富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

現地学習会「中之条町・嬬恋村・東吾妻町・倉渕町の絹遺産を訪ねて」富岡製糸場世界遺産伝道師協会

2013年09月29日 13時56分57秒 | 世界遺産伝道師協会

現地学習会「中之条町・嬬恋村・東吾妻町・倉渕町の絹遺産を訪ねて」

 

9月12日(木)8時30分、県蚕糸技術センターの駐車場から22名の参加者が5台の車に分乗、出発しました。

最初に中之条町の光山社を訪ねました。伊参村(中之条町)出身の小渕光平が創業した光山社小渕製糸所は順調に操業、その後倉庫業、運輸業、製材業、電気工業と事業を拡げていきます。現在は「株式会社光成」として多方面に事業を展開しています。

製糸業は平成7年で操業を止めましたが見事なレンガ倉庫が何棟も並んでいる様は壮観です。光平の息子で元首相を務めた故小渕恵三に関する品々を展示する記念館に改装した正面のレンガ倉庫は珍しくもフランス積でした。記念館内の展示物については光平夫人が、歴史や倉庫群については総務部の有坂さんがていねいな説明をしてくださいました。

 

光山社を辞して近くの旧吾妻町第三小(現中之条町歴史民俗資料館ミュゼ)の建物を門の外から見学しました。木曜日は休館日です。明治18年に開校の県下唯一の洋風小学校建築で県指定の重要文化財になっています。近藤会長が文化財行政に携わっていた時期に手がけたこともあり熱の入った説明をされました。

 

変わりゆく八つ場ダム関連の地域を眺めながら嬬恋村に入ります。ここでは謎の多い幕末の生糸貿易商である中居屋重兵衛の墓と生家跡を訪ねました。墓は旧上田街道沿いの小高い丘の上の墓地にひっそりと建っています。生家は火災で失われ、1868(慶応4)年に建てられた「中居屋旅館」があり、昭和60年まで営業していました。

重兵衛は一時は生糸全輸出量の半数を扱ったといわれ、横浜本町に銅御殿(あかがねごてん)といわれる豪壮な店を構えます。1860(安政7)年、井伊大老が暗殺されると尊王倒幕運動の志士たちに資金や武器を援助していたことから幕吏の追及を受け謎の死を遂げたとされています。真相は今後の調査研究を待つことになりそうです。見学後、生家跡から50m南にある傍系の7代目の子孫が経営する割烹で和やかに昼食を摂りました。

 嬬恋村から一路東吾妻町大戸の加部安左衛門の生家跡に向かいます。「一加部、二佐羽(桐生)、三鈴木(富岡市宮崎)」とうたわれた江戸時代の分限者(金持ち)です。戦国時代に大戸に土着し代々加部安左衛門を世襲し「加部安」と呼ばれました。

12代は1859(安政6)年横浜開港と同時に横浜の弁天通りに大きな店舗を構えて生糸、麻、呉服、茶などを外国人に売り込み大きな利益を得ます。しかし自分は趣味の世界に没頭し、経営を使用人に任せたために経営不振となり、事業から撤退し大戸に戻ります。大戸で1894(明治27)年、65歳で没し近くの大運寺に眠っています。今は屋敷跡の石垣、玄関、うだつ、井戸から当時の栄華を偲ぶくらいです。参加者も栄枯盛衰の一端に触れた思いだったようです。

倉渕町に向かう道の途中で、大戸の関破りで磔刑になった国定忠治の処刑跡地とそこに立つ忠治地蔵を見学しました。参加者も予定外の知識が少し増えた気分のようです。

 最後の訪問地は倉渕町権田の小栗上野介の墓と終焉の地です。上野介は1860(安政7)年、大老井伊直弼に抜擢され、日米通商条約の使節団の一員となります。米艦ポーハタン号で太平洋を横断、ワシントンに到着します。任務遂行後は海軍造船所などを視察しました。帰国後は外国・勘定奉行などの緒奉行を歴任します。そして横浜に東洋一の製鉄所を建設します。

 1868(慶応4)年、江戸城の大評定で主戦論をとなえますが受け入れられず、将軍慶喜に罷免されます。上野介は家臣とともに領地である権田村に隠退します。菩提寺である東善寺に仮住まいし、邸宅の建設に着手します。しかし、官軍の東山道総督府は「権田に陣屋を構え謀叛の企てあり」として捕え、村内の水沼河原で斬首します。41歳でした。

 東善寺の墓(参り墓と本墓)にお参りした後、資料館と本堂の関係資料を見て参加者は小栗上野介の業績に思いを馳せました。 

最後に烏川の水沼橋近くにある上野介斬首の地で「偉人小栗上野介罪なくして此処に斬らる」と刻まれた石碑をやるせない気分で見学し、帰途に就きました。

 最後に、株式会社光成の小渕光平夫人、有坂さん、各見学地で分りやすい説明をしてくださった近藤会長、中嶋副会長に感謝いたします。

        (Y.I 記)

 

 

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