よっちゃん農場のドタバタ日記

「よっちゃん農場」の日常。
 ~いち農家から小さなブランド作りの奮闘記~~

炭化開始!

2005年03月11日 | 和宝窯
これまで口炊きし、窯内部を温めていたのだが、
昨日昼過ぎからいよいよ「やっつけ」と呼ぶ作業へ。
これは炭材の上の「載せ木」へ着火させる作業で、煙突を全開にし、
焚き口からひたすら燃料の竹をくべ続け、温度を上げていく。通常
初めの口炊きを4~5日やるといくらか楽になるのだが、今回は時間
短縮でやるためにかなり苦労してしまった。。。
温度が上がるにつれ、炭材の水分が蒸発し始め、煙突からだけではなく
焚き口からも濛々と煙りが吹き出してくるために、なかなか燃料も燃え
切らず、火と煙の押し合い。これが「やっつけ」の語源なのかな~。
結局無事載せ木に着火したのは今朝9時。。
あとは空気を取り入れる通風口のみを残し、毎回入り口は泥と粘土をこねた
もので塞ぎ、自然炭化させていくのだ。

一流の炭師でも満足する炭というのは一生に数える程度らしい。
それは炭焼きというのは単なる技術ではどうにもならない部分があるから。
焼く際の天候の善し悪し、風、湿度によっても全く違うものになる。
竹が材料だと一番の敵は「風」である。
煙突部からの排煙の流れのリズムを狂わされると、酷い時には窯内部に一斉に
ヒビが入ってしまう。やはり寸法切りして出荷する木炭とは違い、竹炭の
美しさは窯入れしたそのままの長さのものが綺麗だし商品価値は高い。
この時期は春に向け結構風の日が多い沢なので、今回もそれが心配ではある。。

今市場に出回る炭の中には機械窯で焼かれたものが結構多い。
何でもそうだが、市場が見込めるとなると、必ずそれを簡単に産みだそうとする
方向で技術が進歩(そうなのか!?)する。最近顕著な気がする。
機械窯は何より作業が簡単。一日で炭が焼けてしまうらしい。それも堅い炭が。

「炭」というと「備長炭」に代表される「白炭」のイメージが強いのか、堅い
炭は良い炭だという思いこみが生じる。かくいう私もその一人だった。
だから土の窯で焼いた柔らかさのある炭と、機械窯で焼いた堅い炭だと堅い炭
がいい!となってしまう。
しかし・・私も色々調べたり見聞きした所、機械窯の欠点は木材繊維を壊してしまう
という。確かに表面的な硬度はあるが、炭の用途の広がりが「燃料」という枠
を超えている今、コレは致命的。
その点土窯は、作業的にはキツイし時間も要するが、過程の温度変化が緩やかな
為、木材繊維を壊さず焼き上げられる。

いわゆる新用途、といわれる今の炭の使い方、消臭だったり除湿といったものは
この繊維構造に由来する部分なので、やはり土窯が使われてきた事の意味、という
ものを考えさせられる。
中国の偉い皇帝の墓を掘り起こした際、遺体の周りがどっさり木炭で覆われていた
ため、遺体はまるで生きているような状態のまま保存されていたというのは有名な
話だが、これが機械窯製の炭だったらどうだっただろうと思う。


前述したように、今は「利便性」を追求すると市場が拡がる。消費者が求めている
からなんだと思う。けれど、形が同じで中身が伴わないものが本当に多い。これか
らはそれが少しづつ淘汰されていく(いって欲しい)と思うけれど、作り手、そし
て消費者も、もっと物の本質を見抜く眼を持っていかないと、と個人的にすごく思
っている今日この頃なんです。
「炭焼き」という技術が、その本質を壊さずそれを科学が補完する。そういう事が
当たり前に行われる世の中にならないかな~と。
最近ことわざにも感心する事が多く、やはり「遺ってきたモノ」というは、なにか
しらの真実が含まれているような気がする。。。

あ~今日もくどくなってしまった。。。
何だか文を書く事に「ハマッて」きたかも。
ま、今日は2日分という事で。