旅の宿 

2023-06-18 09:58:24 | 石川さゆり
石川さゆり 



浴衣のきみは 尾花のかんざし
熱燗徳利の首つまんで
もういっぱい いかがなんて
みょうに色っぽいね

ぼくはぼくで あぐらをかいて
きみの頬と耳は まっかっか
ああ 風流だなんて ひとつ俳句でもひねって

部屋の 灯をすっかり消して
風呂あがりの髪 いい香り
上弦の月だったけ
ひさしぶりだね 月見るなんて

ぼくはすっかり酔っちまって
きみの膝枕にうっとり

もう飲みすぎちまって 
 きみを抱く気にもなれないみたい




東京から北へ約700km、本州の最北端、青森県、十和田湖に近い十和田市の一軒宿「蔦温泉旅館」。

1968年の晩秋。

当時は、上野−青森間は特急「はつかり」が約8時間半で結び、27歳だった岡本おさみも新婚旅行で青森を訪れていました。

10畳一間の和室で、火鉢の鉄鍋にとっくりを浮かべて熱かんをつけ、寒さをしのぎます。

ほろ酔いになった妻が、道で拾ったススキをかんざしのように髪にさします。

窓枠の向こうには左半分が欠けた月。
 
「あの月はなんて言うんだっけ?」岡本が聞くと、妻が「上弦の月よ」と。


ぼくの髪がぁ~肩までのびて~、と、いきなりちょっと、標題から、外れてしまいますが、かってのフォークシンガーたちと言えば、長髪というのが定番でした。

しかし、今の吉田拓郎さんのお姿しか知らない人には、想像もできないかもしれないけど、拓郎さんほど、見事に、長髪が似合った人はいなかったなぁと思います。

 当時、なんか、頭にお掃除モップを貼り付けたような薄汚い感じの長髪のフォークシンガーが多かったなかで、甘いマスクに、ストレートの長髪をなびかせた
姿、

かっこよかったです。

そして、ギターをかき鳴らしながら、首にかけたハーモニカを吹く姿、・・・セクシーでした。(笑)

でも、軟弱なアイドルっぽい風貌ながら、結構、硬派的なメッセージソングなんかも歌ってました。

そう…人生を語らずと言いながら、人生を語ってました。(笑)

浴衣のきみは 尾花のかんざし
熱燗徳利の首つまんで
もういっぱい いかがなんて
みょうに色っぽいね


「尾花」とかいて「すすき」と読み、秋の七草のひとつ、当然、俳句では秋の季語です。

当時、長髪だった若者たちも、いまや頭の上に、すすきを載せたような…と、えっ、髪の毛の話は、もういいって?。(笑)

歌詞だけを見れば、およそフォークというよりは、演歌の世界。

そう言えば、森進一さんの「襟裳岬」は、この曲と同じ作詞作曲コンビで、「落陽」「祭りのあと」なんかも出してますね。

部屋の 灯をすっかり消して
風呂あがりの髪 いい香り
上弦の月だったけ
ひさしぶりだね 月見るなんて


情景とともに、ほのかにシャボンの香りがするような気がします。

なお、上弦の月とは、向かって左側が欠けた半月のことで、右側が欠けた半月を下弦の月といいます。

遠いむかしに、理科で習ったこと覚えてます?(笑)

ぼくはすっかり酔っちまって
きみの膝枕にうっとり


こんな情景も、なんか憧れましたね。

もう飲みすぎちまって 
きみを抱く気にもなれないみたい


若かりし頃は、歌うだけで、どっきりとする歌詞でしたね。

うぶ(シャイ)で、真面目で、硬派だったマスターにとっては・・・。

・・・シーン・・・

・・・以上です。

・・・なお、本件に関する異議申立てはすべて却下します。(笑)



































































































































































 


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