昨夜の裏山の山火事で多方面からご心配のご連絡を頂き、ありがとうございます。
我が家は人も家も犬も猫もおかげさまで無事でした。
昨日の悪夢のような時間で身体は疲れてましたが4時まで寝つけませんでした。
昨日もいつものように午後山へ竹の間伐作業に向かい、サムを作業場所に繋いで粉砕機のエンジンをかけようとしていたところでした。
今日はずいぶんモヤってるな、とは感じてました。
するとカミさんから着信で「火事!すぐ来て!」
続いて家の向かいの茅場の草刈りしていた親父からも着信で「火事だ!すぐ来い!」
驚いてすぐに峰に上がり見おろすと、住所にもなっている曲坂を下った、うちに曲がる十字路の隣家付近をはじめ数カ所からもうもうと凄い煙があがっており愕然。
最初はなんだか分からず、離れた場所あちこちに火がある為に「ん?自然発火?」と思ってしまう間抜けさ。
あいにく乾燥注意報に加えて強風の日、そのまま煙の元へ雑木藪を降り田んぼを越えて道路に差し掛かる頃には、その火元はまた広がってて、杉山はぼうぼうと燃え盛り、
火元も道路向こうからこっちの土手、今越えて来た田んぼにまで広がって来ました。
消防車も一台やってきていたものの、あいにく川も掘りも水が無くどうしようもない状態でした。
けど風はまさしくうちの裏山、家の方に向かい吹き続け、火元は山を登り始めました。
バケツとスコップを抱えてやってきた親父とともにそこからは無我夢中。
堀を深く掘りバケツを沈めては山を登る火を足止めしようと往復し続け、親父はスコップ片手に山へ登って溝を掘ったり。
しかしそれをせせら笑うようにあっとういう間に火の幅も勢いも加速していきました。
そこから本当にやばいと焦るばかり。
すると十字路まで出て俯瞰していたカミさんさんから叫ぶような着信で、
「あっちにもこっちにも火が飛んでる!家のすぐ裏の方にも火が行ってるよ!」
すぐさま私も親父も家に近い火元へ山をこいで上がるけれど、
こんな強風で火の粉が四方八方に飛ぶ中で、やばいんじゃないかとよぎりました。
消防車も10台近くが連なるものの、まだ動き出せず。消防士からは、
「衣服に火が付いたら危ないぞ!」と叫ばれるも、かといってただ待ってもいられない。
親父はもう何いってるか分からないぐらいに必死で消防に早く!と叫ぶもみんな必死。
ほんの5、6分で家に近い火元に着いた時点でもう10m四方くらい焼け進んでいて、本当に怖かった。
水も無い中やれることは限られ、延焼が広がらないように親父はスコップで火面の端から土をかけ
私は平たい竹でパタパタと端の火を消していく。。
そこにありがたい助っ人、前の沢の、10歳くらい年上のユウさんが山を駆け上がって来てくれて加わってくれた。
「博之くん!ダメだ!叩くな!この風では危ない。延焼させないよう燃えるものを離せばいい!」
と、一面絨毯の様に燃える落ち葉の火が広がろうとする付近の落ち葉だけを木の枝で掻いて避けていく。
来てくれたことで少し落ち着いて、なるほど、と同様に黙々とみんなで作業。
間伐のためにちょうどチェンソーも持っていたので火面から倒伏材や枯れ木を切ってはぶん投げも繰り返し。
そうやってようやく家に近い火元の拡がりを抑えられて来た時には、
下の斜面では固めて重なる雑木からは大きい火が上がり、もうひと沢裏へ向かおうという火元と、うちの竹林へ向おうと拡がりを見せる火元がゆっくりと進んでいく。その他にもあっちもこっちも小さな炎が風になびく。
この数年手をかけて来た山が!と今度は竹林の入り口方面へ走り同様に作業していると、
ようやく上空にヘリの音がし、下からは「危険だから離れろー!」という拡声器の音。
見上げると報道らしいヘリの下に消防のヘリが2機、町中の川から汲み上げたどデカイ容器を吊るして次々と山へぶっかけていく。
その合間をぬうように火元を気にしながら、一旦家へ降り消火器を持って上がろうとすると、
カミさんは心配して家に寄ってくれたご近所さんからアドバイスを受け、
万が一に備え貴重品と位牌まで運出せるように準備していた。
ふたたび山へ上がるとヘリのお陰で大きな火は小さくなっていて、下からは消防車から続々とホースが伸びてきた。
そして多数の消防士に加えて、地元の地域消防団の方々も背中に水タンクを背負い、スコップをもって上がって来ました。
不謹慎だけれど、この時初めて「なんとかなるかも」と息が抜けました。泣きそうでした。
そっからはプロにお任せで、火が無いかどうか見廻りしたりチェンソーで補助程度の時間。
太陽が沈む頃にはサッと雨も降ってくれたけれど気温も急激に下がり始める中、大勢の方が本当に懸命に作業してくれました。
暗くなる前に不安だったであろうサムを解放し、道具を下ろして家に戻りました。
そこからのみんなと集会所へ向かい、消防士、消防団の方々の一服準備。
続々と交代で、雨に濡れ、寒い中の作業から上がってくる顔ぶれ、
親戚から、直売所の仲間や先輩、地元の後輩、日頃軽口を叩いている間柄の人まで本当に力強くありがたい存在でした。
かえって「良かったね。家に届かなくて」と心配までしてくれて感謝しつくしても足りません。
11時過ぎに我々は撤退しましたが、彼らは交代で朝まで山を見守り続けてくれました。
途中一度火も出たようですが、それも速やかに対処してくれて助かりました。
集会所でユウさんともしみじみ話しましたが、たぶん一生忘れない1日を過ごしました。
山火事、怖いです。
当事者になって改めて「火の用心」がしみました。