私の勤めている職場は個性的な人がそろっていると思います。いろんな意味で、みんなマイペースなのです。
とくに、この春異動になって来られたU局長とK課長。会社という組織のなかにあることを忘れてしまうほど、別の価値観を持って毎日過ごしておられます。
U局長は自宅からオーディオ機器を持ってきて、窓辺にずらりとジャズやクラシックのCDを並べ、ずっと音楽の中で仕事をされています。きょうは上等そうなドリップコーヒーを始業前に淹れておられたので、「いいにおいですね」というと、「父の日のプレゼントなんだよ、コーヒーが好きだからね」。空気感を含め、イメージはイギリスふう。
K課長はお昼に毎日お豆腐を食べています。冷蔵庫にはマイゆずぽんを常備していて、それをかけて食べるようです。このあいだ、「お豆腐好きなんですね」といったら、
K課長「毎日食べてるよ。家帰ってからも。」
私「なにかこだわりのお豆腐とかあるんですか」
K課長「ない。なんでもええねん」
こういう、「なんでもええねん」ってひとが職場にいるのはなごみます。きのうも、私の隣の席のNさんがチェックもれで項目の数字が間違っていたことがわかったときも、
K課長「全体の数字はおうとんのやろ。ええやん。なんかいわれたら、ごめんなさい、でええと思うで」
それまでぴりぴりしていた空気がほどけて、Nさんも助けられたと思います。ああいう配慮のしかた(配慮ではなくあれが普通なのかもしれませんが)は、いいな、と思います。いろいろ見習わないといけないなぁと思いました。
そうそう、女性も一人異動してこられました。Tさんです。はじめから面白いひとだなぁと思っていたのですが、さばさばしていて魅力的です。きょうもNさんの棚から何かを調べようと探していて、棚のなかでファイルが倒れて引き戸が開かなくなってしまいました。ちょうどそばを通りかかったので、「いっかい出せるファイルは出して入れなおしましょう」と、ふたりでやっていたのですが、
Tさん「きったない字やな。Nくんのやでこれ。棚もぐちゃぐちゃやし」
そこへ、のんびりやのNさんがやってきて、「整理してなくてすみません」
Tさん「ほんまや。それにしてもあんた、字、きたないな」
Nさん「そうでしょう。名前かかんでも僕のんてわかるでしょ」
Tさん「あはは!!ほんまや」
私 「あの、このファイルだけど、つるつるのファイルばかり並べるから崩れてくるんですよ、紙のファイルをあいだに入れるとすべりにくくなるんじゃない?」と、入れなおす。
Nさん「はぁ」
Tさん「はぁとちゃうやろ、やる気なしって感じやし。それにしてもこの棚・・・・」
Nさん「いまの僕の頭のなか、こんな感じです」
私&Tさん「あはは。こんなんかー」
忙しすぎてかわいそう。Nさんもこの春から異動してきたばかりなのに、もう山ほど仕事を任されています。でも、明るさとおおらかさで彼は乗り切っていくと思います。お豆腐課長とのんびりNさんの間に座っているY主任はいつも冷静できちんとしています。そのでこぼこ島の端に座って、きょうもおもしろいなぁとみんなの様子を観察して楽しんでいるのです。
総務のKさんが今朝、「このあいだ、N支所の人たちが研修にきはったとき、ふじたさんってどんなひと?って見に来てはったよ」「それで・・?」「あの日はお休みの日やったから残念がってはったよ」「会わないほうがいいかも」「いやー、いまこの職場でいちばんおもしろいのはふじたさんやと思うわ」
・・・・・・・ 私は面白い人たちを眺めて楽しんでいると思っていたのに、私も他のひとからみたら「面白い人」なのだそうだ。おたがいさまです~