平成21年には,国産肉が43%,輸入肉が57%です。

国産の牛肉は値段も高いので,ハンバーガー,牛丼,居酒屋などの外食産業では圧倒的に輸入牛肉を使っています。

特にハンガーガーに使われている肉のホルモン濃度はずば抜けて高いのです。

輸入の大部分はアメリカとオーストラリアです。

問題は,この両国とも牛の飼育飼料にホルモン剤や抗生物質を使っていることです。

しかも,ハンバーガーや牛丼などの肉はほとんど米国産です。

一時,狂牛病との関連でアメリカ産牛肉の輸入は減りましたが,今は復活しています。

最近,改めて輸入牛肉に含まれる残留ホルモン剤や抗生物質の健康被害が注目されています。

たとえば,『週間文春』の2012年11月22,29日号は二度にわたって奥野修司氏が,特にアメリカ産牛肉
の危険性について以下の3点指摘しています。

第一,アメリカ産牛肉には肥育に使われた女性ホルモン(エストロゲン)が高濃度で残留している。

第二に,牛肉消費量の増加にともなってホルモン起因のガン(とりわけ乳ガンなど)が著しく増加しており,
日本もこれはアメリカでの傾向をたどっている。

第三に,高濃度の残留ホルモンは,男性の前立腺ガンや精巣ガンを増加させている可能性が極めて高い。

ここで,補足しておくと,ここでいう「ホルモン」とは正確に言えば「ホルモン様物資」で,体内で作られる天然
のホルモンと同じではありません。

しかし,体内にはいると,女性ホルモンと似ているので,体は女性ホルモンとして認識し,その作用が発動します。
この意味では「環境ホルモン」と同じです。

厳密な意味で,アメリカ産牛肉の消費と上記の現象との因果関係が裏付けられているわけではありませんが,

かなりその可能性があることは確かです。

思春期以降の生殖年齢になると体内に女性ホルモンが多量にあるのでそれほど問題はありません。

しかし,それ以前と閉経後に外からホルモン様物質が入ってくると体は大きな影響をうけます。

日本では更年期障害の治療に女性ホルモンを補充する治療法がありますが,これが乳ガンや子宮ガンのリスクを
高めることは知られています。

とりわけ深刻なのは,女児の場合です。

人体実験はできませんが,人間で言えば10才に相当するマウスによる実験ははっきりと,ホルモン剤の障害を
表しています。

性的に未熟なときにエストロゲン様物質を与えると生理が始まったとき,周期が乱れたり発情期が増えるのに卵を
作る能力が落ち,
不妊の原因になった事例もあります。

さらに,北海道対がん協会細胞診ゼンター所長の藤田博正医師によれば,骨が伸びる先端部分(骨端線)は,
男女ともに思春期に多くのエストロゲンにさらされると,ここが閉じてしまいます。

藤田氏は,50年前の日本人は,男18才,女16才まで身長が伸びていたのに,現在は2才早く成長が止ま
っている,と指摘しています。

食肉に含まれるホルモン剤の影響が世界で注目を浴びたのは,1985年のことでした。

この年,プエルトリコで3000人の乳幼児(女児)で,初潮が早まり乳房が膨らむ,という現象が起きました。

また,イタリアやフランスでもホルモン剤が残留する肉を食べた幼児の初潮が早まったり,体毛が生えてくるなど
の症状が確認されました。

EU(ヨーロッパ諸国連合)はただちにこの問題の検討を始め,ホルモン剤はガンを発生させる危険性があるとの
結論に達しました。

そして,1989年にホルモン剤を使用した肉(実際には米国産)の輸入を禁止しました。

これに対してアメリカは,ホルモン剤は人体に影響しないとの主張を譲りません。

アメリカはEUからの果物の輸入に100%の関税をかけるなどの報復措置をとりました。

その一方で,ガットなどの国際機関に,この輸入禁止措置が自由貿易の原則に反すると提訴もしました。

アメリカにとって,牛肉産業は単なる輸出品以上の政治的意味合いをもっているのです。

提訴の結果は,一定の範囲内の量ならば輸入禁止は妥当ではないということになりました。

しかし,ホルモン剤不使用として輸入した米国産の牛肉をEU側が検査したところ,
20%ほどの肉からホルモン剤(エストラジオール17ベータ)が検出されました。

こうして,EUは結局,米国産のホルモン剤を使用した肉の輸入禁止を貫いています。

EUのこうした姿勢は,国民の健康を守るという強い意志が伺えます。

日本でも,当時,専門家が検討し,ホルモン剤とガンの因果関係をあるていど認めています(『畜産情報 
月報, 2002年4月』。

しかし,厚労省は,低容量の残留ホルモン剤の場合には輸入を認めています。

現在日本は,米国産の牛肉は狂牛病の検査は行っていますが,ホルモン剤に関しては事実上ほとんど行っていません。

本当に国民の健康を守るなら,EUのように厳格にチェックすべきでしょう。

ところで,アメリカはなぜ,ホルモン剤を使うのでしょうか。

主なメリットは,牛の性格が穏和になる, 成長が早まる,肉が軟らかくなる(時にオス牛),肉の量が増える,
などです。

イリノイ大学のエプスタイン教授は,「牛1頭あたり牛肉の生産量が50ポンド(22.5キロ)増加し,利益が
10%アップする」と述べています。

つまり,ホルモンの使用は,企業利益を優先して健康を犠牲にしているのです。

抗生物質は,畜舎に牛を密集させる肥育すると,一旦,感染症が発生すると,次々と牛が感染してしまう可能性が
あります。

そこで,餌の中に抗生物質を入れるのですが,これを常時食べていると,いざ抗生物質の本来の出番がきても効果が
薄くなります。

幼いときに米国産牛肉を使ったハンバーグの味が舌と脳にしみついてしまった子どもを作らないためにも,是非,

日本政府もEUのようにアメリカの圧力に負けず,輸入制限か禁止して欲しいと思います。



(注)この記事を書くために,上に示した『週刊文春』の記事の他に,以下のインターネットサイトを参考にしました。
参照うあいずれも2012年12月20日です。

http://soudan.main.jp/sion28.html

http://lin.alic.go.jp/alic/month/fore/2002/apr/top-eu02.htm

http://www.sweetnet.com/milk.htm

http://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0601-2a.html



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驚くべき生命の智慧-ガン転移抑制ホルンモンの発見(注)-

2012-10-29 21:48:43 | 健康・医療
驚くべき生命の智慧-ガン転移抑制ホルンモンの発見(注)-


iPS細胞の人工的な作成方法を発見した中山氏がノーベル賞を受賞したことは久々のあかるい
ニュースでした。

あまり注目されませんでしたが,つい最近,医学の分野もう一つ,ヒトの命にかかわる重要な
発見がありました。

それは,ガン転移抑制ホルモンの発見です。

もっと正確に言えば,これまで知られていたホルモンにガンの転移・再発を抑制する働きがあ
ることを発見したことです。

これについて説明する前に,ガンについて簡単に整理しておきます。

このブログの10月13日と16日の「病気はなぜ,あるのか」という記事で,進化論的医学
について紹介しました。

ここで,今回の説明にとって重要な点だけをもう一度示しておきます。

私たちの体の構造や働きは,以下の3つの法則で進化してきました。すなわち,

1)数百万年かけて進化してきたこと,

2)その際遺伝子は,生存の可能性(正確には子孫を残す,生殖の可能性)を高める方向を選
択してきたこと,

3)しかし,ある能力を選択することによって,逆に他の病気や不都合を生じさせることもあ
る,という3点です。

これらの法則が正しいとすれば,ヒトの命を奪う危険性が高い病気であるガンを引き起こす遺
伝子は,進化の過程でずっと昔に排除(淘汰)されていたはずです。

しかし,現在の日本では2人に1人が生涯に一度はガンに罹り,3人に1人はガンで死亡して
います。

この謎を解く一つの要因は,私たちの体の基本は400万年ほど前の設計図に基いている,と
いう事情です。

このころには,ヒトの寿命は40才前後と考えられています。

大部分の人は,免疫力が弱まって,カンが発病する前に感染症で死んでいったのです。

このため,ヒトはガンを引き起こす遺伝子を排除する必要がなかった,というのが進化論的
医学の解釈です。

この意味では,ガン患者が増えたといいうことは,日本人が長生きするようになったから,
とも言えます。


ところで,それでは,ヒトの基本設計にはガンに関する対抗手段は全くなかったのでしょ
うか。

ここで,ガンに関して不思議な事実があります。

人間の体でガンにならないのは心臓と髪の毛だけ,と言われています。

髪の毛はともかく,心臓がガンに発生しないというのは,驚きくべき命の智慧と言うべきでしょう。

もし,心臓がカン化するとしたら,ガンによる死亡は現在よりはるかに多くなっているはずです。

とうのも,心臓の停止をもって死と認定することからもわかるように,心臓は,生命現象そのもの
といっても言いすぎではありません。

人体のうち,心臓以外の臓器はガン化することがあり,それに対する有効な対抗手段をもっていま
せん。

しかし,心臓だけはガンに冒されない防御システムがあるのです。

これまでの医学は,「ヒトはどのようにしてガンになるのか」という観点からガンを考え,治療
(特異抗ガン剤)を模索していきました。

これに対して今回のチームは発想を逆転させて,「心臓はなぜガンにならないのか」という問いか
ら出発し,この観点からヒトとガンとの関係を考えたのです。

なぜ,今までこの事実に気が付かなかったのは不思議なくらいです。

今回,国立循環器病研究センター(国循研)は10月23日,大阪大学の協力を得て、心臓から分
泌されるホルモンである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」が血管を保護することによっ
て、さまざまな種類のガンの転移や再発を予防・抑制できることを突き止めたと発表しました。

ANPは,1984年に見つけられた心臓ホルモンで,現在心不全に対する治療薬として使用され
ています。

この意味では,特に新たに発見されたホルモンではありません。

ただし,このホルモンがガン転移を抑制するホルモンであり,ガン治療にも有効であることは
これまで知られていませんでした。

ガンの転移は,血中に漏れ出たガン細胞が,炎症などで傷ついた血管の壁にくっつき,その場
で増殖するとされています。

このチームは,ANPによって血管が正常な状態になり,ガンが壁にくっつきにくくなると見
ています。

センターの追跡調査によれば,肺ガンの手術後2年以内に再発する確率は,通常,約20%で
すが,不整脈などを予防するためANPを投与すると,4%(最初のわずかに低下しました。

このセンターの寒川所長は,「あらゆる種類のがんの転移や再発を予防できるとみられ,世界
初の治療法になると期待される」と述べています。

また,このチームは動物実験によって,乳がんや大腸がんといったほかの種類のがんに対して
も、ANPが転移を抑制する効果があることを動物実験で確認しておりさらなるメカニズムの
解明を進めているとしています。

それにしても,人体の心臓だけがガン化しないように進化してきたことは,まさに命の智慧と
しか言いようがありません。

現在の到達点は,ANPホルモンが,ガン転移や再発にたいする抑制効果をもつことがマウス
の実験で確認できた,という段階で,

必ずしもガンの発生そのものを抑制することが確認されたわけではありません。

それでも,日本人の3分の1がガンを発症することを考えると,ガンの転移と再発は非常に重
要な問題です。

たとえ手術をしてガンを取り去ったとしても,ほとんどの人がその後の再発を恐れて生活して
います。

この状況を考えると,今回の発見は大きな意義があると思います。

さらに,可能性としては,転移や再発だけでなく,体のどこかで生成されたガン細胞が血液に
乗ってどこか,炎症の起きている臓器に取り付き,そこで増殖を始めることをある程度防いで
くれるかも知れません。

これらの可能性も含めて,既にガンを発症してしまっているいる人にとっても,いったんは克
服した人にとっても,さらには,現在までガンとは無縁であった幸運な人にとっても,大きな
朗報であることは間違いありません。


(注)本稿は『東京新聞』(2012年10月24日),
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121025-00000050-mycomj-sci (2012/10/29 日参照)に
基づいています。

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「病気はなぜ,あるのか?」-進化医学が解き明かす病気の謎(2)-

2012-10-16 06:01:07 | 健康・医療
「病気はなぜ,あるのか?」-進化医学が解き明かす病気の謎(2)-


前回の記事で,進化論的医学について,その原理をごく簡単に説明しました。

それは,病気との関係を言えば次の二つに要約できます。

一つは,自然淘汰の過程では,生存に有利な遺伝子が選択され,それが繰り返し次世代へ受け継がれてゆくことです。

二つは,同じ原理で,生存に不利な遺伝子は,長い年月をかけて,徐々に排除されてゆくことです。

したがって,この原理に従えば,人間に死をもたらす病気の遺伝子は,自然淘汰の原理で,排除されてきてもよさそうですが,
現実には無数の病気があります。

というのも,たとえ自然淘汰の原理が働いたとしても,生存に不利な遺伝子を完璧に排除することはありません。

さらにやっかいなことに,生存に有利な遺伝子は常に良いことばかりではなく,不利な面ももっていることがある,という事実が重要です

逆に,一見,生存には不利な遺伝子に見えても,他の面で何らかの働きをしているかも知れません。

つまり,生物の進化は,有利な面と不利な面を差し引きして,有利な方が少しでも多ければ,それを選択します。

二足歩行により物を運んだり,道具を作り・使う点では有利で,生存の可能性を高めますが,腰痛というやっかいな問題をももたらします。
これは設計上の妥協です。

このように考えると,現在私たちが抱えている病気が「ある」ということは,次の幾つかの理由の結果ということになります。

一つは,ある確率で,明らかに生存に不利な遺伝子が排除されないで病気が受け継がれてしまうこと。
これは通常,先天的・遺伝的な病気となります。

二つは,ある遺伝子は生存に有利な面と同時に,病気を引き起こす不利な面をもっているが,
差し引きして有利な面の方が大きいので,その遺伝子が選択されていること。

三つは,人間が原始の社会で生活していたときには害がなかったのに,後に生活環境が変わって,不利な面が強く出てしまうこと。

たとえば,食べ過ぎ,お酒の飲み過ぎ,脂肪を摂りすぎ,過労,ストレス,運動不足などなど,
現代の社会の生活が不健康な要素が新たに加わることです。

四つは,これはとても重要なことですが,寿命が長くなったという生物にとっては根元的な変化が起こったことです。

これまで,「生存」にとって有利な遺伝子が選択されると書いてきましたが,ここには単に早死にしないとか,
深刻な病気にならない,ということだけではありません。

遺伝子にとって,あくまでも個人の生存ではなく,ヒトという「種」の生存が第一です。

「種」の生存にとって大事なことは,繁殖(子孫を残す)成功率が高いことです。

たとえば,繁殖成功率を高める病気として知られているのは躁鬱病です。

この病気の「躁」の状態を作る遺伝子が活性化状態にあると,性的活動が非常に活発になることが分かっています。

遺伝子はとても自分勝手で,それをもっている個々のヒトの病気にはそれほど関心がありません。

このような遺伝子の性質を擬人化して『利己的な遺伝子』という著名な本もあります。

さて,以上を頭において,まずは,ガンの問題を考えてみましょう。

ガンは,現代の日本人の3人に1人がこの病気で亡くなっています。

この意味では,現代の日本では,ガンはもう特殊な病気ではありません。

人間の体内では,古い細胞が死んでゆき,新しい細胞が誕生するという生と死の交代が日々行われています。

その際に,新しい細胞は古い細胞の遺伝子をコピーします。

しかし,一定の割合で必ずミスコピーが起こり,ここに,正常でない,異質な細胞,つまりガン因子をもった細胞ができます。

体はこのような異質の細胞を「異物」と認識し,免疫システムで排除しようとします。

若いうちは,免疫力が強く,ガン因子をもった「異物」を排除できます。

しかし,人間も年齢と共に,免疫力は低下し,不幸にしてガン因子を持った細胞が結晶化して,ガン細胞になると,いわゆるガンという病気になります。

この意味では,ガンは老化現象の一つとも言えます。

ただし,ガンが実際に発症するかどうかは,さまざまな条件に影響されます。

まずは,そのような体質(遺伝子)を親から受け継いだ場合があります。

「ガン家系」という言葉がありますが,それは,遺伝子を引き継いでしまった家系です。

もちろん,「ガン家系」の人が必ずガンを発症させるとは限りません。

そのほか,強いストレスも遺伝子を傷つける要因です。

タバコ,食品に含まれる合成保存料,着色料,残留農薬などの有害物質の摂取などなど,ガンを引き起こすと考えられる要因は多数あります。

それにしても,もし,ガンが人間の命を奪い,あるいは寿命を縮める大きな原因となっているとしたら,
なぜ,ガンをもたらす遺伝子が排除されないで現在も「ある」のでしょうか?

この疑問を解くには,進化論的な視点が必要です。

既に書いたように,ガン因子がガン細胞になるかどうかは,その人の免疫力との関係によって決まり,その免疫力は年を取ると共に弱まります。

ところが,現代人の直接の祖先が成立し,体の基本設計図が出来上がった旧石器時代(200万年前)から新石器時代にかけての寿命は,
せいぜい40代と考えられています。

寿命が短かった最大の理由はさまざまな感染症です。そのほか栄養の不足(不安定),寄生虫,怪我などで若年のうちに死んでいったからです。

つまり,免疫力が低下してガンで死ぬ年齢に達する前に大部分の人は感染症で死んでいったのです。

すると,ガンが主要な死因ではないので,ガンを引き起こす遺伝子を排除する必要がなく,結果として,現代までこの遺伝子は残っていると考えられます。

このような長寿は,遺伝子からすると「想定外」だったのです。

しかも,遺伝子からすると,すでに生殖を終え,子孫を残した後なら,若年死もそれほど問題ではありません。

医学の発達により感染症による死亡は激減し,寿命が延びた代わりに,私たちはガンの発症というやっかいな問題を抱えてしまったのです。

さて,ガンの中でも,乳ガン,子宮がん,卵巣ガンなど,婦人科系のガンの増加については,
近代の繁殖パターンの変化が大きく関わっていることが分かってきました。

どの年齢においても,婦人家系のガンになる確率は,女性がそれまでに経験した月経周期の数と直接に比例して増加するという事実があります。

石器時代の女性は,15才に始まる初潮から閉経まで,長く生きた場合でも月経は平均で150回以下だったようです。

というのも,妊娠・出産,授乳のたびに3~4年間は月経が中断されたからです。

しかも,女性が生殖年齢に達すると,かなり連続的に妊娠・出産を繰り返していたようです。

現代の日本の女性の場合,石器時代の女性の2~3倍の月経周期を迎えています。

現代はさらに,避妊という人為的な妊娠の回避が行われ,妊娠の機会が減り,月経回数が増加し,
そしてガンが増えるという循環を生み出しています。

これにはさらに詳しい説明が必要ですが,全体の仕組みは以上の通りです。

最後に一つだけ,病気に関する興味深い仕組みを紹介しておきます。

マラリアという,高熱を発し,悪化すれば死に至る熱帯病があります。

高熱は確かに苦痛ですが,その高熱が体内のさまざまなウィルスや細菌を殺し,病気を防いでいる可能性が大きいのです。

私たちは,個々の病気を,マイナス面だけを見がちですが,ひょっとすると,ある病気に罹ることで,
他の病気を防いでいるのかもしれません。

現代の医学ではこのような発想はまったくありませんが,進化論的医学の観点からは,充分に考えられることです。

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「病気はなぜ,あるのか?」-進化医学が解き明かす病気の謎(1)-

2012-10-13 14:02:15 | 健康・医療
「病気はなぜ,あるのか?」-進化医学が解き明かす病気の謎(1)-


今回は,R・M・ランドルフほか『病気はなぜ,あるのか-進化医学による新しい理解-』
(新曜社,2001年)を手掛かりに,そもそも「病気はなぜ,あるのか」を考えます。

2001年に翻訳出版されたこの本は,出版以来今日まで,日本ではほとんど話題になっていません。

「人はなぜ,病気に罹るのか」は,これまで医学が一生懸命解明を試みてきた問題です。

たとえば,喫煙と肺ガンとの因果関係とか,コレラ菌とコレラの発病との関係などです。

また,病気になると,私たちの身体の「何がどうなること」をいうのかといった問題もこれまでの医学の得意分野です。

つまり従来の医学は,病気の原因を突き止め,次に,それではどのように治療すべきなのかを考えます。

しかし,これまでの医学では,そもそも病気は,なぜ「あるのか?」という問いを発想することさえありませんでした。

現実に,おびただしい数の病気が存在しているのだから,いちいち,それらがなぜ「あるのか」を問うのは意味がない,
ということでしょう。

ここで,「なぜ,あるのか」という問いは,哲学的あるいは宗教的な意味での「なぜ」ではありません。

この問いは,生物学的な進化論,とりわけダーウィンの自然淘汰の原理から,なぜ病気が存在するのかを問いかけているのです。

まず,この問いの背景となった進化論的医学の考え方を簡単に紹介しておきます。

現在の私たちの体は,数十億年もかけて海中の微生物から次第に進化の結果,たどり着いたものです。

そして,その間に経験してきたの全ての変化を,遺伝子の中に何らかの形で引き継いでいます。

たとえば魚類の時代を考えると,母親の胎内の赤ん坊は,「海」(羊水)の中で,魚の時代の鰓(えら)呼吸をします。

400万年以上も前にホモサピエンス・ホモサピエンスとして地上に登場した後でも,環境の変化に適応して進化を続けてきました。

たとえば,暑い地域で生きてきた人たちは,暑さに耐える遺伝子を,そして北極圏の寒冷地に住む人は寒さに耐える遺伝子を獲得してきました。

この過程を進化論的に説明すれば次のようになります。

たとえば視力の良い人のほうが,ほんのわずか(たとえば0.001%)でも,他の人より生き残る確率が高ければ,

数百万年という長い年月のうちには,そのような遺伝子をもった人が生き残り,そうでない遺伝子をもった人は淘汰され排除されてしまいます。

これが,自然淘汰と呼ばれる,生物進化を説明する基本原理です。ここでは進化と病気について考えてみましょう。

なぜ病気になるのか,という問いに対しては二種類の説明が可能です。

一つは,通常の病気の因果関係的な原因論で,至近要因(直接的要因)と呼ばれる説明で,もう一つは進化的要因です。

たとえば,動脈硬化症という病気を考えてみましょう。

この場合,脂っこいものを食べ過ぎ,それが血管の内側にアテロームと呼ばれる粥状の脂肪が付着することが至近要因です。

これにたいして,進化論的医学は,そのような害を人体に与えるのに,なぜ,自然淘汰は,脂肪を欲しがったり,

コレステロールを蓄積させたりする遺伝子を排除してこなかったのだろうか,と問います。

私たちは悪いと分かっても脂肪を欲しがります。油が乗った肉や魚を美味しいと感じます。

それはなぜでしょうか? このような問いかけ,通常の医学ではしません。

進化論的医学では,脂肪を欲しがり,コレステロールを蓄積させることには,その害よりも大きな利点があり,
より生存の可能性が高まるからだ,と考えます。

まず,私たちの活動の源であるカロリーの問題から考えてみましょう。

脂肪は1グラム当たり9キロカロリーありますが,炭水化物やタンパク質は4キロカロリーです。

もし,炭水化物やタンパク質だけで必要なカロリーを賄おうとすると,ヒトは2.25倍の体重が必要になり,それに相当する大量の食糧を必要とします。

人類がこの地上登場したころ,大量の食糧を日々確保することは現実には難しかったのです。

脂肪に含まれるコレステロールにしても,60兆個の細胞膜を保護したり,ホルモンを合成したり,人間の生存に欠かせません。

実は,人類が,もっと自然に生活していたときには,脂肪もコレステロールも無害でした。

しかし,カロリーを必要以上に摂取するようになったり,運動不足,ストレスが加わって,脂肪やコレステロールが病気の一因となったのです。

このように人体には,一つのことが,良い方向に向かうと同時に悪い方向に向かう場合が少なくありません。

このため,ある目的に必要なことを得るために,不要どころか,害も取り込んでしまうことも珍しくありません。

しかも,ある段階では無害だった物事が,人間の生活状況の変化によって害になることはたくさんあります。

遺伝子は原則として少しでも生存に有利な性質を残すように進化しますが,いつも良いことばかりではなく,時には妥協も必要になります。

たとえば人類が二本足で立つようになることによって,食糧を確保・運搬すること,手で道具を作ることを可能しました。

しかし,それにより腰痛という問題を抱えることになりました。つまり,トレード・オフの関係ですね。

時には,状況に急いで適応するために,設計上の問題が起こることもあります。

たとえば,生物が海から陸に上がる過程で,その変化が体の構造を適応させるには,進化という面からすると。あまりにも短期間に行われました。

このため,ヒトの体は,食道と気管とが隣接してして,喉を通るものが,空気の場合と食べ物のとによって,食道と気管に振り分けます。

しかし,時にはこの振り分けがうまく行かないで,食べた物が気管に入ってしまうこともあります。

これは,体の設計上の問題を抱えています。

以上の説明からも分かるように,進化論的医学は,特定の個人が,なぜその病気になったのか,という問題は直接には扱いません。

またそれは,医学の具体的な目的である,病気治療の方法を探求したり開発することもありません。

そうではなくて,ヒトという一つの生物種が進化の過程で引き継いできた遺伝的特質から考えて,

そもそも,ある特定の病気が「なぜ,あるのか」,という根元的な問題を考えます。

この際,あくまでも「自然淘汰」という生物進化の観点から病気を考えることが,出発点です。

ここで「自然」淘汰とは,環境の緩やかな変化に,ゆっくりと適応しながら,生存にとって,より有利な遺伝子が選択され,
不利な遺伝子が排除される,という原理です。

しかし,病気は「自然淘汰」という生物進化の原理だけで,説明できるわけではありません。

私たちの生活習慣の変化や,環境の悪化,薬物の常用,ストレス,運動不足など,身体に影響を与える,ありとあらゆる変化が,病気を促進します。

これらは,個人の病気の「至近要因」となります。

説明が長くなりましたが,以上は,進化医学という,非常に新しい病気の考え方を理解する上でどうしても必要なことです。

次回は,進化論からみた病気のうち,ガンを中心に,「病気はなぜ,あるのか」を具体的な事例についてみてみたいと思います。

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老・病・死とどう付き合うか-死から生を考える-

2012-10-10 07:34:48 | 健康・医療
老・病・死とどう付き合うか-死から生を考える-


今回は,中村仁一著『大往生したけりゃ 医療とかかわるな-「自然死」のすすめ-』(幻冬新書,2011年)の紹介をとおして,
「生きること」と「死ぬこと」という問題を考えてみたいと思います。 

仏教用語に「四苦八苦」という言葉があります。うち,「生・老・病・死」の「四苦」は,すべての人が逃れることができない苦悩であるとされています。

とりわけ「死」は,最大の恐怖と苦悩と言えるでしょう。
 
人は誰も,頭の中では,いつか自分が死ぬことを知っています。しかし私たちは,本音では,自分が死ぬとは本気で考えていないのではないでしょうか。

あるいは,正面きって考えるのはあまりに恐ろしいので,できる限り自分の死を考えないようにしているのではないでしょか。
 
私たちが心のどこかで,死は自分のことではなく誰か他の人のこと,と考えたくなるのも無理がありません。

しかし,いくら死を頭から追い出し,死から目をそむけても,死はすべての人に例外なく発症する病なのです。
 
死を恐れる理由は人によって異なりますが,共通しているのは,死に至るまでに味わうであろう病の苦しみや激しい痛みの恐怖ではないでしょうか。
 
だから「ピンピン コロリ」,つまり,死ぬ直前まで元気でピンピンしていて,死ぬときは苦しまずにあっという間にコロリと死ぬことが万人の理想となるのです。

しかし実際には,理想どうりにはゆきません。 

著者の中村氏は現在,京都の特別養護老人ホーム「同和園」付属診療所の所長を務める医師で,1996年(平成14年)から市民グループ「自分の死を考える会」を主催しています。

本書の目的の一つは,この市民グループの会や,医師としての経験から,避けることのできない死をどのように受け止めたらよいのか,

どうしたら大往生できるのかを,具体的に示すことです。

それも常識破りの,かなり意表をつく考え方が次々と示されます。
 
ただし,中村氏が本書で訴えたかったことは,大往生の方法を説くことではありません。

自分の「死」「死」を直視することによって,「生」を見直し,生き方を変えることを訴えています。
 
著者の主張は,章や節のタイトルを見れば,説明が要らないほど明らかなので,以下に,それらを示してゆきたいと思います。
 

第一章のタイトルは,“医者が「穏やかな死」を邪魔している”,です。

このタイトルだけでも,現代医療に対してかなり挑戦的ですね。

この章は「医療にたいする思い込み」「本人に治せないものを,他人である医者に治せるはずがない」,「『自然死』の年寄りはごくわずか」,

「介護の『拷問』を受けないと,死なせてもらえない」など,かなり挑戦的な内容になっています。

一言で言えば,不要な医療行為が,年寄りを苦しめ,本来なら穏やかな「自然死」を邪魔している,というのです。


第二章は “「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」”,がテーマです。

「極限状態では痛みを感じない」,「自然死のしくみとは」,「家族の事情で親を生かすな」,「長期の強制人工栄養は,悲惨な姿に変身させる」,

「食べないから死ぬのではない,『死に時』が来たから食べないのだ」,「死に時をどう察知するか」,「「年のせい」と割り切った方が楽」,

「「看取らせること」が年寄りの最後の務め」,「死ぬときのためのトレーニング」などです。

この章の結論は,「死に時」がくれば食物も水分も摂らなくなり,死の間際でも痛みも苦しみもなく枯れるように穏やかな「自然死」に向かうというものです。


第三章のテーマは“がんは完全放置すれば痛まない”です。

その内容は,「死ぬのはがんに限る」,「がんはあの世からの『お迎えの使者』」,「がんで死ぬんじゃないよ,『がんの治療』で死ぬんだよ」,「早期発見の不孝,手遅れの幸せ」,

「手遅れのがんでも苦痛なしに死ねる」,「最期を医者にすがるのは考えもの」,「がんにも『老衰死』コースあり」,「安易に「心のケア」をいいすぎないか」などです。

今や,がんは2人に一人がかかり,3人に一人は死ぬ病気」と言われているように,がんは今や国民病であり死因のトップになっています。

しかも多くの人は,がんは激しい痛みをともなう,恐ろしい病だと思っています。

しかし,著者がかかわった8年間についてみると,「同和園」でのがんによる死者52名のうち,麻薬を使うほど痛んだケースは一例もなかったとのことです。

これが事実のもつ強みで,説得力があります。
 
著者は実際の経験から,がんは手術,放射線,抗がん剤などの攻撃を受けなければ,暴れて激しい痛みを伴うことがないと確信しています。

しかも,がんの場合,あっという間に死ぬことはほとんどなく,人生の締めくくりの整理をしたり,親しい人にお別れの挨拶をすることができます。

そこで著者は,「死ぬのはがんに限る」という結論に達するのです。
  

第四章のテーマは“自分の死について考えると,生き方が変わる”です。

ここでは著者自身の体験を踏まえて,「『生前葬』を人生の節目の『生き直し』の儀式に」,「延命の受け取り方は人によって違う」,

「死を考えることは生き方のチェック」,最後に「自分の死を考えるための具体的行動とは」が語られます。
 
たとえば「余命6ヶ月」を想定し,したいことの優先順を書き出す」という提案です。

先に書いたように,私たちは自分が死ぬことを本気で信じていないので,日々の生活において何が大切なことなのかを考える手掛かりがありません。

しかし,「余命6ヶ月」といいう年限を定めることによって,俄然,優先順位をつける必要に迫られます。これは老人であろうと,若者であろうと同じことです。

私は,この考え方は非常に重要で,大いに参考になる方法だと感じました。


第五章のテーマは,“「健康」には振り回されず,「死」には妙にあらがわず,医療は限定利用を心がける”,です。

この章は,「生きものは繁殖を終えれば死ぬ」,「医者にとって年寄りは大事な『飯の種』」,「健康のためならいのちもいらない」,「生活習慣病は治らない」,

「年寄りはどこか具合の悪いのが正常」,「病気が判明しても手だてがない場合もある」,「人は生きたように死ぬ」など,

人間の正常なサイクルとしての「死」が語られます。

著者は人の一生を「繁殖期」と「繁殖を終えた年代」とに分けます。

その上で,繁殖を終えたら,病にあまり振り回されず,最終的には天寿をまっとうする「自然死」に至ることを理想としています。

ちなみに著者によれば,「繁殖を終えた」年代とは,子供を産み一人前に育て終えた人,とは,男性は還暦のころ,女性は閉経が一応の目安です。

すでに還暦を越えてしまった私自身,もう天寿をまっとうした,という心境になるのは簡単ではありません。

中村氏の実践に基づく主張は説得力がありますが,もし,現実に自分がガンを宣告されたら,中村氏のいうように冷静に対処できるかどうか,分かりません。

しかし,それを差し引いても,「同和園」で,ガンで亡くなった患者さんの誰一人として麻薬を使うほどの痛みを感じなかったという事実は勇気を与えてくれます。

本書には,ここで紹介しきれない,たくさんの興味深い事実や,著者の考え方が示されています。

自分の「死」と,そして何よりも「生」を考えたい人に,是非,一読をお勧めします。

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ワクチンにご用心―インフルエンザと子宮頸がんー

2012-03-26 11:14:42 | 健康・医療
      ワクチンにご用心 !-新型インフルエンザと子宮頸がん 

 2012年3月24日,東京電機大学千葉ニュータウン校の福田ホールで行われた講演会で,杉本一郎医師(医療法人照甦会理事長)
は新型インフルエンザ(H1N1)と子宮子頸ガンにたいするワクチンの危険性について興味深い事実を話しました。

以下は,杉本氏の講演内容に,私自身が補足して書いたものです。

最初にインフルエンザ・ワクチンについて,杉本氏の話の内容を紹介する前に,ごく簡単に背景をおさらいしておきましょう。
 
2009年,WHO(世界保健機構)は,新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)の可能性を発表し,世界中が騒然としました。

日本でも,厚生労働省やマスコミ,それに一部の医療機関が,新型インフルエンザのパンデミックにたいする警戒のメッセージを発しました。

厚生労働省の専門家会議(2010年6月10日の「新型インフルエンザ対策総括会議」)では,ワクチンを国民全員に接種できるよう準備
することが申し合わされまし。 
 
 ワクチンの接種は2010年10月1日からスタートしましたが,特に抵抗力の弱い小さなお子さんをもつ親はいっせいにインフルエンザ・
ワクチンの接種に奔走しました。

当時はワクチンが不足して,希望者全員には接種できないとの見通しのもと,政府は,2010年にはイギリスのグラクソ・スミスクライン社
とスイスのノヴァティス社から9900万人分のワクチンを1400億円かけて緊急輸入しました。

しかし,このワクチンが届いた頃には,インフルエンザそのものは陰をひそめ,輸入したワクチンはほとんど使われることなく廃棄されたもようです。
 
杉本医師は,このパンデミックとワクチン騒動には,かなり怪しい背景があること,重大な副作用があると指摘します。

まず,そもそも,パンデミック警告そのものが,製薬会社とWHO,一部の医療業界が結託して作り上げた予測であったことが後に判明しました。
 
次に,ワクチンの危険性について日本政府は過小評価したことです。実は,インフルエンザワクチンの危険性については,2008年に自閉症や

ギランバレー症候群の可能性がアメリカ政府によって認められていたのです。それにもかかわらず,日本政府(厚生労働省)は2009年10月
18日時点でも副作用を認めておらず,むしろ積極的にワクチン接種を推進する方針を固めていました。
 
 日本では2000万人強の人が新型ワクチンの接種を受け,これまで416人がギランバレー症候群などの重度の後遺症に苦しんでおり,133
人が死亡している。

これにたいして厚生労働省は,いつものことですが,ワクチンとこれらの副作用との因果関係は証明されていないとの見解を発表しています。
 
 ところで,このワクチンにかんして杉本医師は興味深いエピソードを話してくれました。WHOの警告にもとづいて,アメリカのオバマ大統領
は国民にたいしてワクチンの接種を呼びかけました。

しかし,オバマ家では,子供たちにワクチンを接種させているのか,との質問に,婦人はワクチンには問題もあるので自分たちの子供には接種させ
ないと,答えたそうです。
  
次に,子宮頸ガンのワクチンについてみてみましょう。現在,子宮頸がんはワクチン接種により予防できる唯一のガンであるとして,厚生労働省も
一部の医療機関も接種を奨励しています。しかし,ワクチンにはこれまでさまざまな疑問が提出されてきました。

まず,ワクチンの有効性を発表した10人の専門家のうち9人までが,製薬会社から多額の資金援助を受けていたことが後に発覚しました。

さらに,子宮頚がんの権威,ダイアン・ハーバー博士は,グラクソ・スミソクライン社のサーヴァリックス(日本で発売されているワクチン)と,
ガーダシルいうワクチンが,効果がないどころか,むしろ子宮頚がんの発生率を高める可能性さえあり,11~12才の少女にこれらのワクチンを
接種するのはばかげている,とさえ警告しました。

これらの発言がもとで,博士は製薬会社から強い圧力(杉本氏は「脅迫」という言葉を使っている)をうけ,後でこれらの発言を撤回してしまった
のです。

このため,ますますワクチンの有効性や危険性,製薬会社と医療業界との癒着の関係が疑惑を深めています。

杉本氏によれば,厚生労働省は2012年2月にはこのワクチンの効果について疑問をもっていたようです。

しかし,全体としてはワクチンの接種を推進する政策をとってきています。また,ワクチンの有効性を説く医師や医療機関も多くいます。

こうした状況を背景に,地域ぐるみで接種を推進しようとする自治体もあります。たとえば杉並区の保健所は「中学入学のお祝いワクチン」という
パンフレットを作成し,公費でワクチン接種を実施しようとしています。
 
杉本医師は,これらのワクチンを接種すべきではない,と訴えているわけではありません。

とういうのも,接種はすべて任意だからです。彼が本当に言いたかったことは,講演のタイトル「日本医学の現状と予防医学」にもあるように,
政府も専門家も内外の情報不足が深刻であるという現状を私たちは知るべきであるということ,そしてこのような状況のもとで,私たちはもっと
自分で情報を集め慎重に判断する必要がある,と言う点でしょう。

これは,医療の問題だけでなく,私たちの生活すべてにいえることでもある,と思いました。

参考までに以下のサイトを参照してください。

・子宮頸がんワクチンの危険性
http://thinker-japan.com/hpv_vaccine.html
・特別レポート HPV(子宮頸癌)ワクチンの大インチキを暴く
http://tamekiyo.com/documents/healthranger/hpv.html
・著名科学者が警告するHPVワクチンの危険性
http://tamekiyo.com/documents/mercola/hpv.html
・ハーパー博士に精神的圧力をかけたのは誰?
子宮頸癌の専門家がHPVワクチンの警告を撤回した!
http://tamekiyo.com/documents/healthranger/harper.html

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